『答はハッキリと』
「なんだろあれ?」
学校からの帰り道。
レミィちゃんと並んで歩いていたあかりちゃんの目に、ゲームセンターのとある筐体に群がっている大勢の女子中高生の姿が飛び込んできました。
「ン? ああ、アレはウラナイをしてるんだヨ」
「占い?」
「そうだヨ」
あかりちゃんの問いにレミィちゃんが軽くうなずいて答えます。
「今、あのウラナイマシンが全国的に流行ってるんだって。すごく面白いらしいヨ」
「ふーん、そうなんだ」
「ウン。なんでも、どんなタイプの人が相性バッチリなのかを詳しく教えてくれるんだって」
「へ~。それは確かに面白そうだね」
レミィちゃんの言葉に相づちを打つあかりちゃん。
「アカリもそう思う?
だったらさ、モノはタメシってことで、アタシたちも一回やってみない?」
「え?」
「どんな結果が出るか見てみたいじゃない。ネッ、やってみようヨ」
「うーん」
レミィちゃんの提案に、あかりちゃんがちょっと難色を示します。
それもそうでしょう。だって、はっきり言って、機械に占ってもらう必要などどこにもないのですから。
あかりちゃんたちには既に浩之くんという相性最高のパートナーがいるのですから。
でも、レミィちゃんは興味津々のやってみたくてしょうがないって顔をしています。
「ネェ、いいでしょアカリ~」
訴えるような目であかりちゃんにお願い攻撃を仕掛けます。
それを見て、あかりちゃんは小さくため息を吐くと、
(しょうがないなぁ、レミィは。……ま、いっか。話の種にはなるだろうしね)
―――と心の中でそう呟き、レミィちゃんのお願いを聞いてあげることにしました。
あかりちゃん自身も決して興味がなかったわけではありませんし。
「そうだね。じゃ、やってみようか」
「ウン♪」
列に並び、20分程待ったところであかりちゃんたちの番が回ってきました。
硬貨を投入して、名前・生年月日・血液型・性別を入力していきます。
「なんかドキドキするネ」
「うん」
待つこと数秒。
結果がプリントアウトされた用紙が出てきました。
二人は、各々の占いの結果が書かれた用紙を手に取ると機械から離れました。
そして、同時に紙に目を落として……
「……………………」
「……………………」
そのまま硬直しちゃいました。
『
神岸あかり様
生年月日:2月20日
血液型 :O
性別 :女
あなたにとってのベストパートナーとなりえるのは……
・困っている人を見つけると放っておけない
・前向きで行動的
・やる気になればなんでも出来る
・一見ぶっきらぼう
・目つきが悪い
・時々、寒いオヤジギャグを発する
・格闘技同好会に所属している
・「しょーがねーなぁ」が口癖
・一度に10人を相手にしても楽勝な性欲魔人
・名前は藤田浩之
以上の項目を満たしている男性です。
―――というか、それ以外の人は認めません。ダメです。許しません。
そもそも、既に素敵なパートナーのいるあなたがこんな占いをしちゃいけません。
めっ、ですよ
』
「…………な、なにこれ?」
「ず、ずいぶんとグタイテキだネ」
「具体的すぎるってば」
占いの結果自体には文句はない二人。それどころか、これ以上はない最良の結果だったと嬉しくすら感じています。自分たちと浩之くんの相性の良さを証明してもらえた様なものですから。
(ちなみに、用紙に書かれていた内容は、二人とも全く同じでした)
だけど……いまいち腑に落ちないようです。
当然です。
相手の名前や口癖まで提示されるなんて普通だったら考えられません。しかも『それ以外の人は認めません』と断言されています。尚かつ、最後には怒られてますし。
この占い機、無駄に強気です。
こんな挑戦的で個性的過ぎる機械を作ったのはどこのメーカーなのだろう?
疑問を抱いたあかりちゃんたちは、筐体に書かれているであろうメーカー名を探しました。
そして、それはすぐに見付かりました。
筐体に記されていたメーカー名。
それは……
『(C)KURUSUGAWA SERIKA FUZITA』
「……………………」
「……………………」
言葉を失う二人。
もうこれだけで全て納得しちゃったみたいです。
……てか、あまりにもお約束すぎてぐうの音も出ません。
謎は全て解けたってところでしょうか。じっちゃんも安心です。
来栖川関係、しかも芹香ちゃんが絡んでいるのであれば、あの様な解答は至極当然。
占いをしたのが智子ちゃんでも綾香ちゃんでも葵ちゃんでも、全く同じ結果が出ることでしょう。
きっと、藤田家用にカスタマイズされているのでしょうね。
全国展開されているマシンにそんな要素を組み込むとは……来栖川ってお茶目です。
それにしても、芹香さんってばさりげなく藤田姓を名乗ってます。
そういうとこ意外と抜け目がありませんね。
素敵です。
まあ、それはさておき。
何というか、芹香さんの仕組んだイタズラに引っかかった気分のあかりちゃんとレミィちゃん。
脳裏に、ちょっぴり得意気な芹香さんの顔が浮かびました。
「……………………」
「……………………」
如何とも表現し難い敗北感にも似た気持ちにさいなまれながら、あかりちゃんとレミィちゃんは、その場で暫し呆然と立ち尽くしてしまうのでした。
「……………………」
「……………………」
そして、これからゲームセンターで遊ぶ際には、事前にメーカー名だけはしっかりとチェックしようと心に決める二人なのでありました。
< おわり >
< おまけのひとこと >
「…………ぶい、です」
(´`)v
< ひとことおわり >
☆ あとがき ☆
ゲーセンに置いてある『残りの寿命の長さ』を占うという機械。
この間偶々見付けたので友人たちとやってみたのですが……
何回試みてもマイナスでした。
見事なまでにゾンビ街道一直線です。
占いなんて……占いなんて……(泣)
あ、ちなみに今回のSSですが、
『藤田家のメンバーと生年月日も血液型も同じの同姓同名さんが占った場合はどうなるの?』
というツッコミは勘弁して下さい。いやマジで( ̄▽ ̄;
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