TOPも変更してみたので序にバレンタインネタを♪
ありがちなネタなので 先にUPしたもん勝ちかななどと勝手に思ってます(^^)
被ったかた おいでになったらすみません~
その際はご一報くださいませ、丁重にお詫び申し上げますです~(^^;
ではそんな感じのありがちネタですがよろしければどうぞ♪
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Incidentally
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St.Valentain's Day
諸説色々あるにせよ チョコレート会社が初めて日本にその習慣を根付かせようと画策してから半世紀ちょっと。
すっかり定着した日本独特の形のイベントは本来の欧米文化とすっかり趣を異にして チョコレートを媒介に女性から好意を示したり 感謝を示したりする日として認識されるようになって久しい。
それでも最初は意中の相手だけを対象にしていたので大部分の人は気恥かしさも手伝って「関係ない」というスタンスを決め込む事も多かった行事。
しかし、バブル全盛の頃辺りを発祥に何時の頃からか 『お世話になった相手に感謝をこめて』という『義理チョコ』なるものがアピールされるようになるとそうもいっていられなくった。
昨今は『節約志向』の定着からかすこし鎮静化しつつある習慣ではあるのだが女性が極端に少ないこの職場内では すこし事情が異なっていた。
数少ない女性が特定の部署に集結し、尚且つ全員が未婚。
年齢にバラつきはあるもののそれなりに全員が魅力的な女性である事には変わりなく。
他にアテのない整備班一同は第二小隊が新設されてから2年、『義理』ということがありあり判る物であっても彼女たちから配布されるチョコを心待ちにしていた。
第二小隊ができて最初の年は野明と熊耳の提案で個別包装された大袋入りのチョコが榊班長に手渡され宿直室に『一人一個』と書かれた紙と共に置かれたものの結局その日 宿直でなかった者はそれに有り着けず暗い闘争を生んだ。
翌年は それに配慮した熊耳の提案で最初から『日勤の方用』『夜勤の方用』と明記された紙袋に仕分けされた状態でシゲに手渡され『一人一個』の約束を守ったの守らないのという小さなイザコザはあったものの整備班内は比較的平和に過ぎ去っていった。
それでも こういう行事が比較的嫌いではない野明と熊耳から個別にチョコを手渡される 後藤、山崎、進士、太田、篠原、更に 榊班長と シゲには羨望とも嫉妬ともつかない眼差しが送られる。
とはいえ班長や隊長に喧嘩を売る度胸がある者はおらず、自分たちにもなにかと気を使ってくれる二課の料理番 ひろみちゃんや 傍目にも良くわかる 愛妻家で恐妻家の進士に嫉妬の眼を燃やすものはない。
太田に関してはあの杓子定規な性格が幸いしてか何故かやっかみの対象にはなっていなかった。
そういう感情の赴く先は 一号機の指揮担当。
初めの年こそ他の六人と同じ箱入りのチョコレートを手渡されていたものの翌年にはそのパートナーから一人だけ包装の違う箱を手渡されていた事を多くの整備班員が知っていた。
個別に呼び出されて屋上で手渡しされていたのだが 誰がどう目撃したものかその話は数時間後にはあっという間に二課整備班の間に広まり遊馬は突き刺さるような視線を感じて背中に冷たい汗を流したものだった。
そして今年。
バレンタインデーが日曜と重なることから一般企業に勤める者の多くが 送り主である女性自身の『経費削減』思考も手伝って『義理』の入手すら困難が予想される中。
24時間年中無休の職場であるここ 特車二課、その整備班は幸か不幸かいつもと変わらぬ勤務が予定されていて、チョコを巡るイベントを翌週に控え班長の手前口には出さなくても内心気になって仕方がないという雰囲気がうっすらと漂っていた。
昼休み先に食事を終えて隊員室をでた遊馬を探してハンガーに向かおうとする野明に熊耳が声を掛けた。
「泉さん ちょっといいかしら?」
「あ・・はい」
きょとんとしながら彼女に近づくと「なにか 用事があった?」と含みのある笑顔で問われ野明は屈託のない笑顔で首を振った。
「いえ ないです。遊馬どこかなって 探してただけなんで」
「篠原くんね、堤防の方に行ったみたいだけど なんなら後にしましょうか?」
「大丈夫です。特に用があるわけじゃないので」
熊耳について歩きながら言うと彼女は『仕様がないわね』という顔で笑い野明を促して女子宿直室に足を向けた。
やってきた場所に野明は小首を傾げつつ熊耳について部屋に入ると室内には南雲がいて湯呑みにお茶を3つ入れて着席を促した。
少し驚いて立ち止まると南雲はきょとんとした顔をした後 吹きだす様に笑った。
「お説教じゃないわよ。相談」
「へ? あの・・・そ 相談?」
意外な単語に野明が熊耳を振りかえると彼女もまたくすくすと笑いながらちゃぶ台の脇に腰を下ろした。
お茶を手に「いただきます」と声を掛けて湯呑みに口を付けると野明にもお茶を勧めた。
慌てて湯呑みを受け取り「いただきます」と言って同様に口を付けると上司二人を見比べてきょとんとした顔をした。
「来週 バレンタインでしょ」
唐突に話題を切り出した熊耳に野明は漸く合点がいってぽんと手を叩いた。
「あ、整備の・・・」
「そう、今年は南雲隊長も一緒にって」
「便乗させてもらっていいかしら?」
「ぜひ、喜んで」
照れ笑いを浮かべる彼女に野明は嬉しそうな笑顔を向けた。
結局 去年と同じように個別包装の大袋をいくつか用意して渡すことに決めると熊耳が「通販で買って届けてもらいましょうか?」と提案した。
「そうね、量も多いし」
南雲が同意すると野明は少し考えて口を開いた。
「あの 私 買ってきますよ?」
「泉さんが?」
首を傾げる南雲に野明はコクンと頷いた。
「今日、終わったら買ってきます」
「でも 結構重いわよ?」
熊耳の言葉に野明は朗らかに笑った。
「遊馬も一緒にいきますから 大丈夫だと思いますよ」
「篠原巡査も?」
驚いた顔をする南雲に野明は事もなげに頷いた。
「ええ。遊馬 好みがうるさいんですよ。だからこの際 一緒に買いに行こうって」
「・・・あ そう 一緒にね・・・」
「ええ。ついでに太田さんとひろみちゃんと進士さん、あと隊長、榊さん、シゲさんの分も一緒に買ってこようかなって思ってるんですけど・・・どうかしました?」
何の気負いも無く言う彼女に南雲はすこし吃驚した顔をみせ熊耳は『ご馳走様』という顔で苦笑を浮かべた。
『遊馬の分』を買いに行く『ついで』と言う事がどういう事なのか、恐らく意識してはいない彼女は仄かに赤みのさした顔で苦笑する上司二人をきょとんとした顔で見て首を傾げた。
「あの・・・何か?」
「あ・・・いえ・・・そうね、じゃあ 泉さんにお願いしようかな」
「ええ・・・そうね、いいかしら?」
「はい じゃ纏めて買ってきますね」
野明が快諾してお茶をすすると ドアを叩く音がして廊下から彼女のパートナーの声が聞こえた。
「野明、中にいるか?」
「あ うん。いるよ」
返事をして野明が扉を開けると遊馬は室内に居る予想外な人物二人に少し驚いて3人を見比べた。
「・・・取り込み中か?」
遠慮がちに声を掛けると南雲が「もう終わったから」と返事をした。
「篠原くん 泉さんに買い物頼んだのよ。悪いけどお願いね」
「買い物・・・ですか?」
首を傾げる遊馬に野明はにこにこと笑う。
「チョコレート。来週皆に配る分だよ。どうせ 今日遊馬の分買いに行くつもりだったんだし序に買って来ようかなって。いいでしょう?」
「え?・・・あ・・・ああ そりゃいいけど・・・」
軽く額に汗を掻きながら返事をする遊馬に上司二人がクスリと笑いながら声を掛けた。
「じゃ、他の人の分も『ついでに』お願いするわね」
「ごめんなさいね、篠原巡査」
「あ・・・はい」
遊馬は引き攣った笑いを浮かべ野明の顔を見下ろした。
屈託のない顔に思わず小さく肩を落とすと「電算室、ちょっとこい」と声を掛け野明の手を引いて逃げる様にその場を後にした。
残された二人の上司はどちらからともなく顔を見合わせ大きな溜息を吐くと「若いっていいわよねぇ」と呟いてゆっくりと茶をすすった。
当日 野明が遊馬にチョコを手渡すのを目にした者が誰一人無くその代わりに定時が過ぎると遊馬に手を引かれて急いで退勤する彼女の姿が多くの整備班員に目撃されていた。
自分だけチョコを手渡されていないのに 不貞腐れることが無かった遊馬を怪訝に思っていた彼等はその姿を目撃して第二小隊が翌日から準待機に入ったことを知ると昨年以上に嫉妬の炎を燃やした。
買い物に遊馬が同行していたことも ここにそれを運び込む為に一緒に通勤してきたことも既に広く知られている宿直室に置かれた女性3人からの『義理チョコ』。
受けとった整備班員の多くはそれを複雑な思いで口に運ぶと来週出勤してきた遊馬に何をしかけようかと暗い情念を燃やした。
fin
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追記
バレンタイン 義理チョコを渡すにしてもあの人数相手じゃ大変だろうなぁ ということで(笑)
遊馬へのチョコは既に受け取っていたのか これから受け取るのか・・・???
余談ですが タイトルの「Incidentally」は 「付随的に、ついでに(言えば)」みたいな意味でつかわれる単語です。 「偶然」 とか「臨時に」と言う意味もあるんですけどね(^^)
ツッジー 2010年02月02日(火)19時44分 編集・削除
遊馬への恨み・・・年々増えまくってるんだね!!
ご愁傷様でした(≧∇≦)