藤田家のたさい外伝
『日曜の朝』
「ん~、もう朝か・・・」
俺はそう呟くとベットから身を起こした。
時間は・・・、7時15分。
日曜だし、本来はもう少し寝ていてもいいくらいだが、そうもいかないからな。
もうすぐ時間だし、早いとこ着替えるとするか・・・。
「あ、おはようございます。浩之さん」
「う~す」
俺がリビングに入ると、マルチが一人でお子様アニメを見ていた。
「セリオはどうした?」
「先ほど綾香さんを起こしに行きましたけど」
なるほど、でも昨晩の『お勤め』は綾香の番だったんだし、俺としてはこんな日くらいゆっくり寝させてやりたいが・・・、
無理だな、絶対。
などと考えていると・・・
「浩之さん、お早うございま~す!」
「・・・おはよう・・・」
「ああ、おはよう、セリオに綾香」
朝から元気いっぱいエネルギー充填120%なセリオと、対照的に朝からヘロヘロな綾香が入ってきた。
ちなみに綾香はセリオに半ば首根っこ引きずられていたりする。
「おいおい・・・、大丈夫か綾香?」
「・・・大丈夫なわけ無いでしょう・・・。夕べは浩之のせいでろくに寝てないんだから・・・」
・・・確かに。夕べは結局何回やったか・・・、自分でも覚えてねえや(笑)
しかし俺自身はそんなに無茶やってるつもりは無いんだがな・・・。
それにしてもこんな日にまで早起きさせられて付き合わされるとは・・・。セリオに『見込まれた』不幸を呪うしか無いな。
「そんなことより。そろそろ始まりますよ~」
おっとそうだった。マルチの声に俺達は各々腰を落ち着けてテレビを見ることにした。
ちゃらちゃらちゃらちゃらちゃらちゃらちゃらちゃら♪(前奏)
がお~、とびかかれ~、がお~、くらいつけ~♪
・・・始まったか。
『百獣戦隊!ガオレンジャー!!』
そう、セリオがこよなく愛する特撮ヒーロー番組。これが綾香が無理やり起こされる理由だったりする。
この後は『仮面ライダーアギト』もあるわけだし、セリオにとってこの1時間は正に至福の時間である。
だからと言って綾香までリアルタイム鑑賞に付き合わせる事は無いんじゃないかとも思うが、まあその辺は深く問うまい。
で、主題歌が終わりCMに入ったころ、
「みんな!グッドモーニングネ!!」
「おはよう」
「ああ、おはよう、レミィに理緒ちゃん」
リビングに入ってきたレミィと理緒ちゃんは俺達に朝の挨拶をすると各々腰を落ち着けて一緒にガオレンジャーを見始めた。
意外だが、この二人もガオレンジャーを見るのだ。もっとも毎回と言うわけでは無く、放送時間までに起きられた時限定だが。
何でも、まだ実家に居た頃、ミッキーや良太に付き合って戦隊物をよく見ていたそうだ。
で、思考がお子様なマルチとあと俺、藤田家でガオレンジャー見てるのはこの6人だけである。まあ、綾香は嫌々見せられてるんだが。
ちなみに俺が見てる理由は・・・、ま、後で分かる。
番組中では敵怪人がギャグな能力で冗談としか思えない暴れ方をしている。
で、お約束通り初戦では怪人に振り回されるガオレンジャーの面々。
「はわわ~、ガオレンジャー大ピンチです~」
思いっきりはまり込んでるマルチ。
「・・・何であんな馬鹿な怪人に苦戦するのよ・・・」
半ば呆れつつ思いっきり冷めた目で見てる綾香。
「まあまあ、これも一つの『お約束』ネ」
「いきなり勝ったら話終わっちゃうし・・・」
冷静につっ込むレミィと理緒ちゃん。
「・・・さあガオレンジャー、いよいよ反撃です!」
そして一番エキサイトしてるセリオ。
・・・同じ番組見ててもこうも反応が違うんだな。
で、画面ではガオレンジャーの面々が反撃前の名乗りを上げる所である。
「あんな長ったらしい名乗りしてたら普通攻撃されるのが当然じゃないの?」
まあ、各自がいちいち前口上&決めポーズ付きで名乗り上げてるわけだし、綾香のその疑問は実にもっともな話だ。でもな・・・、
「そんな野暮なこと言っちゃいけません」
「ソウソウ、一種の様式美ネ」
その意見については俺も同感だ。名乗りが無きゃ戦隊物って感じしないしな。これも一つの美学って奴だろう。
で、前半での苦戦が嘘の様に怪人は6人掛りでフクロにされ、必殺技を食らって爆発四散した。
「やったです~」
手をたたいて喜ぶマルチ。だがまだ終わってない。戦隊物の怪人は巨大化するのだ。そしてガオレンジャー側も負けじと巨大ロボを呼び出す。実の所、俺はロボ戦が楽しみでガオレンジャーを見ているのだ。何がかんだ言って巨大ロボは『漢の浪漫』だからな。もっともガオレンジャーの巨大ロボは実はメカではなくナマモノなのだがそんな事はどうでもいい。
そんなこんなで最初こそ押されてた巨大ロボだが、最終的にはあっさり逆転。最終的にはあっさり逆転。必殺技のオーバーヘッドキックを食らって怪人は今度こそ息の根を止められた。やはりロボ戦の最後は派手な必殺技で締めてくれなくちゃな。ま、欲を言えば巨大ロボの必殺技にはやっぱ剣を使って欲しいんだが。
・・・さて、エンディングも次回予告も終わり、次はアギトの番。となるとそろそろ・・・、
「おはよう浩之ちゃんたち」
来た来た。あかりをはじめ智子、芹香、葵ちゃん、琴音ちゃんがリビングに入ってきた。
そう、藤田家全員アギトは見ているのだ。アギトは内容がかなりシリアスな所為かあかり達にも受け入れられやすい様だ。
・・・まあ、セリオはみんながアギトは見るのにガオレンジャーは見ないことに対していささか不満があるようだが。
「・・・それにしても、何でみんなアギトは見るのにガオレンジャーは見てくれないんですか」
アギトも終わり、みんな揃っての朝メシの時にセリオはその不満を口にした。
「う~ん、そんなこと言ったって・・・」
「こればかりは好みの問題やからな」
「・・・(こくこく)」
「本来特撮なんてあまり見ませんし・・・」
「あくまでアギトは例外って事ですね」
みんな一斉に答える。智子の言う通りこればかりは仕方あるまい。ちなみにこれは食わず嫌いの意見ではなく、全員1回はセリオの
押しに負けて見ているのだ。特にあかりにはゾロメカの中に熊と白熊が居るのをダシにして引き込もうとしたが『可愛くない』の一言で
あっさり撃沈した。あかりが好きなのはあくまで『くま』であって決して現実の『熊』じゃないのだよ・・・。
「・・・どうしてみんなには強要しないのにあたしは強制的につき合わされるのよ」
綾香のその意見はもっともだ。だが・・・、
「何言ってるんです、前にも言いましたけど、わたしが何かを企む際、その対象は綾香さんに決まってるじゃないですか」
「う~~~」
セリオの実も蓋も無い台詞にへこむ綾香。さらに追い討ちをかけるがごとく
「大体綾香さんだって最近思考がヒーロー物向けになってきてるじゃないですか。調教の甲斐があったってものです」
「な、何を根拠に?」
「だって綾香さん、この前カラオケで『TAKE ME HIGHER』を歌ってたじゃないですか」
「な・・・!」
『TAKE ME HIGHER』、アイドルグループ、V6の曲である。しかしセリオにとっては・・・、
「自分から『ウルトラマンティガ』の主題歌を歌うあたり、着実に洗脳の効果は上がってるようですね~♪」
「あ、あれはアイドルグループの曲じゃない!変な邪推しないでよね!」
「な~にをおっしゃいますか。V6の曲なら他にもあるのに、わざわざ真っ先にアレを選ぶあたりかなり染まってるんじゃありませんか」
「だ~~か~~ら~~!」
綾香は必死で反論するが、それは無駄と言うものだ。
「ふっふっふ・・・、この調子なら綾香さんがヒーロー物に染まりきるのも近いですね~♪」
「い~~~~~や~~~~~!!」
・・・二人のそんなやり取りを見ながら、俺達は綾香の冥福(違う)を祈る事しかできなかった・・・。
・・・ま、まあともかく、藤田家は今日も平和だ。
「平和じゃな~~~~~い!!」
<おしまい>
後書き
どうも、随分久しぶりの投稿です。
今回初めて了承ではなくたさいの番外編に挑戦して見ましたがいかがな物でしょうか。
藤田家のメンバーの半数がガオレンジャー見てたり全員アギト見てたりと言うのはあくまで私のイメージですが、さほど違和感は無いと
私は思うんですが・・・(ちょっと弱気)
ちなみに巨大ロボの必殺技についてのくだりはかなり私の私情がはいってたりします(笑)
後、どさくさまぎれに前々から頭にあった小ネタも使ってみました(ガオレンジャーの熊ネタと『TAKE ME HIGHER』ネタ)
特に『TAKE ME HIGHER』ネタはぜひ使ってみたかったのでなんかほっとした気分です(ま、ネタとしては大した事無いんですけどね)
・・・しかし、新年一発目がこんなんでいいんだろうか・・・?
☆ コメント ☆
セリオ:「ふっふっふ。
だいぶ良さが分かってきた頃じゃないですか?」(^~^)
綾香 :「ぜんっぜん分からないわよ」(--;
セリオ:「またまた~」(^~^)
綾香 :「ホントだってば」(--;
セリオ:「ふ~ん」(^~^)
綾香 :「なによぉ。
あたしはね、マジで本気で嫌なの」(--;
セリオ:「嫌よ嫌よも好きのうち、ってやつですね」(^0^)
綾香 :「ちっがーーーう!」(ーーメ
セリオ:「ま、そんな事を言っていられるのは今だけです。
すぐに、これなしでは生きていけない身体にしてさしあげますから」(^~^)
綾香 :「……お願い、勘弁して」(;;)
セリオ:「くっくっく」( ̄ー ̄)
綾香 :「ああっ。誰でもいいから助けて。
特撮こわい~~~」(;;)
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