To Heart SS マルチの話
いやダメ
くのうなおき
朝から時折小雨模様だった天気が、午後にはいって本降りになった日曜日
こんな雨の日には、どこへも出かける用もなく、藤田家の四人は本を読んだり、テレビ
を見たりと、家のなかでのんびりとした一時を過ごしていました。
「あら・・・?」
ひかるちゃんと一緒に絵本を読んでいたマルチお姉ちゃんは、自分の膝の上にひかるち
ゃんが頭を乗せて寝息をたて始めたのに気づくと、持っていた絵本を置いてひかるちゃん
の頭を寝やすいように自分の膝の上におきかえて、ひかるちゃんの頭に手をおきます。
ひかるちゃんの髪を梳くように頭をなで上げると、ひかるちゃんはとっても気持ちよさ
そうに「う・・・ん・・・」と声を出して、マルチお姉ちゃんに「もっとして」とおねだ
りをするかのように頭をマルチお姉ちゃんの手にすりつけました。
そんなひかるちゃんの様子を、浩之お父さんが「ふふふっ」と軽く笑いながら見つめてい
るのに気づいたたマルチお姉ちゃん
「・・・・?浩之さん、どうしたんですか?」
と訝しげに尋ねます。
「いや、ひかるを見てると、昔のマルチによく似てるなと思ってな」
「昔のわたし・・・ですか?」
「ああ、ひかるが生まれる前のお前って、今のひかるそっくりでさ。充電中に頭を
撫でると同じように頭をすりすりさせておねだりしてたんだよな」
あかりお母さんも「うんうん」と頷いて
「少し手を休めると顔が不安そうになっちゃってね、それでまた撫でてあげると幸せそ
うな寝顔に戻って・・・うふふっ、寝ている時もマルチちゃんって甘えん坊さんだったん
だよ」
「その甘えん坊さんが、今では甘えられる立場になったってのは、いや感慨深いものが
あるなぁ」
少し冷やかすように浩之お父さんが言うと、マルチお姉ちゃんはぷうっと頬を膨らませ
「もうっ、わたしだって何時までもお子様じゃないんですよ。これでもひかるちゃんの
お姉さんなんですから」
「だから、何時までも頭なでられて喜んではいられないか?」
「え・・?そ、それは・・・・・・」
突然ふられたちょっと意地悪な質問に声を詰まらせるマルチお姉ちゃん。そんなマルチ
お姉ちゃんの頭を、突然浩之お父さんは抱き抱えて、マルチお姉ちゃんがひかるちゃんに
したようにマルチお姉ちゃんの髪を梳くようにして頭をなで上げます。
「あ、あ、あ、あ・・・ひ、浩之さん・・・・・・・!?」
最初は戸惑い気味だったマルチお姉ちゃんですが、浩之お父さんのなでなで攻撃の前に
たちまち目がとろーんとなって、気持ちよさそうな顔でなすがままになってしまいました。
「ははは、なんだかんだ言っても、こうやって頭を撫でられるとふにゃふにゃってなる
のは、マルチもひかると大して変わってないってことだな」
「ううっ・・・浩之さんいじわるですっ・・・・・・」
浩之お父さんのからかうような口調に抗議するマルチお姉ちゃんですが、その言葉とは
逆に、声音にはたっぷりと甘さが含まれています。そんなマルチお姉ちゃんの様子に浩之
お父さんは目を細めて
「ばかやろ、オレやあかりから見れば、マルチもひかるも大して変わんねーんだよ。
何時までたっても・・・頭を撫でられると喜ぶ、可愛い大切な甘えん坊さんなんだよ・・・」
そういって、優しく愛しそうにマルチお姉ちゃんの頭をなで上げる浩之お父さん。
マルチお姉ちゃんはすっかり酔ったような表情になり、頭を浩之お父さんの胸にすりつけ
ています。
そんな二人を微笑ましそうに見ていたあかりお母さんですが、次第に頬が赤くなりだして
マルチお姉ちゃんのように、目をとろーんとさせて浩之お父さんににじりよってきました。
「お、おいっ、どうしたんだ、あかりっ?」
突然、ぴとっと密着するように寄り添ってきたあかりお母さんに、ちょっとびっくりした声
をあげる浩之お父さん。あかりお母さんは、まるで熱にうかされたような表情になっていまし
た。
「マルチちゃんの嬉しそうな顔を見てたら・・・わたしもなでなでして欲しくなっちゃった
・・・・・・」
と言って、あかりお母さんは上目遣いに浩之お父さんを見つめます。その子犬が何かをねだる
ような愛らしい仕草に、浩之お父さんはたちまち顔を赤くして目を逸らします。
「わ、わかったかから・・・今はちょっと待ってくれ(汗)」
「あのう・・・・浩之さん・・・・わたしならもう・・・充分満足しましたから・・・」
何故か息も絶え絶え気味に、顔を真っ赤にしているマルチお姉ちゃん。「そ、そうか・・」
と浩之お父さんは、マルチお姉ちゃんの頭を離してあげました。するとマルチお姉ちゃんは
へなへな~~~と崩れてしまい、慌ててあかりお母さんが抱きかかえました。
「あかりさん・・・やっぱり浩之さんのなでなでは凄いです・・・・」
と呟くマルチお姉ちゃんに、あかりお母さんは胸をいっそうどきどきさせて「うん・・・」
と頷きました。
そんなあかりお母さんに、浩之お父さんの中でちょっぴり意地悪な気持ちとサービス精神
がたちまち湧き上がってきました。
「さ、あかり来い来い♪」
とあかりを手招きする浩之お父さん、あかりお母さんは目を閉じて浩之お父さんに頭を寄せ
ますが・・・・・
さすりさすり♪
「あ、あうっ・・・・!!ひ、浩之ちゃ・・・・・んんっ・・・・!!」
まさか顎の下を撫でられるとは思わなかったあかりお母さんは、突然襲った刺激にビクン
ッ!と体を弾ませ声をあげました。
「ふっふっふ、やっぱりあかりはアゴの下が感じやすいんだな♪」
といって、少し意地悪な笑みを浮かべながら、浩之お父さんはあかりお母さんの顎の下を
すりすりと撫で上げます。
「あうっ・・・浩之ちゃん・・・そこ・・・違うよぉ・・・・」
ハァハァ・・と、息も荒く抗議するあかりお母さんですが、そんなことにお構いなく浩之
お父さんはあかりお母さんの顎の下を撫で続けます。
「ん?嫌だったらアゴをどければいいんじゃねーの?ほれほれ♪」
「はうっ・・・・・・意地悪ぅ・・・あ、あんっ・・・・!!」
また感じる部分を刺激されたのか、先程よりいっそう高い声をあげるあかりお母さん。
ですが、顎はしっかり浩之お父さんの手にはりついていて離す様子は全くありません。
さすりさすり・・・・・♪
「あ・・・うっ・・・だ、だめ・・やぁん・・・そこ・・・ あうぅっ・・・!」
す~~~りす~~~りなでなで・・・・・・♪
「いや・・・・いやっ・・・・はぁ・・だめだよぉ・・・ああっ・・・・!!」
生クリームの上に砂糖をいっぱいまぶしたがごとく甘々な「喘ぎ声」をあげるあかりお母
さん。これはもう、「頭を撫でられたら気持ちよくて、つい出てしまったため息」なんても
のではありません。
そんなあかりお母さんにドキドキしている浩之お父さん、顎を撫でる手にいっそうの力が
こもり、あかりお母さんに更なる快感を与えます。
「あかり・・・とっても可愛いぜ・・・・」
すりすり・・・・・♪
「あ、あふ・・・・やぁ・・・んっ・・・・ああ・・・ ♪」
「はわ・・・・まるでエッチなことしてるみたいです・・・・」
オーバーヒート寸前なのを必死で抑えて、固唾を飲んで二人のいちゃつきぶりを見るマルチ
お姉ちゃん。二人を止めようなんて意識は全くないみたいです。
と、突然
「お父さん、お母さんをいじめちゃだめ~~~~~っ!!」
あかりお母さんの声に目を覚ましたらしいひかるちゃんが、浩之お父さんとあかりお母さん
の間に飛び込んできて、あかりお母さんをかばうようにして両手を広げました。
「「えっ、あっ、その・・・・・・・」」
いちゃつくのに没頭しすぎて、そばでひかるちゃんが寝ているのをすっかり忘れていたお二
人さん。突然の可愛い闖入者の出現に、目をぱちくりさせながらどもってしまいました。
「お父さん、お母さんがいやがってることして、お母さんをいじめちゃいやだよ・・・・」
目に少し涙を浮かべながら浩之お父さんに訴えるひかるちゃんに、浩之お父さんはどう言った
ものかと困った表情を浮かべています。あかりお母さんは、二人を見て苦笑しながら後ろから
ひかるちゃんを抱きしめました。
「違うのよ、ひかる。お母さん、お父さんにいじめられてたわけじゃないのよ」
「え・・・でも、お母さん『いやダメ』って言ってたのに・・・」
「あっ、そ、それは・・・・・・」
先程の「痴態」を思い出して、思わず顔が赤くなるあかりお母さんでしたが、ここは母親らし
い所を見せるために、動揺する心をぐっと抑えてひかるちゃんに諭すように話だしました。
「うん、あれはね、あんまりにもひろゆ・・・お父さんのなでなでが気持ちよくて言っちゃっ
ったのよ」
別の意味で「イっちゃった」と言う方が正しいのではないかと思うのですが。ひかるちゃん
は、そんな事に気付くはずもなく、「どうして気持ちよすぎると『いやダメ』って言うの?」と不思議そうな目であかりお母さんを見つめます。
そんなひかるちゃんの視線に、「どうしよう?」と一瞬悩みながらもあかりお母さんは、堂々
と臆することなく「大人の決め言葉」を使いました。
「ひかるも大人になったら、必ず分かるわよ」
「本当に大人になったら分かるの?」
「うん、絶対に分かるわ」
ひかるちゃんの目をじっと見つめて自信満々に答えるあかりお母さん。ひかるちゃんは少し
まだ疑問が残ったものの、あかりお母さんの言葉を信じることにしました。
もっとも、ひかるちゃんからすれば、いつもお母さんに優しいお父さんが、お母さんをいじめる
という事自体信じられないのですから、あかりお母さんが「いじめられてはいないのよ」と言った
らそれを素直に受け止めてしまうのですが。
「うん、分かったよお母さん」
ひかるちゃんは、こくんと頷いてそう言うと、今度は浩之お父さんの方に目をむけました。
「ねえお父さん、わたしにもお母さんと同じことして!」
「な、なっ・・・・!?」
先程に続いてまたも目をぱちくりさせる浩之お父さん。でも、ひかるちゃんは無邪気な笑顔
で続けます
「わたしもお母さんと同じように気持ちよくなりたいの」
邪な考えで受け止めれば危険極まりない発言ですが、ひかるちゃんからすれば「大好きなお父 さんに、『お母さんが『いやダメ』と言うほど『気持ちいい』事』をされてみたい」
という無邪気な好奇心から言った事にすぎなくて、浩之お父さんにもひかるちゃんに「変な事をす
る」という考えはありません。
浩之お父さんさんは苦笑を浮かべてあかりお母さんとマルチお姉ちゃんの方を見ます。
二人は目で「ひかるにもなでなでしてあげて」と答え、浩之お父さんはひかるちゃんを抱きかか
えました。
「よし、ひかるにもお母さんと同じようになでなでしてあげるからな」
「うんっ!!」
と答えると、期待に目を輝かせて顎をくいっと出すひかるちゃん。『本当、あかりに似てきた
なぁ・・・』と思いつつ、浩之お父さんはすりすりとひかるちゃんの顎を優しく撫ではじめまし
た。
「ひゃんっ!!」
思わず声をあげるひかるちゃん、浩之お父さんはにっこり笑うと
「はははっ、もうダメかな?ひかるは」
と、ちょっとからかうような感じで言います。
「ううん、そうじゃないの・・・なんか頭なでられるのとは違うような・・・・感じがして
びっくりしちゃっただけだよぉ・・・・」
はじめて感じる気持ちよさにぼ~っとした表情で答えるひかるちゃん。そんなひかるちゃんの
様子に、浩之お父さんは嬉しそうに微笑みを浮かべて
「よし、それじゃあもっとひかるにサービスしてあげるか」
と、さらになでなでする範囲を広げました。
ひかるちゃんはぎゅっと浩之お父さんにしがみついてされるままになり、そんなひかるちゃん
を、あかりお母さんとマルチお姉ちゃんはまるで自分達の姿を見ているような感じに苦笑を浮か
べながらも、優しさに満ち溢れていた目でひかるちゃんを見ていました。
・・・・とりあえず、今日一日は浩之お父さんの「なでなでサービス」で終わってしまい
そうですね。だって、ひかるちゃんを見ているあかりお母さんとマルチお姉ちゃんの目が
『次はわたしだよ~~~~~~』
『その次はわたしです~~~~』
と、爛々と輝きはじめたのですから・・・・・・・・・・
さてさて、そんな二人が眺めているひかるちゃんですが
すりすり・・・・なでなで・・・・・・・♪
「はう・・・・・ふにゃ・・・・・・」
浩之お父さんのなでなでに、早くも夢見ごこちになったひかるちゃんは、いつもお父さんにし
てもらっている頭のなでなでとはまた違った気持ち良さに、なんであかりお母さんが「いやダメ」
と言いながらも、浩之お父さんになでなでされたがっていたのかが、何となく分かったような気
がしました。
そして、ふとある事に気が付きました。
『そうかぁ・・・・あんまり気持ちよすぎちゃうと、『いやダメ』って言っちゃうんだね・・・』
『あ、だから琴音先生は『いつも』、『いやダメ』って言ってる時、あんなに嬉しそうな顔するんだ・・・・』
『・・・・そうすると、琴音先生は『いつも』とっても気持ちいいことされてるのかな・・・?
う~~~ん、でも、いったい誰が琴音先生を気持ちよくさせてあげてるんだろ・・・・いつも一人
で『いやんいやん』って言ってるんだけど・・・ もしかして、お化け・・・?』
・・・・・・・ひかるちゃん、それはきっと「大人になったら分かる」と思いますよ。
終
後書き
最後に「マルチ」を書いたのが2月21日で、2カ月ぶりの「マルチ」となりました。
まあ、なんというか・・・2カ月のブランクがあっても、やってる事全然変わっていま
せんね。「これが本来の貴方だろ?」と言われたら、もう返す言葉も出やしないのですが。
しかし、ここ2カ月ばかり、全くSSが書けないという事態が続きまして、一時は「も
う自分にはSS書く能力が無くなったんじゃないか」とまで思うほどに鬱にもなりましたが
、ようやく復調のきざしが見え出しました。
「あまり細かいことをうだうだ考えず、自分の思うように書く」結局、色々悩んだ末に出た
結論がこれで、まあ、所詮は素人のやる事、所々に穴が出るのは必然なことであって、それを
一々気にしてたら仕方ないと。
これからも、全く書けないという事は起こるかもしれません。しかし、先に書いた事を念頭
に置いて、あんまり焦らずやっていこうと思います。
�@���@�R�����g�@��
�����@�F�u���A�C�����B�_�����������v
�Z���I�F�u�������B
�@�@�@�@�@�����������������������A�������������������������������������������v(�P�[�P)
�����@�F�u���A�����������������v
�Z���I�F�u�����������`�v(�P�[�P)
�����@�F�u���A�z���g�����������v
�Z���I�F�u�����������B���A�������������B
�@�@�@�@�@���������������������������������������������v(�P�[�P)
�����@�F�u���A���������B���A�������A�������A�������H�v
�Z���I�F�u�������������B�������A�����������f�����������E���U�����������������v(�P�[�P)
�����@�F�u���A�C���c�c�_���c�c�v
�Z���I�F�u�w�����_���x�������������A�����m�������t�������������B
�@�@�@�@�@�������������������������B���������������v(�P�[�P)
�����@�F�u���A�����������I�H�@�������s���������������������I
�@�@�@�@�@�����A�N�������������������������������`�I�H�v�i�����G
�Z���I�F�u�C���������C���������B���������������A
�@�@�@�@�@�������w�����q�[���[�c�u�c�I�[���i�C�g�����x���y�������������I�v�i�O�O�O�j�^
�����@�F�u�����`�`�`���I�@�_���`�`�`�`�`�`���I�I�v(T��T)
����