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新 参加表明申込所 リバーウィンド@茶板管理 07/5/12(土) 2:16

Re:文族参加申込所 彩雨@詩歌藩国 07/9/17(月) 12:29

Re:文族参加申込所
 彩雨@詩歌藩国  - 07/9/17(月) 12:29 -

引用なし
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   彩雨@詩歌藩国

自己しょーかいすか。
まあ、リアルなもんを文に乗っけるのが趣味だったりします。

SS↓

「彩雨」と名づけてくださったのは、ツン様だった。

国名は伏せるが少し昔にはキノウツン国外の領地だった国、食うためには手段を問わない貧民層達がその国の不燃物投棄場所にて勝手にトタン板やら何やらを持ち込み作ったスラム街がある。その者達の暮らしは単純で毎日投棄場に運ばれてくるゴミの中からボロボロの中古と言えどもまだ使えるものや腐敗しつつもまだ食べられるものを漁り、金属が含まれるものはスラム街の中古資材市場で売り飛ばし、最低限生きられるだけの金を得る、そういうものだった。全体的にモラルと教育度が低いせいか、性に関してもかなりの乱雑さで、日々起こる低年齢層の売春やレイプ、妊娠後の暴行による強制堕胎が横行。この私、「彩雨」と名づけられる前のゴミのような命は、暴行による強制堕胎の失敗(死ぬまでに至らなかった)により運良く生き延びられた。生き延びられたとしても、希望がないスラム街、生きていくほうが地獄ということがある。私は1歳に満たない頃、金のために既に片方の腎臓を売り飛ばした父親と誰にでも性交渉をして少量の金を得る母親によって、いわゆる低年齢専門の売春宿に売られた。物心つく前だったから親の顔もしらない。そこでの自分を育ててくれたのは、8歳にして妊娠をさせられた少女だった。8歳でも妊娠すれば母乳が出るらしく、自分は何も分からないままにそれを飲んでいて、本当に自分の母親と思っていた。記憶というのは不思議なもので、8歳の少女の母乳の味は今でもよく覚えている。煙草や大麻を吸っていたからか甘いのに据えた苦い味がした。だから成長した今でも牛乳が飲めない。1歳でも瞳や耳があるからそれなりの事が次第にわかってきて、商売をしている隣の部屋からは悲鳴とかまるで獣のような息遣いや怒号や変な民族音楽や肌が叩かれる音がしていて、これからの自分の未来に絶望という言葉を知らないのに絶望をしていた。母親代わりだった8歳の少女も毎日商売をしていて、夜、商売から終わって寝室に戻ると瞳にはなにも映っていなかった。恐らくは麻薬や強い性欲促進剤でダウン状態になっていたのだろう。そんなときに甘えるとヒステリックに叩かれたり何か汚い言葉を叫んでいだのを覚えている。そうして私は名前も与えられないまま3歳となった。
転機が訪れたのは、キノウツン国による国襲撃と売春宿摘発である。詳しい理由は知らないがキノウツン国の王女であるキノウ:ツン様がこの国のスラムに来た時に何か怒りに触れるものがあったらしく、すぐさまキノウツン国の精鋭部隊を呼び、怒りのままにこの国を滅ぼした。
スラム街の闇に触れどうしようもないと判断された人間は全員射殺、未成年者(特に女)は全員キノウツン国へと救出された。

見たこともない綺麗でやわらかい毛布に包まれキノウツン国へと向かう馬車の中は本当に心地よかった。窓には見たこともない景色。そして横にはいい匂いがするツン様が自分を抱いてくれていた。馬車の中には8人の女の子が乗り合わせており、自分はツン様を隣で占領できてとても上機嫌だった。ツン様は本当にいい匂いで、私は自分の匂いを終始気にしていた。

きゃいきゃいわいわいとしていても会話が無かった馬車の中で唐突にツン様が「お前、名前は?」と私に尋ねた。
異国の言葉だから、意味がわからなかった。その前に言葉というものをあまり知らなくて、「あー」とか「やぁあ」しか喋れなく、そんな自分が凄く恥ずかしかったのを覚えている。
「…あそこでは言葉を教えてもらってなかったのね。…ごめんなさい、謝るわ」とても悲しそうな瞳で窓の外をみるツン様を見て、自分も悲しくなり涙が出た。
毛布ごしになでる手。「泣かせてしまったわね。そういうつもりじゃなかったのに」

少しの沈黙。外は草原地帯からキノウツンの砂漠地帯へ景色は流れる。

ツン様は故郷に帰ってきたからか、毅然とした瞳をするようになった。何者にも恥じぬように生きようとするような、そんな瞳。姿勢を正したツン様は女の子達に言った。
「あなたたちはこれから私の国へ行くの。そこには前に貴方達が暮らしてきたところには無いものがいっぱいある。…生きていくために勉強もしなくちゃね。…できる?」
やっぱり言葉はわからなかったが、毅然とした瞳で言われて、自分はすぐに、こくん、と頷いた。偉い子ね、とツン様がまた頭をなでてくれ、うれしくなった。
「あなた、まだ名前がないんだったわね。…それじゃあ、私がつけてあげる。」

ツン様は小さな紙を取り出し、私の母国の文字で「a , y , a , a , m ,e (仮に英語で表示)」そしてその横にツン様の母国語であるらしい「彩,雨」と書き私に渡してくれた。それをうらやむように見ていた他の女の子たちにもツン様は同じく名前を書き渡した。私はその紙をなにやら御札のような、とても大切なものに思えてキノウツン国へ着くまでの間、じっと眺めては胸に隠しを繰り返していた。(キノウツンへ着いた頃にはグシャグシャになって泣きじゃくってツン様に書き直してもらった)

キノウツンで数年を過ごし言葉を覚えた頃、ツン様に名前の由来を聞いたところ「慈愛の雨」だと教えてくれたが、きっと嘘だろう。口元がニヤついていたからだ。悔しいので襲撃事件を知るキノウツン内部者に聞いて調べた所、その頃の私は「あー」とか「やぁ」とか「めぁ」とか言えなかったから「彩雨」となったらしい。王女曰く「言いやすい名前の方がいいでしょ?」である。…王女だがブン殴ってもいいだろうか。

友達という表現が許されるなら自分とツン様は身分が違えど特別な友達である。その理由はちょっとここでは言えない。でもちょっとだけいうならば、ツン様は一人娘であり、同じくらいの年代で弄り倒したい対象がほしかったとでも言えばいいのだろうか。あまり人には理解されないが、それもまた2人の秘密として密かに楽しんでいる。

生まれて始めての、楽しい記憶。大人になりキノウツンを離れることになった今でも、この時のことを思い出す。
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茶板管理担当 リバーウィンド@akiharu国