clover@天領 の発言: 依頼ありまとうございました。さっそく作成にはいりまするが clover@天領 の発言: 高守さんの趣向がいまいちわからんのですよ ミーア@ややハライタ の発言: おお ミーア@ややハライタ の発言: そかそか ミーア@ややハライタ の発言: ちーちゃんはね ミーア@ややハライタ の発言: バロ大好きなんだけど ミーア@ややハライタ の発言: 素直になれない子なの ミーア@ややハライタ の発言: 基本が clover@天領 の発言: ツ ン デ レ だ な  ミーア@ややハライタ の発言: まさにツンデレだから ―筆者と依頼者、SS作成前の打ち合わせ― /*/ 解説「全アイドレスプレイヤー何百人の皆様こんばんは。幸せの生活ゲーム、もしくはトラウマの時間がやってまいりました。生活ゲームのログを実況風に解説してしまおうというこの番組、今回で2回目を迎えます。今回の犠牲者は愛鳴藩ミーア様、紅葉国高守千喜様です。」 ゲスト「ミーア!高守千喜!この筆者にログをSS化させようという命がけの行動、僕は敬意を表する!!」 解説「前回も同じ台詞を言ってませんでしたか」 ゲスト「…」 解説「ギャグの基本は使いまわしなんて言わないでくださいね」 /*/ 戦場。ここはその片隅。剣歌も弾響もここには届かないけれど、鉄と、錆と、血。その臭いが風に乗ってここまで漂ってくる。長くは居たくない。何故なら修羅場の臭いが体に染み付いて、落ちなくなってしまうから。そんな気にさせる陰鬱な、場所。 そんな陰鬱さに追い討ちをかけたのが千喜の心の泉から浮かび上がった、感情。 それは罪悪感。 千喜に対してバロは笑顔を向けた。だけれど彼女はその笑顔をまっすぐ見れなかった。 気持ち悪い、自分の生の感情。本来ならバロの笑顔を見れば表情には出さずとも、小さなその胸は幸せで一杯になるはずだった。だけれど、いまはそうならない。彼の笑顔が、今の自分には眩しすぎた。 ただ、彼に対してひどいことを考えていた自分のことが気持ち悪いと、そう思った。 「うん?」 いつもと違う千喜にさすがのバロも疑問を抱く。どうしたんだろう、と。 それを察してか千喜は意を決して謝ろうと思った。そして、ごめんさなさいと言って― 「バロ様始めまして。ミーアといいます…バルク様はどちらでしょう?」 人見知り全開で彼女の後ろに隠れていたミーアの台詞に全部を食われた。 /*/ ゲスト「いい友情関係ってのには、3つの<U>が必要なんだなあ。ああ、一つ目はな<うそをつかない>だ。2つ目は<うらまない>そして3つ目は<くうきをよむ>…いいだろ?友情の、3つの<U>だ」 解説「すばらしい友情ですね!ミーアさんが重苦しい空気を打開しようとして会話を挟んだってい解釈はちょっと無理がある気がしますが、結果として重苦しい会話の流れから外れたわけですから!これぞ友情の大勝利ですね!!」 ゲスト「Exactly!」 解説「ところで<くうきをよむ>ってU関係なくないですか」 ゲスト「Exactly!」 /*/ バルク様、バルク様、バルク様。 ミーアの頭の中はそれで一杯だった。 朝起きてバルク様。昼寝をしてバルク様。夜寝る前にバルク様。洩れなく三食バルク(妄想)付の素敵生活である。 だけれど、そんな素敵生活も当のバルクが危険な状況にあれば、天地逆転、まったく素敵な生活ではなくなってしまう。 朝起きてバルク様心配。昼寝をしてバルク様心配。夜寝る前にバルク様心配。洩れなく三食バルク様心配(現実)付心労入院生活である。 そして、今回もまた、バルクは怪我をしていた。 「(けがしとったー!!@@)」 ミーア、ではなく千喜、先ほどの陰鬱なムードなぞどこ吹く風で慌てていた。本来なら、いの一番で慌てたはずのミーアは慣れたもので、冷静でいる。 表面上は。 彼女の心の大海は下にゆれ上にゆれの大嵐だった。精神の安定と言う名の非力な小船はただ嵐に翻弄されて、いまや転覆寸前である。その証拠に、ミーア、倒れそうになった。 「バルクは危険な状況なんですか?」 「ははは。心配には及ばん」 「心配するに、きまっているでしょうが!」 「黒はそういうもんだ」 ギャーギャー、ワーワー。そんな二人のやり取りと、愛する人のために何かできないかと必死でフル回転する頭だけがかろうじてミーアをこの現実に繋ぎとめていた。少しでも気を抜けば途端に意識が飛ぶ。心労入院生活という文字に羽が生えて飛んでくる幻覚すらみえた。 だけれど、実際に飛んできたのはよれよれのカラスだった。 言い直そう。実際に飛んできたのはカラスに変身したバルクだった。 「バルク様!」 羽が生えて飛んできた心労入院生活から羽だけもぎ取って、ミーアは駆け出した。 /*/ 解説「バルクが飛んできましたね。ミーアさん大パニックでしょう!」 ゲスト「う、うろたえるんじゃあない!恋する乙女はうろたえないッ!」 解説「ゲストさんが一番うろたえてますね。恋する乙女じゃないし」 ゲスト「(´・ω・`)」 NA:ミーアは受け止めた NA:すぐにひとがたになった NA:ミーア「バルク様ー!」 解説「無事にキャッチできましたね!よかったですねミーアさん!」 解説「あれ?ところでカラスから人型にもどったバルクって服を着ていないのでは。つまりははdゲスト「キングクリムゾン!!」」 ゲスト「キングクリムゾンの能力の中では、この世の疑問(じかん)は消し飛び…そして全ての人間は、このSSの中で抱いた疑問を覚えていないッ! Q「カラスから元に戻ったバルクは服を着ていないのでは?」 A「気にするな。ドイツ軍人は気にしない」 Q「現実を見るんだ。バルクは裸(らぞく)なんだろう?」 A「だが断る。私のもっとも好きなことのひとつは現実をみろと言っている奴にNOと断ってやることだ」 結果だけだ!!この世には結果だけが残る!」 ・ ・ ・ 解説「…ハッ!?私はなにか今重大な疑問を抱いていたような気がするんですが…」 筆者「…でも実際問題、カラスから戻ったバルクってはdゲスト「キングクリムゾン!!」」 /*/ 「わはは」 「慌てすぎだ」 バルクを抱えて今にも涙腺が――時としてはアイリスのような、しかし今はアリウムのように――決壊しそうなミーアを正面に捉えて、バロが言うのだが、それは無理があるというものだ。愛する人が瀕死の重傷を負って自分の腕の中にいるのだ。120分映画なら残り時間はラスト10分でBGMは物悲しいノクターン、ミュートから二人の最後の台詞に入りエンディングロール。全米が泣いて興行収入は3週連続1位、調子にのって日本に輸入して地雷映画として名を馳せると、まぁ、シチュエーション的にはまさにそのような感じなのだが、ミーア的にはそんな地雷映画で終ってしまっては困るし、先ほどから終わらせてなるものかとフル回転しているのだが、そんな心配はどうやら無用のようだった。バルクの全身は先程から自己発生した泡が包んでおり、どうやら再生が進んでいるようだ。 「さ、先に言ってください!そういう大事なことは!」 「いや、言ったと思うが」 千喜もミーアの恋人がなんとか無事だったことに安堵したのか、その目じりに薄っすらと涙を浮かべ、続けて自分の恋人に抗議の声を上げた。聞いてません、と。そしてほっぺたをぷくりと膨らませる。状況さえ無視すればなんとも微笑ましい光景のように見える。状況さえ無視すれば、だが。 「わははは」 抗議の声を上げる小さき恋人の頭を笑いながらなでるバロ。 次の瞬間、千喜の顔はボッ、と音を立てて真っ赤になり、抗議の声を上げる口は、ぱくぱくぱく、と空転した。 彼女は声をだすより唐突に訪れたその幸せな瞬間に身を委ねることにしたのだった。 膨れたままだったほっぺたが朱色に染まったその光景は、まるで足が10本の海洋生物のようであると誰かが評したが、それはどんな海洋の神秘にも勝るそんな微笑ましい光景であったとその他の多くが評した。 「バルク様、うわーん」 ところでミーアは相変わらずバルクの傍でおろおろしていた。 /*/ ゲスト「さっきの海洋生物に例えたところってよぉ〜…膨らんで赤かったら、そりゃタコのことだろう。よぉ〜くわかる… だが、足が10本ってのはどういう事だああ〜〜!? 足10本ってのはイカのことだろうが〜!!ナメやがって筆者、超イラつくぜぇ〜! イカは全然赤くねーし、さらに雰囲気ぶち壊しじゃねぇか! 足が10本のタコなんかいるもんなら連れてきて見やがれってんだ!チクショー! どういうことだ!どういうことだよッ!クソッ! 赤いのに10本って、どういう事だッ!なめやがってクソッ!クソッ!」 筆者「すいません、勘違いしました」 解説「指摘されたからって、ネタにすることもないとおもいますし、台詞、原形とどめてないじゃないですか」 筆者「(´・ω・`)」 /*/ ガブリ。ブチリ。バリ、ボリ。 モグモグ。ゴクリ。 盛大に音を上げて、顔面の再生が終わったバルクが焼いた肉を食べていた。それはバロがどこからともなく取り出した黒必携の回復アイテムだった。いや、ほんとにどこから取り出したのかと疑問に― 「たんぱく質にはたんぱく質@@」 なんとか回復した愛するバルクが食事をする様子を、会話からもわかるようにまだ落ち着きを取り戻せない様子でミーアが見ている。だが、涙は涙腺の奥へ既に引っ込み、心の小船はなんとか転覆せずにすみそうだ。 「それで、どうしたんだ。こんなところに」 とはバロが千喜に投げかけた言葉である。それに対する彼女の返答といえば― 「…どうしたというか、愛しい人の様子を見に、来ました」 ストレートに言った。言ったけれども、台詞の最後の方へ行くにつれてだんだんとミュートがかかっていき、最後の方にはごにょごにょ、としか聞こえなくなっていた。だけれど、バロの耳にはしっかり最後まで聞こえてたらしい。彼は豪華絢爛に、笑った。頬を染めたまま、俯き加減でごにょごにょと呟く少女に対して投げかけられる笑顔。これまた微笑ましい光景である。 「幸せでやっている」 と、これまたストレートにバロも言う。だけれども、千喜、一転して少し不機嫌になった。彼等超弩級戦闘種族が幸せでやっているとはとどのつまり好敵手やら強い敵、自分が危機に陥るような状況になっている、と、まぁ、そんなわけであり、自分との生活と好敵手達との死闘を天秤にかけられて今のところ自分じゃない方にそれが傾いているのだ。彼女が不機嫌にならないわけがなかった。 「幸せ、ですか…また強い人にでも、会いましたか」 「そうだな。ようやくしねそうですらある」 千喜、しなないでください、と呟いた。そして、まったく手付かずのチョコケーキをみて、少しだけ悲しくなった。さらには― 「ええ、ようやく」 ようやく、しねそうだ。と今度はバルクが言うのだ。彼の様子を伺っていたミーアも、千喜も、笑うしかなかった。それは半ば自暴自棄な笑いだったが、当のバルクといえば― 「強くて楽しいですね」 と、純粋に心から笑うのだ。その笑顔をみて、さらに黒の定めだ、なぞと言われればもう、ミーアは何も言えない。バルクのことを心から想うからこそ、何もいえなかった。 「安心しろ、こいつはすぐに黒ではなくなる」 「死んだら黒ではありませんね。たしかに」 「わはは」 「それわらえませんから!」 だけれど、このやり取りだけには声を荒立てた。死ぬだなんて、冗談ではない、と。しかし、ミーアにできることはこんなことだけだった。こんなことだけだったのだ。 ミーアの表情は険しく、心の海は再び時化の様相を呈してきていた。 /*/ ゲスト「ホワイト・アルバム!ジェントリー・ウィープス!(静かに泣く!)」 解説「まさにそんな心境でしょうねミーアさん。なにもできない自分に歯がゆい思いをしていることでしょう」 ゲスト「いいかい!もっとも難しい事は!自分を乗り越えることさ!ミーアなら自分をこれから乗り越える!」 解説「まさにその通りです。ミーアさんならきっと乗り越えられるはずです!」 NA:フォークでちょっと大きめに一口とって、口に入れます。 解説「(*´д`*)」 ゲスト「(*´д`*)」 解説「…ところで、千喜さんはかなり積極的ですねぇ。あーんしてますよあーん(*´д`*)」 ゲスト「ふるえるほど羨ましい!   燃え尽きるほど羨ましい!   おおおおおおおおっ 刻むぞ血液で羨ましい!」 解説「ダイイングメッセージですね。わかります」 ゲスト「(´・ω・`)」 /*/ 血よりはうまい。それが千喜のケーキに対するバロの感想であった。そもそも、比べる対象が間違っているという風の噂であるが、黒にとっては血で喉を潤すこともあるのだろうから、同じ口に入れるものとして、そう評したのだろうか。とりあえず、絶対間違っている。 「甘いものは嫌いですか?」 たまらず彼女はそう問う。あたりまえである。常人からすれば血よりうまいなんてそれは婉曲な不美味の表現に聞こえなくも無い。だけれど、幸せメーターというものがあるのなら、きっと現在の千喜の幸せ値は当社比+100といったところだろう。なにせ、愛しの彼に「あーん」である。しかも頑張って作ったチョコケーキだ。まともな感想が聞けなくともこれが幸せでないはずが、ない。 「いや、昔の知り合いが好きでな。からかうために横から奪ってたら、好きになった」 千喜の幸せメーター現在−200。 「……」 バロが自分の知らない話をしている。−100。 千喜は不機嫌になってバロのほっぺをひっぱる。 バロが自分の知らない思い出に耽っている。−100。 千喜はひっぱった体勢のまま切なくなった。 「私の知らない人の話をするなら、思い出話を聞かせてください」 「私は、今からずっと、貴方のこと見てますから。私の知らなかったバロの話をしてください。共有できない話題は、さみしいんです」 千喜は言った。バロは生き残ったらな、と揚々と返事をした。 約束ですよと、今にも消えてしまいそうな声で千喜は頼んだ。 バロは微笑んで、ついぞ約束をしてくれなかった。 /*/ 「バルク様、死んでは嫌ですよ?」 ミーアは彼の体にそっと触れて、掠れそうな声でそう言った。再生の影響か、彼の体はほんのり温かかった。だけれど、この温もりがいつか失われてしまうかと思うと、それがミーアにはたまらなく怖かったのだった。だから、意味が無いとわかっていても、死なないで、とそう言うのだ。 「はい。わかりました」 バルクは笑ってそう言った。だけれど、ミーアは思うのだ。この顔は絶対にわかってないし、よしんばわかったとしても聞き入れてくれない、と。だから、無言の抗議として彼の手をつねった。 彼はミーアを見た。 ミーアもその顔をみた。 結局何もわかっていなさそうな顔だった。 おもわず、叫んでしまった。 ―interlude 結局のところ、今回彼女達は負けっぱなしだった。 謝ったけれど、返答はない。 チョコケーキをあーんしたのはいいけれど、直後に別の女の話をされる。 顔面の吹き飛んだ重症人はもう少しで死ねそうだとのたまう。 死ぬなと言っても上の空。 たまに幸せなイベントがあっても、すぐに振り出し以下に突き落とされる。 片や、素直になれないその気持ちがかみ合わない歯車のように空転して、片や素直だけれどその気持ちを言葉でうまく伝えられない。 もうどうしようもないような、そんな、逢瀬。 このまま終わるのかもしれない。ミーアはきっとそう思った。 そうは思ったが、まさか自分の恋人が蹴りを入れられて事態が微妙に好転するとはまさか夢にも思っていなかった。 Interlude out― 「バルク、たのむ」 「はい」 バルクはそういうと呪文を唱え始めた。戦場と言う名の故郷へ帰る為、自分達の愛しい存在を彼女らの故郷―もちろん戦場という名ではない、どこか―へ送ろうという、そういう呪文だった。 そして、彼女らの体が浮きかけ― バルクは蹴られた。 「わかった、わかりましたよ」 「ついていかないから最後まで一緒にいさせてください」 「せめてぎりぎりまでは、一緒にいたいです!」 千喜が呪文を唱えていたバルクを蹴り飛ばし、強制中断させたのだった。この主張力こそが彼女の真骨頂。いままでは空転していた歯車が、このときようやく、噛みあった。それは少し遅かったが、今までの負けを取り返すくらいの残り時間はあった。 一方、恋人を蹴り飛ばされたミーアといえば… 「もうちょっと時間をください」 ささやかな彼女達の攻勢がはじまった。 /*/ 解説「残り時間もほんのわずかになってまいりましたが、ついに彼女達の逆襲が始まりましたね。それにしても、千喜さん、やりますねぇ。蹴りましたよ!素直じゃないですねぇ。いいことです。」 ゲスト「恋人の前で素直になれない女子…これこそ噂に聞く通運出零(つんでれ)!」 解説「…は?」 ゲスト「…恋人の前で素直になれない女子…これこそ噂に聞く通運出零(つんでれ)!」 解説「…いやだから」 ゲスト「…恋人の前で素直になれない女子…これこそ噂に聞く通運出零(つんでれ)!」 解説「…」 ゲスト「……いい友情関係ってのには、3つの<U>が必要なんだなあ」 解説「うそをつかない、うらまない、敬う」 ゲスト「…いい友情関係ってのには(グス」 解説「やれやれだぜ…」 ―Take 2― 解説「残り時間もほんのわずかになってまいりましたが、ついに彼女達の逆襲が始まりましたね。それにしても、千喜さん、やりますねぇ。蹴りましたよ!素直じゃないですねぇ。いいことです」 ゲスト「恋人の前で素直になれない女子…これこそ噂に聞く通運出零(つんでれ)!」 解説「知っているのかゲスト(雷電)!」 ゲスト「むぅ…あれは― 通運出零【つんでれ】  その語源は1614年日本、禁教令が出されたことに端を発する。禁教令とは時の権力者、徳川家康が当時日本に根付き始めたキリスト教を根絶させるために発したものである。これにより日本人キリスト教徒は地下に潜伏しなければならなくなった。しかし、権力は踏み絵を用いて教徒狩を始め、これによって多くのキリシタンが捕らえられた。  あるとき、キリスト教徒である一人の少女がおにぎりをくわえて「遅刻遅刻!」といいつつ寺子屋へ走っていたとき、ちょうど路地からの出掛けに人とぶつかってしまった。「痛いわね!転校初日から遅刻したらどうするのよ!」と食ってかかったのもつかのま― 「す、すまん!とりあえず、こいつをみてくれどう思う」 「すごく…踏み絵です」 「やらないか?」 踏み絵を差し出された。彼女がぶつかったのは幕府の取締官だったのだ。彼女は敬虔なクリスチャンであり、当然踏み絵などできるわけがない。だが、踏まないと即刻死刑である。少女は困った挙句にこう言ったという。 「べ、別に、イエス君の事なんか、なんともおもってないんだからッッ(*ノノ)」 奇跡が起きた。なんと踏み絵の板が音を立てて真っ二つになったのだ。当然予備を持っていた役人は今度は聖母マリアの彫られた踏み絵を取り出し、踏むように言った。が、彼女は踏むのをためらい、こう言ったという。 「ま、マリアのために踏まないんじゃないんだから!勘違いしないでよねッッ(*ノノ)」 奇跡が二度起きた。またもや踏み絵が割れたのだ。こうして少女が難を逃れたということが全国の隠れ信者に広まり、それは神の「運」を体に「通す」ことから「通運」、聖書や十字架などを常に持ち歩かなくても神の愛は信者を守るということから「出零」、あわせて「通運出零」と呼ばれ、多くの隠れ信者の振興の自由を守ったのである。その奇跡の言葉は現代でも「【ツンデレ】  好きな人に素直になれない様」として形を変え、日本文化に根付いている。 * 参考文献 民明書房刊「萌えるキリスト教B」 ゲスト「(>x<) b」 解説「(>x<) b」 /*/ 「せめてぎりぎりまでは、一緒にいたいです!」 千喜は言った。凄く勢いよく言った。冒頭の陰鬱だった自分などすでに忘却の彼方、今は残されたこの短い時間に全力を尽くすのみ、でる。 「いいだろう」 彼女の愛しい人はこれまた豪華絢爛に笑って、そう言った。よく笑う人だが、そこがいい。太陽のような笑顔に向かって千喜は飛び込む。イカロスは蝋で固めた羽で太陽に近づき、地上へと落ちていったが、彼女の羽は愛と言う名の蝋でできている。バロという太陽へ羽ばたくのに何の不都合も無いのだ。 彼女の両手は彼の体を包み込み 彼女の両目は高いところにある彼の両目をしっかりと捉えた。 彼女の全身は彼の体温をしっかりと感じ取り そして彼女の口は“嬉しい”という素直な気持ちを紡ぎだした。 「約束ですよ。私も誓います。離れません、信じてます。愛してる」 矢継ぎ早に胸の奥から飛び出る彼への想いはもう抑え切れなかった。 「それで、ちゃんと帰ってきたら、一緒にすみましょう!」 そして、言った。恥ずかしさで顔面が真っ赤になって― 「じゃなくて、話をたくさん、聞かせてください」 ついぞ素直になれなかった。そんな彼女の想いを察してか、バロは笑いながら千喜を優しく撫でる。本来戦場帰りならするはずの血臭はせず、かわりに何か優しい匂いがした。いい匂い。そのはずみで、彼女はついついこう言ってしまった。 ―キスしたいです だけれど、バロは応じてくれず、代わりにこう言ったのだ。 「ああ、そうだな、話を聞かせる。いいな。それで」 「じゃあ、今はそれでも、いいです。約束しましたね、今」 その約束はとてもささやかで、控えめな約束ではあったけれど、今日した抱擁よりも、今日し損ねた口付けよりも、今日聞けなかったチョコケーキの感想よりも価値のある、彼女にとっての小さな、小さな、勝利。 千喜が優しい匂いの正体が太陽の匂いだと気がついたのは、彼女がバロに向けてにっこり笑ったときだった。 幸せ値+∞ /*/ 「バルク様、今度はお腹に穴あけたり、どこか吹き飛んだりしないでくださいね?」 ミーアは懇願する。だけれど、彼の目は今や眼窩から飛び出して―実際、ついさっきまでは飛び出していたのかもしれないが―ひとりでにどこかへ泳いでいきそうな、そんな勢いで右へ、左へ、ぐるんぐるん。 今回はずっと、そうだった。死なないで…なんど言ったことだろう。だけれど、彼は自分の言葉に耳を貸してくれない。それは今回だけじゃない…今までもそうだろうし、多分これからもそうなのだろうと、思った。 だけれど、それが黒なのだ。何よりも戦いを求める汚染と暴走・背中合わせの男2人のオーマ、戦闘種族の系譜。 彼等から戦を奪うのは、常人に息をするなといっているのと同じことなのだとは、ミーアもわかっていた。 それでも、彼女は言うしかないのだ。死なないで、と。 それは悲しいループ。 だけれど、彼女はそんな夜をいくつも越えてきたのだ。 心配で潰れそうな胸に、彼への想いをいっぱいつめて。 いっぽいっぽ、たしかにあゆみを進めてきた。 負けるのはしょうがない。怖いのは一歩も歩めないこと。 だから、今日もまたいっぽ、足を進めようと思った。 口で言ってもわからないなら、実力行使。 ミーアは彼への想いを小さな唇にのせて、彼の唇へと重ねたのだった。 ―どうか、この想いが、いつか彼に伝わりますように バルクはびっくりした。 /*/ 解説「はいでは、千喜さんに向かって一言コメントをどうぞ」 ゲスト「キスしたいです…そんな言葉は使う必要がねーんだ。なぜならオレやオレたちの仲間は、その言葉を頭の中に思い浮かべた時には!実際にキスをしちまってもうすでに終わってるからだ!だから使った事がねェーッ! 『キスをした』なら使ってもいいッ!」 解説「ですけれど、今回はそれがいい風向きになったようですよ?ちなみに、キスを問答無用でしちゃったのはミーアさんでしたね!ナイスファイトでした!ということで、ミーアさんにも一言どうぞ!」 ゲスト「バルクぅぅぅぅ!君に!伝わるまで!キスするのをやめない!!」 解説「バルクにはいつか『言葉』でなく『心』で理解してほしいですね!」 解説「ということで、今回の【幸せの生活ゲーム、もしくはトラウマ】はこのへんで失礼します!」 ゲスト「アリーヴェデルチ!!」 ―約束ですよ   それがたとえ一方的な約束でも ―私も誓います   あなたが口にしてくれなくても ―離れません、信じます。   この想いだけはいつもあなたのそばに ―愛してる、バロ。   あなたへの愛は、いつも、そばに。 /―to be continued―/ 筆者コメント 完全版は、ワードです。依頼者に直接お渡ししました。