解説「全アイドレスプレイヤー何百人の皆様こんばんは。幸せの生活ゲーム、もしくはトラウマの時間がやってまいりました。生活ゲームのログを実況風に解説してしまおうというこの番組、3回目となります。今回の犠牲者は愛鳴之藩の榊遊様です」 ゲスト「榊遊!この遅筆な筆者にログをSS化させようという命がけの行動、僕は敬意を表する!!」 解説「いい加減、同じネタは飽きませんか」 ゲスト「…」 解説「むしろ、私が飽きます。次は別のネタを使わないとゲスト変えちゃいますよ」 ゲスト「(´゜д゜)!?」 /*/ ―その笑顔はまるで燦々と降り注ぐ陽光を浴びて、天に向かって背伸びをする向日葵のようだった。 /*/ (´゜д゜)!? 榊遊は呆然としていた。それはもう、鳩が豆重機関銃を食らってお腹一杯、夢一杯と、そんな感じである。まぁ、お腹が一杯になったら寝てしまえばいいのだが、今回はそうもいかない。日向に会ってプレゼントを渡さなければならないのだから。 「しかし…結局アレは何が起こっていたのでしょうか」 アレ、とは今まで日向に会いに行くたびに何故か10年後に召喚されてしまっていたという話である。今回彼女が呆然としていたのは、また10年後の舞台で逢瀬を行うことになるのだと予想して構えていたら、何故か現代での逢瀬になりました、と、そんな事情があるわけなのである。 まぁ、とりあえず、いつでも、どこでも、どの作品でも、日向玄乃丈は相変わらず大絶賛大不景気だった。最近例外が出つつありはするけども。 「久しぶりだな。あいよ」 とりあえず、今は不景気な探偵だ。不景気、だのに、仕事はきっちりこなす。正義の探偵の面目躍如といったところだろう。日向は榊に封筒を渡す。傘型のねじ、それは自動人形の部品であった。 「あ、自動人形の部品ですね!」 「ああ。後二個だな」 「今回は玄乃丈さんにプレゼントをお渡ししたくてお呼びしたのでちょっと忘れていました(微笑)」 遊は嬉しそうに微笑んだ。依頼のことを忘れていただけに、なんとなく嬉しくなって、おもわず微笑んでしまったのだった。これが今回の逢瀬―別称登場人物全員笑顔祭り―の開幕である。 「そりゃどうも。いや、もらうが。なんだ。食い物か?」 日向玄乃丈、色気より食い気が先行する狼探偵、○才独身(仮) 「いえ、食事は食事でこの後しても良いのですがプレゼントはこちらですわ」 遊はどこからともなく、細長い物体を取り出し、日向へ渡した。それは万年筆。彼女が探偵へ、信頼と親愛の証として用意した、世界でただひとつの万年筆。ただし、食べれない。注意。 「ペンか。お。お。ボールペンじゃない」 日向は万年筆の蓋を取り、鈍く輝くペン先を太陽にかざしてみたり、くるくると回してみたり、握り心地を確かめてみたり、まるでこれから宝物になる予定の新しいおもちゃを手に入れた子供のように目を輝かせ、笑った。 「恥ずかしいこと言っていいか」 「はい、なんでしょうか?」 「こういうのはTVじゃ見たことあるが、使ったことがない」 真顔でそんなことを言って、日向はまた笑う。それを聞いて遊は目を一瞬丸くして、だけれど次の瞬間、また微笑んだ。とても、とても、優しく、微笑んだ。 「・・・・フフフ、では・・・10年後くらいに使っていただければ幸いですわ(微笑」 「そりゃまた気が長い話だな。まあ、例はいっておこうか」 日向はにやりと、笑った。どちらかが笑うともう一人がつられた様に笑顔になる。まるで磁石の+と-のように笑顔が引かれあう二人。そのような様子を指して人々は相性がいいと、そう言うのだろう。 /*/ ゲスト「式神使い同士ってのは……どういう理由か……  正体を知らなくても…知らず知らずのうちに引き合うんだ…」 解説「ゲスト、それ式神使いちゃう。スタンド使いや。しかも、片方は式神使いやけど、もう片方は犬耳メードや。と、いうことで、でましたね、プレゼントです。黒いオーダーメイドの万年筆。これは素敵なプレゼントですね!」 ゲスト「なにジョジョ?日向が万年筆をくわえてはなさない? ジョジョ、それは無理矢理引き離そうとするからだよ 逆に考えるんだ、「あげちゃってもいいさ」と考えるんだ」 解説「いや、プレゼントなんだしそりゃ、逆に考えるもなにもありませんよね。というか日向は狼です」 ゲスト「え? 『ポッポ ポッポ ハト ポッポ』?」 解説「いや、狼だと」 ゲスト「この味は!………ウソをついてる『味』だぜ……」 解説「人の顔を舐めないでください!嘘じゃないし!次回からゲスト変えますよ!?」 ゲスト「こいつには、やると言ったらやる………『スゴ味』があるッ!」 /*/ こいつが似合う程度には金を稼ぎたい、それが正義の探偵流の礼の仕方なのであろう、そう思うと、なんとなく胸の奥で小さな花が咲いたような感覚になった遊。とりあえず、なんちゃらより食い気の勝る探偵のために食事へ誘うことにするのである。 「いいね?うどんか?」 きっと、素うどんではなく、油揚げの入ったうどんを想像したであろう、貧乏性の正義の探偵。しょうがない、犬の好物は油揚げなのだから。いや、キツネだったか(トンビです) 「せっかく国元ですので味のれんとかどうでしょうか?」 「いいねぇ。って、味のれん知ってるのか?」 「ええ、合併して愛鳴之藩国になった際に色々調べてお話だけは・・・行くのは今回が初めてです(笑)」 遊、また笑った。日向は昔ゲームに出たことがあって、その出演料を要求した際に、礼金の代わりに味のれんで食事を奢られたらしいのである。それにしてもよく笑う二人である。きっと遊の周りには絶技でもって形成された笑いたくなる結界でも張られているのだろう。それは、きっと暖かい。 「太っ腹なご主人ですね」 「いや、よんだのは社長とかいうやつだったな。まあ、どうでもいい」 日向、また笑った。何度も言うが、よく笑う二人だった。きっと、いついかなるときでもこの二人は笑いあうのだと、そう思わせるほどによく笑っていた。そして、味のれんについてもさっそく笑う。味のれんのマットに「せいぎさいごのとりで」と書かれていたからである。ちなみにせいぎさいごのとりでの名物はアップルパイなのである。誰かのいたずら書きなのか、はたまた、誰かのいたずら書きなのか、結局は誰かのいたずら書きなのか、今それはわからないが、だけれど、遊は藩国内で何かあったらここを頼ると、そういってまた笑った。そして、店内に入り、二人お願いします、と言って、笑う。ところで、ひとつのログでここまで登場人物達が笑いあうのは実に珍しいのではないかと思っていしまうくらいに、二人の笑顔はまぶしかった。 「よかばい。そこすわんなっせ」 味のれんの親父の熊本弁が理解できなかったのか、はたまた外国語に聞こえたのか、思わず日向は― 「日本語でたのむ」 立派な日本語ですよ。親父は外国人でもなければウルトラマンでもないのであるが。 「そこにすわりなっせ」 言い直す親父。というか、ほぼ言い直されていないように思うのは気のせいだろうか。 「座れ、だなOK」 何故か理解できてしまう日向。きっと、野生の勘である。それとも、人間は文章の最初と最後の文字さえ認識できれば、その文章の順番がめちゃくちゃでもその意味が理解できるというあれであろうか。後者については例えば「にんんげは もじ を にしんき する とき その さしいょ と さいご の もさじえ あいてっれば じばんゅん は めくちちゃゃ でも ちんゃと よめる」と、このような感じのことなのだが… 「(席についてメニューを開き・・・読めず)・・・玄乃丈さんのお勧めはどちらになります?」」 さすがに、達筆すぎる文字については順番がどうだろうと読めないという厳然たる大宇宙の真理がここにあきらかになったのであった。だが、きっと日向なら野生の勘で達筆の文字も判別してくれる、と期待しての遊から日向への振りだったのだろうが… 「おすすめで」 どうやら読めなかったらしい。 「そらよかばい」 親父は嬉しそうに笑った。これでついに登場人物全員が笑った。よく笑う人々だった。 /*/ ゲスト「彼らの笑顔はァァァァァァァァアアア世界一ィィィイイイイ」 解説「笑顔オブザイヤーがあったら是非エントリーしてほしいくらい笑顔一杯のお二人、いや、お三方でしたね!暗い話題の多いNWですが、みんなこうやって笑い合えば暗い話題なんて吹っ飛んでしまいますよ!」 ゲスト「Hail 2U!」 解説「笑顔の素敵な二人に幸あれ!」 ゲスト「ほれ!笑えポルナレフ! 大声で笑いながらするのが作法だぞ、ポルナレフ! 笑え!笑え!ポルナレフ!」 解説「ちょ、おま、なんで最後にそれを」 ゲスト「オレは「正しい」と思ったからやったんだ。後悔はない… こんな世界とはいえ、オレは自分の「信じられる道」を歩いていたい!」 解説「…」 ゲスト「ボラーレヴィーア!」 解説「ボラーレヴィーア」 /*/ 日向の笑顔はまるで世界でただ一本だけ咲く向日葵にだけ注がれる太陽の光のようだった。 遊のその笑顔はまるで天に向かって背伸びをする向日葵のようだった。 実際、遊の笑顔は日向という太陽がなければ翳ってしまう。 日向という太陽も、遊という向日葵がいなければ、照らし続ける意味がなくなってしまう。 ふたりで、ひとり。 使い古された言葉ではあるが、今はそれがただしい。 笑顔は、見てくれる相手がいて、初めて人を幸せにしてくれる。 二人の笑顔はまさにNWを照らすことのできる、豪華絢爛な、そんな笑顔だった。