ドキドキの初対面〜後日談〜 作:1100230:玄霧弦耶 /*/ さびたコーラル改め、蒼のコーラルが蒼家で暮らすようになって早一週間。 コーラルは、新たな家族たちに受け入れられて平穏な生活を送っていた。 最初の数日はまだ微妙に違和感があったり、コーラルが三つ子の特殊な力に驚いたりすることもあったものの、次男・柘榴の活躍(というかなんというか)により、一週間たった今では大分馴染んできている。 というのも柘榴とコーラルの関係は特に良好で、ともすれば他の兄弟が嫉妬するほどであるとも言えた。 が、家族全員が一つの目標・・・即ち、「おかーさんをたいせつに」を目標とすることで、一週間の間では大きな問題には発展しなかった。 細かい部分では何かしらあったかもしれないが、ここではあえてそう書いておく。 そのほうが、らしいからである。 そうして丁度一週間後の今日。 ちょっとした規模だが、なんだかんだで出来なかった歓迎会を家族水入らずで行っているところであった。 本日、蒼孝は朝からお休み。 『微妙に子供達に懐かれていないんじゃないか』とさりげなく気にしているお父さんこと、父なる忠孝は良いところを見せようと張り切って準備をしていた。 勿論その間、子供達の相手は母なるあおひとが行う。 たぶん、こういうふれあいが少ないから越えられない壁を感じるんだろうとは思うが、あえてそれは言わぬが華である。 何処の世界も男親はそんなかんじです。たぶん。 閑話休題。 そんなこんなで朝から用意をはじめ、つい先ほど始まったところである。 「じゃ、みんないいですかー?」 あおひとの問いかけにグラスをもって頷く三つ子+1と忠孝。 もちろん、琥珀もさりげなく頷いている。こちらは、流石にグラスを持ってはいないが。 「それじゃあ、新しい家族を祝って、かんぱーい!」 皆でグラスを前に出す。 恐らく、三つ子たちはいまいち理解はしてないがそういうものだという把握はできているのだろう。 ちなみに、柘榴もちゃんと起きている。 それぞれがコーラルのもつグラスに自分のグラスを当てていき、思い思いの声をかけていく。 コーラルはコーラルで、それぞれに小さく、気恥ずかしそうに、でもはっきりとありがとう、と返していった。 その光景を忠孝とあおひとは二人で眺め、この調子なら大丈夫そうだ。と思うのであった。 /*/ それからというもの、三つ子とコーラルは更に打ち解けていった。 特に柘榴とは前以上に仲良くなっており、遊ぶときも一緒、寝るときも一緒。 何をするにも一緒で、そのせいで喧嘩が起きたりも、した。 その都度父なる忠孝は子供達に説教をし、三つ子たちは拗ねたりむくれたりする。 お陰で三つ子内での忠孝株が変動し、軽く涙目な状況にもなった。 ありていに言って、ちょっとした家庭崩壊寸前であった。 それでも、やはり母は強し。なのだろうか。 母なるあおひとが泣くと、喧嘩も、説教も、拗ねてむくれるのも、ピタリとやんだ。 父なる忠孝といえば、その光景を見ては毎度毎度打ちひしがれ、あおひとにぎゅーされて慰められる始末だった。 あおひとにしてみれば「そういうところもかわいい」ではあるが、忠孝側は微妙な心境だろう。心中、お察しする。 /*/ その後は、多くを語るまい。 どんなに幸せな家庭でも、喧嘩もあればお説教もある。 子供達だって生きている以上、拗ねることも泣くことも、文句だってある。 毎日笑顔で過ごせるのは素晴らしいことだが、それだけではいけないことも、ある。 その点で言えば、蒼家は理想の家族ではなかろうか。 頼りになる父に、優しい母。かわいい子供達と、番猫。 たまに喧嘩もするが、直ぐに仲直りする。 泣くこともあるが、笑顔になれる。 子供達のことで右往左往することもあるけど、最後は皆を抱きしめることが出来る。 今後、子供達が成長していくなかで大きな出来事は山ほどあるだろう。 良いこともあれば、悪い出来事もある。子育てをしたことのない作者には想像もつかない出来事もあるだろう。 だがしかし。 子供達を抱きしめること。それが出来れば、十分ではなかろうか。 素人考えながら、作者はそう思う。 それでは、そろそろ蛇足が過ぎるので、蒼家の変わらぬ幸せを願いつつこのあたりで筆を置くことにしよう。