さて不在の第13弾です
PCの環境入れ換えのため 作業が煩雑に(^^;
すみません。いいわけです・・・
次回こそは少し早めにUPしたいと。。。。したいとおもってます!!
===================
不在 13
===================
SIDE-A&N(2)
夕食のあと作業を再開したものの些細な動作ゆえになかなか切り分けが難しく思った以上に作業が進まない。
夜も遅くなり 深夜帯に入ることを告げるアナウンスが掛かると浅月は一旦作業の中断を指示した。
今日、このまま続けるか、一度仕切りなおして明日また切り分けを行うか。
腕を組んで考え込んでいると 管制室に野明が入ってきた。
「お疲れさまです」と挨拶をして遊馬の元に向かい、二言三言会話をすると遊馬が険しい顔で腕を組んだ。
このとき初めて 野明をまだ残していたことに思い当たった浅月は自分の迂闊さに頭を抱えた。
本日初出向のテストパイロットに異常なまでの超過乗務をさせていたこと、それも女性をこんな時間まで居残りさせてしまったことに気づいて慌てて野明の元に駆け寄った。
「申し訳なかった、こんな時間まで。パイロットが泉さんなのを忘れてたよ」
すまなそうにいう浅月に野明はにこりと笑う。
「いえ、大丈夫です。レイバーに長時間乗るのには慣れてますから」
「それはそうかもしれないけど、泉さん今日は歩きで来てたんだろう? まだ帰れそうか?」
時間を確認すると時計はもう10時を少し回っていた。
野明は軽く肩を竦める。
「いい時間ですね、電車はまだあると思いますけど・・・」
「うん すまないね。今日はもう上がってと言いたいんだけど・・・ここから駅までは少しあるし女性一人で歩かせていい時間でもないんだよね」
心底申し訳なさそうそうにいう浅月に野明は軽く胸を張った。
「それは心配ないですよ、私これでも警察官なんですから」
「そういう問題じゃなくてね・・・」
浅月が苦笑交じりに遊馬に目を向ける。
成り行きを静観していた彼が『やれやれ』といった体で端末から目を離し野明に向きなおった。
「自覚がないなら言っとくけどな、職業がどうあれおまえも一応は年頃の女性なの。夜道を一人で歩かせてなんかあったらどうするんだよ?」
「なんか・・・って大丈夫だよ、心配性なんだから」
「兎に角いまから帰るつもりなら誰かと一緒の方がいい。一人で駅まで歩くのは駄目だ」
会社の送迎バスはもう終わっていて今はない。となると駅まで20分は歩くことになるのだ。
遊馬は思い切り溜息をつくと浅月を見る。
「誰か上がれるやつ、いますかね?」
「そうだなぁ、だったらお前上がれ、篠原」
「俺ですか?」
目の前の端末と浅月を見比べて頭を掻く。
「すごく半端なんですよ、今」
「でもなぁ 泉さん 他人に預けるのか?この時間に。まして彼女今日来たばかりで知り合いっていってもガラス越しに顔見てましたっていう奴らしかいないぞ」
野明は成行きに困惑した顔をして、「あの、本当に大丈夫ですから。なんでしたら駅までタクシーとかで帰りますし」とおずおずと提案しだした。
遊馬は天井を振り仰いで軽く息を吐くと野明に向きなおった。
「30分」
野明は首をかしげる。
「30分待て、切りつけて一緒に駅まで行くから」
「え・・・でも 悪いよ」
困り顔で言う彼女に浅月が笑った。
「いいんだよ、篠原、お前もここしばらく残業しすぎ。労基法に引っ掛かって俺が処罰される前に一度帰るように」
言われて遊馬は肩を竦め「自重しますよ」とため息交じりに言うと一度大きく伸びをした。
「さて、ちょっと集中してやるから野明、帰る支度してまってろ」
「うん、ごめんね」
「気にするな、上司のご指示だし?」
浅月に向かって軽く嘯くと彼はお返しとばかりに半眼で口の端に笑みを浮かべた。
「大体ね、昼間にあれだけ話題になって今 泉さんを連れて歩こうとする奴はいないよ、彼女ともどもどんな噂に巻き込まれるかわからないからね」
両手をぱっと広げておどける浅月に遊馬はニッと笑う。
「それは好都合ですね、少なくともつく虫が減りますから」
「その分 敵は増えるんじゃないのか?」
浅月は小首を傾げて曖昧な笑みを浮かべる野明をちらりと見ると気の毒そうな顔をした。
「否定はしませんけどね」
さらりと言うと遊馬は端末に視線を戻す。
手で野明に『早く行け』と促して数式を眼で追い始めた。
パタパタと足音をさせて野明が部屋を出ていくと、浅月も吐き出されたデータに目を通しながら会話を続ける。
「彼女、女子社員に妬まれそうじゃないか、大丈夫なのか?」
「どうでしょうね?俺が近くにいる間は大丈夫でしょう、それにあと数日のことですから」
モニタから視線を外すことなく答える遊馬に浅月は肩を聳やかす。
「土日挟んで 平日3日の予定だからね、当面」
「それでカタをつけて見せますよ、少なくとも俺の受け持ち部分はね」
「今回のバグ取りで予想外に時間とられるけどな?」
「それでも 午前中だけで今までの3倍以上のペースと格段の精度で試験を終えてますからね、解析時間の短縮は一日分どころではないと思いますよ」
「惜しい人材だな、二人とも」
「駄目ですよ、煽てたって何も出ません、来週には帰りますよ。あいつも連れて」
遊馬は浅月を振り返るとニヤリと笑う。浅月は『降参』とばかりに両手をあげて伸びをした。
再びモニタに向きなおって黙々と解析を進める遊馬にふと聞いてみたくなってデータを見ながら浅月は声を掛けた。
「なぁ 篠原、個人的な興味だから答えたくなければいいんだが」
「なんです?」
「お前 泉さんと付き合ってるのか?」
「聞いてどうするんですか?」
「だから 個人的な興味だよ。答える義務はないから黙秘してもいいけど」
振り返ることなく遊馬は即答した。
「付き合ってませんよ、そういう関係ではないです。けど誰にも渡しませんけどね」
「強気だな」
「そうでもないですよ、臆病なだけじゃないですか」
その答えに意外性を感じて浅月は思わずデータから目を離した。
「臆病って 誰が?」
「俺が、ですよ。確信が持てるまで手が出せないだけです」
どうしてこんなことを浅月に話すのか自分でもよくわからなかった。
それでも多分 この人なら平気だと思った。
二課では誰にも言えなかった本心。
それは『ここに長くはいない』という安心感の生んだ心の隙かも知れなかった。
「確信ね」
浅月は小さく口の端に笑みを乗せる。
「勝算の無い勝負はしない主義なんで」
「ないのか?勝算」
「どうでしょうね、あると確信できてれば勝負に出てますけどね」
「昼間のあれは?」
揶揄を含んだ笑みで浅月が問うと軽い溜息とともに答えが返ってきた。
「ちょっとした牽制と本人へのアプローチを兼ねてたつもりなんですがね」
「かなり解りやすい方法だと思ったけど?」
苦笑する浅月に遊馬は拗ねたような顔で肩を竦めた。
「ええ、そう思ってましたよ、俺も。けど本人は『俺の虫よけか?』って聞きましたからね。わかってないんです」
「篠原の虫よけね、それはまた・・・」
浅月は一瞬目を丸くすると、肩を震わせて笑った。
「あいつ 鈍いんですよ。なので危なっかしい」
「苦労するなぁ 篠原。じゃ やっぱり自分で送って行って正解だな。ここ女性少ないからね 今日一日で彼女アイドルだぞ」
ニヤニヤわらう浅月に遊馬は苦虫を噛み潰したような顔をした。
「あいつにその自覚があればいいんですけどね、無防備なんで」
「他の奴らに送らせたらそれこそ 気が気じゃなくて仕事が手に付かなくなるんじゃないのか?」
ニヤニヤ笑う浅月に遊馬は渋面を見せる。
「俺 そんなに余裕なく見えてました?」
「さぁ どうだろうね、でも少なくとも俺には『泉さんの番犬』みたいに見えてたけどね?」
遊馬は左手で顔を覆うと「あちゃ」と呟き指の間から浅月を見遣った。
彼は愉しげに笑う。
「ま、いいんじゃないか?仕事に支障はでてないしむしろ調子がは上がってる。ラボの連中は少なくとも彼女に好意的だよ。あえて言うなら お前がやっかまれるかもしれないけどね。女性と縁が薄い部署だから」
「そんなのは今に始まったことじゃないですよ。二課にだって女性は少ないし。慣れてますからご心配なく」
しれっといい放つ遊馬に浅月は相好を崩した。
「じゃ それ早いところ見切りつけて彼女頼んだぞ。・・・って俺が言うまでもないか?」
からかうような目線を送ると、遊馬は口の端に笑みを刷き眼で数字を追いながら答えた。
「パートナーの面倒くらいちゃんとみますよ」
「なるほど」
浅月がくすりと笑うと 部屋の戸が静かに開いて野明が顔を出した。
部屋の様子に軽く首を傾げ、「何かありました?」と聞くと、浅月は愉しげな顔で「女性には秘密の話」と笑った。
きょとんとした顔をした野明が遊馬を見遣ると端末から目を外すことなく「もう少しで終わるからそこにいろ」と言い置いて作業に没頭し始めた。
おとなしく野明が椅子に座るのを確認して浅月が腰を上げる。
「さてと。篠原、明日 頼めるかな?」
遊馬は軽く肩を竦めると 野明を振り返った。
「俺は大丈夫ですけど。野明、明日 出勤って言ったら来れるか?」
「うん 平気だよ。今日進まなかったもんね。あの、出勤可能です」
後半は浅月に向かって答える。
「悪いね」
「いえ 仕事ですし。それに・・・」
言いながら遊馬の背に視線を送る。
「特に予定もないですから」
「篠原も来るようだし、申し訳ないね」
「・・・遊馬は・・・その・・・関係 ないですよ?」
頬を仄かに朱に染めて目をそらす野明に浅月は好意的な目を向けた。
「それならいいんだけどね。あいつ 無理しすぎるからさ、少し気にしてやって」
「あ・・はい」
「・・・・主任、野明に言ったって駄目ですよ。そいつは俺以上に自分に負荷掛けるんですから」
端末から漸く顔をあげると遊馬は大きく伸びをして記録の終わったディスクを引き抜いた。
「お前らは自分に厳しすぎるコンビなんだな」
顔を見合せて互いに困り顔を見せる二人に浅月は呆れた目を向けた。
「ま、互いに監視してセーブしてくれよ、どっちに倒れられても大損害なんだから」
軽く言うと二人の肩をぽんっと叩いた。
「じゃ 今日は御苦労さん。また 明日よろしくな」
野明を少し待たせて荷物を纏めるとまだ残っているスタッフに挨拶してラボをでた。
駐輪場に向かいながら遊馬は時間を確認して眉を顰める。
「やべ・・・遅くなりすぎたかな・・・」
時間はもう11時になろうとしていてここから駅までは歩くと20分、どう自転車を飛ばしても5分ではつけない。
素早く携帯電話で終電を検索してみた遊馬は思わず「あちゃ」と声を出した。
きょとんと首をかしげる野明にバツの悪そうな顔を見せる。
「わりぃ。東雲まで帰るならもう電車ないわ」
「え?そうなの?」
野明はびっくりしたように遊馬の顔を覗き込んだ。
「22時37分が最後だったんだ、やっぱあの時帰しとくべきだったな」
大きく肩を落として項垂れる遊馬に野明は軽く息を吐いてクスリと笑った。
「いいよ、もう。今から後悔しても電車が帰ってくるわけじゃないし。駅周辺に泊まるから心配しないで?」
軽く肩を竦めて笑う野明に遊馬は心底申し訳ない気分になった。
「いや、でも・・・」
「大丈夫だって。遊馬がすごく忙しいって言ってたでしょ?だから徹夜になると困るなと思って一応着替えは2,3日分持ってきたし。明日からは電車の時間にも気を配るようにするよ。だから 遊馬こそもう帰って寝た方がいいよ?」
そういとスタスタと正門に向かって歩き始めた。
「あ、こら まて野明っ!」
慌てて後を追うと手首を引っ掴む。
「どっちにせよ 送ってはいく。だから待て」
野明の手を引いて足早に自転車を取りに向かう。
『悪いから』と遠慮する野明を強引に説き伏せて自転車を出すと後ろに乗るよう促した。
「二人乗りは道交法違反だよ?仮にも現役なんだからさぁ・・・」
野明が呆れたように軽く釘をさす。
「こんな時間に二人乗りの取り締まりなんてしてるもんか。それにしていたところでその場で丁重に謝ればお咎めもなく無罪放免だよ。とにかく日付が変わっちまう前に行こうぜ」
渋る野明を後ろに乗せて遊馬は自転車を発進させた。
go to next....
=====================================
追記
イラストとSSに夢中で更新するのをすっかり忘れていました(^^;
待っていて下さった方 ごめんなさい~
次回はもう少し早くUPできるようにがんばります~
ではでは 続きはのんびりおまちくださいね~(^^)
ツッジー 2009年10月05日(月)09時37分 編集・削除
浅月さんいい人だなぁー(〃▽〃)テレテレ
惚れてまう・・・。
野明がもう少し自覚があれば
この関係も進展するのになぁ!!
ってか、遊馬もっと強引にいきなさいよ!!!