一時間目が始まるまで後五分となった、浩之達の担任となる教師は未だ来ない。初授業なら、普通は
始業の十分前くらいに来て、担任の紹介各々の挨拶が行われるのが普通なのだが。
 
 訝しげな表情になる浩之に、
 
 「きっと、どんな格好をしてわたし達を驚かせてやろうか考えてるんじゃないのかなあ?」
 
 と、あかりが笑いかけた。登校途中、「浩之達」に「この学校の教師って、いつもおかしな格好して、生徒を
驚かせて受けを取ろうとしてるんですよ。」と言われたのを、浩之は思い出した。
 
 
 「そっか・・・・、しかし、ガディムさんのピンクハウスなんて、オレは見たくねーぞ・・・・・。」
 
 浩之は首を横に振る。「それは、わたしも同じだよ~」と、あかりも困ったような笑顔で返した。
 
 
 「できれば、普通の格好で出て来て欲しいですよね?」
 
 とのマルチの言葉に、浩之とあかりは苦笑しながら頷く。
 
 
 
 
 
 「あ、こちらにだれか来ますよ?」
 
 マルチが、扉の向こうの足音を聞きつけた。浩之とあかりも耳をすます。
 『さて、一体だれが担任なのかな・・・・・・・?』
 期待と、ほんの少しの不安を抱き、近づいてくる足音を聞いていた。
 
 
 
 ・・・・・・・・そして、扉がガラガラと開かれた・・・・・・・・・・・・・・・。
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
      「マルチの話」 ・ 「私立了承学園」 外伝
 
 
 
 
 
 
 
  「マルチの話」  in  [了承学園」
 
 
 
 
 
                                                 くのうなおき
 
 

 
 
 
      第九話   三大怪獣了承最悪の決戦
 
 
 
 
 
 
 
 「「「---------------!?」」」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 教室に入ってきた、アフロ頭に鼻の下に小骨のおもちゃをつけ、上半身裸、下には腰蓑一つの男二人の姿に
浩之達は、「ずっこける、机に頭をぶつける、腹を抱えて笑う」などといいうリアクションができるはずもなく、目を見開いて絶句するのみだった。
 
 
 
 『一体何が?誰だ、この人は?担任?そうなのか!?あんた担任なのか?冗談だろ?一体なにを教えるんだ?
リンボーダンスか?それとも太鼓の鳴らし方か?槍投げか?火の輪くぐりか?少なくとも、オレたちはアフロヘアーにはしたくねーぞ!!』
 
 
 声に出して言わなければならないのに、それが喉にひっかかり、やむを得ず心の中で叫ぶ浩之、しかし、柳川、
貴之の「南国コンビ」は、そんな浩之の思考など知る由もなく、「まずは最初のインパクトは上々」と、顔を合わせ
お互い満面の笑みを浮かべて親指を立てていた。
 
 そして、つかつかと浩之達の前にやってくる柳川と貴之、最初の衝撃から立ち直ることができない浩之達は、ただただ、目の前にやってくる奇天烈な二人を茫然と見ているだけだった。
 
 
 
 
 「やあ、ようこそ了承学園へ、私は君たちのクラスの担任を受け持つことになった柳川裕也、そして隣にいるのは
副担任の阿部貴之・・・・・・」
 
 「モウ何時ノ間ニカ、勝手ニ担任ニナッテルシ・・・・・・・」
 
 思わず小声で呟くマインを、睨みつける柳川、マインは顔をそらし内心呟く
 
 『アア・・・・、願ワクバ、柳川様ノ芸ガ藤田様達ノオ気に召シマスヨウニ・・・・・』
 
 事ここに至ってしまった以上、「奇跡」を期待する他なかった。
 
 
 
 
 
 
 ほとんど、「死刑宣告」に等しい、柳川の「就任のご挨拶(笑)」に、三人は心のなかで、絶望的な絶叫をあげていた。
 
 
 
 
 『担任・・・・・・、担任だって・・・・・!?・・・・あ、秋子さん、ひかりお母さん・・・・あなた達、一体何考えてるんですか・・・・・・・!?これはひょっとして、オレたちを驚かすジョークなんじゃ・・・?』
 
 『ひ、浩之ちゃん・・・・、いやだ、こんな人達嫌だよお~~~~~・・・・・。』
 
 『あううう~・・・、こ、これは冗談なんでしょうか・・・・、ね、この世界のわたしの妹さん、答えて下さい・・・・』
 
 しかし、マインの哀しげに見える目は、これが冷徹なる事実である事を物語っていた、がっくり頭を落とすマルチ。
 
 「ふむ・・・、皆緊張しているのか?まあ仕方が無い、お互い初顔合わせだからな。」
 
 浩之達の心の叫びなど、聞こえるわけがなく、柳川は勝手に、何も言えずに固まっている浩之達を、初対面故の
緊張と決め付けている。
 
 「よし、ならば先生達が皆の緊張をほぐす為に、一つ隆山に伝わる伝統舞踊を披露しようではないか!」
 
 
 
 
 
 
 
 『『『その格好で、何が隆山の伝統舞踊だあ~~~~~っ!!?』』』
 
 
 
 
 という心の叫びなど聞こえるわけもなく、柳川は「レッツ、ミュージック!!」とマインに叫ぶ、カチッとラジカセの
スイッチを押すマイン。
 
 ダンダンダダダダダダダンダダダン、ダンダンダダダダダダダンダダダン♪
 
 
 軽快なリズムの太鼓の音にあわせて、柳川と貴之は腕を振り、腰をくねらせ出す、その動きは太鼓のリズムがどんどん速くなるにつれて、激しく、そして女がやればなめかましく、男がやればただただ気色悪いものになっていった。
 しばらくすると、窓側と、入り口がわにそれぞれ分かれた柳川と貴之は、助走をつけて跳び、空中で三回転してダンッ!と着地した、と同時に腰蓑が、ずるっと下がり、食い込みの深い黒い革のビキニパンツ一枚だけで覆われた下半身が剥き出しになる!!
 
 
 『『いや~~~~~~!!』』
 
 
 顔を下に向けるあかりとマルチの頭を抱える浩之、『こ、この・・・・いいかげんに・・・・』と声が出かかったが、次の
光景に思わず絶句した。
 
 「マイン!!棒!!」
 
 柳川の叫びに、一メートルくらいの木の棒を二人に投げつけるマイン、それを受け取った二人は、革パンツの股間の所にある差込み口に棒を装着した。
 
 
 
 「ヌードフェンシング、ゴー!!」
 
 
 
 
 突然、音楽が「オリーブの首飾り」に切り替わり、その艶っぽい旋律をバックに、股間の棒をチャンバラのごとく
腰をオーバーにくねらせながら打ち合う二人、棒があたるたびに、股間に振動が伝わるのか、二人の表情はだんだん陶酔感をおびてきて・・・・・・・・・・・
 
 
 
 
 カンッ!カンッ!!カンッ!!カンッ!!カンッ!!
 
 
 
 
 
 「ウッ・・・・・・」
 
 
 
 
 「はあっ・・・・・・」
 
 
 
 
 
 カンッ!カンッ!!カンッ!!カンッ!!カンッ!!
 
 
 
 
 
 
 「おうッ・・・・♪」
 
 
 
 
 
 「はふう・・・・♪」
 
 
 
 
 二人の吐息も、「桃色吐息」となっていったのだが、そんな陶酔感にひたっているのは、当の二人だけであること
に気付きもせず、柳川は『さあ、どうだ!?』とばかりに浩之達の方に顔を向けた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 『これで彼らのハートはがっちりつかんだはず!!』
 
 
 
 
 
 
 
 
 ・・・・しかし、当の浩之達は、柳川達に背中を向けながら、嘔吐感を必死に抑えていた。
 
 
 
 
 
 「こらあああああああ!!」と思わず叫ぶ柳川、その怒鳴り声にびくっと前を向く浩之達だが、柳川達をまともに見ようとはしなかった。
 
 『い、いかん・・・・・』思わず怒鳴ってしまったことで浩之達の気を害してしまったかと、内心慌てる柳川、ここで浩之達の機嫌を損ねては、作戦は水の泡だ、もっとも作戦を発動させた時点で、すでに浩之達の機嫌を損ねているという事に彼は気付かない。
 
 
 「な・・・・、何か物足りないかな・・・・?」
 
 先程自分達に背を向けていたことについて少し遠慮がちに聞く、その一方で、『何故だ!?どうして!?ホワイ!?ガディムの尻だし芸は、反応が上々だったというではないか!?あいつの芸と比べて、オレ達のが一体何が足りないというんだ!?』と心の中で自問自答していた。
 
 ・・・・・・・・・・・・ガディムは、昨日、「いや~~、別世界の浩之さん達はいいですね~、私の尻だし芸にずばりツボに嵌まった反応をしてくれましたよ、彼らは、ああいうのが好きなんでしょうね~。」と半ば自慢げに話していた。それを聞いていた柳川は、ならばオレ達の方がもっと・・・・!!と思ったのだが・・・・・。
 
 
 
 
 
 
 要するに、ガディムの勘違いを、柳川が間に受けたのが、この「悲喜劇」の始まりなのだが、そんな事に気付いているのは、この場では、マイン一人というのが、始末に終えない。
 
 
 
 『アア・・・、ヤッパリコウイウコトニナリマシタカ・・・・・』
 
 
 結局、「奇跡」は起こらなかった、やはり浩之達は「普通の感性」の持ち主であったのだ。もっとも、男同士の猥雑な踊りが大好きな人間なぞ、あまりいないのが普通なのだが・・・・・・、これは「自然界の法則への無謀なる挑戦」
に対する当然の結果なのであろうか?
 
 別世界から来た姉は、柳川の事をどう思っているのだろうか、ただの変態だと思ってるのだろうか?いや、確かにそうなのだが・・・、じゃなくて!とマインは首を横に振る、いや、ただの変態ではない、いい所だってあるのだ、しかし、それを伝える言葉は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 無い。
 
 
 
 
 
 がくっと頭を落とし、「ハア~~~」とため息をつくマインであった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 『何か物足りないのかな・・・・?』と言う柳川の言葉に、浩之は、『物足りないもなにも、オレ達は、そんな気色悪い踊りを止めてほしいんだよ!!』
と言葉が出かかっていた。どうも当の本人達はいたって真面目で、そのような者に対してきつい言い方かもしれないが、あかりとマルチをこれ以上つらいめに合わせない為にも仕方が無い。
 
 
 浩之が怒鳴りつけようとした時・・・・・・。
 
 
 
 
 
 
 「わーはははははははは!!そんなトルコ共和国でやれば、強制送還、入国禁止者のブラックリストに掲載は確実、筑紫哲也に『日本の恥』と言われてしまいそうなハレンチハレンチウンバッバ!な品性下劣な踊
りでマイ・スチューデンツを篭絡しようとは笑止千番!!」
 
 
 
 教室内に、また別の声が響き渡った。
 
 「むっ!?その声は・・・・・・!!」
 
 柳川が辺りを睨みつける、と同時にゴゴゴ・・・・・・・・と、柳川の周辺の空気が「震え」出す、そして、柳川の発する その「闘気」のようなものに、浩之達の体が、恐怖でガタガタと震えだした。
 
 「ひ、浩之ちゃん・・・・・・・!!こ、これって・・・・・・」
 
 「まさか、あの柳川って奴・・・・・・・」
 
 「お、鬼さんなんですか・・・・・・・・・?」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 以前、隆山へ旅行へ行った時、柏木耕一達と知り合った。その時に、耕一と千鶴が痴話げんかを引き起こし、千鶴が「鬼の気」を全開にして暴れた。それをきっかけに、耕一達が「鬼の末裔」と知ったのだが・・・・。今、柳川が発しているその「気」は千鶴が発していたものと同じようなものだった。
 
 
 
 
 
 
 
 『まさか、あいつも鬼なのか・・・・!?、くそっ!面倒な事態になっちまった!!』
 
 
 二人を抱きしめながら、内心舌を打つ浩之。しかし、先程の軽薄そうな、ふざけた調子の声の主は一体・・・?
 
 
 「はっはっはっは・・・・・、ここだ、ここだ!」
 
 
 辺りを睨みつけるように見回す柳川を嘲るその声は、窓の外から響いていた。
 
 
 「まさか・・・・・・・!?」
 
 浩之が思う間も無く窓ガラスを
 
 
 ガチャバリリイイイイイイイイイイイイイイン!!!!!!
 
 と、勢いよくぶち破って、「そいつ」が教室に入ってきた。
 
 「くっくっくっくっく・・・・・、ズバットの真似はとても危険だから、皆真似しないようにな・・・・、おっと我輩はもちろん別
格だがな・・・・・・・・・・・。」
 
 眼鏡をくいくいっと気障ったらしい仕草で直し、口元に皮肉っぽい笑みを浮かべて、九品仏大志は、浩之達と柳川
達の眼前に立った。
 
 「やあ、マイ・スチューデント諸君!準備に手間取って、この変態の下らぬ芸に付き合わせる事になって申し訳ない。わたしは、諸君らの担任、そして『世界征服』の同志となる、九品仏大志というものだ!以後健全なるお付き合いをよろしく。」
 
 仰々しく頭を下げる大志。一見紳士的な感じだが、それが全く信用ならないものである事は、先程の登場の仕方で充分分かる。
 
 
 
 『こ・・・、こいつが・・・・『九品仏大志』・・・・・!!た、たしかに、あの柳川にくらべれば格好はまともそうだが、しかし・・・・、何かこう・・・、危険な雰囲気を感じるのは・・・気のせいか?』
 
 
 
 
 浩之が警戒心剥き出しで、大志を見た。その疑惑にみちた視線に気付いたか。
 
 「これは、これは・・・・、まだ、お互いを良くしっているわけではないのだからな。・・・・では担任となったお祝いを
兼ねて、我輩の口直しの芸でも・・・・・」
 
 「ちょっと待て!!勝手に自分を担任にするなあっ!!」
 
 
 それまで黙っていた柳川が、大志の勝手な言い草に、憤怒の表情で突っかかる。もっとも、柳川とて、あまり人の
ことをどうこう言えたもんじゃないのだが、まあ、そこは一旦置いておくとしよう。
 
 「ふん・・・、あんたとて、理事長から正式に担任と決められたわけではあるまい、もっとも、今まで別段、担任というものに興味があったわけでもなかったあんたが、何で彼らの担任をやりたがるか、非常に興味はあるのだがな。」
 
 「ぐ・・・・・、しかし、正式に決められてるわけではないのは、貴様も同じだろうが!」
 
 「そうだ、だからお互いの芸を競って、受けた方が『藤田家』の担任となる、それで行こうではないか?」
 
 「フン・・・・・、良かろう、しかし貴様の下らぬ芸、果たして・・受けるかな?」
 
 「フフフ・・・・、まあ見てのお楽しみという事だ」
 
 
 二人の勝手なやりとりに、あきれ果て、何も口を突っ込めなかった浩之達だったが、さすがにこの変態じみた連中に担任になっては困る、そう思い、「あんたらいいかげんに・・・・」と言おうとしたのだが、またまた次に大志の見せた行動に言葉を失ってしまう。
 
 
 
 
 「結局貴様も、オレと同じじゃないかああああああ!!」
 
 
 
 
 白いふんどし一丁になった大志に、鬼の気をまきちらして柳川が怒鳴りつける。しかし大志は一向に動じることがなく
 
 
 「まあ、見るがいい。我輩の芸があんたとはグレートさが、格段に違うという事を、今から見せてくれよう!!」
 
 そう言うと、大志は両手をあわせ、両一指し指を立て、「アノクタラサンミャクサンボダイ・・・・・」と妙な呪文を唱えだした。
 
 
 「大志分身の術!!」
 
 そう叫ぶと、大志の体がゆらりと、かげろうのように揺れ、次の瞬間には、大志は七人に分裂していた。それも各人体色が、黄、赤、青、緑、金、そして・・・・・・・土色と黒のまだら・・・・・になっていて、それが白ふんどしとの組み合わせにより、誠、気色悪いものにしか見えなかった。
 
 
 当然、浩之達が下を向いて、嘔吐感を抑えていたのは言うまでもないだろう・・・・・・。
 
 浩之達の「冷たい反応」に、思わず大志は動揺した
 
 
 「ぬ・・・!?な、なに・・・?わ、我輩のこのインドで修行したこの芸が・・・・・!!??」
 
 
 
 「いつインドまで行ったんだ!?貴様は!!・・・・フン・・・・、まあそんなことはどうでもいいがな。しかし、貴様のその芸、所詮、分身しただけでは一瞬の驚きは得ても、それでしまいという事だ!!」
 
 
 「な、なにを・・・・・!!まだこの芸には続きがあるのだ!!」
 
 「ほう・・・・、それは興味深い・・・・、では見せてもらおうか」
 
 形勢が有利と見たか、ここぞとばかりにかさにかかって、嫌味たっぷりに挑発する柳川、「見ておれ~~!!」とばかりに、「大志達」が横一列になって
 
 
 
 
 「ラジオ体操第一!!よお~~~~~~~い!!」
 
 
 
 
 
 
 「ちゃんちゃかちゃちゃちゃちゃん♪」と音楽を口ずさみ、一斉に体操を始める「大志達」。
 
 「体を後ろに大きく伸ばして、背伸びの運動~~~~~~~」
 
 
 「ぐわああああああ!!オレの前にそんなもん突きつけるんじゃねえ!!」
 
 
 
 
 
 ゲシイイイイイイイイイイイイッ!!
 
 
 
 
 「ぐはああああっ!!」
 
 
 
 ちょうど後ろ伸ばしをした際に、柳川の前に突き出された、白ふんどしに包まれた大志の股間を、柳川は思いっきり蹴飛ばした!!たまらず悶絶する大志。
 
 「な、なにをする・・・・、壊れてしまったらどうするんだ!!!」
 
 「そんなもんで壊れるタマか!!・・・・まったく、オレの前にそんな汚いものを突きつけやがって・・・・・・ぜい・・・・・ぜい・・・・」
 
 
 「ふん!男なら皆、その『汚いもの』を持ってるではないか。あんたたち『ゲイ・メン』とてそれは同じ事!!」
 
 
 「うるさい!!貴之以外のものは、すべて泥まみれのごぼうと同じだあっ!!」
 
 
 「や、柳川さん・・・・・・・・・(ぽっ)」
 
 
 
 
 
 「・・・・・・・・・我輩は、ごぼうは好きだがな」
 
 
 
 
 
 「そういう意味じゃねえっ!!」
 
 
 
 
 
 「浩之ちゃん・・・・・・・・」
 
 「もう、切りがねえなあ・・・・・、よし、逃げるぞ!!」
 
 「はいっ」
 
 いつ終わるともしれない、醜い、そして気色悪い争いに、付き合ってられないとばかりに、浩之達は教室からこっそり逃げ出そうとした。しかし・・・・・・・・・・・!!
 
 
 「ソンナ下品ナ芸ヲモッテ、藤田様ノ担任ニナロウトハ、笑止千万!!アナタタチ、モウイチド『一喝寺』デ精神修行ヲシテコイ!!」
 
 機械的な声が、一昔前のキャバレーでかかっていそうな、ドラムの音がよく響くBGMと共に、廊下側の扉の向こう側から聞こえてきた。
 
 
 「ま、また・・・・・、変なのがきたのか・・・・・・!?」
 
 「も、もういやだよお~~~~~・・・・・・」
 
 「ううっ・・・、わたしもいやです~~~~~」
 
 
 
 
 がらっ!!と扉が開かれると、そこには「一見」、眼鏡をかけたクールな印象を与える、二十半ばを過ぎた感じがする青年が、BGMのかかったラジカセを持って入ってきた。しかし、その手、顔と、肌が露出している部分の表面にはリベットが打ち込まれており、指はよく見ると、ミサイルのように尖っている、いや実際ミサイルなのだが・・・、そしてその手は「ギューン、ギューン」と人間の関節を無視した回転を行っていて、口はまるで目の前の相手を威嚇するがごとく「ガシン!!ガシン!!」と金属的な響きを伴って開閉していた。・・・・・・・・・・・どうみてもそいつはロボットだった。額に汚い字で書いてある、丸の中に「英」が脱力を誘う。
 
 
 
 『ま、また変なのが・・・・・・』
 
 もう、どうにでもしてくれと言った感じで、浩之は頭を押さえた。
 
 「貴様はメカ英二!!?」
 
 「どうして!?貴公は『一喝寺』に配転のはずではないか!?」
 
 「フ・・・・、マダマダ教師ニ未練ガアッテナ・・・・、『藤田家』ノ担任ニナッテ、ソノ望ミヲカナエヨウト思ッタノダ!!」
 
 「貴公、秋子理事長の許可はもらったのか!?」
 
 「ソレハマダダガ・・・、シカシアナタ達トテ状況ハ同ジ、コノ事ハオ互イ内密ニシテ、ワタシモ担任決定ノ芸合戦ニ参加サセテモラオウ!!」
 
 「フン・・・・、勝手な言い草だが、まあいいだろう・・・・・」
 
 
 
 
 
 「ね、ねえ・・・・・、あの『メカ英二』って・・・・誰かに似てるような・・・・・」
 
 「ん?誰かって・・・・・・・・・、ああっ!!??」
 
 「お、緒方英二さんです~~~~~~~!!」
 
 確かに、よく見たら、あの「緒方英二」に似ている、しかし、なんでそんなロボットが・・・・・・・?浩之達にはさっぱり訳が分からない、それよりも、三人にとっては、この変態共が集う、この異様な空間からの脱出が先決事項であった。しかし・・・・・
 
 「サア、藤田様!!ワタシノ、『生デ見ル宮西光学合成ト、中野爆発!!豪快ロボット花火!!』ヲトクトゴ覧ニナッテクダサイ!!」
 
 との声に足を止めざるをえなかった。
 
 「デハイキマス・・・・・・・!!ファイアーーーーーーーーーーーーーーーッ!!」
 
 メカ英二の絶叫と共に、目から虹色の光線、指ミサイル、腹から赤色光線、口、鼻から火炎放射、膝からミサイルが一斉に「ズドドドドドドドドドドドドドドド!!」と耳を劈くような音と共に発射された!!
 
 
 
 
 ズッガアアアアアアアアアアアアアアアアン!!
 
 
 
 
轟音と共に、壁の回りに煙が立ちこめ、そのけむりが晴れた後、そこには直径二メートルくらいの大穴が開いていた。
 
 「・・・・・・・・・・・・・アリャ?火薬ノ量ガ多スギタカナ?」
 
 「ありゃ?じゃないだろうがっ!!なんなんだそれは!?そんな破壊行動が芸といえるか・・・・・・って?こらあああああっ!!貴様その股間は一体何なんだあああああああっ!!??」
 
 柳川が、メカ英二の股間部分を指さして怒鳴る、メカ英二のズボン越しに前後に股間の突起物と思われるものが前後に、うにょうにょ~~~~と、繰り返し動いているのが見えたたのだ!
 
 「アア・・・、コレハイケナイスッカリ忘レテイマシタ、イヤ・・・ナニセエネルギー充填ノ時間ガカカルモノデ・・・・・」
 
 チャックを開け、中から前後に振動している「砲身」のようなものを出すメカ英二、「砲身」はさらに動きを激しくしだした。そして、何故かメカ英二の「息」が荒くなっていく。
 
 
 
 
 「エネルギー充填・・・・95.・・・・、100・・・・・・、105・・・・・、110・・・・・・・・・、115・・・・・・・・、120・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・発射アアアアッ!!」
 
 
 股間の砲身から、白色のエネルギーの奔流が走り、それは壁の大穴の隣に、一回り大きい穴を作った!!
 
 
 
 
 
 
 
 
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 声も無く、見つめる教室の中の面々・・・・・・・・・・・・
 
 
 
 
 
 
 
 しばしの沈黙が続き・・・・・・・・・・・。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 「・・・・・・・・・アフン・・・・・・・♪」
 
 
 
 
 
 
 
 「グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
 
 
 メカ英二の「甘いため息」にぶち切れて、体の半分をエルクウ化した柳川が絶叫し、教卓を持ち上げた。
 
 「何だああああっ!!!その最後のやけに甘ったるい声は!!おのれえええええ、よくもよくも、そんな下品なものをオレの前でえええええええっ!!殺す!!狩る!!潰す!!抉って、引き千切って、踏み潰してやるわ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!」
 
 
 
 教卓をメカ英二にぶん投げる柳川、しかしメカ英二はそれを指ミサイルで撃ち落す、それにますます激昂した柳川は、周りにある机、椅子を手当たり次第に、まるでキングコングのように投げつけまくった。負けじと、それをミサイルで、光線で撃ち落すメカ英二、かいくぐってきた机は腕で弾き飛ばす。
 
 
 「ええい、二人とも!!無益な戦いはやめるのだ!!」
 
 
 と言いながら一緒に七人がかりで、机、椅子を投げつける大志、自分のやってる事が火に油を注いでいることに
全く気が付いていない。
 
 
 この、肝心な生徒をほったらかしにした、問題教師共のバトルに、浩之はとうとう怒り心頭に達した
 
 
 「あんたら・・・・、いいかげんにし・・・・・うわあああああああああっ!!??」
 
 
 
 
 
 スパカーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!
 
 
 「・・・・・・・・きゅう・・・・・・・・」
 
 
 
 言い終わる前に、「流れ弾」の机が頭に命中し、浩之は気を失った。
 
 
 
 「ひ、浩之ちゃん!!!」
 
 
 「あわわわわっ・・、し、しっかりしてくださいいいいっ!!」
 
 
 浩之を、教室の隅まで運び、懸命に介抱する、あかりとマルチなんかそっちのけで、問題教師達は、尚も戦いを続けていた、やがて、投げつける机も椅子もなくなり・・・・・
 
 
 「はあ・・・・・、はあ・・・・・・・、むう・・これでは切りが無いな・・・・・」
 
 肩で息をしながら柳川が呟いた。
 
 「ワタシモ、コレ以上ノ戦闘ハ無意味ニ思イマス」
 
 いたるところの、火器発射口から白煙をあげて、オーバーヒート気味のメカ英二も同意した。
 
 「・・・・ふむ、ならば別の方法で決着をつけようではないか」
 
 「「別の方法?」」
 
 「うむ、古来より伝わる決闘方法でな、周囲を破壊せずに済む、『土曜午後八時四十五分の決闘方』というものだが・・・・・。」
 
 「フン、まあどのような形であれ、三人が納得いくものならなんでもいいがな。」
 
 「ワタシモ異存ハアリマセン」
 
 
 
 肝心の浩之達そっちのけで、「担任争奪戦」を繰り広げる問題教師達、果たしてこいつらを止める事は可能なのか?そして、「土曜午後八時四十五分の決闘方」とはいかなるものなのか!?
 
 
 真相を知ったら脱力ものの謎(笑)を含み、次回に話は続く・・・・・・・・・
 
 
 
 
 
 
 「アア・・・・モウ、オシマイデス・・・・コレデ藤田様ノ柳川様ニ対スル印象ハ最悪ナモノニナッテシマイマシタ・・・・・・・・・。」
 
 
 「あはは・・・・・困ったねえ・・・・・・・」
 
 
 「気楽ニ笑ワナイデ下サイ・・・・、当事者ノ一人ガ・・・・・・・・(泣)」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  第九話       終
 
 
 
 
 
 
 
 
  
 後書き
 
 
 長くなりすぎました~~~~~~~~!!(汗)
 よって、後編を二つにわける事になり、今回は「中篇」という事になります。
 「後篇」はすぐにアップ致しますのでしばしお待ちを・・・・・・・


�@���@�R�����g�@�� �����@�F�u�������A���������������W�J���c�c�v(�|�|�G �Z���I�F�u�������c�c�\�z�������������n�[�h���C���c�c�v(�|�|�G �����@�F�u�����������c�c�h�������v(�|�|�G �Z���I�F�u�������������������������v(�|�|�G �����@�F�u���������v(�|�|�G �Z���I�F�u�����I�@���u�������|�������������I�@���������������v�i�O�O�j �����@�F�u���H�@���������H�v(�|�|�G �Z���I�F�u�������A���C���{�[�}���������A�������{�[�}���I�v�i�O�O�O�j �����@�F�u�c�c�c�c�c�c�c�c�����v(�|�|�G�G�G �Z���I�F�u�C���h���R�����C�s�����������I�@�R�������������������I�v�i�O�O�O�j �����@�F�u�c�c���������A�����q�[���[�}�j�A���v(�|�|�G �Z���I�F�u���u�����B���x�������A�����������������������A���g���p�����I�������������v�i�O�O�j �����@�F�u�����������������B�������������v�i�G�G�j



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