「む…う」 私の名はカレン 歴史保安警察の『優秀な』C級警官である。 (その割にあのミソッカスの方が知られてる気もするが、優秀な私は気にしません) レポート・82409002(呼称・NWと呼ばれる現地時間に基づく) 本日の活動内容 AM0800 起床 アラームの音が部屋に響く。ブラスターの機能である目覚ましだ。 「ん」 ベッドからずる、と這い出す。 「全く…何故睡眠をとる必要があるのでしょう」 世の中に文句を言いつつ、シャワーを浴びに浴室へと向かう。 汗を吸ってべとつく服を廊下に脱ぎ捨てた。 ずるっ、こけっ、ごん 「…自分の寝巻きに足を引っ張られるとは…不覚です」 不機嫌な声を上げて寝巻きを蹴っ飛ばした。そのまま足を滑らせた。 AM0930 朝食 トーストに目玉焼き。夏野菜のサラダに一杯の紅茶。 口の中で焼きたての小麦の香りが広がる。 「そう、朝はやはり優雅に過ごすべきです」 額の絆創膏をしっかりと貼り直すとふふん、と呟きつつ紅茶を口に運ぶ。 「あつっ!」 涙目になりながら、舌を出した。 AM1030 散歩 詩歌の国は北国である。通年深い雪に閉ざされているのが特長とも言えるであろう。 が、ここ最近の気候は(北国としては)暖かなものであり、随分と人の行き来があった。 そんな中をカレンは一人歩く。 「この辺りは裕福な人間が多いのでしょうか。後で聞いてみましょう」 と、誰かの顔を思い浮かべながら通り過ぎる。 周りの人々からは、あまりにも面積の少ない服装にたくさんの視線を向けられている。 「賑やかですね」 気づいているのかいないのか、カレンは海岸へと足を伸ばしてみることにした。 PM1200 昼食 「同じ失敗は二度しません。優秀ですから」 ふふん、と胸を張る。そのテーブルには冷製パスタが乗っけられている。 「まあまずは喉を潤しましょう。歩行した分の水分も補給したいですし」 と、よく冷えた水のグラスに手を伸ばし口に含んだ。 「―っ〜!」 どうやら氷を含んだ時に午前中やけどしたところに張り付いたようだった。 PM1300 昼食後の散歩がてら周辺のパトロールを行う 「静かなもんですね」 と、午前中に途中まで足を伸ばした海岸沿いを歩く。 砂浜に足跡が残る。が、すぐに波に飲まれていった。 遠くを見れば、ソットヴォーチェが誰かを背に乗せて泳いでいる。 のんびりとしたその光景に、おもわず そう、思わずくすり、とカレンは笑ったのだった PM1400以降 (プライベート案件につき、報告書への記載免除権を執行) 概要・今のところは特に概ね異常なし。 コールがあり次第、出動を行うため現状待機します 「ふう…報告書はこんなものですかね」 「あ、カレン先ぱーい」 「うわっ!…ミソッカス、何故ここに出張っているのですか」 「レイカちゃん通りがかっただけだよ?」 「私は今報告書を上げている最中なのです。わかったらあっちへ行きなさい」 「はーい。あ、そうだそうだ」 「何かまだ用でも?」 「先輩さっき街中でちゅーしてましたよねぇ?」 「はぃぃ!?…そ、そのことを誰かに言ったりはしてないでしょうね?」 「大丈夫ぅ」 「そ、そうですか…なら問題は」 「仕事中だったからぁ、ちゃんとレイカちゃん報告書にまとめておきましたぁ!」 「何やらかしてくれてるんですかこのミソッカスーーーーーーー!」 スパーン!といい音を立てて、ハリセンがレイカの顔面に突き刺さるのであった。 私の名はカレン。カレン・オレンジピール。 歴史保安警察の「優秀な」捜査官であり 一人の男が気になる、女である。