了承学園熱闘編 ~蒼い刺客~
「はぁ~あ。相変わらず暇だぜ……」
静かな職員室で、サラは日中から暇を持て余していた。
「雄蔵もいないし……」
ぽつりと言って、寂しげな表情を浮べる。確かに、最近付き合っている雄三は、今は授業に出ているため職員室にはいない。とはいえ、クラスの数の割に多くの教師を抱えるこの学園だ、今も職員室には何人かが待機している。
しかし、
「見るからにお高くとまっている澤田や、見かけからして思いっきり優男な貴之何ぞと話が合うとはおもえねぇし、バイな柳川は問題外。ガディムは秋子とどっかに出かけてるし、エリアはいることはいるが……」
そこまで思って、横目でエリアのほうを見ると、
「うふふふふふふふ……。誠さぁん…」
トリップした目で虚空を見上げている。
「……こっちの世界にゃいやしねぇ」
呟いて、珍しくため息をつく。
「………仕方ねえ、軽く暴れてくるか。腕もなまってきたことだし。」
少なくとも、ここでうだうだ考えているよりはましだろう。サラはそう思うと、自分の机の横に書けてあった愛用の鞭を取り上げ、懐(どこだよ)からシュインが入った魔法瓶を取り出した……。
「よっと。やっぱりこいつがあると楽だな」
着いた場所は、第六体育館。そこは、ガディムの力で魔法的に補強された場所である。それゆえに、たとえその中でシャインクルスやスペル、不可視の力、電波を放っても遮断され、外に出ることはまずない。しかも、本気の耕一が殴ろうが蹴ろうがびくともしないほどの強度を誇っている。初めてこれを見たときは、なんでこんな物が必要なのかわからなかったが、最近ようやく理解した。案の定人気があるらしく、エクストリーム陣がトレーニングに使ったり、普段抑えられている力を発散するストレスの捌け口としても使われている。ちなみに、サラもここの常連だ。
気合を入れて、サラが重い扉をあけると……
「ウイルド!」
「どわっ!?」
いきなり中から飛んできた魔法に吹き飛ばされる。
「んのやろぉ!」
常人ならそのまま昏倒するであろうその衝撃を受け流し、速攻で立ち直る。間髪いれずサラは自分に魔法と喧嘩をうったバカを確認しようと中に駆け込んだ。
そこでは……、
「はぁっ!」
「ふっ!」
女が二人、鋭い剣撃の応酬をしていた。
片方は、見なれた赤い髪からティリアだと一目でわかったが、もう一人の青い髪のほうはわからない。どこかであったような気はするのだが。
「それにしても」
サラは内心つぶやいた。
「ティリアはともかく、あの青い髪のほうもやるな~。ティリアとあそこまで打ち合える奴、もとの世界にもいたっけ?……」
しかも、その剣技に頼らず、魔法も効果的に使っている……と、ここまで考えてサラはここに駆け込んだ理由を思い出した。
「オイ、さっきオレに魔法を当てやがったのはどっちだ!」
大声を張り上げると、ティリアは驚いたようにこちらを見た。どうやらサラの事に気付いていなかったようだが……、この瞬間、隙が生まれた。そして、青い髪の女にとってはそれで十分だった。蒼い髪の女はティリアに肉薄し…
「かはっ!」
みぞおちに膝を入れた。そのまま糸が切れたようにティリアは崩れ落ちる。
「っ!てめぇっ!」
ティリアが倒れたのを見て、サラは鞭を全力で横に薙いだ。鞭が音の壁を突き破りながら青い髪の女に迫る。
「くっ」
女はわずかな舌打ちを残して上に飛んだ。が、
「あめぇっ!」
サラはそう言うと、手を返して鞭の軌道を上に変えた。
「空中じゃあかわせねぇっ!とったっ!」
サラが勝利を確信した瞬間。
「ウイルド」
女が魔法を放つ。上に。そして、その反動で女はあっさり着地する。
「マジかよっ!」
サラが驚愕の声を上げる中、今度は女がサラとの距離をつめ、剣の柄で腹を強打する。
「がっ!」
床に倒れ意識が遠くなるのを必死でつなぎとめ、サラは女を見た。女は無表情のまま、ティリアを抱えて体育館から出ようとする。そしてサラの横を通る時。
「…悪いね」
明らかに嘲笑の混じった声が聞こえた。
「くそっ・…このまま…終わって…たまる……か」
そして……サラの意識は闇に沈んだ……。
あとがき
ど~も。新参者のキヅキという者です。本当はもっと早く書き終える予定だったんですけど、途中色々ありまして……ようやく書き終わりました。
どうだったでしょうか?ギャグの多い了承学園ですから、わたしも最初はシリアスを書くつもりでした……が、どうも皆さんほどうまくキャラを壊せず(涙)しょうがなくシリアスにシフトしてみました。しかし、気がつくとフィルスノーンのキャラばかりが出てることが判明!<気付けよ。これの続きでちゃんと出します。すみません(ぺこぺこ。まぁ、初の投稿作品で冒険する私もなんですが……。
閑話休題
しかし、これを読んだ人達の中に、"青い髪の女"の正体わかった人はいらっしゃるでしょうか?<ちょっと不安。一応言っておきますが、オリジナルキャラではありません。あと、戦闘が少々拙いのは勘弁してください(汗)。本気で只今修行中ですから。
では、また次の作品でお会いしましょう♪
♪BGM フィールド1 in Filsnown♪
☆ コメント ☆
セリオ:「『最初はシリアスを書くつもりでした……が、(中略)しょうがなくシリアスにシフト』
……ですか。不思議な日本語ですねぇ」
綾香 :「こらこら。あとがきの揚げ足取りはしなくていいから」(^ ^;
セリオ:「はーい」
綾香 :「ホントにしょうのない娘ねぇ」(^ ^;
セリオ:「まあまあ、細かい事は気にしないで下さい」(^0^)
綾香 :「あんたが言うな」(--;
セリオ:「それはともかく、『青い髪の女の人』って誰なんでしょう?」
綾香 :「さあ?」
セリオ:「綾香さんも知らないんですか?
強そうな人なのに」
綾香 :「あのねぇ。あたしにだって知らない人はいっぱいいるって。
隠れた強豪ってやつなんじゃないの?」
セリオ:「なるほど」
綾香 :「ま、続編を期待して待ちましょ。そこで正体も判明するだろうし」
セリオ:「そうですね」
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