恋に気づいた友愛のお題の6つめです
お題のタイトルの都合上ここから先3つまとめて話が一本につながります
その3本目。
お題中の連作は一旦終了。
お題全体ではつながってますが一本の話を小分けしたのは完結します(笑)
恋に気づいた友愛のお題
06. 「泣かない」なんて嘘だった
少し遅れて遊馬と一緒にいた女性が傍に駆け寄ってきた。
「大丈夫ですか?」
控え目に聞くその女性の涼やかな声に野明は我に返った。
「あ はい。もう大丈夫です。あす・・・えっと・・あのもう平気・・ですから・・あの・・・ありがとうございました」
ぺこりと頭を下げる。
遊馬に何と声を掛けるべきかわからなくて言葉に詰まり 妙に他人行儀な言い回しになった。
その様子に遊馬があからさまに顔を顰めた。
「何だよ?妙な口の利き方して」
「えっと・・・その・・・」
困る野明を見て緑が横から声を掛けた。
「篠原君、お久しぶり。今日はデート?」
緑の方を振り返り怪訝な顔をした遊馬は「お久しぶりです」というと首を傾げた。
緑と野明の視線の先に連れていた女性の姿を認めて遊馬は『ああ なるほど』と納得した。
軽くため息を吐くとその女性に向かって声を掛けた。
「梓、説明して」
『梓』と極自然に名前を呼ぶその一言にぎゅっと胸が締め付けられる。
自分以外の女性の名を遊馬が自然に呼び捨てにするのを聞くのは香貫花以来の事だった。
呼ばれた女性は華が咲くような笑顔を向け優雅な動作で会釈をすると名前を名乗った。
「初めまして。私、篠原 梓と申します。」
「篠原?」
緑が小首を傾げて問うと彼女はコクリと頷く。
「遊馬くんとは『はとこ』になります」
ハキハキと答えるその様子は傍目にも清々しく野明はただ黙って彼女を見つめていた。
「つまり またいとこ、祖父の兄弟の孫ってこと、わかるか?」
反応の薄い野明と緑に遊馬が重ねて説明を加えた。
緑は肩を竦めて溜息を吐き、野明は目を丸くして思わず「え?」と呟いた。
その声に遊馬は悪戯っぽい笑みを浮かべ野明の顔を覗き込む。
「安心したか?」
「あ・・あの・・・えっと・・・」
どもる野明の頭に遊馬はそっと手を置くと髪をくしゃりと撫でた。
その瞬間 野明の目から再び涙がボロボロと流れ落ちた。
「野明? おい、大丈夫か?」
遊馬の声が心地よくてそれが更に涙を誘う。
「平気、大丈夫」
言いながら止まらない涙に緑が苦笑しながら野明の耳元に囁いた。
「『泣かない』なんて嘘だったわね。全く素直じゃないんだから」
その声に野明は拗ねたような眼を向けた。
「自分でも驚いてる」
緑は大仰に肩を竦めると独り言のように小さく呟いた。
「本人以外は皆気づいてると思うんだけどねぇ・・・・」
遊馬が物問いた気な眼で見ているのは分かっていたが緑はあえて気付かないふりをして目を逸らした。
梓もそれに倣うと緑に声を掛けた。
「化粧室の場所 ご存じですか?」
矢印も出ていればここに暫くいたなら気付かない筈のないことを敢えて問うその意図に気づいて緑は小さく笑う。
「ええ、もちろん。ご案内します、こちらへどうぞ」
野明と遊馬に後ろでに手を振ると梓と緑はその場を立ち去った。
遊馬と二人で残された野明は上目づかいに遊馬を見遣る。
「変な気の使い方しやがって・・・」と遊馬は軽く毒づいた。
拗ねたような、そしてまだ腑に落ちないような様子を見せる野明に向って遊馬はくすりと笑うとその目を間近から覗きこむ。
「ま、いろいろ聞きたいことはあるんだろうだけどさ、お互いに。まずは今泣いてた訳 聞こうか?」
やわらかい声音の遊馬の問いに野明は返事に困って俯いた。
それ答えるにはまず野明自身が己が胸に答えを訊く必要がありそうだった。
END
==============
答えに詰まる問い。その理由は自分で整理がついていないから。
連続した一連のお話はここで一旦収束。
けれど お題はまだまだ続きます(^^)
次回は少し間をおいて更新しますね~
ツッジー 2009年10月19日(月)15時09分 編集・削除
ふぅ・・・。
一安心だー(≧∇≦)
まさか、はとことは・・・。
さぁ、どう説明するのかな??
野明ちゃん(≧∀≦)