初めての…
1 遺作の独白
んあ?
誰だお前さん?
………作者?っていうのか?ふ~ん。
いい名前じゃねえか。
…その驚き様、鬼作に遭った事があるのか?
俺の名は遺作、伊頭三兄弟の長兄遺作っていうんだ。
ん? なんだか嬉しそうだって?
ちょっと今日、理事長にご褒美を貰える事になって。
まあ、俺は何が欲しいか考える必要は無いんだけどもな…お、お呼びがかかったからちょっと行ってくるぜ。
この間ある事をしてご褒美を戴く事になった俺達。
謎ジャムを当然の様に選ぶ弟達、いやそうでなくちゃ俺がこまるんだが。
俺も又ジャムを選び弟達に与える。
2 鬼作の独白
大兄にジャムを貰ったおいら。
二匙目を嘗め、三匙目を嘗めた時突然に、大事な事を思い出した。
大兄ちゃんは何時もそうしていたということを。
大兄ちゃんは自分が物を食べなくても、おいら達にはご飯を食べさせてくれていた事を。
そしてもう一つ大事な事をおいらは思い出しかけていた。
が、無粋なサイレンに邪魔をされた。
「な、何だぁ??」
何?普通科に何かが現れて、生徒の一人に取り付いたって?
俺達三人は普通科へと急いだ。
そこで暴れていた生徒からは昔の俺達の臭いがプンプンとしていた。
つまり悪意と妬みと憎悪の臭い。
思わず固まるおいら達の所に集まる多妻の家族たち。
「藤田浩之と愉快な仲間達見参!」
早速各所から鋭い突っ込みが入ったりしつつ。
「ははは、面白いな浩之!」バシバシ
耕一が鬼の手で突っ込みを入れる、
って人間相手に「それ」はマズすぎるだろ!思わず心で突っ込むおいら。
でも口には出さない、だって怖いから。
それにも関わらず浩之が軽く受け流す。
「はっはっは、ジョークです」って言うか古っ!
続いて祐介が電波で突っ込みをいれる。
素人のおいらにも感じられる程、肌にぴりぴりと明らかに巨大な電波で。
その電波はしかし、浩之の前で泡の様に消えていった。
が。
「うわ~祐介のでんぱに操られた~(笑)」といいつつ綾香の胸を揉むのが浩之クオリティ(待て)。
綾香は肘で突っ込みを入れる、そりゃあもう全力で。
メメタァ!
うわ、またもや古っ!
しかし浩之はすぐに起き上がった。
その頭には漫画のようなタンコブがっ!
「い、いてててて…」
頭を押さえる浩之と、頭を抱える三人。
「何でこんなに頑丈なのよ」と綾香。
「負けた、鬼の手が女にダメージ量で負けた…」と、これは耕一。
「で、電波が通じないなんて…本当に人間なの?」床にのの字を書く祐介。
「ああ、今日はちょっぴり溜まってるからそのせいかもな」と浩之が涼しげに言う。
「何しろ昨日は丸一日してなかったからさ」
(そういう問題かっ!)おいらは思わずそう突っ込みたくなったが。
「う、うそっ!浩之が、浩之が丸一日してないなんてっっっ!?」
おいおい、あんたの旦那はばけもんですか?
「おいおい、風邪でも引いたのかよ浩之」
耕一君や、そいつは失礼だぜ。
「それ系の薬なら何時でも「止めて~私達を殺す気~っ!」
メイフェア先生いつの間に来たんですかい、っていうか、奥さん、本気で嫌がってる?
「いや、前回ちょっと(愛が)溢れるほど愛し合ったから…今回は休ませようかと」
「浩之、そりゃあやり過ぎだろ、俺達(鬼)じゃあるまいし」
別のものが溢れたと誤解されてるぞ浩之。
「そりゃ浩之だもの、って言うか私も時々溢(以下略)」
おいおい。
浩之と一緒に来ていた、オリジナルのマルチが言う。
「私にだったら我慢しないでいいんですよ、私、浩之さんのなら、前でも後ろでも擦り切れるまで、ずぼz(以下略)」
3分後、彼女の喋りが終わったころには、男どもは皆床に突っ伏していた。
「マ、マルチちゃんってば…」
もっと早々に突っ込んでくれよとおいらは思った。
「私なんか、私なんか、まず挟んで(何をだっ?)から、たm(以下略)」
た、対抗しないでくれ~っっっ!
「そりゃもう浩之の黄金の球」って、あっさり答えるなよ綾香。
「うわ、あっさり言っちゃったよこの人」と祐介。
「いや、まだセーフだ略してないから…」と耕一。
「略してきんた…「「「「「「「略すな~っ」」」」」」」そりゃもう大騒ぎさ(死語)
3 初めての…
二人の口撃?により鼻血の海に沈み込む男達。
それは、何かに取り付かれた少年も例外ではなかった。
唯一人、遺作を除いては。
「伊頭遺作が最終奥義、亀甲縛り二式~」
真上に飛んだその縄はまるでヤ○ターマンの服の様に形を変えて、体を、手を、足を縛っていった。
「大兄…なんて綺麗な縛りなんだ…」感動するのは鬼作。
思わずスケッチするのはコミパの人達。
浩之の夜の性活にも変化が見られたそうな(閑話休題)
って「何で、おまえが縛られるのかー!」
皆が、あの少年さえも、口を揃えて突っ込みを入れたその時、遺作も又、大きく口を開け、喉を開く。
その喉に何かが突っ込んでいった。
悪意の固まりがもっと居心地の良い場所に吸い寄せられたのだ、そう、遺作の体に。
「お、俺の腹は居心地が良いだろう?」
それを飲み下した遺作は弟達に言う。
「さ、さあ俺を、‘あの’部屋に連れていけーっ」?!
「兄貴、なんで?」
涙を流すのは臭作。
「大兄ちゃん、嫌だよ止めてくれよ!」
叫ぶのは鬼作。
そんな二人に遺作は言った。
「も、もう、お前達のお守りなんかうんざりなんだ、よ、もう俺をか、か、か、開放して独り立ちしろ、ってんだよ。」
しかし、遺作の顔は自分自身の言葉を裏切って、漢の笑みを浮かべていた。
「おいら、まだ大兄に謝ってないんだ、行かないでくれよ~」涙混じりの鬼作。
「なんで兄貴だけが何時も、俺達の犠牲にならなくちゃいけないんだよ~」
臭作のその悲しみに満ちた声は聞く人の心を震わせる。
臭作は語り始めた。
自らの過去を。
ある夜三人は神父によばれた。
まあ神父とはいっても偽物ではあったが。
そいつはホモであり、かつ少年愛の変態でもあった。
そいつは俺たち三人の‘後ろ’を奪おうとしていたのだ。
その時にも兄貴は俺たちの犠牲になった。
自分が何でもするから、弟達は返して欲しいと。
臭作は泣く「俺達は忘れてはいけなかったんだ、あの時の兄貴の震える後ろ姿を」
鬼作は震える「そして帰って来た大兄の、おいら達を抱きしめたあの温度を」
雨月山の鬼事件であの男が殺された時俺達三人は思わず祝杯を挙げたものだった。
そんな二人に遺作は怒って見せた「ば、ば、馬鹿野郎っ!心配するなっ!犠牲に何てなったわけじゃね、ね、ねえよ」
「俺は只じ、自分の望みを叶えた、だ、だけなんだよぅ」
だが二人にだけは遺作の心の声が聞こえた気がした(そう、お前達を助けるという、自分自身の望みを叶えただけなんだよ)と。
その後自分達は養護施設を脱走。
まだ子供だった自分たちは稼ぐことも出来ずに。
飢え死にしそうなその時に遺作が悪魔と契約し、その身に悪魔を宿した事を。
その契約が只、弟たちを飢えさせないで欲しいという、ささやかな願いであったということは、皆を驚かせた。
「だから兄貴があんなこ「あんなことをしたのは馬鹿でスケベで弱かったからだ」
「兄貴?」
「俺が馬鹿でスケベで弱かったからだ」
………
「お、お前達には、居るだろう?謝りたい人が?もう一度会いたい人が?」
(俺が守り抜くのは、お前達だけだよ)
「お前達は、もう謝れるだろう?もうじ、じ、自分で罪を償えるだろう?」 (お前達はあのジャムを食べたんだから!)
「だ、誰か、誰か大兄を助けてくれよ~」
「了承」
見なくても分かるその声の主は「秋子さん「理事長」」その横にはガディムが付き従う。
秋子は遺作を中心に謎ジャム製の文字を書く、ちなみに「古きモノ共が使っている文字」だったと某魔法少女は後に語った。
さて、魔法陣を描いた秋子は浩之達を右に配置する。
「俺達、人の思いを…」
耕一達を左に。
「そして俺達、鬼の思い…」
コリン達天使チームは後ろで。
「願いにも似たこの思い…」
そして正面に一人だけガディムが立つ。
「我らの思い今ここに彼らに届けん」
そして遺作の両手を握り締め今、初めて臭作と鬼作は神に祈った!
天・魔・鬼・人
四つの思いが今、祈りの元に集まって。
「戴きます」
遺作から抜け出した悪意の固まりはガディムの食料になった。
「まずい」喜ぶ皆の傍らで一人浮かない顔のガディム。
(久しぶりの上等の悪意の筈なのに、どうしてこんなにまずいのだ?)
秋子はそんなガディムの後ろで、何も言わず。
只、静かに微笑んでいたという。