「私立了承学園番外編」
それゆけ あきこちゃん

Write by 聖悠紀


第四話 朝食はみんな仲良く




「・・・太陽がきいろい」

うぅ・・・さすがに昨夜はつらかった
一辺に8人、しかも全員満足するまで寝かしてくれなかったもんなぁ・・・

結局、昨日のディープキス事件の後、
暴走しかっかている名雪達を『夜になったら気のすむまであいてしてやる』
と約束して、なんとか思いとどまらせすことに成功した。
しかし、それからが大変・・・
なんせ、あれから「祐一お兄ちゃん」と全員から言われるし、
夕食には、やたら精のつくものばかり出たし、
しかも、最中の間でも、ずっっっっと「おにいちゃん」と言われ続けるし・・・

・・・でも、ちょっと萌えてしまった。
たまになら「お兄ちゃん」と呼ばせてみようかな。
いや、栞にお願いすれば、ずっと呼んでくれるかも

だけど、一辺に全員の相手するのだけは、しばらく勘弁して欲しい・・・

「ふぅ・・・みんな起きたのかな?」
「うにゅ・・・祐一・・・」

まだ、名雪だけは寝ている・・・
しかし、俺と同じようにほとんど徹夜のはずなのに
肌もつやつやしてて張りもあるし、血色いい顔している。
しかも、しあわせそのものって顔で寝ているし・・・

「祐一・・・今日も大丈夫だお・・・」
「・・・・・・・」(汗)

今日『も』って昨日のじゃ不十分なのか??

 ・
 ・
 ・

・・・あまり深く考えると怖いから、考えないようにしよう(汗)
さ、さぁ起きるか




 ――ぴんぽ〜〜ん

「は〜〜い、あ、ひかりさん、どうしたんです? こんな朝早くから」
「うん、ちょっと連絡事項があってね」
「連絡事項ですか? ならわざわざ家まで来なくても、電話で十分なんじゃないですか?」
「えぇ、ここに来たのは、帰り道のついでにちょっと寄っただけだから」
「帰り道? 昨日どこかに泊まったんですか?」
「えぇ、浩之ちゃんの所に
「浩之の所ですか? 一体なんで?」
「それは、母と娘息子のスキンシップをするためよん
「泊り込みでスキンシップ?・・・一体何をやってきたんです?」
「うふふ・・・それはひ・み・つ♪」

あ、今の笑みで何となく理解できた
浩之やあかりさんたち、大変だったろうなぁ・・・




その頃藤田家では・・・

「うぅ・・・お、おかぁさん凄すぎ・・・」
「あ、あそこまでとは・・・お義母さんに一体なにがあったんだ・・・」
「浩之まで、ノックダウンされるなんて・・・」
「・・・・・・・」
「はぅぅ〜〜〜」
「今日のひかりお母さん、いつに無くハイテンションでしたねぇ・・・」
「う〜〜ん、もうだめ・・・」
「理緒が、うなされているネ」
「葵ちゃん、私もうだめ・・・」
「こ・琴音ちゃん」
「こんだけのことして、本人は血色のえぇ顔して帰ってったし・・・」


「「「「「「「「「「「ひかりお母さんって・・・」」」」」」」」」」」



再び相沢家玄関・・・

「で、何か連絡することがあったんじゃないですか?」
「そうそう、忘れる所だったわ。
 相沢家は今日から秋子が元に戻るまで、自宅授業に切り替わるから
 今日からしばらくの間、学校へ登校は自由よ」
「登校が自由?」
「そう、学校に来きても来なくても自由ってこと
 とくに、今日みたいな日は、学校行くの辛いでしょ」
「え〜〜と、な・何のことでしょう」(汗)
「誤魔化しでもダメよ。これでも校長ですからね
 昨日、秋子が原因で一騒動あったでしょう」

うぐぅ・・・ばれてる

「と言う訳だから、秋子のことよろしくね。」
「あ、はい、わかりました。」
「それじゃ」

 ――バタン

ふ〜〜、自宅授業かぁ・・・
のんびり出来るのはありがたいけど、学校にはやっぱ行きたいよな・・・
まぁ、登校時間がいつになってもいいって事なんだろう

「あっ、おにいちゃんおはよう、誰か来てたの?」
「あ、あきこちゃんおはよう、うん、ひかりさんが来ていたんだ」
「ひかりさん?」
「そう、覚えているかな? 昨日保健室であった女の人」
「あ、あのおばさん?」


 ――ゴチンッ!


あ・・・ひかりさん、まだ近くにいたんだ・・・
ひかりさん、強く生きてください
あと浩之たち、今日も頑張ってくれ

「どうしたの、おにいちゃん?」
「な・なんでもないよ、なんでも」(汗)
「うにゅ? へんなおにいいちゃん
 あ、それより、あさごはんできたんだよ
 あきこもてつだったんだから」
「へ〜〜、それは楽しみだな、じゃあ、早速食べにいくか」
「うん」



「という訳なんだ」
「じゃあ、しばらく朝はゆっくりしていられるわね」
「あぁ、今日みたいな日は特に助かるよ」
「「「「「「「あ・あはははは」」」」」」」」(汗)

笑って誤魔化すなよ・・・

「それで、今日はどうするんですか?」
「今日は、2〜3時限目ぐらいからいけばいいだろう、
 さすがにそれまでには回復していると思うしな」
「解りました。それじゃあ、朝ご飯たくさん食べて、早く元気になってくださいね。
 もし、足りなければ、体力増強用のお薬も用意しますから」
「い・いや、さすがに薬が必要なほど、困っていないから遠慮しておく」
「そうですか・・残念です。」
「さ・さぁ、それより飯にだ、腹減っちゃったよ」
「「「「「「「「「は〜〜〜い」」」」」」」」」

「「「「「「「「「「いただきま〜〜〜す」」」」」」」」」」



うむ、秋子さんが記憶喪失でも、うちの台所は破綻しないみたいだな
普段通りの美味しい朝食、上手い飯が食えるってのはいい事だねぇ

「おにいちゃん、これあきこがたべさせてあげる」

食事も半分ぐらい済んだ所で、
あきこちゃんが、なんともうれし・・・いや、困った提案をしてきた。
個人的には嬉しいのだが、名雪たちの反応が・・・

「え? いいよ、自分で食べれるから」
「だめ! はい、あ〜〜んして」

ぐわぁ、そんな無限大の信頼と期待を込めた瞳で、見つめないでくれ。
そんな瞳で見つめられたら・・・

「あ〜〜〜ん」
「・・・・・」
「うぅ・・・『あ〜〜〜ん』しておにいちゃん」
「・・・あ〜〜〜ん」

 ぱくっ もぐもぐもぐ

結局、「瞳うるうる攻撃」も加わって、あえなく撃沈してしまった・・・
あきこちゃん、その可愛さは反則だよ。

あぁ・・・名雪たちの反応が怖い・・・
二日連続のオールナイトは勘弁して欲しいけど・・・

「おいしい?」
「あぁ、美味しいよ」
「わ〜〜〜い、じゃあこんどはこっち」
「ダメよあきこちゃん、さっきあきこちゃんが『あ〜〜ん』したばかりだから
 今度は『お姉ちゃん』たちの番よ」

香里、何もそんな怖い顔して『お姉ちゃん』を強調しなくてもいいだろうに、
それにそんな怖い顔をすると・・・

「う・うん、わかった・・・」

ほらみろ、あきこちゃんが怯えているじゃないか

「でも、おねえちゃんたちがおわったら、またおにいちゃんに『あ〜〜ん』していい?」
「うん、いいわよ。みんなで順番に『あ〜〜ん』してあげましょう」
「わ〜〜〜い」

ちょっと待て、今日の朝食はみんなから『あ〜〜ん』されながら取るのか?

「という訳で、祐一『あ〜〜ん』して」
「香里、俺の意思は?」
「あら? あきこちゃんは良くて私達じゃダメなの?」

ぐぁ・・・
香里の表情、顔はにこやかだけど、目が全然笑っていない
ここで、断ったら一体どんな目にあうか・・・

「あ〜〜ん」(泣)

 ぱくっ もぐもぐ

「うふふ、美味しい?」
「あぁ・・美味しいよ」
「じゃあ、次は私だよ、祐一『あ〜〜ん』」
「あ〜〜ん」

しかし、なんだ・・・

「次はボクの番だね。『あ〜〜ん』」
「あ〜〜ん」

香里に脅されたって理由だからじゃないが

「・・・祐一『あ〜〜ん』」
「あ〜〜ん」

こうして、食べさせてもらうのも、悪くは無いな

「あはは、祐一さん『あ〜〜ん』」
「あ〜〜ん」

はたから見たら、餌付けられている動物みたいな気がするけど・・・

「ほら祐一『あ〜〜ん』」
「あ〜〜ん」

・・・・・・・・・

「祐一さん『あ〜〜ん』して下さい」
「あ〜〜ん」

・・・・・・・・・・・・

「祐一さん『あ〜〜ん』」
「あ〜〜ん」

・・・・・・・・・・・・・・・まいっか
今はこの状況を楽しもう、
考えてみれば、みんな頼んでも恥ずかしがって、なかなかしてくれないし
よし、今度は口移しで食べさせてもらうように、頼んでみよう。
とりあえず、あきこちゃんはやばいから香里からだな。

「はい、おにいちゃん『あ〜〜ん』」
「あ〜〜ん」

 ぱくっ もぐも・・・うぐぅ!!

こ、この、まったりとしてしつこく、癖もあって切れも悪い味わいは・・・

「あ、あきこちゃん、このパンについているジャムは一体どこから?」
「ジャム? おいしそうだから、このジャムつけたの」

あ・あのオレンジ色の物体は正しくなぞジャム・・・

「や・やっぱり・・・」

 ――バタッ

「や〜〜、おにいちゃん、おにいちゃ〜〜〜ん」
「祐一、しっかりして!!」
「祐一〜〜〜〜」


記憶を失ってもなぞジャムは忘れないんだなぁ・・・









<つづく>


<あとがき>
「おばさん」「キス」「あ〜〜ん」が済んで
残りは「一緒にお風呂」と「一緒にお寝む」
どちらにしても、今まで以上の騒動が起こるイベントが残ってしまいました(^^;
はたして、祐一は五体満足で、
あきこちゃんの記憶を取り戻すことが出来るんでしょうかねぇ(^^;;;

藤田家とひかりさんのスキンシップですが、
一晩中、ハイテンションのひかりさんに、振り回されていたと思ってください。
決して、えっちぃことしていたわけじゃないですからね(^^;;;

それでは、次回もよろしくお願いします。




 ☆ コメント ☆ 由宇 :「ひかりさん……強烈やな」(^ ^; 瑞希 :「昨日の晩、なにがあったのかしら?」(;^_^A 由宇 :「よっぽど『お○さん』って言われたのがショックやったんやな」(^ ^; 瑞希 :「ま、気持ちは分かるけどね」(;^_^A 由宇 :「しっかし、あのスタミナの固まりみたいな藤田家の連中がグロッキーになっとるのに」 瑞希 :「ひかりさんって……本当に凄いわ」 由宇 :「ふと思ったんやけど……」 瑞希 :「な、なに?」 由宇 :「そのひかりさんと長年付き合っとる旦那さんって……」 瑞希 :「…………」 由宇 :「もしかしたら……浩之以上にタフな人なのかもしれんな」(−−; 瑞希 :「…………」(−−; 由宇 :「……つーことは……和樹以上でもあるんやろうな」(−−; 瑞希 :「…………」(−−; 由宇 :「世の中、上には上がいるもんやな」(−−; 瑞希 :「そ、そうね」(−−; 由宇 :「……………………」(−−;;; 瑞希 :「……………………」(−−;;;



戻る