今日も朝からみぞれ混じりの雨が降っています
昨夜 今日が暦の大寒ですよ、と教えていただきました。
そっか 今日だったのね そりゃ寒いわけだ、と思わず納得(笑)
そんな寒い中ですが 長女は元気にポニー教室に行きました
一日雨で 今も小雨なので馬に乗れているかどうかは微妙ですが基礎体力作りもあるので行って来い!ってなものです
幸いにも本人が行く気満々なので有難く。
さて 細切れ連載更新続行中です
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君に贈る 9
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家に来た時点で軽く酔いが回っていた彼女は買ってきた酒が粗方なくなった頃になってうつらうつらと舟を漕ぎ始めた。
幾らか飲み方が慎重になっていたとはいえ遊馬自身もそれなりに酔いが回り微妙に呂律と平衡感覚がおかしくなってきた自覚がある。
重くなりつつある瞼を気力で持ち上げ彼の肩に頭を凭せて寝息を立て始めた野明を眺めた。
全身の力が一気に抜け肩から滑り落ちかけた野明を支えゆっくり頭を右膝に乗せると遊馬はほっと安堵の息を吐く。
左膝に片肘をついた彼は無防備な顔で眠り込む彼女を黙って見詰めやがて静かに眉根を寄せた。
赤みの強い短い髪をそっと撫で耳に光る碧い石を見て何となくほっとしている自分の浅ましさに彼は小さなため息を吐く。
以前何かの番組で『女性にアクセサリーを贈るのなんて飼い犬に首輪を贈ってるみたいで独占欲の塊じゃない』と発言していた女がいたことを思い出し遊馬は彼女の耳朶に目を向けた。
肌の白さと髪の赤みに映える鮮やかな碧を見詰め彼は眉間に微かな皺を寄せ柔らかい頬へ軽く触れた。
何故あの時「誕生日にプレゼントしてやろうか」などと口走ったのか。
目の前で眠る野明を眺め改めて考えた遊馬は『「飼い犬」云々の下りは兎も角マーキングに近い行為であることは否定できないよなぁ』と顔を顰める。
贈った品が『似合いそうだ』と思ったのは勿論確か。
しかし誕生日に宝飾品と言うのは受け取る側からすれば『意味あり気』にみえて抵抗があったのかもしれない。
まして付き合っている訳でもない相手からであれば尚更だろう。
そう思えば彼女が『恥ずかしい』と言った理由が分かる気がする。
なら 渡す側としてはどうかと言うと高価であれ安価であれ宝飾品の類というのは確かにあまり気軽に贈るものではないかもしれない。
自分に関して言えば後に残るもの、というのは多かれ少なかれ面倒を感じることもあって今まで一度もその手の品を他人に贈ろうなどと思ったことはなかった。
出会って5年、素直さと意志の強さはそのままに 物の考え方は勿論 少年と間違われることすらあった容姿も様々な経験と時間を経て彼女は確実に変化してきている。
二課を出てからはそれまで余り拘りの無かった服や化粧にも興味を示すようになりその印象は大きく変わった。
性格の良さも手伝って彼女に声を掛ける輩がが一気に増え 遊馬はいつぞやひろみが口にした「泉さんは磨けばもっともっと光ると思う」という言葉の意味を痛切に感じることとなった。
遊馬は深い溜息をつき膝の上で眠りこける彼女を見遣り小さく肩を竦める。
「・・・全く人の気も知らずに・・・」
呟くように言った彼は暫く彼女の寝顔を眺めた後ゆっくりと頭を振って野明の肩を軽く揺すった。
「おーい、寝るならベッドで寝ろ。風邪ひくぞ」
「・・・んっ・・・いいよ ここで」
何度目かの呼びかけでうっすらと目を開けたものの気だるげに答えて再び目を閉じようとする彼女を遊馬は苦笑しながら抱え起こす。
「馬鹿言え、膝の上で寝られたら俺が迷惑だ」
「・・・けち」
「なんとでも言え。俺だって横になりたいの、それからお前、寝るならそれ外しとけよ。どっかに引っ掛けてもしらねぇぞ」
「それって・・・あ そっか・・・」
野明が大人しくピアスを外し箱に仕舞うのを見届けた遊馬は彼女を隣室に引っ張って行くと有無を言わせずそのままベッドに押し込んだ。
くしゃりと髪を撫で部屋を出ようとした彼の背中に半身を起した野明はすこし不安そうな目を向ける。
「ね・・・遊馬は・・・?」
「向こう片付けるからお前は先に寝てろ」
「手伝うよ・・・」
「いらね。半分寝てるやつに頼んでも手間が増えるだけだからな」
「・・・でも・・・」
「いいから」
肩を押してもう一度彼女を布団に戻すと軽く掌で目を塞ぐ。
「酔っ払いはさっさと寝ちまえ」
眠さに勝てず頭がふらついていた所へ翳された温かい彼の手と穏やかな声音。
ふわっと一瞬で気が緩んだ野明は「おやすみ」という声に微かに頷きそのままスッと眠りに落ちた。
リビングを粗方片付けまくら代わりのクッションと予備の毛布を取りに部屋へ戻った遊馬はチラリとベッドに目を向けた。
ぐっすりと眠る彼女の顔を覗き込み複雑な気分で苦笑いを浮かべる。
信頼されていると思う一方で警戒心のカケラもない寝顔が正直面白くない、という気も確かにして。
「・・・呑気に寝てると襲っちまうぞ」
ぼそりと呟いた遊馬はずいっと彼女に唇を寄せた。
触れるほど近づいた彼女の唇から洩れる規則正しい寝息を感じ動きを止めた遊馬は一瞬躊躇して彼女の前髪を軽く掻き上げ額にそっと唇を当てた。
起きる様子がない事に安堵半分落胆半分。
髪を梳いて一度布団を肩まで引き上げてやると彼は静かに部屋を出た。
ラグの上に即席の寝床を作って横になり寝室の扉に背を向ける。
唇に残るひんやりとした感触、そこはかとなく感じる後ろめたさをごまかす様に彼は黙ってきつく目を瞑った。
いつの間にか深く眠り込んでいた彼は顔に何かが触れる微かな感触に軽く顔を顰める。
掠るようなくすぐったさに大きく首を巡らせ身動ぎした彼は気だるげに目を開けた。
周囲の明るさが目に痛く、時間が既に昼近い事が容易に察せられる。
触れた感触が何だったのかと顔を撫で半身を起こすと少し離れた場所に野明がぺたんと座りこんでいるのが目に入った。
あからさまに不自然な彼女の様子に『昨夜の件 気付かれたかな』と勘繰った遊馬は思わず大きく顔を顰めた。
出方を窺う心算で暫く彼女を見ていた遊馬はちらちらと向けられる落ち着きのない野明の視線に釈然としないものを感じて首を傾げる。
昨夜の件に気付かれた、という事なら責められこそすれ彼女が慌てる必要は何処にもない。
『他に何かあったかな・・・?』
一瞬考え込んだ彼は思い当たる節がなくここで下手に聞き返して藪蛇になっても面倒だ、と感じて聊か腑に落ちない気分のままその件をさらり受け流し気付ぬふりを装った。
何となく不自然さを感じる彼女の態度に引っ掛かりを覚えつつも迂闊に追及する訳にも行かず。
微妙に落ち着かない雰囲気のまま一日を過ごした遊馬は自室に戻るなりどさりとベッドに身を投げた。
「・・・すっげー疲れた・・・」
特に何をした訳でもないのに風呂へ入るのすら億劫な程の疲労を感じる。
深く息を吸い込んだ途端 彼女の残り香を感じた気がして彼の心臓が大きく跳ねた。
ひんやりとした感触を思い出し思わず右手で口元を覆う。
無条件に寄せられていた信頼を裏切ったような罪悪感を感じて彼は眉間に皺を寄せた。
『あれはフェアじゃなかったよなぁ・・・』
寝込みを襲ったような後ろめたさが胸に痞え、苦い顔のまま寝がえりを打つ。
この疲れの一因が精神疲労である事は間違いなく遊馬は額を押さえて溜息をついた。
to be continue
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追記
さてお互い気がついてはいませんがチマチマ何かあったようで(笑)
迂闊に突っ込めないまま一日が終わったようです
進展しない展開に石でも投げられそうですね
管理人は打たれ弱いので是非お手柔らかに~
最近は全国的にインフルエンザも流行りだしたと聞きますし皆様お風邪などお召しになりませんよう体調管理には気をつけてくださいませね!