私立了承学園
「D」
作:阿黒
「…コンニチハ、セリオ御姉様」 「こんにちは、マリナさん」 倉庫の丁度正面出入り口で掃除をしていたマリナに挨拶を返して、セリオは周囲を見回した。マリナが手にした箒にじゃれついている仔犬と、近くの庇の上で丸くなっている猫の姿を確認する。 「…雪音さんはいらっしゃいますか?ひかり校長から書類をお預かりしているのですが」 「?」 セリオが手にした書類ケースに目を止めて2秒ほどマリナは沈黙したが、 「今、雪音サンハ充電シテイマスガ…ソロソロ終了スル頃合カト」 そう言って開け放した倉庫の扉へ左手を向ける。 「オ預カリシマショウカ?」 「そうですね…いえ、少々個人的に話したいこともありますから、しばらく待たせて頂きます。よろしいですか?」 マリナが無言で頷くのを確認して、セリオは倉庫の中へ入っていった。 *********************************************** 雪音はオーパーツの管理・追跡調査が主な仕事だが、最近は個人的にひかり校長の雑務を枠外で引き受けることが時折あった。以前、たまたま雪音がひかりのアシストをして以来、メイドロボ中では中々に「個性」のある雪音を割とひかりが気に入っているということだが、そんなことを管轄外の雪音に依頼するなら自分に仕事を頼んでくれてもいいのに、ともセリオは思う。量産型のHM-13は基本的なスペックそのものは試作型のセリオと同等である。セリオにできる事ならまず雪音にも可能な事なのだ。 セリオは個人的にはさして雪音(ついでに言えばマリナとも)親交が深いわけではない。以前の志保の一件の時、雪音はあかりに幾ばくかの助力をしたという縁はあるものの、学園に所属しているたくさんの妹たちの一人であり、ほんの顔見知り程度である。 (ですが…どうも、マインさんに誤った知識を教授するなんて、感心できませんね) 実は自分のおしりが規格外なことになっている、などというデタラメに対してちょっぴり根にもっているセリオである。まあ、無理はないが。 倉庫内はさして複雑な構造というわけでもない。あっさり角に設えれられたスペースの、ソファに横になっている雪音の姿を見出し、セリオは速やかに近寄っていった。 充電中というマリナの言葉通り、右手首の接続端子部を露にしてノートパソコンと直結した待機状態にある雪音を見下ろすと、視線をノートの液晶モニターに移す。画面表示は既に88パーセントまで充電していることを示しており、もうしばらく待っていれば雪音は「目覚める」であろう。 無言のまま、眠る雪音の枕元に腰を降ろすとセリオはなんとなく、その寝顔を見つめた。 基本的に量産型は自分とマルチと同一の姿をしているのだが、一部には髪形や目尻をデザイン的に一部変更を加えた機種も存在する。また、特殊装備や追加機能等を施されたカスタム機には若干のプロポーションの変更がある。身近な例で言えば、同じ12型でもマインは無難な標準型であるが、舞奈とマリナは髪形に僅かな差異がある。雪音もセリオに比べるとヘアスタイルが異なり、また髪もやや短めの仕様となっている。 だが、顔の造詣そのものは同一である。 「…………」 しばらく、飽くことなくセリオは雪音の寝顔を見つめていた。自分の顔というのは見慣れているようで、実はそうでもない。いつも鏡で見る自分の顔は当然だが左右非対称であり、実際には僅かに異なる。何より、寝顔というものは自分ではそう見れるものでもない。 (私って…意外とこんな顔していたんですねぇ) 学園に所属しているHM-12・13型の数は安価で単純業務向の12型の方が多く、また13型は特殊業務専門ということで、普段あまりその姿を見かけることはない。 …自分と同じ顔が自分以外に、それも複数存在するというのは少々不思議な感じがする。 (マルチさんも、同じような感想を持っておられるのでしょうか?) そんなことを考えながら、セリオは何気なく視線を雪音の顔から下へと移動させていった。 (…おや?) そのまま通り過ぎかけて、セリオは視線をキッチリとしたタイトスーツ姿の雪音の、胸元に戻した。事務服のベストの胸元から黒いネクタイとワイシャツが窮屈そうにはみ出ている。 (もしかして…いや、まさか?) なんとなく周囲を見回し無人であることを再確認して、今度は顔を近づけてしげしげとセリオは妹の胸元を観察する。 「え~~~と…」 そんな意味のない呟きを漏らしながら、もう一度気ぜわしげに周囲を見回すと、おずおずとセリオは雪音の胸元に手を伸ばした。一旦躊躇したものの、ベストのボタンに手をかけ…外す。 一番上のボタンを外した途端、絞めつけから解放された二つの膨らみが少し撓むのが目視できた。 「むむっ…これは…」 一瞬後ろめたさを感じたものの、一度関を外したためか、次々とセリオの指はボタンを外していく。 プルルッ。 ベストをはだけた後には、ワイシャツの上からでも瑞々しい弾力に溢れた膨らみが薄い布地を押し上げてその存在をアピールしていた。首から胸の谷間にかかったネクタイが首輪と鎖を連想させ、なんだか少し背徳的な香りを醸し出している。 「ひょっとして…本当に私より大きい?」 藤田家の妻たちの中ではセリオは巨乳派に入る。学園でも最大級であるレミィには及ばぬものの、それでも十分以上に肉感的で形の良い胸には心中密かに自信があった。 だが、この妹の胸は、大きさだけならレミィすら超えているのではないか?自分より15パーセント増量、というのは誇張があるにしても、6,7パーセントは大きいかもしれない。セリオの見るところ、雪音の胸は目算で95はあった。 「うっ…む、胸は大きければ良いってものではありませんよ…」 聞いている者もいないのにそんなことを言いながら、セリオは左右からかなりの負荷をかけられているワイシャツのボタンをいじった。 いじいじ。いじいじ。いじいじ。いじいじ。 流石にシャツまで脱がすつもりは無い。無いったら無い。絶対に無い。 いじいじ。いじいじ。いじいじ。いじいじ。 そもそも、自分は別に、胸の大きさなどで物事の優劣を測ったりするようなことはしない。だから別にそんな、妹が姉の自分より胸が大きいからなどといって、別にどうということはないのだ。 いじいじ。いじいじ。いじいじ。いじいじ。 いじいじ。いじいじ。いじいじ。いじいじ。 いじいじ。いじいじ。いじいじ。いじいじ。 ないのだけれど。ええ。絶対にそんなことはありえませんとも! いじいじ。いじいじ。いじいじ。いじいじ。いじいじ。いじいじ。いじいじ。いじいじ。 いじいじ。いじいじ。いじいじ。いじいじ。いじいじ。いじいじ。いじいじ。いじいじ。 いじいじ。いじいじ。いじいじ。いじいじ。いじいじ。いじいじ。いじいじ。いじいじ。 いじいじ。いじいじ。いじいじ。いじいじ。いじいじ。いじいじ。いじいじ。いじいじ。 ブチン。 「あ。ボタンが千切れてしまいましたね。これは事故、不可抗力というものです。仕方ないですね?」 などと言いつつも、何だか据わった目つきでセリオはそおっと、ワイシャツの合わせ目を広げた。そこからそっと、好奇心とも何ともつかない不可思議な感情に突き動かされるように、指を差し込む。 プリッ。 柔らかく、かなり指先を咥え込みながらも強い弾力がセリオに伝わってきた。 「むっ。むむむむむっ…これはなかなか…」 思わず自分の胸に手をやって比較検証しながらも、妹の「出来の良さ」に感歎と嫉妬が合い混ざったまま、セリオの手は何時の間にか更に奥、下着と肌の隙間に潜り込んでいた。 「?」 最初、それが何なのか、セリオは一瞬判断がつかなかった。左の膨らみを包み込んだ右手の、人差し指と中指の股に引っかかった、突起。 「…うン…」 「えっ?」 僅かに声を漏らした雪音に、慌ててセリオは液晶モニターを見た。現在の充電率は…95パーセント。もうすぐ目を覚ますだろうが、それでもまだ処理実行中である。人間と違ってメイドロボに「浅い眠り」ということはあり得ない…筈である。 (…一体私は何をやっているの!?妹が眠っている間にこんなことするなんて…そ、それに、私はノーマルなのに…) セリオの頭の片隅では、理性が最初からそう叫び続けている。だが、感情というものが芽生えてから、セリオは時にその感情に理性は流されてしまうことがあることを経験していた。 自分そっくりの存在に触れ、まるで自分自身と睦み会っているような…ひどく背徳的でありながら、何とも知れぬ甘美な感覚…ナルシズムとは、あるいはこのような感覚のことをいうのであろうか? まるで、自分自身を犯しているような倒錯的な官能… 「…うぁン…」 少し鼻にかかった、くぐもった呻きを雪音が漏らした。指の間で小さな突起は固さを増してきている。 「大きくて感度もいいなんて…なんて贅沢な娘なのかしら…」 自分の口の中がカラカラに乾いていることに何故か狼狽しながら、しかし手を引き抜こうとはせずに、セリオは唇を少し舐めて湿した。このまま、鷲掴みにした膨らみを、思うが侭に揉みしだいてみたいという大きな衝動を必死にねじ伏せようとする。 「いけない…いけない…こんなことをしてはいけない…これじゃまるで、痴漢ではありませんか…」 小さく呪文のように呟きを繰り返しながら、セリオの理性は何とか衝動を押さえ込むことに成功しようとしていた。 だが、その時。 「……セリオ御姉様?」 「えっ?」 背後からの声に、セリオは慌てて振り向いた。そこにはモップを抱えたマリナが、元から無表情な顔を更に白くして、どこか焦点の合っていない顔でこちらを見ていた。 その茫洋とした目線が、ゆっくりと、雪音の胸元に差し込まれたセリオの手に移る。 「え…えっと、マリナ、さん?」 「……………」 沈黙し続けている妹の視線を感じ取り、慌てて手をワイシャツの隙間から引き抜きながらセリオは引き攣った笑みを浮べた。とりあえず、何とか今の状況を誤魔化せる言い訳はないものだろうかと必死にメモリーを検索しながら。だが、しかし。 「あふぅ…」 が、そのセリオの咄嗟の、そしてやや乱暴な動きが微妙な感覚となって伝わったのか、雪音が無意識下で反射的な吐息を漏らした。決して大きくはない喘ぎが、今の状況ではヤケに大きく倉庫内に響き渡る。 「ううっ、なんでこんなときにそんな色っぽい声を上げるかなこの娘はっ!!?」 「セリオ…御姉様?」 「ああっ!?マリナさん、た、確かに今のこの状況ではちょっとそういう風な誤解をするのは仕方ないかもしれませんけどこれは断じて誤解ですわよ!?何と言うか学術的な好奇心というか純粋な興味とかそんな感じのアレで決して厭らしくて淫靡で淫猥な企みとか何とかじゃありませんし! だから落ち着いてその、何故か大上段に振りかぶったモップは何なのか、お姉さんとっても気になるんですけどワプウウウウウウウッ!!!?」 無茶苦茶な勢いで襲い掛かったモップを半髪の差で避け、セリオは慌てて飛び退いた。そんなセリオから一瞬も視線を外さないまま、普段は人畜無害の総天然色見本のようなマリナが、エプロンのポケットから専用の外付DVDドライブを取り出し、端子を耳のセンサーに繋ぐ。 「戦闘データロード…コレヨリ目標沈黙マデ、安全制限ノ一部解放…」 「い、いや、あの、マリナさん?そんな物騒なデータの読み込みなんか、マリナさんには似合いませんよ?だから、落ち着いて、落ち着いてね?ね?」 「イクラセリオ御姉様デモ…セリオ御姉様デモ…」 ロードを終了し、コードとディスクドライブを引き抜きながら、マリナは…絶叫した。 「雪音さんは、渡しませんっ!!!」 「だから、それは激しい誤解なんだってば~~~~~!?」 ブンブンブンブンブンっ! 大雑把なのは同じだが、先程の攻撃とは狙点も威力も段違いの連続突きを辛うじて交わしながら、かなり真剣に危機感を覚えてセリオは自らもサテライトサービスを介して戦闘データを呼び出しながら、距離を取ろうと試みた。データロードが終了するまでは基本運動プログラムによる反射的な回避行動だけが頼りである。 「セリオ御姉様なんか…セリオ御姉様なんか…ボールギャグ噛ませて天井から逆吊りにして散々オモチャにして屈辱感を味あわせつつも絶頂させてあげるんだからああああああっ!!」 「あなた達そういう事やってるのもしかしてっ!?」 捕まったら絶対に危ない!!(しかも変な意味で!!) 完全に本気で恐怖にかられ、逃走ではなく脱出を前提としてセリオはその場から走り出した。その後をモップを振り上げたマリナが無表情なまま、無言で追いかけていく。 ……変に無言で無表情なだけに、異様に怖かった。 「……おや?」 二人が走り去ってすぐ、起動した雪音は自分の服が乱れていることを不審に思いつつも、気楽な調子で周囲を見回した。遠く、聞き覚えのある悲鳴みたいな声が聞こえてくる。視界からは何の騒動かはわからないが、動体センサーで大体の位置の把握はできる。 「…ってマリナさんっ!?そっちの方には半日かけて整理した“星の智慧派”の宗教遺物が…」 ガシャーーン! バキーーーン! 「あああああああっ!?一体ナニやってるですかマリナさんっ!?」 煩悩さえ絡まなければ、実は普段は真面目で有能で職務熱心な雪音は着衣の乱れもそのままに、慌てて騒動の場へと走り出していた。 <落ちないまま終わる> |
【後書き】
私は、Bの大きさの上限は86~90あたりが良いのではないか、と思う。
97以上ともなると、全体的なプロポーションから見て、逆に肥大化しすぎて見苦しくすらある
ように思えてならない。まあほら、私ノーマルだし。
自分がS的なものが好きなのは何となく気づいていたけれど…姉妹ものっていいよね。
特に双子だったりすると更に良いよねって感じ。
雪音というキャラはどちらかというと「攻めキャラ」だと思っていたんだけど、どうも最近
こやつは実は「受けキャラ」なのではないかと…
どうも、最近、ダメ人間街道まっしぐらです。
☆ コメント ☆ 綾香 :「……………………」(--; セリオ:「違うんですよ。誤解ですからね」(;;) 綾香 :「セリオ……」(--; セリオ:「誤解です~」(;;) 綾香 :「あなた……実は……」(--; セリオ:「違いますよ~~~」(;;) 綾香 :「……………………」(--; セリオ:「ど、どうして距離を取るんですか~!? 本当に誤解ですってば~~~」(T△T) 綾香 :「……いいのよ。セリオがどんな趣味を持ってても。 あたしが口出しする事じゃないしね」(--; セリオ:「だーかーらー!」(T△T) 綾香 :「……………………」(--; セリオ:「うわーーーーーーん! 違うのに~~~~~~っ!!」(T△T)