私立了承学園
4日目 1時間目 雫
「ハロー! Myすちゅーでんつ!!」
「え、えぇっ!?」
「くすくす…」
「そ、そんなことって!!」
「バ…バカな……」
「…?」
「? どうしたというのだ?」
大志の出現に、香奈子を除いた全員が驚いた(瑠璃子はよく解らんが)
この授業の担当である大志がやってきた。それだけなら問題は無い。
その現れ方が異常だったのである。
なんと、教室の扉を開けたかと思うと、そこから入ってきたのだ!! 普通に!!
何かおかしげな装備を付けていることもなければ、扉だけが開いて天井から降りて
きた、などという事もない。ただ、扉を開けて入ってきたのだ。
…いや、むしろ驚くなよ長瀬家(笑)
「なんていうか…あなたがどういう人か一発でわかるリアクションだったわ」
「よく解らんが、それは結構なことだ。
これからよろしくたのむぞ、Myしすたー香奈子!!」
「しかも実際想像どおりの人だし……」
初対面ながら、なかなかの好感触だったようだ(?)
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「では早速だが授業を始めるぞ! レッツ・コンバイン!!」
呪文(?)と同時に大志がパチン、と指を鳴らすと、一行は放送室にワープした。
「うわ…ツッコミどころはたくさんあるのに一行で済まされてるし」
「レッツ・コンバインは合体のための掛け声でワープの呪文じゃ無いとか、ワープに
一行もかかってないとかですか?」
「せ…説明ありがとう、瑞穂ちゃん…」
祐介はひきつった笑顔で瑞穂にお礼を言った。
「さて、ではまずMyしすたーずにはコレを着てもらおう!!」
と言って大志が取り出したのは、某ピーチのコスプレ衣装だった。
「え゛、これって…」
「ピーチですね」
「おもしろそうだね」
「…私も?」
沙織は若干、香奈子はかなりイヤそうだ。
しかし授業と割り切って、何故か奥に用意されている個室へ着替えに行った。
「で、僕は何をするんですか?」
「なぁに、今はまだその時ではない」
「はぁ……」
それからしばらく経ち、長瀬家の女性陣が戻ってきた。
「ゆ…祐くん…」
「に、似合うでしょうか…?」
「似合ってるよ、瑞穂ちゃん」
「い、いや…それって祐介君に聞いてるんだと思うんだけど…」
ちゃんと突っ込んでくれるところが香奈子のいいところだ(笑)
「どうだMy同士祐介!? 来るであろう!? こう、ハートにグッ、と!」
「な、なにがですかぁ!!」
とか言いつつ、「いいかも…」と思ってしまう祐介。
しかし、それを認めるとヤバそうなので大声でごまかしてみる。
「何を恥ずかしがっておるMy同士!! 吾輩には解るぞ、お前の魂の叫びが!!」
「べ、別に叫んで無いですよっ!!」
こうなったら祐介も必死である。
大志の全てを見透かすかのような瞳から必死に自らの想いを隠す。
だが…
「祐くん…似合ってない?」
「そうですよね…私なんかじゃダメですよね…」
「………」
「…ったくぅ、だからイヤだったのよ…」
妻達、めちゃめちゃ落胆。
「そ、そんなこと無いよ、うん! 似合う似合う! 凄い似合うよ!!」
慌ててフォローする祐介。
「…グッ、ってきた?」
上目使いに沙織が訊ねる。
「(ぐ、ぐはぁ!!)う、うん…僕もう胸キュン!!」
だいぶ壊れてきた(笑)
もちろん、それをただ指をくわえて見守っているような大志ではない。
「フッフッフ、ようやく素直になったなMy同士よ……」
「ぐあっ……」
とうとう本音を大志の前で本音をさらけ出してしまった。
「うう、解りましたよ、僕の負けです…好きです、こういうの」
「うむ! 人間素直が一番だ!!」
「はぁ……それで、僕は何をすればいいんですか?」
祐介もとうとう観念したようだ。
「うむ、同士祐介には吾輩に協力してもらいたいのだ」
「協力? 同人誌とかですか?」
「確かに、同士祐介の妄想から生み出される同人誌も魅力的だが、それではない」
「…(なんで妄想のこと知ってるんだろ?)」
悩む祐介を尻目に、大志はなにやら機材の用意をしている。
そして準備を終え、再び祐介のほうに向き直った。
「妻諸君の協力で、現在同士祐介の妄想パワーは巨大になっている!!
その熱いパトスを電波に乗せて送るのだ!! そう!!
ピーチちゃん萌え!! と!!」
「それって洗脳じゃないですかあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「いや、洗脳ではない! 人々を正しき道へと導くために必要なのだ!!」
「なにがだああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
危険なことを言い出す大志に対し、ついに祐介はキレて膨大な量の電波を放った。
「なんのっ! この九品仏大志が精神、甘く見てもらっては困る!!」
バチバチバチバチ!!
バババババババババババッ!!
「へ? わ、うわわわわわわわわわっ!!」
祐介は大志に向けて電波を放ち、大志の精神と接触した。
大志の心が祐介に流れ込んでくる。
そのあまりの凄まじさに祐介は一瞬めまいをおぼえたが、すぐに気をしっかり持ち、
速やかに接続を解除した。
「この九品仏大志、電波は扱えないが、電波にやられもせん…ってギャーーーッ!!」
ギュオオオオオオオ…
ヅガアァァァァァァァン!
電波は防いだ大志だったが、頭を抱える祐介の後ろから飛んできた火の玉スパイク
までは防げなかったようである。
物理攻撃を食らって、大志ははるか彼方へ吹き飛ばされた。
「う、うううぅ~」
「ゆ、祐くん大丈夫?」
「顔色が優れませんけど……」
「だ、大丈夫だよ、ちょっと夢見の悪いものを見ただけだから…」
「まぁ、そうねぇ…ろくなこと考えてなさそうだもんねあの人」
「でも、面白そうだったよ…大志さんの電波」
「る、瑠璃子さん……できれば、僕はもう見たくないよ……」
こうして、大志の野望は今回も未然に防がれた。
が。
「柳川さん……」
「どうした、貴之?」
「あのさ……」
「ああ」
「…ピーチちゃん、萌え……」
ガクッ
「!? た、貴之、おい貴之、しっかりしろー!!」
大志とのバトルの際に放たれた膨大な電波の一つに、大志の想いが乗っかって少し
外にもれていたようである。
おかげで、人知れず彼の野望は遺恨を残していた。
<おわり>
ERRです。
大志、ヨゴレ役だなぁ……
大志ファンの方、ごめんなさい。
大志って、LFに出てきたら絶対無属性あると思いますが、どうでしょう?
☆ コメント ☆
綾香 :「大志さんって凄いわねぇ。祐介の電波に耐えたわよ」
セリオ:「本当に、強靱な精神力の持ち主なのですね」
綾香 :「確かに強靱よねぇ。
……使い方を間違ってる気がするけど」(^ ^;
セリオ:「あ、あはは。そですね」(;^_^A
綾香 :「全てが煩悩の為に費やされているもんね。勿体ないわ」(^ ^;
セリオ:「ですが、それでこそ大志さんって気もしますけど」(;^_^A
綾香 :「……そ、そうね」(^ ^;;;
セリオ:「はい」(;^_^A
綾香 :「ところで……煩悩と言えば、祐介ってば、かなり葛藤してたわね。
変に意地を張らないで、素直になれば楽なのに。
……大志さん程オープンにされても困っちゃうけど」(^ ^;
セリオ:「そうですね。
でも、祐介さんは了承学園内の男性陣の中では純な方ですから。
やはり、抵抗があるのだと思いますよ」
綾香 :「純、ねぇ。
最近はだいぶ染まってきた気がするわよ」(^ ^;
セリオ:「それは言わない約束です」(;^_^A
綾香 :「まあ、それでもまだ、浩之や和樹さんには遠く及ばないけどね」(^ ^;
セリオ:「あの二人と比べるのは、いくらなんでも酷ですってば
何と言いましても、二大巨頭なのですから」(;^_^A
綾香 :「そうね」(^ ^;;;;;
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