さてもう7月も下旬に入りました
なかなか忙しさが緩和しないまま七夕もスルーしてしまいました(^^;
落書きできる時間をまとまって取るのも難しい体たらくの中 ちょっと事情があってHDDの中身を整理することになりました
そして山ほど未完の落書きやらテキストやらを発見(^_^;)
途中までかいて頓挫したものの山に「うわー なんて飽きっぽいんだ 自分」と思わず呆れてしまいました(--〆)
タイトルも決まってなく落とし所をどうするつもりだったのかわからないものばかりなのでこのまま封印しようと思ったんですがそんなものでも見てみたいとおっしゃってくださる方がいらしたのでちょっと晒してみることにしました
ほかにも数件 これ用と思われるメモ書きがあったので時間が取れたらのんびりつなげてみたいと思います
ない頭を捻ってもタイトルが何もでてこなかったので今回はことのは辞典から一言頂いてきました。
日本の気象に関する言葉は雰囲気のある多彩な言葉に溢れていてよいですね♪
今ある在庫を一括UPしてますので長いですが もしよろしければ暇つぶしの一つに加えてやってください(笑)
ではでは ご覧いただけますお客様は以下のリンクよりおすすみくださいませ
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遣らずの雨 1
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篠原重工所沢工場。
警察用レイバーの開発は八王子に取られて久しいがこちらでもレイバーの開発は行っている。
いずも計画に関する研究の大半はこちらで継続しているし水中作業用レイバーの開発と合わせて高度技術開発に関して八王子と引けを取らないだけのものはあるのだ。
毎日のテストとデータ解析に追われて作業量は半端ではなく残業時間も鰻上り。
とはいえ残業時間が延びているのはなにも作業量の多さだけが原因ではなく、テストの進行状態にも多大な問題を抱えていた。
開発の内容が内容だけに条件付けがシビアな試験が多数存在する。
しかしそれ故 試験がなかなか思う様に進まず進捗が良くないのだ。
試験項目のうち2割から3割、タイミングと精度をかなりシビアに要求する試験が存在する。
担当のテストパイロットがこの条件での動作をこなすことが出来ず何度と無く試験をやり直したり、妥協して取ったデータを修正して何とか使えないかとこねくり回したりしている時間がとにかく長い。
結局効率を重視して、データの上手く取れない試験を後回しにし出来るところから手をつけることで少しでも作業を先に進めようと努力してきたわけだが。
結果 残された試験内容は難題が山積みといった状態となり先週の頭から足掛け10日近く殆ど成果を上げられないまま時間だけが空費されていく状態が続いていた。
今日もまた一つとして満足のいく結果を出せず全員で深いため息をつく。
連続するNGに疲弊しきったテストパイロットは周囲からの声なき非難の眼差しを一身に受け眉間に皺を寄せると苦々しい表情で機体を降りた。
「あーあ 泉さんだったら一発で決めてくれるんだろうけどなぁ・・・」
呟いたのは先月、八王子から移動してきた加藤というプログラマー。
その内容に数人の同僚が興味を示す。
「誰、それ?」
「テストパイロット」
「何、そんなに優秀なのがいるの?」
「多分 日本で屈指だよ。もしあいつが出来ないっていったら機体かプログラムに問題があるとしか思えないくらいには優秀」
「へぇ?いいな、こっちに貰えないかな?」
本気で試験が行き詰っている身としては喉から手が出るほど欲しい人材だ。
「八王子のエースだしな、厳しいんじゃないか?何しろ実山さん直々スカウトして引き抜いてきた人材だぜ」
「それは凄いな、貰い受けるのは無理としてもこの試験の間だけでも借りられないか交渉してみる価値はありそうだ」
「やってみたらどうです?今 八王子はデータ収集が一段落してるみたいだし」
「なら先ず主任に相談して見ないとな、ちょっと来いよ」
そういうと彼らは加藤を連れて主任のもとに足を向けた。
あれから一週間。
午前の会議が押して午後にかかり2時を過ぎた頃になってラボに入ると試験の真っ最中だった。
進み具合をチェックした土屋は思わず驚きに目を見開いた。
あれだけ進まなかった試験項目がサクサクと消化されている。
吐き出されているデータをざっと見ても失敗が殆どない。
最初の何回かにミスといえない程度の誤差を修正するために慣らした感じがあるもののそれ以外に操作をミスしたとかタイミングを外した、という形跡は全くないのだ。
思わず感心してテスト機に目を移すといつも指示を出しているはずの担当者が呆然とした顔をして立ちすくんでいた。
不思議に思って管制席を見遣ると見かけない男性がテスト仕様書を片手に短い指示を出しているのが目にとまった。
その指示を的確に反映する機体、指示の仕方はポイントだけを伝える短いが適切なものでシビアで微妙なタイミングをパイロットが外すことが無いよう、相手の反応の速度にまで配慮したような無駄のないものだった。
通信回線がプライベートになっているためパイロットの声は聞こえないが無駄のない動きで手際よく試験をこなしていく様子はモニターでみていても鮮やかなものだ。
この2ヶ月で溜め込み 足掛け2週間成果の出せなかった複雑なテストを彼らはたった一日で半分以上こなしてしまっている。
今日から2週間パイロットの借受を依頼したはずだか、この調子だと明日には難題を全てクリアできそうな勢いだ。
「・・・すごいな」
思わず呟くといつの間に傍にきたのか加藤が誇らしげな顔をみせていた。
「そうでしょう? やっぱり泉さんはすごいです。土屋さん、会議今終わったんですか?」
「ちょっと押してね。にしても…本気で欲しいな、あのパイロット」
そういうと指示を出していた男性がこちらをチラリと振り返った。
「渡しませんよ、うちのエースですから。今回はお困りのようなのでトクベツに出張してるだけで」
「エースなのは認めるよ、本当に優秀だね」
「それはどうも」
その男は我が事の様に誇らしげな顔をした後「一旦休憩するぞ、降りてこい」とパイロットに呼びかけた。
土屋と加藤に軽く会釈をし「失礼します」と声を掛けそのままオペレーションルームを出てとテスト機へと向かう。
その後ろ姿を見送り土屋と加藤はシュミレーションフロアを見下ろした。
コクピットから降りた小柄な人物。
大きく息を吐き出しながらヘッドギアを外し笑顔で先ほどの男性に手渡すのをみて土屋は目を瞠った。
「女性?」
出てきたのは 赤みの強い短髪の女性。
美女というタイプではない。どちらかといえば可愛いという方が適切な溌剌とした人物。
「そうですよ。ご存じないですか?警視庁から出向してきたんですよ、最初」
いわれて記憶を遡り朧げながら思い出す。
『黒いレイバーとイングラムで格闘した女性警官が八王子に入った』という噂話。
「彼女がねぇ。思ったより可愛いな」
先ほどの男性と談笑しながら歩いてくる姿はなかなかに可愛らしく、男性側も笑顔で話に応じている。
含みのある上司の顔に加藤は軽く釘を刺した。
「土屋さん、彼女は駄目ですよ」
「何が?」
苦笑いする加藤に土屋はしれっと嘯く。
「土屋さん すぐ女の子にちょっかい出すから。彼女は実山さんと御曹司のお気に入りですからね」
「御曹司?」吃驚して聞き返す。
「そ 気づきませんでした? さっきここで指示出してた彼ですよ。『篠原遊馬』」
「それはまた・・・」
本気で驚いた。八王子のラボに御曹司がいるらしいことは聞いていた。
しかし所沢の出張に本人自らテストパイロットを連れてくるとは思いもしなかった。
扉が開き2人がオペレーションルームに入ってきた。
加藤に気づくと彼女は「あっ!」と声を上げ嬉しそうな笑顔を見せた。
「加藤さん久し振りだね。どう、元気にしてた?」
「まだ2ヶ月目ですからね 慣れないことだらけですよ。泉さんは?」
「相変わらず。でもテストが一段落しちゃったからデスクワークが多くてさ。苦手なんだよねぇ」
照れたような笑顔は二か月前と少しも変わらない。
少しほっとした気分で加藤もまた笑みを返した。
「それはご愁傷様です。でもこっちは幸いでしたよ。テスト進まなくて困ってたんで。ね、土屋さん?」
「ええ 本当に。いっそこちらに移動してきませんか?」
目一杯爽やかな笑顔で声を掛けた心算が『泉さん』と呼ばれた彼女はまったく気にする風もなく、くすりと笑って小さく肩を竦めた。
「ご評価は有難いんですが それはちょっと。ね?」
同意を求められ遊馬は一瞬拗ねた顔をしたもののすぐに表情を作り直す。
「絶対駄目。さっきも言いましたけどうちのエースですからね、こいつは」
そう言って彼は野明の頭に手を置くと聊か乱暴な仕草でくしゃくしゃと短い髪を撫でた。
「貴方が御曹司だったとはね、先ほどは失礼致しました」
土屋が軽く会釈すると、遊馬は少し眉根をよせる。
「そんなこと気にしちゃいませんよ、それよりその呼び方、止めてもらえますか?」
「呼び方って『御曹司』?」
「血縁を否定するつもりは有りませんが仕事してるときは一社員ですよ、普通にね」
うんざりしたようにいう遊馬をみて土屋は意外そうに眼を瞬く。
「成る程。それは失礼。こちらの挨拶が遅れましたね、私はこのプロジェクトのリーダーをしている土屋です。この度はご協力感謝します。篠原さんと・・・泉さんでしたね?」
「あ・・はい こちらこそ宜しくお願いいたします」
名を呼ばれた野明は慌ててぺこりと頭を下げ遊馬も軽く会釈を返した。
営業用の笑みを湛えた土屋は二人を均等に見遣り 次いで爽やかさを前面に押し出した笑顔を野明に向けた。
「とりあえず2週間お願いしたんですが随分ハイペースに試験を消化していただけているので予定より早く終わってしまいそうですね。この分なら残業はお願いしなくて良さそうだ。もしよろしければ就業後にお食事でもいかがです お礼に」
「お礼だなんてとんでもない。試験期日内に終われそうですか?それは良かったです。折角のご厚意ですけどすみません、今日は予定があるんです。」
「それは残念。ではまた後日にでも」
「お気持ちだけで。仕事ですからどうぞお構いなく」
にこやかな笑顔で応じる彼女に土屋は一瞬肩を聳やかした。
作り込んだ笑顔を崩さない彼を横目に、遊馬は無関心を装いつつ野明にしか分からない程微かな不快感を一瞬顔に滲ませた。
「お役にたてて何よりです。じゃ 俺達休憩なんで」
半ば強引に話を切り上げた遊馬は少し驚いた顔をみせる野明の手を素早く掴み取ると足早に部屋を出ていった。
その場に残された土屋は面白い物を見た、という顔で二人の背中を見送り 加藤は一抹の不安を覚えて上司たる男の顔を見上げた。
遠慮がちに土屋を見上げ加藤は心の中で「面倒な事になりません様に」と何かにそっと手を合わせた。
腕を掴まれ足早に廊下を歩きながら野明はきょとんと遊馬を見上げる。
「どうしたの、急に?」
問われて難しい顔で眉間に皺を寄せた彼は少し間を置いて小声でぼそりと呟いた。
「あいつ 何か嫌だ」
「は?」
意味がよく分からなくて野明は思わず聞き返す。
「・・・靡くなよ」
目線を合わせずにボソリという遊馬に思わず目を丸くした野明は小さく噴出すように笑った。
「まったく・・・平気だよ。それに・・・遊馬の方がずっといい男だし」
上目遣いに下から見上げ彼女はにっこりと笑顔を見せる。
想定外の返答に遊馬は思わず動揺して顔を朱に染め野明から少し目を逸らした。
「ばーか。今更言うな。とにかくここにいる間は一緒に居ろよ。なんか・・・落ち着かねぇ」
「遊馬、心配性」
クスクス笑う野明に彼は不貞腐れたようにそっぽを向いた。
「何とでも。八王子じゃないんだからコナかけてくるヤツが他にもいるかもしれないし」
「コナって、そんなのかけた人いた?」
「これだよ。頼むからもう少し男警戒してくれ。俺がもたん・・・」
眉間を押さえ小さくかぶりを振った遊馬はそのまま野明の肩を引き寄せるとこめかみに軽く唇を押しあてた。
「遊馬、職場!」
突然の事に頬を真っ赤に染め軽く彼を窘めた野明に遊馬は「牽制」と小さく囁いた。
「牽制って 何の?」
苦虫を噛み潰したような顔を見せる遊馬の視界は少し距離を置いて歩く土屋の姿を捉えていた。
「・・・色々だよ」
腑に落ちない顔をする野明の肩を抱きこむように抱えた遊馬は足早に休憩室へと向かった。
前を行く2人を見ながらゆっくり歩く土屋の少し後ろで小さく笑う気配がする。
首だけ巡らせるようにして視線を送るとクックッと肩を震わせる加藤の姿が目に入った。
「相変わらずだなぁ 遊馬さん」
「何、親しいの?御曹司と」
土屋が意外そうな顔で加藤を見遣ると彼は「どうでしょう?」と軽く笑った。
「八王子のラボでは皆 名前で呼んだり、苗字を呼び捨てたりが普通でしたよ」
「へえ 意外だな、プライド高そうなのに」
「高いから、じゃないですか?『御曹司』としてじゃなくて、ちゃんと自分と向き合いたいんだと思いますよ、彼は」
「そんなものかね、で『相変わらず』なのは何?」
「ああ、土屋さん警戒されちゃいましたね、遊馬さんに」
「なんで?」
「駄目ですよ、泉さんにちょっかい掛けたら。逆鱗に触れます」
加藤はまたクスクスと笑う。
土屋は少し考える様子を見せると目線を廊下の先に向けた。
「何、あの2人付き合ってるの?」
「公言しないんですけどね2人とも。でも見てるとそうでしょう?暗黙の了解、公然の秘密ってヤツです 少なくとも向こうでは」
「公言しないなら違うかもしれないだろ?彼女いいな、純粋そうだし可愛いし」
にやりと笑う土屋に加藤は呆れたように肩を竦め『泉さんも大変だなぁ・・・』と内心深いため息をついた。
休憩室に入って珈琲片手に野明が遊馬を振り返る。
「ブラックにする?」
「ああ わりぃ。そうして」
こくんと頷き野明は手際よく紙コップに珈琲を注ぐと、少し考えて自分は水を取って来た。
「なに、体調悪いのか?」
野明から珈琲を受け取った遊馬は彼女の手に残った水の入ったコップを覗き込むと心配そうに顔を顰める。
彼の手が頬へ添えられると彼女はくすぐったそうに目を細め小さく肩を竦めた。
「違うよ、ミルクがねコーヒー用のポーションしかなかったから。自販機まで行くほど欲しくもないしさ」
「ならいいけど、無理はすんなよ」
「わかってます」
カフェオレにするほどミルクを入れる野明にとってブラックは好んで飲むものではないと知っていたので遊馬はあっさり納得する。
ゆっくり頬から手を引こうとすると添えた手が離れきらないうちに扉が開いて土屋と加藤が部屋に入ってきた。
頬に触れる遊馬の手をみて土屋が肩を聳やかす。
「お邪魔だったかな」
「お構いなく」
短く答えた遊馬はそのまま野明の肩を抑えて自分の隣に座らせると加藤に目を移した。
「久し振り。どう、こっちは?」
「八王子が懐かしいですよ」笑って答える加藤に、土屋は軽く渋面をつくる。
「所沢は馴染まない?」
野明がからかうような口調で問うと加藤は顔の前でひらひらと手を振って見せた。
「いえいえ。いいところですよ、ここも。でも泉さんの顔が見れないのは辛いなぁ。ここ男ばっかで寂しいです」
「またまたぁ 上手いんだから。おだてても何もでないよ?」
「十分でてますよ、今日はラボの空気穏やかだったし試験はバンバン進むし。結構シビアなのばかりでしょ?」
「そうだね、タイミング難しいのが多いかな。こんな試験ばかりしてるの、ここ?」
「まさか、出来なくて残ったのばかりを頼んでるんですよ、篠原屈指のパイロットに」
「ほんと 煽てるの上手いんだから」
楽しげに会話している野明を誇らしげな顔で見ている御曹司。
まるで自分が褒められたような顔をしている彼をみて土屋は少しからかってやりたくなった。
「泉さんは本当に優秀ですね。八王子やめてうちに来てくださいよ」
「土屋さんまで。かいかぶり過ぎですよ 私の腕というよりは遊馬の指示がいいんです」
「じゃ うちのヤツの指示の出し方に問題があるのかな?」
土屋が笑うと野明は『あちゃ』という顔をして遊馬の顔を振り仰いだ。
「俺はこいつの指揮に慣れてますからね、こいつも俺の指揮になれてるし。そういうことでしょう?予定より早く終われそうなら日程切り上げて八王子に戻りますけど」
「それは勿体無いな、日程一杯いてくださいよ。なんなら泉さんだけでも。ところで指揮ですか、指示ではなく?」
「パートナーですからね 立場は対等です。それと、こいつだけ置いて帰る気はさらさら有りませんよ」
「八王子はいいんですか?リーダーが2週間もラボ空けて」
「優秀なのが沢山いるんでね、今の時期なら問題ないです。とはいえ日程繰り上げられるのならいつでも引き上げますよ、俺達」
強い警戒心をあらわにして話す遊馬を野明はハラハラした気持ちで見遣り その様子を暫く眺めていた加藤はとうとう堪え切れずに吹き出した。
三人の目線が一斉に加藤へと集中する。
「すみません」
どうにか一言発したものの加藤は笑いを納めようして失敗した。
ちょっとムッとした顔の遊馬が思わず「なんだよ?」と声を上げる。
「いや、久し振りに見たなと思って。こういう遊馬さん」
「うるせ」ばつが悪そうに目を逸らす遊馬に野明と加藤が顔を見合わせた。
どちらからもとなく声を上げて笑いだした二人を前に遊馬は不貞腐れた顔でそっぽを向く。
「八王子ではもう誰も泉さんにコナかけたりしないですものねぇ」
「そういえばいつの間にか 食事とか誘われることなくなったなぁって思ってたんだけど、こういうことなんだ?」
頬を染めてクスクス笑う彼女に加藤はコクコクと頷いた。
「こういう現場は初めてみたから、新鮮」
「それは意外でした。泉さんは見たこと無かったんですか」
「うん 遊馬ってあれで見栄っ張りなんだもん」
「あぁ 成程」
「人を肴に盛り上がるのはその辺にしといてくれないか?」
2人で盛り上がっていると遊馬が会話に割って入る。
面白くなさそうな顔をしてぶっきら棒に言い放つその姿に思わず2人は吹き出した。
「ごめん 遊馬」
「遊馬さん すみません」
「・・・2人ともいい加減 笑うのやめてくれ・・・」
唸る様に言うと遊馬は謝りながらも笑い続ける二人の頭を両手でぐしゃっとかき回した。
どうにか場を押さえたと思った途端 今度は土屋が笑い始め遊馬は大きく肩を落とした。
うんざりしたような顔で振り返ると土屋は「失礼」と言って胸の前で『違う』と言うようにヒラヒラと手を振った。
「八王子は楽しそうだなと思ってね、加藤が帰りたがるわけだ」
「別に帰りたいなんて言ってませんよ」
「さっき 懐かしいって言ったばかりじゃないか」
からかう様に言うと加藤は「痛いとこ衝かれちゃったな」と言って笑った。
時計を確認した遊馬が「そろそろ戻るぞ」と声を掛けると野明はコクリと頷いて紙コップをゴミ箱に捨てて立ち上がった。
「お先に」
野明の会釈に土屋と加藤が手をあげて答え遊馬は二人に軽く頭を下げる。
連れ立って廊下を戻る二人を見て加藤が目を細めた。
「仲いいでしょ?」
何気なく振り返ると土屋が少し意地の悪い顔をして2人を眺めているのが目に入った。
「幸せそうでいいよなぁ、御曹司」
その表情と口調に加藤の心にそこはかとない不安が過る。
「土屋さん?」
思わず声を掛けると彼は何事もなかったように普通の顔で振り返った。
「どうした?」
「・・・いえ、そろそろ僕たちも戻った方がいいかなって」
「そうだな」
紙コップをゴミ箱に放り込み少し前を歩き始めた土屋の背中を追いながら加藤の胸に微かな不安が影を落とす。
『泉さんをここに呼んだのはひょっとしたら大きな間違いだったのではないか』
妙な胸騒ぎがして加藤は妙に落ち着かなかった。
to be continue...
- ----------------------------------------- 追記
ここまで書いてあったのですが後は断片が残るのみ、という(笑)
ここからなら 桃にも桜にも転がせそうな感じですよね。
でもこっちに置いたから表展開を目指します☆
忘れたころに更新されるペースになりそうですが気長にお付き合いくだされば、とおもいます
どうぞよろしくお願いいたします(^^)
非公開 2012年07月22日(日)01時54分 編集・削除
管理者にのみ公開されます。