「で?大志よ、『土曜午後八時四十五分の決闘法』とはどういうものなんだ?」
 
 「つまりだな・・・・・・・、これだああああっ!!」
 
 大志が、いつの間にやら持ってきた白い布に覆われたテーブル、その白い布をばっとめくると、そこには、こんにゃく、生卵、しらたき、納豆、そして・・・・生きたザリガニ、かえる、ミミズ・・・・・があった。
 
 
 「ま、まさか・・・・・・?」
 
 「ふふふ・・・・あんたの思うとおりだ、柳川氏・・・、『じゃんけんで負けた者が、股間にこれらを入れ、最後まで我慢した者が、勝者となる』のだっ!!」
 
 「む・・・むむっ・・・・・・」
 
 
 
 「どうだ、この勝負・・・・受けるか?」
 
 
 大志は眼鏡をくいっと動かすと不敵に笑った。
 
 
 
 
 
 

 
     「マルチの話」 ・ 「私立了承学園」 外伝
 
 
 
 
 
 
 
 
 
     「マルチの話」 in 「了承学園」
 
 
                              くのうなおき
 
 

   第十話    死闘!? 神よ、問題教師のために笑え!!
 
 
 
 
 
 「しかし、オレ達はそれでいいとして、メカ英二はどうなる?大体、こいつはロボットだから、何も感じないだろうが?」
 
 柳川がしごく当然の疑問を発した。
 
 「ゴ心配無用デス、ワタシノ股間部ハ、エネルギー砲ガ装備サレテイル事カラ、非常ニデリケートナ構造ニナッテオリマシテ、ソノ結果、センサーガ、外部カラノ感覚ニ非常ニ『敏感』ニナッテイルノデス。ナンナラオ試シイタシマショウカ・・・・?」
 
 と言って、「砲身」を何故かさすりだすメカ英二。
 
 「わああっ!!分かった分かった!ならばメカ英二も参戦可能という事でいいわけだな!?」
 
 慌てて柳川が叫んだ。
 
 「ハイ」
 
 「ふふふ・・・・・、ではこの後の授業もある事だから、早く勝負を始めようではないか!!」
 
 「ああ」
 
 「望ムトコロデス」
 
 
 
 
 
 
 「では・・・行くぞ、諸君!!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 「「「最初はグー!!ジャンケンポン!!」」」
 
 
 
 
 浩之達の担任の座をめぐって、最後の醜く、そしておぞましい戦いが繰り広げられようとしていた・・・・・・・!!
 
 
 
 
 「ぐっ・・・・く、くそお~~~~~~・・・・・」
 
 
 「ふっふっふ・・・・、悪いな、柳川殿♪」
 
 
 「ぐっ・・まだまだ勝負は始まったばかりだ・・・・・・おひいっ!!・・・・くそお・・・けっこう、こんにゃくって感じるもんだな・・・・・ひゃいっ!!」
 
 
 
 
 
 
 
 「アア・・・・・、コンナコトヤッテ、本当ニ藤田様ニ気ニ入ラレルトデモ思ッテルノデショウカ・・・・・・」
 
 
 
 「思ってるから、やってるんじゃないかなあ?あははは・・・・・・・」
 
 
 「ソノアナタノ他人事ミタイナ言イ方ニ、何故カモノ哀シサヲ感ジルノハ、コンピューターノ故障ノセイナノデショウカ・・・・・?貴之サマ・・・・・・・」
 
 「ハア・・・・・」と本日十回目のため息をつくマインであった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 一方、保健室では・・・・・・・・・・・・
 
 「本当にどうも有難うございました、メイフィア先生。かおる、あなたも先生に『ありがとう』って。」
 
 「めいふぃあせんせい、どうもありがとうございました。」
 
 ぴょこんと、可愛らしく頭を下げて、かおるはメイフィアにお礼を言った。
 
 「はい、これからは気をつけて走るんだよ、かおるちゃん。」
 
 「うんっ!!」
 
 「それでは、私達はこれで・・・・・」
 
 かおるを抱きかかえて、春恵はメイフィアに頭を下げながら保健室を出た。
 
 「めいふぃあせんせい、またね~~~~~~」
 
 笑顔で手を振るかおるにメイフィアは応えながら、扉が閉まるまで二人を見ていた。そして、春恵達の足音が
保健室から遠ざかっていった。
 
 「ふう・・・・・、急に怪我人が来ちゃうんだからねえ・・・・・・、ま、こういう役職についている以上、しかたないんだけどね・・・・」
 
 そう言うと、メイフィアは「ただいま外出中」という札を扉にかけ、保健室を出て行った。もちろん、浩之達を心配して、様子を見に行くためだった。状況によっては柳川を止めなければならない。
 
 「もう手遅れってことになってなきゃいいんだけどね・・・・・・・、まったくあのド変態にはいつもいつも・・・・・!!」
 
 愚痴りながらも、メイフィアは浩之達のいる教室へと向かった。
 
 
 
 
 
 さて、すでに「手遅れ状態」になっている「藤田家」の教室では・・・・・・・・
 
 
 
 「う・・・、う~~~~~ん・・・・・・・・」
 
 
 
 
 
 
 「あ、浩之ちゃん・・・・・・よかった・・・・気がついて・・・・」
 
 「あうう~~・・・・、目が覚めてよかったですう・・・・・・」
 
 浩之が目を覚ますと、目の前にはあかりとマルチが、目になみだを溜めて自分を見ていた。
 
 「あかり・・・・・、マルチ・・・・・・・・・」
 
 
 
 『よ、よかった・・・・・・、これであの変態共のパンツやふんどし姿が、真っ先に目に入ったらどうしようかと思ったぜ・・・・。しかし、オレってここに来てから気を失ってばかりだなあ・・・・・・・』
 
 などと、呑気な考えにひたってる間もなく、「あの問題教師達は?」と浩之は、体を起こしながら、二人に聞いた。
 
 あかりとマルチは、その方向を見ないように指をさした。
 
 
 
 
 
 「ぐっ・・・・・・、貴公、いいかげんにギブアップしたらどうだ・・・・・・・ひゃいっ!!・・・・・はあ・・・はあ・・・・・か、
かえるぴょこぴょこ・・・・ちんぴょこぴょ・・・・・ひゃいん!!」
 
 
 「ぬ、抜かせ・・・・まだまだこの程度で、『鬼』がまいるわけ・・・・・・・ぐはああっ!!・・・ざ、ザリガニめえ・・・・・
・・・どこを挟んで・・・・・うひい♪」
 
 
 「ウオッ・・・・・ソ、ソコハ・・・・・・ヒャン!!・・・・・・マ、マタビームヲ発射シテシマウ・・・・・オウッ・・・・・!!ミミ
ズガ、ミミズガアアアアッ!!・・・・アフン・・・・・」
 
 
 
 
 ・・・・・・それは、いい年した男二人と男型ロボットが、股間に様々な異物を突っ込み、悶え狂い、のたうちまわる
・・・、世にもおぞましく、その手の趣味を持つ人間しか喜ばない、普通の感覚を持った人間にはとうてい耐えられな
い光景であった・・・・・・・・、浩之は思わず口を手で押さえるが、意を決して立ち上がった。
 
 「ひ、浩之ちゃん・・・・・・・!!」
 
 「だ、だめです!!危ないです!!」
 
 あかりとマルチが浩之の意図を察して、引き止めた。しかし、浩之は精一杯の笑顔を作って二人の頭を、そっと
撫でる。
 
 「「あ・・・・・・・・」」
 
 「大丈夫さ、決して無茶はしないから・・・・・」
 
 浩之のその言葉に、二人はそれ以上引きとめる事はできず、浩之を信じて頷くしかなかった。
 
 
 つかつかと、浩之は黒板の前で悶え狂う三人の馬鹿者教師に近づいた。睨み合う三人の異常な闘志は、未だ衰えを見せず、その発する「闘気」は、浩之のような、普通の人間を萎縮させるには充分なくらいあふれ出ていた。しかし、浩之は、その「闘気」に負けそうな自分を、内心叱咤激励しながら、彼等に近づいていった。
 
 
 「くううううっ、よし、もう一度いくぞ!!・・・・ひゃうッ♪」
 
 「・・・おひい・・・・、う、受けて立とうじゃないか・・・・あおおうっ!!」
 
 「デハ・・・・・セーノ・・・・・」
 
 
 
 
 
 
 
 「・・・・・・・・・・あんたら、いいかげんにしろおおおおおおおおおっ!!」
 
 
 
 
 
 
 ・・・・・・・・・・・・・・・・浩之のどなり声に、思わず三人は動きを止めた。
 
 
 「さっきから聞いてりゃ、『勝負に勝った奴が、オレ達の担任』だって・・・・・?勝手な事言ってやがって・・・・、あんたらのような、人に不快な思いをさせて、迷惑をかけてばっかりな人達に、オレ達は担任なんかになってもらいたくねえっ!!」
 
 
 そう言うと、浩之は三人を睨み付けた。浩之と三人の間に静寂が訪れ、あかりも、マルチも、マインも、貴之
も、息を殺してそれを見ていた。
 
 
 
 
 「め、迷惑だったのか・・・・・・・?」
 
 
 股間のザリガニのはさみに耐えながら、柳川が静かに聞いた。浩之は無言で頷いた。
 
 「そうか・・・・・・・」
 
 先程、浩之達の見せた「無関心」、もしくは「物足りない」反応は、あれは嫌がっていただけだったのか・・・・・
 大志も、メカ英二も黙ったままだった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 しばらくの沈黙の後、柳川が重く口を開いた。
 
 
 
 
 
 「いや・・、迷惑をかけてすまなかった・・・・」
 
 そう言うと、柳川は教室を出た、慌ててマインも貴之も「申し訳ありませんでした」と頭を下げて、柳川に続いた。
 
 「今日は我輩が悪かった・・・・・、誠に申し訳ない・・・・・・」
 
 「軽率ナ行動ヲシテシマイ、本当ニスイマセン・・・・」
 
 大志も、メカ英二も、それぞれ頭を下げると、静かに教室を去っていった。
 
 
 
 ぴしゃ・・・・・、とメカ英二が扉を閉め、教室の中には、浩之達三人だけとなった、問題教師達の足音が遠ざかり
、やがて聞こえなくなった時、浩之はがくっ、と膝から崩れ落ち、床に座り込んでしまった。
 
 「ひ、浩之ちゃあんっ!!!」
 
 「ど、どうしたんですかあっ!!?」
 
 あかりとマルチが悲鳴のように声をあげて、浩之に駆け寄った。浩之は、魂を抜かれたような表情で、、
 
 「ははは・・・・・情けねえ・・・・・・、腰が抜けちまった・・・・・・・・・・」
 
 と、力なく笑った。緊張感から一気に解放された反動が、浩之を床にへたり込ませたのだった。
 
 
 
 「も、もう・・・・・、びっくりさせないで・・・・・・。だけど、仕方ないよね・・・・・、あんな怪獣みたいな人達相手じゃ・・・・。」
 
 そう言って、あかりは浩之を抱き寄せた。
 
 「浩之ちゃんは、情けなくないよ。だって・・・・ちゃんと言うべきことを言ったんだから。」
 
 「そうですよ、ぜんぜんカッコ悪くないですよ」
 
 マルチも、浩之の手をそっと握った。
 
 「・・・・・・・・・二人とも、サンキュな・・・・、だけど、あっさり引き下がってくれたな・・・・・・・・・、あの連中。」
 
 浩之は不思議そうに呟いた、多少の押し問答は覚悟していたのに、素直に引き下がっていった態度に拍子抜け
もしていた。
 
 「ただ単に、思い込みだけでやっていたんだろうか、だから、迷惑をかけていると気付いたら、すぐに止めたんだろうか・・・・・。まあ、どっちにしても、話が分からない連中では無いみたいだな・・・・・・。」
 
 「うん・・・・・・・」
 
 「はい・・・・・・・」
 
 その時廊下をタタタタ・・・・、と走る音が聞こえた、その足音は教室の前でとまり、ガラッ、と勢いよく開かれ、ひかりとメイフィアが飛び込んできた。
 
 「ご、ごめんね・・・・はあ・・・準備に手間取っちゃって、すっかり遅れたわ・・・・はあ・・・・・・・、途中でメイフィアさん
に会って、柳川先生がこっちに来て、変な事しそうだって、聞いたの・・・・、でも途中で柳川先生達とすれ違ったけど、ねえ、何か変な事しなかった?・・・・ってこの状況で何も無かったなんて、言えないわよね・・・・・・」
 
 滅茶苦茶に荒らされた教室を見回しながら、ひかりは茫然と呟いた。
 
 
 「大志、っていう人と、メカ英二ってロボットと一緒に滅茶苦茶暴れてましたが・・・・・・」
 
 といって、浩之は苦笑しながら、辺りを見回し言った。
 
 「あんの、うすら馬鹿たれが~~~~~~~~・・・・・、だけど、さっきはあいつら妙に静かだったけど、何があったの?」
 
 メイフィアが不審そうに聞く、浩之は、先程までの出来事を詳細に話した。
 
 
 
 
 
 
 
 
 「ふ~~ん・・・・、そうだったんだ・・・・」
 
 メイフィアが感心したように呟いた、それは浩之の毅然とした態度になのか、それとも柳川達の素直な態度になのかは分からなかった、いや、その両方になのだろう。
 
 「ふう・・・・・、あの人達、悪気があってやってるわけじゃないから・・・・・、もっとも、悪気が無い分だけ、別の意味で性質が悪いのかもしれないんだけど。」
 
 ため息をついて、ひかりが、ちょっと困ったように笑った。
 
 「浩之ちゃん、あかり、マルチちゃん、あの人達はね、人に迷惑をかけて喜ぶ、っていうような人達じゃないの、ただ・・・・、その、不器用なだけで・・・・・。」
 
 「社交性に著しく欠けている連中だからね、まともな人付き合いって奴の経験が不足しているから、どうしても早合点、自分勝手な思い込みで行動するのよ。まあ後は、普通からはかけ離れた、『趣味』も一因なんだけどね。」
 
 ひかりの後を引き継ぐように、容赦なく断言するメイフィア。ひかりも、それを肯定するように苦笑した。
 
 「でも、根っからの悪い人じゃないの。そうでなければ、ここの教師は任せられないから。」
 
 「そうですよね・・・・・・」
 
 ひかりの言葉に、浩之達も同意する。確かに、人に迷惑をかけて喜んでるような、困った連中を教師にするなどという、事はまずありえない、やはりそれぞれに、何か良い所があるから、こうして了承学園に存在することが許されるのだろう。
 
 「まあ、話が分からない人達じゃなさそうだし、あの人達とも上手くやっていけそうな気はするんですが、でも・・・・、程々がいいかな?あんまり親密にっていうのは少し・・・・な」
 
 苦笑しながら浩之が言った、あかりもマルチも同じように苦笑しながらそれに頷く。
 
 「そうだね、あんなのとまともに付き合えるようになったら、それはそれで『問題』だしね、まあ程々ってところだよ。」
 
 「さすがにあんな趣味だけは、共感して共有したくはないですよ!!」
 
 ぞっとした顔で、強弁する浩之に、ひかりとメイフィアは、くすくすと笑った。
 
 「それで、あの人達がしたことについてだけど、本人達も反省してるみたいだし、軽い処分・・・・、そうね柳川先生と、大志先生は、今日の授業を禁止、メカ英二さんは、再度お寺でセバスチャンさんの助手として再修業・・・・・・・
これでいいかしら?」
 
 「妥当な線じゃないの、まあ、あいつらも堪えてたみたいだしね。」
 
 「それだって、けっこう厳しいんじゃねーのか?って感じもしますが。」
 
 「悪気がなかったとはいえ、浩之に机はぶつけるわ、あかりちゃんとマルチちゃんをおびえさせるわ、教室はメチャメチャにするわ・・・・それを考えたらこの処分は軽すぎるってもんよ、まあ何だかんだで、あいつらは上手くやるから、変な心配はしなくてもいいんだよ。」
 
 ふふふっ、とメイフィアは意地悪っぽく笑った。
 
 「な・・・、なんか、あの人達が罰を受けるのを楽しんでるみたいです~~~~~」
 
 「そう見える?ま、実際そうなんだけどさ♪」
 
 しれっと言ってのけるメイフィアに、浩之も、あかりも、マルチも、ひかりも、苦笑せざるを得なかった。
 
 
 「さて・・・、この教室では、授業はできないわね・・・・・、隣に移りましょうか?」
 
 ひかりはそう言うと、はっ、と思い出したように
 
 「あ、そうだ、肝心なことを忘れていたわ・・・・。ええと、あなた達の担任ですが、わたし、神岸ひかりが受け持つ
ことになりました。これからよろしくね、あかり、浩之ちゃん、マルチちゃん♪」
 
 そう言って、頭をさげるひかりに、慌てて浩之達も、「「「こ、こちらこそよろしくお願いします!!」」」と頭を下げた。
 
 「あらあら、結局妥当な所に落ち着いたわけね。まあ、それでいいんだけどね。」
 
 メイフィアは満面の笑みを浮かべて、四人を見ていた。
 
 
 
 「で、隣で授業を行うんだけど、ちょっと浩之ちゃんはここで待っててね、あ、メイフィアさんも、手伝ってくれるかしら?」
 
 「はいはい、お安い御用ですよ、で一体何を?」
 
 ひかりはメイフィアに、ぼそぼそと呟いた。
 
 「『アレ』を探していたら、遅れちゃったのよ」
 
 「ほいほい♪そういうことですか、なら丁度いいわね。」
 
 メイフィアは、浩之に丸薬を渡した
 
 「さっき頭ぶつけたんでしょ?これを飲んでおくといいわ」
 
 「あ、はい・・・・」
 
 女性四人が教室を出て行くと、浩之は薬を飲んで、ぼーっとしていた。十分くらい経過して・・・・
 
 「お待たせ、さあ、浩之ちゃん、こっちに来て♪」
 
 と言って、ひかりが手招きした。
 
 教室の前で、ひかりがにこにこしながら、
 
 「それでは、本日最初の授業を行います♪」
 
 と言って、扉を開いた。そこには・・・・・・・
 
 
 
 
 
 
 
 「ひ、浩之ちゃん・・・・・・・(ぽっ)」
 
 
 
 「浩之さん・・・・・・・・・・(ぽっ)」
 
 
 
 
 
 スカートの丈が短めのメイド服に身を包んだ、あかりとマルチが立っていた。
 
 「な、な、な・・・・・・・・・・・・・・・」
 
 茫然とする浩之に、メイフィアは、ぽん、と背中を叩き
 
 「ほれほれ、何か言ってやりなさいってば」
 
 と急かした、浩之は、はっ、と気を取り直すと
 
 「そ、その・・・・・だな・・・・・・、二人とも・・・・・・すげー似合ってる、うん、とっても可愛いぜ・・・・・。」
 
 その言葉に、いっそう、頬を赤らめる二人だった。
 
 「さてさて、一時間目は、『メイドさんで膝枕』よ。さ、浩之ちゃん、そろそろ薬がききだしたでしょ?」
 
 「あ、は、はい・・・・・、オレ、何だか眠くなってきました・・・・・・・・」
 
 ぼーっと、なり出した浩之を、あかりが抱きとめて、横にする、そして浩之の頭を太ももに乗せた。
 
 「それじゃ、マルチちゃん、二十分たったら交代しようね♪」
 
 「はいっ!」
 
 と言って、マルチは浩之の手を握り、髪をそっと撫でだした。
 
 「浩之ちゃん、ゆっくり休んでね・・・・・・・」
 
 「あ、ああ・・・・・・・・」
 
 ほとんど、うわ言のように答えると、浩之はあかりのやわらかく、暖かい太ももと、マルチの暖かい手を感じながら
眠りにおちていった。そんな浩之を、二人は優しく、暖かい目で見つめていた・・・・・。
 
 
 「さてと、あたしゃ、保健室に戻るかね?あのアホをからかってやりたいし。」
 
 「ふふっ、メイフィアさん、ほどほどにしてあげなさいね」
 
 「そりゃわかってますって、逆切れされて、保健室壊されたら堪らないからね。」
 
 そう言って、メイフィアは教室を出て行った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 保健室には、すでに柳川達が戻っていて、妙に静かな雰囲気になっていた。
 
 
 「あらあら、なんだい?その辛気臭い顔は、はは~~ん、結局作戦は失敗に終わったわけだ。」
 
 柳川は、メイフィアの言葉に、露骨に顔をしかめた
 
 「やかましい!!・・・貴様・・・、既に何もかも分かってるくせして・・・嫌味なやつめ・・・・・・」
 
 「あらあ?今頃気づいたの、ま、あんたにそんな事言われるなんて、ああ~~~~哀しいわよねえ♪」
 
 「この野郎・・・・、絶対狩る、狩ってやる・・・・・・・・・・!!」
 
 「はん、今のあんたに狩られるとは思っちゃいないけどさ。まあ、なんていうかね・・・、今回はあんたの思い込みが外れたということで、次回はもっと相手の気持ちを考えて行動するんだね。」
 
 「次回なんかあるか・・・・、今回のことで、あいつらもオレに対して敵意を持つんだろうな・・・・・、まったく、あそこまではっきり言われたら、どうしようもない・・・・・・・。」
 
 「いつものずうずうしく、強引で、自分勝手なあんたらしくないねえ・・・・、ま、もっともそれだけ謙虚な心があるという事が、今回の大いなる発見ってとこかな?」
 
 「くそ・・・、言いたい放題言いやがって、ここに居られるのが迷惑なら出て行くぞ。これ以上お前の嫌味に付き合ってられんからな。」
 
 「まあまあ、強がり言ってんじゃないわよ。いつもはここに居られると迷惑だけどね、今回は構わないよ。」
 
 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 
 「安心しな、浩之達はあんたらの事、憎んでもいないし、別段嫌ってる訳でもないからね。ま、もっとも程々な付き合いぐらいならいい、って感じだけど。」
 
 「・・・・・・・・・・・・・・・?」
 
 「あんたが、素直に引き下がってくれたのが良かったんだろうね、『話が分からない人じゃない』って言ってたよ・・・・・。」
 
 「そうか・・・・・・」
 
 柳川は目をそらしながら呟いた。
 
 「なんにしても、あんたらのした事を考えれば、今回は大成功って言えるんじゃないかい?あれだけ滅茶苦茶やっておきながら、嫌われたわけじゃないからね。」
 
 「そうだな、そうかも知れん・・・・・・・」
 
 「まあ、今度は上手くやるんだね。もっとも、あんたは『同じような失敗』は犯さない奴だと思ってるから。」
 
 「心にもないことを言わなくていい!」
 
 「ふふ、これは偽り無い本心よ、あんたは『やるな』と言われたことだけは、絶対やらないからね。ま、もっともそれでなければ、大問題ではあるけど。」
 
 「フン・・・・・・・・」
 
 「まあなんにせよ、藤田家との関係は何とか可能性が残されたってことで、お祝いといきますか♪」
 
 と言って、メイフィアは缶ビールを持ってきた。
 
 「おい!まだ授業時間中だろうが!!」
 
 「なに言ってんのよ、あんたらは今回の騒動をおこした罰として、一日授業への参加を禁止、つまりこの時間に酒を飲んでも構わないって事♪」
 
 「まったく、この不良教師が・・・・・・・」
 
 「問題教師と不良教師同士、今日ぐらいは仲良くやりましょ?んでわ、貴之も、マインちゃんも、さあ」
 
 「はいはい♪」
 
 「ソレデハ御言葉ニ甘エサセテイタダキマス」
 
 「それじゃ、いいわね?藤田家作戦の成功と、これからの関係が良好であることを期待して・・・・・、かんぱーい!!」
 
 「「かんぱーい!!」」
 
 「・・・・・・・・・・・」
 
 憮然とした顔で、貴之達に合わせてビール缶をカチンと当てる柳川、しかし、その目に、いつか写真で見たあの優しい光をマインは見た。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 第一校舎の屋上で、大志は、また風がふいているわけでもないのに、ジャケットをたなびかせながら、分身したまま立っていた。黄、赤、青、緑、金。土黒まだらの、七人の大志が腕を組み、不動のい姿勢でいるその光景は、屋上に他に誰もいないのが幸いと言えるものであった。
 
 「ふっふっふっふ・・・・・・、今回は我輩の完敗だ!!しかし・・・・藤田浩之、貴公のその我々相手に一歩も引かなかったその根性、非常に気に入った!!必ずや我輩の『世界征服』の野望の同士にしてくれる!!・・・・・・・・・とりあえず、今日は無理みたいだから・・・、明日また会おうぞ!!わあ~~~~~~~っはっはっはっはっはっはっはっはっは・・・・・・ひゃ、ひゃあああああっ!!、ま、まだカエルがいたの・・・・・うひょおおおおっ!!ひぇいっ♪」
 
 
 
 
 
 
 一喝寺の境内では、メカ英二とセバスチャンが向かい合っていた。
 
 「恥ズカシナガラ、戻ッテキテシマイマシタ。私ハ、マダマダ未熟デアル事ヲ思イ知ラサレマシタ・・・・・・」
 
 「よいよい、己の未熟さを認めて、再び修行をする、その謙虚な心がけ、いつか必ず報いられる時が来るというものだ。・・・・・先程、ひかり校長から連絡があってな、藤田様はお主を嫌ってはおらぬ、という事だ。」
 
 「エッ・・・・・・・・・?」
 
 「お主の素直な態度が、好感を得たのだろう。それでな、ここで再修業してから、またチャレンジして欲しいとひかり校長が仰っていたよ。」
 
 「ソ、ソウデスカ・・・・・、ウウ・・・・・・ヨカッタ・・・・・・・・」
 
 「今回の経験で、お主は色々なことを学んだはずだ、それを忘れずに再チャレンジいたせば、教師への復職は充分に可能だと思うが・・・・。」
 
 「ハ、ハイ・・・・、頑張ッテ必ズヤ、次ハ・・・・・・・・」
 
 「うむ、それで一つ頼みがあるのだがな?」
 
 「ナンデショウカ?」
 
 「次はな、舞奈と一緒に再チャレンジをして欲しいのだ、あの娘を置き去りっていうのは、さすがになあ・・・・・・・・」
 
 「ソ、ソウデスネ・・・・・・・」
 
 辺りを見回す二人に、舞奈は「ア、アハハハ・・・・・・」と罰が悪そうに笑った。
 
 
 
 境内は、舞奈の手によって破壊の限りをつくされ、お堂、釣り鐘台は倒壊、廃墟と化し、壁のいたるところには、
「お兄ちゃんのクソバカヤローーーーー!!」「変態ロボット、ロボでなし!!」「アホ!!バカ!!ロリコン!!」「ちん○んビームの撃ちすぎで不能になっちまえーーーーーーー!!」
などと、悪罵の文字が綴られていた・・・・・・。
 
 「復帰後最初ノ仕事ハ、境内ノ修復作業デスネ?」
 
 「そういう事になるな・・・・・・・・・・」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 教室では、浩之が、あかりの膝枕でとても気持ちよさそうに寝ていた。
 
 
 
 「浩之さんったら、とても幸せそうです~~~~」
 
 「ふふっ、きっといい夢を見ているんだろうね・・・・、わたしとマルチちゃんの・・・・・・」
 
 「はい、きっとそうです!」
 
 「柳川先生達の夢ではないと思うけど・・・・・・・」
 
 「そ、それは・・・・、あうう~~~~ちょっと困ります~~~~」
 
 「うふふっ、それは絶対にないよ、だって・・・こんなに幸せそうなんだもん。」
 
 「そうですよね」
 
 ひかりも、一緒に浩之の顔を覗き込む
 
 「こうやって見てると、浩之ちゃんは、いつまでたっても、小さい頃の浩之ちゃんだね、ふふ・・・可愛い寝顔してるわ♪」
 
 「えへへ、寝ている時だけは、浩之ちゃんは、わたしとマルチちゃんの子供なんだよ。」 
 
 そう言って、あかりは浩之の頬をそっと撫でた。
 
 「じゃ、二時間したら戻ってくるから、それまで二人で充分楽しんでいてね。」
 
 「うん、わかったよ♪」
 
 「はいっ♪」
 
 
 ひかりは、廊下に出ると、扉に札をかけた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 「ただ今お休み中、邪魔したらジャムですよ♪  
          了承学園校長  神岸ひかり        
 
 
 
   
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 「何?藤田マルチは、くまグッズ集めが趣味だと!?」
 
 「エ、エエ・・・・・、アユサンカラ聞イタ話デスカラ、間違イアリマセン。」
 
 「そうか、よし!ならば次は『ラブリーくまさんと一緒に記念写真を撮ろう ”秘”作戦』でいくぞ!!」
 
 「今度はうまくいくといいなあ」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 「・・・・・・・・・・・・・え~~~~い、貴様らあああああっ!!そう小手先なことばっかり考えずに、もうすこし正攻法でいくということを考えないかああああああああああああっ!!!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  第十話      終
 
 
 
 
 

 
 
 後書き
 
 
 第九話で、吐き気をもよおしてしまった方、どうも申し訳ありません!!「口直し」の
第十話です、前話の「悪行」を払拭するよう書いたはずですが、いかがなものでしょうか?
 ・・・・この話が一服の清涼剤となることを願っております。
 
 
 さて、「マルチ了承」も何だかんだで、十話まで来てしまいました、本当なら十話くらいで
終わるはずだったのに、未だ話は序盤です。このままどこまで続くのか、筆者にも分かり
ません、これを読んで下さっている皆様、これからも長い目でこのシリーズとお付き合い
していただければ幸いと存じます。そして管理人のHiro様、この話を別枠の形で掲載して
下さって、本当に感謝しています、これからも「マルチ了承」を宜しくお願いいたします。
 

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