マルチの話 ~もしくは藤田家のバ家族日記~
あかり誕生日SS
顔
くのうなおき
かれこれ一時間が過ぎたのだろうか、オレは飽きるという言葉も忘れて、オレの腕の中で
眠るあかりの幸せそうな寝顔をぼーっと眺めていた。
今日・・・・厳密には日付が変わって昨日になるのだが、31歳の誕生日を迎えたとは思
えない少女のような体はしっかりとオレにしがみつき、その寝顔は無防備・・・・というよ
り、幼き子供が寄せる無限の信頼感に溢れていた。
「まったく・・・・マルチやひかるじゃねーんだからよ」
31歳の一人娘をもった人の妻であり母親らしかぬあどけなさに、オレは思わず苦笑を浮か
べてつぶやく。それが照れ隠しであるのは自分でも充分承知の上だった。ここで「突っ込み」
を入れておかないと、どんどん「深みにはまって」眠っているあかりを起こして「第2ラウン
ド」に突入しかねない、それだけあかりの寝顔は可愛らしくて、愛おしさを感じさせると同時
にオレの中に「性的衝動」を湧き上がらせていた。
マルチや琴音ちゃんに向ける「お姉さん」の顔、ひかるに向ける「お母さん」の顔、志保や
雅史に向ける「友人」の顔・・・・いずれもそれぞれがあかりの「本当の顔」であり、オレが
大好きなあかりの顔だ。しかし、やっぱりオレにとっては今見せているこの顔が一番感慨深い
ものがあった。
長い間・・・30年近くずっとオレに向けていたこの顔、ずっとずっとオレを想っていた証
・・・・そう考えると、オレの胸はがらにもなくどきどきと高まり、ぎゅうっと抱き締めたく
なる。
『いかんいかん・・・・ここで抱き締めたら・・・・・』
『しかし、ちょっとだけならいいよな?ちょっとだけなら・・・・・』
内心葛藤を繰り返しつつも、衝動側が次第に優勢となり、勢いあまってそのまま突入に至ら
ないように、そうっと左手を伸ばし、ゆっくり包み込むようにあかりを抱き締めた。
両腕に抱えながら髪をそっと撫であげながら、こんな愛しい顔が30年近くもずっとオレに
向けられてきたんだな・・・そう思うと、誇らしさとわずかな恥ずかしさ�、そしてわずかなす
まなさが頭をよぎった。
「悪りい・・・・」
もう十数年も経っている事なのに、今までも幾度か繰り返した言葉をまた呟いて、あかりを
抱き締める腕にわずかながらの力を込めた。
「まったく、こんな可愛いヤツに惚れられていた事から目を逸らそうとしてたなんて、今思え
ばとんでもねーアホタレだよな、オレって」
そんなオレの呟きなどまるで意に介していないように、あかりの顔は幸せいっぱいだった。
「でも、今までもそうだったけど、これからも・・・お前が、その幸せいっぱいな顔でいられ
るように、オレ頑張っていくからさ・・・・・別に罪滅ぼしとかじゃねーぞ、お前が大好きだか
ら言ってるんだからな」
起きている時には中々面と向かっては言えない想いをここで全て吐き出すように、オレは眠
っているあかりに語りかけた。
「くす・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!?」
突然あかりの口からかすかに漏れた笑い声に、オレは思わず両手を離してそのまま飛び退いた。目
の前にはバツ悪そうに「あ・・・えっと・・・その・・・・」とあたふたとしているあかりがいた。
「あ~~~~か~~~~りぃ~~~~~~~?お前、ひょっとしてずっと寝たふりしてたんかい!?」
じとーとあかりを見ると、あかりはぶんぶんと思いっきり首を振って
「ち、ち、違うよぉっ!浩之ちゃんにぎゅって抱き締められた時に目が覚めたんだよぉ・・・・でも
恥ずかしいから寝たふりしてたんだよ・・・・・」
ま、まあ・・・・とりあえず、あかりの言い分を信じるとしよう。
「しかし、寝たふりしていたのはいいとして、旦那様の『愛の告白』を笑うとは、中々いい度胸して
るじゃねーか、あ~~~ん?」
こっちも本気で怒っているわけではない、中々滅多に言わないような事を眠っているふりをしている相手
に真面目に語っていれば、それが可笑しくなくとも、何となく微笑ましさを感じて思わずくすりとしてし
まう事だってあるだろう。しかし、かなり心臓びっくりどっきり、顔から火が出るほど恥ずかしい思いをさ
せられた「仕返し」ぐらいはちょっとだけでもやっておきたいというものだ。
するとあかりは、さっきよりずっと激しく頭を横に振ってそれを否定した。
「それも違うよぉっ!わたし、浩之ちゃんがあんな事言ってくれてとっても嬉しかったんだからぁ・・・
・・・・でも・・・・・」
「でも?」
聞き返すと、あかりは頬を真っ赤にしながら下を向いた。オレはあかりの視線をたどった、そして・・・
「あ゛ぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!」
オレとあかりの視線の先には、オレの「何それ」が見事にかちかちになっていた。抱き締めて告白に
夢中になって、「何それ」があかりの太ももに当たっている事などすっかり忘れていた。
「とっても嬉しかったんだけど・・・・・・その・・・・・浩之ちゃんのが硬くなってるのを感じた
ら・・・何か・・・その・・『浩之ちゃんらしい』なぁ・・・って思って、つい・・・・・」」
「あ~~~~!!分かった分かったぁっ!!」
遮るようにオレは叫ぶと、あかりから目を逸らした・・・・ったく、こういうしょーもない所が「オレ
らしい」のかよ・・・・まあ、当たってるって言えば当たってるんだろーが・・・
「た、確かに・・・オレらしいと言えばオレらしいかもしれねーが・・・・・そもそも、お前がそんな
格好しているのが原因だぁっ!!」
素直にあかりの言い分を認めるのも少し癪なので、びしぃっと指をつきつけて、オレは「何それ」が
硬直した責任をあかりにふった。
目の前にいるあかりは、白地の少し食い込みが深いレオタードに、長めの手袋とニーソックス・・・・
メイドロボットのセンサースーツとも言うが・・・・に身を包み、耳にはしっかりHMX-13セリオ
のセンサーパッドを付けていた。白いレオタードと手袋とニーソックスは、あかりの体と手足にぴっち
りと色っぽさを強調するかのように貼り付き、耳のセンサーパッドは、その漫画的なデザインがあかり
の「少女っぽさ」をより引き立てていた。ううむ・・・・今度の日曜に「○ジラ・○宝特撮映画上映
大会」に付き合うのを条件に、セリオに頼んで譲ってもらった甲斐があったというものだ。
31歳の成熟した女の雰囲気と少女のような容姿を兼ね備えた妻が、そんな「せくしー(笑)」
かつ可愛い格好でオレに体全体を押し付けるようにしがみつきながら、幸せいっぱい「浩之ちゃんだぁ~~~~~~~~~~~~~い好き(はあと)」(照汗)な顔して眠っていたら、「硬直」してしまうのは当然だろうが!!
殆ど勢いのままに言ってるとしか思えないオレの強引な指摘ではあったが、元々が自分が言い出した
事でもあるから、反撃の言葉も出せずに「あうう・・・・」と、あかりは真っ赤になって唸るだけだった。
「という事でお仕置き決定♪」
そう言って、オレはあかりの両肩に手をかけ、ベッドに押し倒した。
しかし、あかりの反応はというと
「うん・・・・・(ぽっ)」
嬉しさと恥らいに頬を染めて目を潤ませた「貴方を信じてます♪」な顔でオレを見つめてきた。
「あっ、えっと・・・・・・」
「なぁに・・・?」
加えて、この甘ったるい囁き・・・・・・
「い・・・・・いいか、これってお仕置きなんだぞ?」
念を押すように言ってみるが、あかりの表情は全く変わらず
「うん・・・・だから、いけないわたしに・・・・お仕置き・・・・して・・・・」
「う゛う゛・・・・・」
オレはそれ以上突っ込む事ができなかった。ちょっとあかりに「えぇ~~っ、そんなぁ~・・・」と
困った顔をさせてみたかっただけなのだが、そんなオレの意地悪な意図はお見通しというか、オレが
本気で困らせることなどはなっから念頭にないというか、あかりは「無限の信頼」を顔いっぱいに溢れ
させてオレを見つめていた。正直調子狂いまくりなのだが、しかし、だからといってそのあかりの顔が
嫌なわけではないから始末に終えない。
『やっぱり、あかりにはかなわねぇ・・・・・色んな意味で』
オレは苦笑を浮かべると、その愛しく、心を昂ぶらせるその顔に自分の顔を近づけて、オレのそれが来る
のを待つように半ば開いた唇にゆっくりと、次第に激しく吸い付き、舌を差し入れた。お互いの舌を絡ませ
合いながら、オレはあかりの体中に愛撫の手を這い回らせる。唇を離すと、快感を訴えるあかりの喘ぎ声
が唇から尽く事無く溢れ出した。こんな時でもあかりの顔は、やはり「無限の信頼と愛情」に満ちていて、そ
れに感化されたのか、オレはあかりに意地悪をしてやろうという気は全く失せ、ひたすらにあかりを気持ち
よくさせる事に夢中になった。
ずっとずっと変わる事無くオレを見つめていたその顔、照れくさくて、それを失う事が怖くて、目を
そらした事もあった。だけど、あかりのその顔がずっとずっと好きだった。今までも、そしてこれから
も・・・・・・
だから、これからもずっと変わる事無くあかりを愛していく、その顔が悲しみに崩れないよう、ずっと
幸せに輝いていくよう・・・・・・
あかりの声はいっそう甘く、そして激しくなっていった。バースデーナイトは、まだまだこれからが
本番だった。
○ ○ ○
ようやく日差しも暖かくなり、風も強くなく、といって全然吹いていないわけでもない快晴の日。
青い空をバックに濡れたお布団がぱたぱたと揺れています。
その、のどかなで微笑ましい光景に目を細め、隣にいるあかりさんに目を向けると、ちょうどあかりさん
と目が合いました。
「あうう・・・・・・」と顔を真っ赤にしてもじもじとしだし、「だって・・・・浩之ちゃんのが・・・
とっても気持ちよかったんだから・・・・・」と、言い訳なのかお惚気なのか分からない事を言い出すあか
りさん。うふふっ、そんな事を言い出すときのあかりさんの顔って、わたしがお二人のもとに来てからず
っと変わっていませんね♪
口では恥ずかしがっても、いえ、恥ずかしい気持ちもあるのでしょうけど、それ以上にとっても嬉しそうな
顔・・・・・浩之さんへの想いで満ちている、ずっとずっと変わらないわたしの大好きなあかりさんの顔。
「・・・・マルチちゃん、どうしたの・・・・?」
はわっ、何時の間にかあかりさんの顔に見とれていました。でも、わたしは目を逸らす事無くじっと、大好
きなその顔を見つめます。
「あかりさん・・・・とっても幸せそうな顔してます・・・・」
そう言うと、あかりさんは頬は相変らず真っ赤にしながらも、嬉しい気持ちを隠さずに
「うん・・・・」
と頷きました。何年たっても変わらない、その「大好き」な気持ちに溢れたそれでいて、ちょっと照れくさ
そうなその素敵な顔・・・こんな優しい人、こんな素敵な人が、浩之さんのお嫁さんである事が、ひかるちゃん
のお母さんである事が、そしてわたしのお姉さんである事が・・・とってもとっても嬉しくて、胸がきゅうって心地よく
締め付けられて・・・・それでもわたしは、あかりさんのその素敵な笑顔をじっと見つめ続けました。あかりさん
の幸せの・・・お二人の幸せの・・・・そして、わたしとひかるちゃんも入れた四人の幸せの証でもある、その笑顔
を・・・・・・・・・・・
・・・・・・・あかりさん、これからもずっとずっと、その素敵な顔をわたしに見せていて下さいね。
終
後書きにもならない一言
あかり誕生日記念SSです
さ あ 、 の た う ち ま わ れ (笑)
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