作・ファントム
※この作品にはアージュの作品「君が望む永遠」のキャラとネタバレが一部あります。
「君が望む永遠」を購入する予定のある人は気をつけてください。
窓から漏れる光で目が覚めた。
俺は、フトンを押しのけて体を起こし………!?
「あれ?」
何でフトンで寝てるんだ?
確か昨日は、あの法案が可決されて……久しぶりに"あれ"を飲んで考えていて……秋子さんがきたような………。
………なにやら、よった勢いで色々話していたような………。
秋子さんが、運んでくれたのか……?
…………。
それよりそういや何時だ、今。
…………。
時計の針は、8と12を指している。
…………。
つまり、8時………。
キョウモイイテンキダナー………じゃなくて。
「ち、遅刻~~~~!?」
いや、待て、落ち着け。
今日は休みだ、日曜じゃないか。
「なんだ、じゃあ寝直すか」
俺は再びフトンの中に潜り………。
…………って。
「寝るなーー!! バイトがあるだろうがー!!!」
そう、俺は最近バイトを始めた。
「財布、どこ行った!」
あゆのリハビリの手伝いをしに行った時、病院で知り合った鳴海孝之さんの紹介だ。
「携帯、携帯電話!!」
あいつらと付き合うようになって、何かとお金がいるようになったから、それが表向きの理由だ。
「て、まだパジャマのまま!?」
本当のところは……よく分からない。
「腕時計は?」
単に孝之さんが気に入ったのかもしれないし、あの店の独特の雰囲気が気に入ったのかもしれない。
「時間は………8時20分!?」
物思いにふけってる場合じゃなさそうだな………。
一気に階段を下り、ダイニングに向かう。
さすがにみんな起きたらしい。
「おはようございます、祐一さん」
「あ、はい。おはようございます。」
秋子さんが声をかけてきた。
ほかにも、名雪・あゆ・真琴もいる。
三人とも気まずそうな感じだ…昨日の今日だからな。
真琴なんか、トーストにかじりつこうとしてそのまま固まってるよ………。
「真琴」
「あう!?」
「もらうぞ」
真琴が、かじりつこうとしていたトーストをいただく。
真琴はしばし呆然として……。
「な、なにすんのよーー!!」
ようやく気付いたようだな。
「悪り、今からバイトなんだ」
「だからって………」
「そうだ………昨日言っていた答えが出た」
『!?』
みんなの動きが止まり、その隙に部屋を出る。
「みんな集めてといてくれ。………行って来る」
「あ? ちょっと 待ちなさいよ~~~!!」
その声には答えず、俺は家を飛び出していた。
「だ~~~~なんで、日曜になってまで走ってるんだ! 俺は!!」
バイト先のすかいてんぷるは今住んでいる町から、あゆがいた病院へ電車で行く途中にある。
たいした距離じゃあないが、時間を間違えると電車に乗れなかったりしてやばいことになる。
遅刻したときはなおさらだ。
以前は、病院まで定期を使っていたのだが、今ではそれも切れて切符を買わなくちゃいけなかったりするしな。
と?
まえにも、走っているやつがいる。
しかも二人だ。
一人は、見た目はまあ、ふつうの青年風。
もう一人は、髪をツインテールにした、背の低い女の子。
この組み合わせは………ひょっとして………。
「孝之さーん! 大空寺ーーー!」
二人がこちらを見る、あたりのようだ俺はスピードを上げて追いつく。
「あに…急に……話……かけてるのさ」
追いつくと同時に、食いかかってくる大空寺。
「あゆ…喋るな…スピードが…落ちる…ぞ」
あゆというのは、大空寺のこと。
「大空寺あゆそれがこの金髪子ヤクザの名前だ」
「あ、あんですと~~!!」
大空寺がその場に立ち止まり大声を出す。
…げ、声にで出たか。
「あゆ、止まるな、置いていくぞ」
孝之さんが、容赦なく置いていきながら声をかける。
あんた、ひどすぎ。
「あ? ちょっと、待ちなさいよ~~!」
どこかで聞いたセリフを言う大空寺。
「いいのか? 恋人だろ一応」
「そうだ…が。あゆと一緒に遅れると、結構響くんだ家計に」
「そういや、一緒に住んでるんだったけ。今」
「…あいつならすぐに追いつくだろうし。むしろスピードアップだ」
「………でも、さんざん文句言われるぞ」
「大丈夫、今日は生け贄がいるから」
それって。
「俺のことか」
「お! 着いたぞ」
答えろよ、おい。
『ざいま~す』
雑談混じりの着替えをすませ、ホールに着いたときにはもう大空寺も着替えを終えていた。
すぐ後ろに着いていたらしい。
「あ、孝之さん! 祐一さん! おはようございます」
俺たちの姿を見つけて、一人の小柄な女の子が走ってくる。
が…………。
どか!!
「ぐ、ぐおおおおおぉぉぉ!!」
思いっきりこける。
「玉野さん、大丈夫?」
「まゆまゆ大丈夫」
「危ないから走らない方がいいぞ」
ちなみに、今のセリフは上から順に、孝之さん、大空寺、俺だ。
玉野まゆ…俺より前に入った新人のバイトで、皿割り新記録を現在も更新し続けているほどのトラブルメーカである。
しかしその天使のような笑顔は見る人を和ませ、人々に安らぎを与えている。
またなぜか大空寺と仲がよくいつも一緒にいる。
さっきもいったけど、小柄………というか、この店のほとんどの子が身長150cm以下で、童顔なんだよな。
孝之さんの話では、前の店長の趣味だったらしい。
本人は否定しれるけど、彼もその気ありだと俺は思っている。
大空寺あゆ…孝之さんの恋人で。恐ろしく口が悪く。目つきも悪い。ただ仕事のスピードは早い。
が、孝之さんと一緒にいると痴話げんかを始め、仕事能率が下がるとゆう欠点がある。
実は、日本の企業では来栖川の次に実力を持つ大空寺グループの一人娘だ。
鳴海孝之…この店の中では一番長く働いているフリーター。
なにやら過去に女性関係でもめていたらしいが、結局大空寺と一緒になった。
この二人は一時期この店をやめさせられていた。
とゆうのも、この店、すかいてんぷるは大空寺グループの末端に当たり。
大空寺が以前いたのも、「庶民の生活をのぞくため」という名目で、父親に命じられていたからしい。
その思惑はうまく行きすぎたようで、大空寺は庶民代表のような、孝之さんに惚れ込んでしまった。
それだ困ったのが大空寺家。
大空寺は店を辞めさせられた。
孝之さんとの接点をなくすためだろう。
最もその後家出をして孝之さんの家に押し掛けたそうだが。
孝之さんもその腹いせに店を辞めされられたどころか、大空寺系列の会社では働けなくなっていたのだが………。
「あのぶつぶつ言ってるのさ」
「へ?」
大空寺が、変な物を見るような目でこちらを見ている。
「きしょいでやめろや」
「いや、ただ知らない人に説明しようと思って」
「わけわからんこといって、ほんもんのあほ?」
「…………」
「あにさ」
「仕事しよ」
「無視するんじゃないさ」
「………うるせーなー、俺は忙しい、故に暇なら孝之さんとでもちちくりあってろ」
「あ、あにいってるのさ、別にちちくりあてっなんか………」
「そういや何で今日は遅れたんだ?」
「…………」
「…………」
あ、顔真っ赤にして逃げてった。
「あ、相沢君。おはよ~」
「相沢さん。おはようごさいます」
「ん? ああ、麻宮シスターズか、おはよう」
俺に話しかけてきたのは、俺と同じ時期に働き始めた麻宮姫里・空の姉妹だ。
姫里(きさと)は、金髪のロング髪の毛が触覚のように飛び出ているのが特徴だ。
周りの人間には自分のことをキィちゃんと呼ばせている。
割と活動的な性格だ。
空は、黒髪なこと以外は姫里と同じ髪型だが、姫里と比べて落ち着いた感じがある。
確か一つ下の妹だと前に言っていたな。
姫里は普段クゥちゃんと呼んでいる。
実は、姫里は俺と同じ学校で同じ学年だったりするのだ。
「あんまり大空寺さんをからかっちゃだめだよ、相沢君」
「いや、あーでもしないと静かにならんし、大空寺の場合」
「でも、鳴海さんが困るんじゃないですか、今の場合は」
「ふ、解ってないな、空。俺が困るわけじゃないからいいんだよ」
「…………」
「………そんなこと言っていいの? 相沢君? 二人のいなくなったときもても寂しそうにしていたのに~」
姫里がからかうように言う。
「ち・が・う。俺が心配したのは、玉野さんなの」
「…そうなんですか?」
「ああ」
「じゃあ、まゆちゃんが心配だったから、二人を店の戻したの?」
「ああ………って、ちょっとまて」
「はい?」
「別に俺が二人を店の戻したわけじゃないぞ」
「え? そうなんですか?」
「あ、た、り、ま、え、だ!! そんなこと出来る分けないだろうが!」
「え~でも~相沢君が店長さんと何か話した次の日から二人とも復帰したんだよ、ねえねえ? なにをしたの?」
「何にもやってないって、本当に。…仕事仕事」
「意地悪、いこ、クゥちゃん」
ふたりは、玄関の方に歩いていった。
「さて、俺はグラスでも磨いてるかな」
「あにさぼってるのさ」
グラスやシルバーを磨いてると大空寺がやってきた。
「さぼってないって、グラス磨いてるんだ。だいたい今日は客が少ないしな」
「………一つ聞いてもいいか?」
「? どうした?」
「私らがこの店の戻れたのって、あんたが何かやったからなんか?」
「………どうしてそう思うんだ? 言っておくが俺はふつうの高校生だぞ?」
「………」
「大空寺グループの会長に文句をつけるどころか、会うことだって出来ないだろう」
「うそさ」
「なにがだ?」
「あんたがふつうの高校生なんてうそさ…そうやろ、相沢グループの一人息子」
「………何のことだ」
「相沢グループ…工業系の来栖川グループ、サービス業の大空寺グループと並ぶ日本で三つ目に大きな組織」
「………」
「主な仕事は輸出入、来栖川や大空寺にとっては無くてはならない取引先」
「………」
「会長と奥さんでもある秘書は現在外国を回ってるけど、その一人息子は現在日本にいる」
「………」
「その一人息子の名前は、相沢祐一」
「………いつから気付いていた?」
「さいきんさ」
「そうか、ま、いいけどな。で?」
「で、ってなにさ」
「いや、本当に俺は何にもやってないって。現在勘当中だし」
「へ、あんですと!?」
「勘当中」
「それぐらいわかるさ、あんでそうなったのさ」
「親父のやつが下らないこと言ってきたからぶん殴ってやった」
「くだらないことって、あにさ」
「無理矢理婚約させられそうになったんだ」
「………」
「大空寺グループの一人娘なんてゆうわけのわからん奴とな」
「あ、あんですとーーー!!」
「…いきなり呼び出して、その話されて、イヤだっていたら『わがままをゆうな、せっかくあゆとゆう名前の奴を捜してやたんだぞ』だとよ」
「………」
「その後ぶん殴って家出てからはもう会っていない」
「そうか、わるかったな」
大空寺はそうゆうと出ていった。
ま、ホントのことは言わない方がいいよな、秋子さんに話したらなぜか解決していたなんてさ。
またもや長くなってしまいました。
どうもみなさんファントムです。
今回は、私が以前考えた話の中から設定を一部引っ張り出してきました。
元になったのは二つ。
一つ目は「君が望む追想曲」
これは「君が望む永遠」の世界に祐一とあゆが登場する話です。
祐一は「君が望む永遠」の主人公鳴海孝之の従兄弟として登場します。
ちなみに追想曲と書いてカノンとよむ。
もうひとつは「祐一の危険なバイト」
祐一とキィちゃんクゥちゃんの三人が、ある組織に入りいろいろな世界に行きそこで事件に巻き込まれるとゆう話です。
たとえば「スレイヤーズ!」の世界に行って、リナと組んで魔族と戦ったり。
「オーフェン」の世界でクリーオウにふき飛ばされたり。
今回書きたかったのは、「あゆたちの居ないときの祐一」だったんですが、色々書いている内に長くなってしまいました。
で、結局次回に回ってしまいました。
次回でバイト編は終わります。
それでは。