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不在15

さて不在の第15弾です

野明を連れて帰ってきた遊馬ですが・・・
試練の一夜 スタート♪(笑)
あ 反転はしませんよ、反転は(^m^)

続き

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不在 15
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SIDE-A&N(4)

遊馬が部屋の明かりを落としてからも野明はすぐには寝付けなかった。
体は疲れているのに気が落ち着かなくて眠ることができなかった。
ころりころりと寝がえりを繰り返していると遊馬が声をかけてきた。
「眠れないのか?」
「ごめん、起しちゃった?」
「いや、寝てなかったから」
遊馬が苦笑する気配を感じて野明はゆっくり体をおこした。
「やっぱり ソファだと寝辛いよね」
「そういうことじゃなくてさ・・・」
言いながら遊馬も体を起こす。
月明かりが差し込む部屋は照明がなくても部屋の様子が見て取れた。
ベッドで半身を起して心配そうにこちらを見つめる野明と目が合うとしばらく互いを見つめていた。
先に遊馬が視線を外すと、右手で前髪を掻き上げゆっくりと息を吐いた。
そのしぐさに野明が微かに眉根を寄せ左手を口元に宛がい考えるような様子を見せる。
「ね、やっぱり遊馬こっちで寝ない?」
「お前がそっちってさっき言っただろう、それは譲れない」
静かに言い切る遊馬に野明は困った顔をして俯いた。
「・・・・・」
「え?」
野明がごく小さな声で何か言ったが聞き取れなくて聞き返す。
「聞こえなかった、何?」
重ねて聞き返すが野明は俯いたまま首をフルフルと振って答えようとはしなかった。
「ごめん、何でもない」
その声が掠れている気がして遊馬は野明の元に歩み寄った。
「どうした?」
頑なに下を向いたまま顔を上げない彼女の頬にそっと手を添えて顔を上げさせると目に涙が溜まっていた。
「何でもないって顔じゃないな。言ってみろよ、聞いてやるから」
ベッドの端に腰を下ろすと野明の顔を覗き込んだ。

かなり近い位置から遊馬に顔を覗きこまれた野明は思わず、すっと視線を外した。
心配そうに覗く遊馬の瞳に申し訳なさを覚えて小さく肩を落とす。
急かすことなくそこに座る遊馬に軽い溜息をつくと膝を抱えるようにして座りなおした。
「・・・怖くて眠れない・・・」
小さな声でぽつんと呟くと野明は膝を抱く腕に力を込める。
遊馬は静かにその様子を見ながら頭を軽く撫でた。
「さっきのか?もうあいつらはいないよ。大丈夫だ、それよりああいうこともあるんだから、夜道を一人で歩こうとするな。俺が近くにいたから良かったもののそうでなかったら・・・・」
言った後で遊馬自身も心臓を鷲掴みにされるような気分になった。
そんなことになったら 自分は平常心でいられただろうか?
軽く頭を振るとその考えを頭から追い出した。
遊馬の言葉に野明は先ほどの件を思い出したようにビクっと身を震わせて遊馬の服の端を掴む。
「ごめんなさい・・・」
小さな声で謝ると遊馬の腕に額を当てて俯いた。
「今後は気をつけろよ?」
「うん」
しばらく沈黙が続いて遊馬は野明の頭から手を離した。
「落ち着いたなら 戻るけど・・」
腰を浮かしかけた遊馬の袖を野明は慌てて掴む。
「・・何?」
少し驚いて振り返ると俯いたままの野明が小さな声で「行かないで」と呟いた。

訝る顔をしてそれでも遊馬は再びベッドの端に腰を下ろした。
「まだ 何か気になることがあるのか?」
静かに聞くと野明は少し戸惑ったあとでゆっくりと手を離した。
「あ・・・ごめん。大丈夫、もう寝なくちゃね。明日起きられなくなっちゃうし」
時計を見るともう1時を回りかけていた。
「折角 上がらせてもらったのに眠らずに出社したら責められるだろうなぁ、特にテストパイロットを寝不足にしたら俺 立場ないぞ・・・」
ぼやく遊馬に野明は慌てて彼の背を押した。
「そうだよね、ごめん! やっぱり寝て?」
遊馬をソファに帰そうとするする野明に「もう目が覚めた」というと向き直って目を合わせた。
「俺を向こうに戻したところでお前は眠れないよ、違うか?なんか気にかかってんだろ。言えよ、聞いてやるから。可能な範囲で質問にも答える。けど やっぱり眠って欲しいから横になれ。不安だったら手ぐらい握っててやるから」
野明の肩を押して布団に押し込むと野明の右手に自分のそれを重ねる。
組んだ膝に頬杖をつきながら野明に質問を促した。

野明は少し考えて「遊馬は寝ないの?」と聞いた。
「今日はもういいさ、目も覚めたし。それとも何か、この狭いシングルで添い寝でもしてほしいのか?」
呆れたように笑うと野明は顔を朱に染めながら目をそらし「頼んだら・・・してくれる?」と聞き返した。
予想外の答えに遊馬は一瞬固まった。
「野明?」
顔を覗くと目の端に涙をためてくるりと背を向けた。
「そういうことは 気軽に言うなよ。連れて来といて言うのもなんだけど、仮にも男の一人暮らしの部屋に来てそういうこと言うと無事で済まないことだって・・・・」
「わかってる。でも・・・お願い、近くにいて。どこにもいかないで」
背を向けたまま涙交じりの声で言う野明に軽い溜息をつく。
「近くにいるし、どこにも行かない。だから 少し落ち着け」
ぽんぽんと肩を叩くと少し宥めるように様子を見た。
泣きやむ様子がないので 遊馬は諦めたように肩をすくめる。
「狭いんだからな、少しそっち寄れ。それから・・・あとで文句言うなよな」
遊馬は野明の隣に横になると「ほら」と腕を広げた。
ころりと転がって野明が自ら遊馬の腕の中に収まると頭を撫でてやりながらそっと溜息をついた。
「で、何がそんなに怖いんだ?」
「・・・遊馬が いなくなる気がしたから。この前みたいに」
小さな声で言いながら遊馬のスウェットを掴む。
「この前?」
何のことだろう、と首を傾げる遊馬に野明は責めるような眼を向けた。
「急に寮引き払って・・・電話つながらないし・・・一か月も連絡もなくて・・・」
言いながら思い出したのかしゃくり上げるようにして泣き始めた。
「あれは・・・悪かったよ。一応 この前説明はしただろう?不安にさせたのは謝る」
そういうと野明はふるふると首を振った。
「違う、私の我儘。仕事のパートナーだからプライベートで何があったって一々干渉するのはおかしいって理解はしてる。でも ずっと一緒にいたから・・・・」
「いや、俺のミスも多分にあるから。逆の立場なら心配するだろうし。大体、携帯のモードを切り替え忘れていたのはケアレスミスだ。自分の事に手一杯になって配慮を忘れるなんて痛恨の極みだな。心配掛けてごめん」
時間の所為なのかさらりと謝罪と本音を口にする自分に聊か驚いた。
「遊馬は悪くないよ。私が・・勝手に気になって仕方なかったの。遊馬がいなくなって一か月、ずっと どうしてるかなって」
「・・・そうか」
その間の様子については墨勇の話で少しは察しがついていたものの本人の口から聞くと尚更 自分の配慮の無さに歯噛みする気分になった。
「で、どうして居なくなると思ったんだ?」
遊馬が首を傾げると野明は遊馬の顔を見上げるようにして言った。
「だって・・・遊馬、あと数日でここも引き払うって・・・そしたら次はどこに行っちゃうの?もっと、遠い所に出向・・・するの?」
きょとんとした顔をした後、『ああ、そうか』と遊馬はこの後のことをまだ説明していなかったことに気づいて苦笑した。
野明の目を覗き込むようにして視線を合わせて静かな声で質問する。
「お前さ、東雲からここまでどのくらいかかった?」
突然の質問に野明は虚を突かれ顔をあげた。
「えっと・・・駅から駅までで 一時間半くらいかな。あとはその前後で歩くから・・・2時間弱?」
考えながら答える野明にひとつ頷く。
「そんなもんだろうな、で、往復するとその倍の時間がかかるわけだ」
不思議そうな顔をして野明はコクンと頷いた。
「ここから埋立地に行くにも同じようなもんだろう?寧ろ少し時間がかかる。それを毎日往復できると思うか?」
「・・・それは・・・」
野明も今回は4日程度だと思ったから通うことにしたがそうでなければちゃんと宿泊場所を確保したい距離だと思った。
実際には土曜に出勤が入ったので5日はラボに通うことになったわけだが時間が遅くなると通勤にかかる時間は莫迦にならない。
「それにだ、縦しんばここから通うにしたって自宅にいる時に緊急招集がかかったらここから駆けつけるのに何分かかる?ほとんど東京を斜めに横断するような距離とコースだ。こんな効率の悪い所に住むなんて隊長がいい顔するわけないだろ?」
引っ越しに一枚噛んでいたはずの隊長が、こんなところから通うことに進んで協力するとは思えない。
そのことに気づいて野明は困惑した顔で遊馬を見つめた。
「・・・え? じゃあ ・・・・?」
「ここは 出向が終わったら引き払うよ。新しく借りた部屋は潮見にあるんだ」
「潮見って・・・寮のあるところでしょ?」
「近いよ、自転車使って15分くらいしか離れてない」
野明は少し混乱した。
「でも引っ越しの手伝いに武田さんたち来たんでしょ?」
「ああ、良く知ってるな」と遊馬は笑った。
「寮の傍にすぐ使える貸倉庫の空きがなくてこっちまで一度もってきたんだ、この傍の倉庫に預けてる。結果として荷物が必要な時にすぐとりに行けるし便利だったけどな」
呆けた顔をする野明に「安心したか?」と笑いかけた。
気が抜けて涙があふれてくるのを隠すように遊馬の胸に額を付けると「なんでそんな面倒臭いことするのよ?」と抗議の声を上げた。
「初めはもう少し後で引っ越すつもりだったんだ。けど条件に合う部屋が早くに見つかったからさ 先に押えようとしたんだ。そしたら出向が重なった。引き渡しが先週の末になってて他にも希望者がいたからさ 伸ばすと取られちゃうだろ?でも新しく部屋を借りると寮は出ないといけないし間で帰ってきて引っ越し作業ができそうな日程でもなくてさ、部屋を先に空にしたんだ。その間の住居については出向を言い渡された時点で隊長に相談したら『出向期間中、通勤に難あり』って書類を作ってくれてここを借りてくれたわけだ。部屋の引き渡しの立ち会いなんかも何とかするって・・・・聞いてるか?」
気が緩んだのかぼろぼろと涙を流し続ける野明の頭にぽんと手を置く。
「日曜日 休み取れたら二課によって隊長から鍵を受け取るつもりなんだ。少し荷物も運んでおきたいしさ。一緒に来るか?」
「いいの?」
「いいよ。一番最初に招待してやる。ただし もれなく引越しの手伝いがついてくるけどな」
遊馬がニッと笑うのをみて野明も泣き笑いのような顔を見せた。
野明の顔から不安な感じが消えたのを見て、時間を確認する。
「さて、もう二時近いな、そろそろ寝ようぜ。本気で倒れちまうぞ」
「うわ、本当だ」
時間を見た野明も思わず声を上げた。
その様子に『大丈夫そうだな』と安堵の息を吐く。
「今度は眠れそうか?」
「うん。ありがとう、安心したら 少し眠くなってきちゃった」
野明は穏やかな顔で目を閉じた。
「そりゃよかったな」
髪を梳くように撫でながら遊馬も眠気に襲われる。
「俺も少し眠い」
「うん。おやすみ、遊馬」
「ああ、おやすみ」
腕の中で寝息を立て始める野明を軽く抱き込むと、程無く 遊馬も眠りに堕ちた。
互いがそばにいる安心感からか 二人ともが久しぶりに夢も見ないほどの深い眠りについた。

go to next....
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追記

結局添い寝ですよね(笑)
野明が誘った形になるんですが・・・色気がない★
関係がなかなか進展しないですよね(^^;

でもね、仕事のパートナーは相手が同性でもないと普通、添い寝なんてしてくれないんだよ★
男同士の添い寝は絵として遠慮してもらいたいものですが(笑)

ではでは 続きはのんびりおまちくださいね~(^^)

コメント一覧

こんきち 2009年10月07日(水)21時52分 編集・削除

月明かりが2人を素直にしてくれたから、本心が伝えられたのかな。
でも、この2人の仲はそう簡単に進展しなくて互いがあって初めて双方の存在が輝くという仲だと思います。

ツッジー 2009年10月07日(水)21時52分 編集・削除

反転なしか・・・( ; _ q ))クスン

でも、よかった(≧∇≦)
野明の不安も拭えたし(≧∀≦)

遊馬・・・大変だったね・・・。
色々と(≧∇≦)

さくら(こんきち様) 2009年10月07日(水)23時20分 編集・削除

>こんきちさま

月明かりって好きなんですよ~
やっぱり何某かのパワーってあると思うんですよね(^^)

>この2人の仲はそう簡単に進展しなくて互いがあって初めて双方の存在が輝くという仲だと思います

私もそんな感じかな~って思います。
すごく大事なんだけどそこに踏み込んでいかないというか行けない感じ。
当家の傍から見たら二人はじれったいですよ、絶対(笑)

さくら(ツッジー様) 2009年10月07日(水)23時24分 編集・削除

>ツッジーさま

反転なしです~
ごめん ご期待に添えなくて(笑)
今回は種明かしの回でした
これで一通り 状況が双方に伝わったはずですよ♪
遊馬はいろいろ一人で大変な人なんです(^m^)

日咲 2009年10月08日(木)08時59分 編集・削除

いつもコッソリ読み逃げばっかりで本当にごめんなさい~。
さくらさんが書かれる夜の場面、好きです♪
反転なしでもね(笑)
ふたりの会話のひとつひとつが切ないようで、ちょっと甘い。
心地よい後味でございました。
やっぱり微妙な親密さ?のふたりがツボです。

さくら(日咲様) 2009年10月08日(木)10時11分 編集・削除

>日咲さま

いえいえ♪感想はいつもメールでいただいてますし(笑)
夜の場面 好きと言ってくださって嬉しいです(^^)
反転しませんけど(笑)
そう簡単に手はつけさせませんよ~(鬼!)

やっぱり微妙な距離感って私も好きなので♪
後でメール送りますね~(^^)

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