――ある日曜日の朝。
普段よりもやや遅めに目を覚ました浩之は、ベッドの上で、今日一日をいかにして過ごそうか思案していた。
「さーて、どうするかな。みんなを誘ってどこかに遊びに行くのもいいな。遊園地とかに連れていってやったら喜ぶだろうし……」
浩之の脳裏に、目を輝かせてはしゃぎ回るマルチと葵の様子が浮かんだ。
「でも、思いっ切りダラダラゴロゴロと自堕落に過ごすというのも……」
芹香や琴音と一緒にボーッとしている自分を想像して、浩之は『それも捨てがたいな』と思った。
「もしくは、たまには真面目に勉学に打ち込んでみてもいいかも……」
レミィや理緒と共に、セリオと智子にスパルタ教育を受ける自分の姿を考えてみる。
「…………やっぱりパス」
心底ウンザリとした表情であっさりと打ち消す。今の案は即行でお流れとなった。
「やっぱり、せっかくの休みなんだから楽しい事をしたいよな。例えば……」
ニヤリとした笑いを浮かべる浩之。
「一日中、淫靡な悦楽にまみれるとかな。クックックッ」
浩之は、頭の中で、あかりと綾香にとても口では言えないような事を行いまくる。
想像の中で可愛らしい姿を晒す二人に、浩之は満足そうに笑みを零した。
「よし、決めた! これだ! 今日はこれで行こう!」
ググッと握り拳を固めて、ベッドの上に仁王立ちをして浩之が叫んだ。
――その瞬間、
「浩之ちゃん!」
バタンッと大きな音を響かせながらドアを開けて、あかりが血相を変えて飛び込んできた。
「うわ~~~~~~っ!! ごめんなさいごめんなさい。ウソです冗談です戯言です」
あまりにもタイミングよく、尚かつ勢いよく現れたあかりに驚いた浩之は、ついつい反射的に謝りまくってしまった。
「…………へ?」
あかりは、そんな浩之の姿に呆気に取られてしまう。不思議そうな顔をして、浩之にクエスチョンマーク付きの視線を送ってきた。
「な、なに? どうしたの浩之ちゃん?」
「『どうしたの?』って……お前……聞いていたんじゃねーの? 俺、てっきり……」
「? 何を?」
「い、いや……その……なんだ……べ、別になんでもねーよ。聞いてないんならそれでいいんだ」
変な姿を見せてしまった恥ずかしさ、ばつの悪さ。聞かれていなかった安堵感。それら様々な感情が入り混じった複雑な表情で浩之はあかりに応えた。
「?」
その浩之の様子に、あかりがさらに不思議そうな顔になる。
「…………気にするな」
「? ? ?」
「気にするなっつーの。いいな!」
やや強い口調で浩之が念を押す。
「う、うん。わかった」
あかりは、何が何やら分からないといった風情でコクコクとうなずいた。
「それより、お前こそどうしたんだよ? あかりがノックもしないで部屋に飛び込んでくるなんて珍しいじゃないか」
「あっ! そうそう!」
浩之からの言葉に、あかりはハッと我に返った。
「大変! 大変なんだよ浩之ちゃん!」
「大変? 何かあったのか?」
「それは……口で説明するよりも見てもらった方が早いよ」
そう言うと、あかりは浩之の腕を引っ張った。
「浩之ちゃん、来て!」
「お、おい。引っ張るなって」
「いいから! 早く!」
「お、おう」
あかりの剣幕に負け、素直に首を縦に振る浩之。
そして、あかりに腕を引っ張られたまま、居間までやって来た。
「なんだよ。いったい何があったって言う…………」
居間に入った瞬間、浩之の動きが固まった。
彼の眼前では、とんでもない光景が繰り広げられていたのだ。
「な、な、なにやってるんだお前らはーーーっ!?」