了承学園 (Kanonサイド)4日目3時間目
「くー。」
担当の先生が来るまでの間,相沢家の眠り姫は熟睡していた。
「名雪はよく寝るな。」
「本当によく寝てるわ。この学校に来てからは1日20時間ぐらいは寝てるんじゃないかしら。」
「すごいです。」
祐一と,美坂姉妹は名雪の眠りに感心(呆れて?)いた。
「でも,寝る子は育つと言いますよ。」
「あうっ,でも名雪は寝過ぎ。」
「うぐぅ,ボクも名雪さんぐらい寝れば身長伸びるかな?」
「・・・・・・・・ぽんぽこたぬきさん。」
「あはは~,寝てるだけでは伸びませんよ~。」
「うぐぅ。」
相沢家の面々がたわいもない会話を交わしていると,
「うにゅう~~~。」
「おっ,名雪起きたのか?」
「う~,ねこさんだよ~,ねこさんなんだよ~。」
名雪は突然立ち上がり,教室の外に出ていこうとする。
「名雪,何処に行くつもりだ。もうすぐ先生が来るぞ!」
祐一は名雪を引き留めるが,
「う~,ねこさん~。」
ドカッ
「ぐふっ!」
睡拳モードの名雪の拳が,祐一の鳩尾にクリティカルヒット!
「「「「「「「祐一(さん・君),大丈夫(ですか)?」」」」」」」
崩れる祐一,それに駆け寄る妻達。
「ねこさんがいるよ~,だってねこさんなんだよ~。」
ドカッ
名雪は睡拳モードのまま寝言(?)を言いながら教室の外に出ていこうとしたが,教室に入ってきたガチャピンとぶつかった。
「痛い!い,いったい何ですか?」
「うー,痛いよー。」
ぶつかった衝撃で,名雪も目が覚めたようだ。
「あれ?祐一,前屈みになってどうしたの?」
自分がその原因になっているとは知らずに呑気に訊ねる名雪。
「祐一君,変な物でも食べたのですか?」
ガチャピンも祐一を心配して訊ねてきた。
「そうなんだ。祐一,拾い食いしちゃあダメだよ。」
名雪はなんだか納得してしまった。
そして祐一は
(こいつ,あとで覚えておけよ!)
と考えていた。
祐一がダメージより回復してから授業は始まった。
「この授業では,猫の育て方を勉強してもらいます。」
ガチャピンがそういった瞬間,
プス!
祐一の投げたシャーペンがガチャピンの額に刺さる。
「ゆ,祐一君!何をするんですか!痛いじゃないですか!」
「名雪が猫アレルギーなのを知っていてそんなことを言っているのか!?」
「わたしは,かまわないよ~。だって猫さんなんだもん。」
「本人はこういってますから,希望を優先するべきでは?」
「ダメだ!美汐もそんなこと言うんじゃない!そんなこと言う人嫌いです!」
「私は,一般論を言ったまでですよ。」
「祐一さん!私のセリフを言わないでください。」
「あはは~,祐一さん。名雪さん,猫さんの方にいっちゃいまいしたよ~。」
「何,本当か!?」
「・・・・・・・はちみつくまさん。」
祐一達が,話している間に名雪はガチャピンの方へ歩いていった。そして,
「うぐぅ!名雪さん,触っちゃだめだよ~。」
「あうーっ,何でこんなに強いの!?」
「名雪,離れなさい!」
「ねこー,ねこー」
あゆ,香里,真琴が,必死で名雪を止めていた。
そんな相沢家の思いも知らずに,ガチャピンは名雪に猫を手渡す。
「うー,ねこさん,柔らかくて,温かいよー。」
猫を抱く名雪。そのとき祐一は,
(ガチャピンに,あとで謎ジャムを食わせねば!)
と思うのでした。
「みなさん,アレルギーのことなら大丈夫ですよ。」
ガチャピンは,祐一に殺意を抱かれているとも知らずに話し出した。
「この猫は,実はロボットなんです。理事長より依頼を受けて作った猫型ロボットなんです。」
「何?」
呆気にとられている祐一達を無視して説明を続けるガチャピン
「しかも,本物と同じ質感,手触りを再現するために,本物と全く同じ成分の猫の毛を合成して,植毛しました。
さらに,ナノマシン搭載なのでちょっとした傷ならすぐに修復しますし,毛も生え替わります。」
「本当はすごいことなんだろうけど・・・・・・・・・。」
「なんだか驚けないわね。」
「今更という感じですね。」
祐一,香里,美汐は驚かなかった。そして,ほかの人たちも
「ねこー,クシュン,ねこー,クシュン」
「かわいいです。」
「ピロの友達になるかな?」
「うぐぅ,なってくれると思うよ。」
「・・・・・佐祐理,牛乳。」
「あはは~,早速買いに行きましょう。」
全然驚いてなかった。
「まあ,名雪が猫アレルギーを気にせずに猫に触れるのはいいことだ。」
「祐一,そうでもないわよ。」
「?」
「名雪を見て。」
祐一が名雪の方を見ると,
「ねこさん~,クシュン,クシュン。」
名雪が目に涙をためて,猫を抱いていた。
「どうしてだ?」
「あの猫の毛が本物と同じ成分ならアレルギーが出てもおかしくないわ。」
「なるほど・・・・・・・納得している場合じゃない!早く猫を奪い取るんだ。」
祐一は名雪から猫を引き剥がし,ガチャピンに渡そうとしたが,ガチャピンはすでに教室からいなくなっていた。
どうやら,責任追及を避けるために逃げ出したようだ。
「祐一さん,この猫どうするんですか?」
「家で飼うわけには行かないからな。やっぱり・・・・」
「うー,祐一。私ねこさん飼うよー!」
「ダメだ!安心しろ,俺が責任を持って飼い主を捜してやるから。」
「うーーーーー。」
「我慢しろ!」
と言うわけで,祐一は猫(ロボット)の飼い主を捜すことになった。
次の休み時間
とある教室の前に,猫を入れた段ボール箱がおかれていた。
そして,
「わっ,猫さんがいるよ!」
誰かに発見された。
あとがき
ガチャピンの作った猫型ロボットは高性能だが,本物と同じ毛を植毛してあるのでアレルギーが出てしまった。
こういう詰めの甘いところが,ガチャピンの特徴(欠点?)とも言えるだろう。
それと猫がどうなったかというと,ほかの猫と一緒に飼われている。飼い主はロボットと気がついていない。
フランク疾風
☆ コメント ☆ 綾香 :「猫型ロボット、ねぇ」(^ ^; セリオ:「着眼点は良かったのですが……」(;^_^A 綾香 :「本物と同じ成分の毛を使っちゃダメでしょ」(^ ^; セリオ:「アレルギー、出ちゃいますよね。それじゃ」(;^_^A 綾香 :「ガチャピン先生……いい人なんだけど」(^ ^; セリオ:「とってもとってもいい方なんですけど」(;^_^A 綾香 :「抜けてるのよねぇ」(^ ^; セリオ:「はい」(;^_^A 綾香 :「それも、すっごく」(^ ^; セリオ:「まったくですね」(;^_^A 綾香 :「まあ、セリオには敵わないでしょうけど」(^~^) セリオ:「……は? どうして、そこでわたしの名前が出るんです?」(--) 綾香 :「な~に言ってるのよ。セリオと言えば、抜けてるキャラの代名詞でしょ」(^~^) セリオ:「ううっ。そんな代名詞、イヤです」(;;) 綾香 :「遠慮しなくてもいいのにぃ~。ハマってるわよ、とっっっても」(^~^) セリオ:「嬉しくないですぅ~~~。しくしくしく」(;;)