台風が近づいていますね
関東も先ほどから亀が降ったりやんだりし始めました。
昨日までの突き刺さるような日差しから一転 厚い雲に覆われた曇天です。
とはいえ 日差しはなくても湿度の高さはかなりのもので気温もかなり高い状態が続いております。
こういう日は 熱中症に注意が必要ですね
皆様も こまめな水分補給を忘れずに無理せずエアコンを活用して体調の維持にお努め下さい。
さて そんなこんな時期ですが残っていた断片がどうにかつながったので忘れたころではありますが テキスト更新してみます
更新速度はかなり遅くなりますが もう少しネタ帳に書付がありますのでのんびりつなげていこうかと思いますので気長jにおつきあい下さればうれしいです。
では おつきあいくださいます方は以下のリンクよりお進みくださいませ♪
=================================================================
遣らずの雨 2
=================================================================
「あ 土屋じゃん 何 休憩?」
土屋と並んで二人の背中を見送っていると加藤の背後から声がかかった。
振り返ると土屋と同期だという女性社員で二人の視線を追って首を巡らせる。
「佐々木か。いや 今終わった。もう戻るとこ」
土屋の顔に奇妙な笑みを見出しその視線を追った彼女は「ふーん」と生返事を返す。
廊下を折れた見慣れない二人と土屋の様子に軽く首を傾げつつ くるりと加藤振り返った。
「所沢には慣れた?」
「まぁ それなりに、ですかね」
「ゆっくり馴染めばいいよ」
彼女自身 3年ほど前に八尾から転属してきた身だけに軽く先輩面をして胸を張る。
その仕草に思わず苦笑しかけると土屋が軽くまぜかえした。
「そうして欲しいんだけどね、旧友を前に里心がついたようだよ」
「旧友?」
首を傾げた彼女は先ほど二人が折れた廊下の先に目を向け ぽんと手を叩いた。
「ああ、さっきの。八王子の人だったのか。道理で見ない顔だと思った」
「八王子ナンバーワンパイロットとお付きの王子様だとよ」
「お付き?何それ。侍女じゃなく?」
「パイロットは女の方。で、一緒にいたのは…ここの『御曹司』だ」
ニヤニヤ笑う土屋をみて彼女はにわかに色めきたつ。
「御曹司って…本物?」
「本物ですけど…」
丸く見開いた眼で詰め寄られ加藤は冷や汗を浮かべて身を反らす。
興味で瞳を爛々と輝かせた彼女はずいっと身を乗り出した。
「ね 加藤くん彼と仲いいの?」
「…普通ですよ」
「普通ってどの程度よ」
「どの程度、と言われても…」
答えに窮す彼の横から土屋がしれっと口を挟んだ。
「名前で呼んで会話できて軽口叩き合える程度には仲良しだよな?」
「えー!それって凄くない?ちょっと紹介してよ、御曹司」
「あー いや そういうのはちょっと…っていうか 彼女持ちですよ 彼」
『ちぇっ』という顔をして佐々木が体を引きかけると土屋は少し前に見せたのと同じ意地の悪い顔でにやにやと笑った。
「双方公言してないんじゃなかったのか?」
「土屋さん…」
困り顔の加藤とは対照的に佐々木の方は喜色を前面に押し出す。
「公言してないって じゃあ違うかもしんないじゃんね」
「その可能性は0じゃないよな。何、佐々木 狙う気?」
「だって 上手くいけば玉の輿だよ?」
「玉の輿、ね…いいねぇ 御曹司は引く手数多で。ま 俺は男なんてどうでもいいんだけど」
「何 その言い方?女の方には興味ある訳?」
含むところのありそうな眼を土屋に向け佐々木が口角を僅かに引き上げる。
「お前さんより何ぼも素直で純粋そうだったよ」
「言ってくれるじゃない。そういう手合いはあんたに合わないんじゃないかと思うけど?」
「俺もお前が社長夫人に見合う器だとは思ってないけどね」
二人のやり取りに加藤は背中に冷たいものを感じ会話に割り込んだ。
「二人とも冗談はその辺にして。土屋さん戻らないと試験始まってますよ」
「はいはい もどりますよ。尤も俺なんかいなくたって優秀な『指揮者』様が試験進めてくれるとおもうけどね」
「指揮者?」
「御曹司様はパイロットに『指示』しているんじゃなくて『指揮』を執っているんだとよ」
「へぇ?違いがよく解んないけど。兎に角 優秀なんだ、御曹司。それは魅力的だこと」
佐々木の浮かべる笑みにも加藤はまた不安を覚え「早く行きましょう」と土屋の背中を押すようにしてその場を離れる。
「がんばってねー」とひらひら手を振る佐々木に軽く手を上げ応じる土屋を見ながら加藤は心底落ち着かない気分を味わっていた。
二人が管制室に戻った時にはもう試験は再開されていて既に幾つかの項目が消化されていた。
定時まで残り数時間。
このペースで進めば当初2週間掛けてやろうと思っていたものの7割近くのデータが今日中に揃いそうな勢いで今までの作業進度が何だったのか、という気にすらなってきた。
彼らがずば抜けて優秀である、ということはあるかもしれないがその差がこう歴然と出てくると同様の分野を手掛けている八王子への対抗意識も手伝って解析担当者からは当てどころのない不満が湧き上がる。
これだけ効率よくきれいなデータがコンスタントに揃うならそりゃ八王子の作業効率がいいのは当然だ、自分たちだっていつもこうなら八王子以上の進行速度で作業ができる筈なのに。
口には出さないもののその気持ちが思わずため息に変わる。
同僚のそれを目にとめた一人がぼそりと呟いた。
「やっぱ返しちゃうのかな…」
「期間限定の借り受けって話だしなぁ」
「二人ともは無理にしてもパイロットだけでも欲しいよな…」
彼らの目線は無意識にシュミレータから管制室へと移りそこで土屋と目が合うと慌ててモニタに視線を戻した。
その様子に土屋は「ふぅん」と小さく頷き微かな笑みを浮かべて管制室とシュミレータを軽く見渡すと ふと思いついたように胸元からPHSを取り出し何処かへ内線を掛ける。
その瞳にはどこか穏便とは遠く見える光が宿っているようにも見えた。
定時を15分ほど後に控えた頃になって土屋が遊馬に歩み寄る。
隣に立って作業フィールドを見下ろすとシュミレータのコクピットから野明が身を乗り出していた。
二言三言そばの作業員に声を掛けた彼女は管制室を振り仰いだ。
大きなガラスの張られた窓際に遊馬と土屋の姿をみつけ口を開きかけた彼女の耳にインカムから声が届く。
「泉さんお疲れ様 今日の試験はここまでで。こっちに上がってきて貰えるかな」
「了解しました すぐ参ります」
ヘッドギアを所定の位置に戻した彼女は足早に管制室に上がった。
「二人ともご苦労様」
声を掛けながら土屋は壁際のプリンターから出力された帳票を手にとり軽く目を通す。
「流石八王子のエースコンビ、鮮やかなもんだね。これだけ理論値に近いデータはそうそう出せるものじゃない。これをコンスタントにやってのけるんだから八王子としてはそう簡単に君たちを手放さないのも頷けるな。試験が驚くほど速く進むから今度は解析が追い付かなくなりそうだよ。とはいえ精度がかなり高いから作業は捗りそうだけどね」
「それは何よりです」
今日消化した分の試験仕様書を解析担当者に手渡し野明は明らかに営業用の声で応じる遊馬の隣に並んだ。軽く頭を下げる彼女に改めて「ご苦労様」と声を掛けた土屋は遊馬と目線を合わせる。
「進捗が想定よりもかなり早いので二人とも今日は上がりで。明日の試験だけどこれほど作業が進むとは思ってなかったから測定器の手配状況によっては予定していた試験仕様書の順番と前後する可能性もあるから明朝指示を出す形になるかな」
「承知しました。ではお先に失礼いたします」
「明日もよろしく頼むよ」
軽く頭を下げる遊馬に倣い 野明もまた同じように頭を下げ管制室を後にする。
その後姿を目で追い土屋は「解り易いもんだな」と呟いて薄く笑うと内線専用のPHSを手に作業員の居ない部屋の隅へと移動した。
「よぉ まだ居たか」
「直通とはいえ名前くらい名乗ったら?」
「そりゃ失礼。開発室レイバー部門担当主任の土屋でございますが佐々木様はご在席でしょうか、ってなもんでいいのか?」
「そういうの慇懃無礼とか嫌味っていうんじゃない?まぁいいわ。で こんな時間に何の用かしら?本日の業務なら終了いたしました、残業の依頼ならお断りよ。捻じ込むつもりだったら上司通してよね」
「そんな野暮な用で電話しないさ、その口ぶりだと今日はもう上がるんだろ」
「だったら何?」
「こっちもあと30分くらいで上がるから飯でもどうかと思ってさ」
「あら、珍しく早いじゃない。奢りだったら考えてあげてもいいけど素直で純粋な姫君じゃなくていいわけ?」
「そうしたいのは山々だけどお付きのガードが固くてね」
「私で妥協ってこと?」
「そう言うなって。飯は奢るからとりあえず付き合えよ」
「ちゃんとしたもの奢ってよね、ファストフードとか回転ずしは却下だからね」
「わかったよ じゃあとで連絡する」
通話を終えた土屋は穏やかさとは程遠い笑みを浮かべてPHSをポケットに仕舞い込んだ。
管制室の外、少し離れた場所で作業していた加藤が何気なく顔を上げると偶然土屋と目が合った。
その瞳に不穏な光を見た気がして加藤は漠然とした不安を感じもう一度土屋を見直した。しかしそこに先ほどのような光はなく加藤は落ち着かない気分のまま出力された帳票の束を抱え自席へと足を向けた。
チェーン展開しているカジュアルな居酒屋の半個室。
向かい合って座る二人ははた目から見ればカップルのデートに見えなくもないのだが交わされる話の内容は見た目の印象とは大きく異なるものだった。
「で 私を呼び出した理由はそれ?」
「お前御曹司に興味持ってただろう」
「ボンボン育ちの無能な白饅頭だったら興味ないけど顔もそれなりに良いしそこそこ有能なんでしょ?」
「殊 開発・評価に関する業務に関して言うなら『相当に』有能だろうな。システムそのものにも明るいが…何より実稼働現場経験してるアドバンテージはでかいだろうね、それは姫君にも言えることだろうけど。エンドユーザーの目線を持ってる開発ってのはかなり稀有だからな」
「女の方なんてどうでもいいの、要はそれだけハイスペックな御曹司がこっちに靡くかって話でしょ」
「自信がない?」
ニヤニヤした笑いを向ける土屋の言葉にサワーを喉に流し込んだ彼女は『御曹司』と並んで歩いていた小柄な『姫君』を思い出し薄く笑う。
「きっかけさえあれば負ける気はしないけどね」
「言うね、まぁ百戦錬磨と名高いお前さんならそうなのかもな」
「なによそれ 人聞きの悪い」
言いながらさほど気にした様子もなく髪を手で掻き揚げる。
「色目使うのがお上手だそうじゃないか」
しれっと言ってのけた目の前の男に軽く半眼を向け彼女は煙草に火を点けた。
「低俗な噂話だこと。大体 私 特定の誰かと付き合うなんてもう何年もしてないわよ」
「不特定多数だからやっかまれるんだろ」
「誰に聞いたのか知らないけど僻みに付き合ってやる謂れはないわ 文句があるなら直接言いに来いっていうのよ。そういうあんただって女とっかえひっかえしてるって話じゃない?」
「そりゃ心外だな。声をかけてること自体は否定しないけど固定して付き合ったりはしてないさ」
「手を出すだけ出して捨てるから妙な噂になるんじゃない」
「『捨てる』ってのは拾った場合に出る言葉であって拾った覚えがないんだからそれは当てはまらないと思うがね」
「私よりよっぽど悪党じゃない、で 今度のターゲットは姫君なんだ?『純粋』とか『素直』だなんて女に手をだすと後々面倒だと思うけど」
呆れた顔で言う彼女を見遣り土屋は「まぁ それはそれ」と含みのある笑みを浮かべて残ったビールを喉に流し込んだ。その表情に佐々木は「はーん」と軽く呟きにやにやと笑った。
「なんだ 本命は『お付き』の方なんだ?」
「妙な言い方するなよ 男に興味はないぜ」
「白々しい、あんたは『姫君』が欲しいんじゃなくて御曹司をやっかんでるだけなんだわ。姫君取られて悔しがる顔がみたい、ってそれだけでしょ」
「やっかむって何を?」
「それは自分が一番よく解ってるんじゃない?まぁ どうでもいいけど。あんたの憂さ晴らしに付き合って遣る筋合いはないけど玉の輿は悪くないわね」
「本人は『一従業員』だって主張してるけどね」
「へぇ 謙虚ですこと。まぁ いずれにしても大企業率いる社長唯一の実子なんだから次期社長候補ではあるわけだし、そうならなかったにしても将来的な相続財産は大したものでしょうよ。で 土屋としては具体的に私に何をさせたい訳?」
小悪魔的な笑みを湛え問いかける彼女に土屋は軽く身を乗り出すと「先ずさ…」と自身の計画を語りだした。
翌朝 いつもよりかなり早い時間に出勤してきた佐々木はさっさと着替えを済ませてオフィスの席に着いた。
窓に近い彼女の席からは人の流れがよく見える。
程なく連れ立って歩く出向組を眼下に捉え時計を確認した。
始業時間よりも30分以上早い出勤に彼女は軽く肩を竦める。
タイミングを計って更衣室に向かうと案の定 先に着替えを終えた遊馬が廊下の壁に背を預けて立っていた。
軽く深呼吸した佐々木は自分の中で最も男性受けがいいと自負する表情を作り声を掛けた。
「おはようございます」
突然かけられた声に顔を向けると全体的に華奢な印象の女性が軽く見上げるような目線で小さく首を傾けた。
ゆるいウェーブのかかった栗色の髪がさらりと肩から流れメイク効果も加わった大きな目が彼を見つめていた。
華やかな顔立ちと所謂女性を意識させる仕草に一瞬驚きつつとりあえず「おはようございます」と返事を返す。記憶の引き出しを引っ掻き回したもののやはりその顔に覚えはなく『社交辞令だろう』と結論付けて目線を外した。
しかしその後も女性は立ち去ることなく自分に笑顔を向け続けるので遊馬は軽く息を吐きつつ問いかけた。
「何か?」
「何か、というほどの事ではないですけど。興味があるので質問してもいいですか」
声を掛けると満面の笑みと共に戻ってきた返答。
『ひとつきいてもいいですか』というようなよくある切り返しではなかったことに水を向けるんじゃなかったなと面倒臭さを覚えつつここで邪険にしてもメリットはないと判断し彼は軽い警戒心を覚えながら無意識に腕を組み直した。
「『興味』ね。随分ストレートにいいますね」
「どう言い方を変えても同じことですし。それに…遠まわしに聞いたのでははぐらかされるかタイムアップのどちらかで答えはいただけない気がしましたから」
「そうですか」
ちらりと向けられる上目遣いに遊馬はうんざりした気分になりながら 閉じたままの更衣室の扉に向かって『早く出てこい、馬鹿』と心の中で毒づいた。
着替えを済ませて更衣室から出てくると壁に背を預けた遊馬が華奢で華やかな雰囲気の女性と話していた。
遊馬と目が合うと女性がこちらを振り返り「あら 残念タイムアップですね」と小さく肩を竦め「続きはまたの機会に」と笑みを浮かべてその場を立ち去っていく。
なんとなく双方を目で追った野明は遠ざかる女の背中を見つめ その様子に軽く息を吐いた遊馬はくしゃりと彼女の髪を掻き回し「ほら いくぞ」と声を掛けた。
並んで歩くこと暫し。一度建物を出てラボのある別棟に向かう道すがら野明はちらりと遊馬の顔を見上げた。
「…さっきの人」
そこまで口に出したもののその先を口ごもる。その顔に何とも言えない複雑な表情を見出し遊馬はクスリと笑った。
「初対面」
「え?」
「さっき初めて話しかけられた。別に知り合いでもなんでもねぇよ」
「そう…なんだ」
「何不安そうな顔してんだか。名前確認されていつまでこっちにいるのかって聞かれただけだよ」
「遊馬のこと 知ってたんだ…」
「結構面が割れてるからなぁ、俺」
顰めっ面を見せる遊馬に野明は「そうかもしれないね」と答えて小さく肩を竦めた。
その様子を自席の窓から眺めやり佐々木は「まぁ 悪くないじゃない」と囁いて口の端に薄い笑みを浮かべた。
「何が?」
近くを通りかかった同僚が足を止めると佐々木は涼しい顔で視線を目の前の端末に向けた。
「何でも」
一言だけ返したもののそれ以上答える気配がないので聞いた女は「ふーん」と生返事を返すと小さく肩を竦めてその場を通り過ぎた。
程なく少し離れた席で先ほどの女性を中心に数人の女性社員が集まりチラチラと自分の方を窺いながらヒソヒソ話を始める。
その様子に『発信源みっけ』と心の中で呟き 佐々木はすいっと彼らから視線を外すと黙って始業準備に取り掛かった。
to be continue...
===========================
追伸
と こんな感じで悪巧み進行中な感じです
残っている書付がもうほとんどないので忘れたころに更新されそうな気配ですが(今でも十分そうですけどねー)おつきあいくだされば幸いです。
本日は西日本方面 かなり荒れたお天気が予想されておりますし 私のおります関東でも既に天気が崩れだしておりますが皆様 くれぐれもお気をつけて!
お絵かきは・・・いつできるんだろうか(^^;
古いイラストを一時的におきますかねぇ・・・
いつまでも正月というのもねぇ
今度考えてみます☆
ふぉるふぃ 2015年07月16日(木)22時10分 編集・削除
さくらさま、こんにちは。
こちらに初めてお邪魔して以来、ずっとお待ちしておりました。
遣らずの雨、続きを書いてくださり、ありがとうございます。
敵は野郎(ヒドイ…)だけかと思いきや、女狐さん(これもヒドイか)までご登場(汗)
これからどうなってしまうのか…。
ゆっくり続きをお待ちしております。
追伸、以前この作品についてコメントした際に、うっかり題名を書き間違えてしまったことを、今さらですが、この場を借りてお詫び申し上げます。