ここ最近連日「今年の冬の最低気温」を更新し続けてる気のする関東。
今日は インフルエンザ大流行のニュースで賑わっておりました
近所の学校でも学級閉鎖が出ているようで予断を許さない感じになってきましたね
一応 予防接種はしていますが 5年だか6年ぶりの香港A型流行とのことで年配者と年少者に特に注意が必要だとか。
皆様 うがい手洗い部屋の保湿に気をつけてこの冬無事に乗り切りましょうね!
さて 細切れ連載 続行中。
また少し更新しますのでお時間のある方はぜひお付き合いくださいね♪
では見てくださる方は以下のリンクからどうぞ!
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君に贈る 10
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明けて翌週 遊馬は出社するなり事業部長に呼び出された。
本社開催のプレゼン要員として指名を受けた彼はその足で八王子を出て未だ混雑が残る電車に飛び乗った。
打ち合わせと当日の対応くらいだろう、とタカを括っていた彼は自分がメインの解説人員として挙げられていることに面食らい思わず「手伝いって聞いてたんですけど」と営業課長に詰め寄った。
「生憎 アレに詳しい人材がいなくてね」
「仕様の調整は客先の求めに応じて営業とクライアントの間で行うものでしょう。俺は今までの話し合いの経緯を知りません。前に出ることで支障が出る可能性もありますよ」
不満有り気な顔で言うと部長は困ったように肩を竦める。
「とは言え専任の担当者が先週頭インフルエンザを発症してしまってね、同じグループのメンバーも体調の不良を訴えている。説明会を延期しようにも相手方のスケジュールがビッシリだしこんなことが原因で今更ライバル他社に大型受注をかすめ取られる訳にはいかんだろう」
「仰ることは解りますが俺では役者不足です。技術的な質問に関するサポートでしたら構いませんがメインで対応する人間はもう少しこれまでの経緯について明るい方であるべきじゃないですか」
「営業からも当然サポートはつく。差し当たりこれまでの経緯が解るように議事録は用意してある。プレゼンは木曜だからそれまでに少し読み込んで置いてくれ」
『サポートの対象が逆だろう』と言う言葉を飲み込み部長の指した方を振り返ると休暇中の担当者の机の上に分厚いファイルがどっさりと積まれていた。
『こっちの言い分は最初から予想済みってことかよ・・・』
苦い顔で溜息を吐いた遊馬は諦めたように肩を竦め軽く部長を睨めつけた。
「善処はしますけど週末の連休は譲りませんからね」
「週末・・・?ああ そうか。今週は3連休か、なんだデートか?」
「デートですよー。だから絶対休出はしません」
冷やかし半分の口調に遊馬はしれっと言い返すと呆れ顔の部長を尻目に議事録の積まれた机に足を向けた。
山と積まれた書類を前に溜息を吐きつつ時系列ごとにファイルを並べ議事録に目を通す。
渡されているプレゼン資料と内容を照らしあわせ大雑把に内容を把握したものの細かいことをいちいち記憶できる自信はなく些末的な事は携帯端末に打ち込んでおく。
地味な作業を延々終電近くまで繰り返すこと丸3日。
どうにか一通りの文書に目を通し終えた遊馬は大きく息を吐き出しながら背筋をぐぐっと伸ばした。
その拍子に壁に掛けられている時計が目に入り終電間際の時間に彼は小さく眉根を寄せパソコンの電源を落とす。
『結局今日も連絡できず・・・か』
帰り仕度を急ぎながら溜息を吐き手元に置いた携帯を眺めた彼は難しい顔のままそれを懐に仕舞った。
誕生日の後 一緒に居ながら終始落ち着かない様子だった彼女を思い出し『向こうからも連絡来ねぇしなぁ…』と少し重たい気分になる。
これまでずっと休み前はどちらからともなく連絡を取り合ってきた。
互いに用事があって一緒に居ないことも儘あったがそういう時でもなんとなくメールで事情の遣り取りはしてきたのだが今週はまったく連絡が取れていなかった。
自分同様忙しいだけかもしれない。
或いは、ピアスの一件がプレッシャーになったか、例の行動に実は気がついていて意図的に避けられているのか。
何れにしても気になるなら自分から連絡を取るべきだとおもいつつ仕事の多さに託けてずるずると先延ばししているうちに何となく連絡し辛くなってしまった。
クリスマス前という時期もあり分の悪い賭けには手を出したくないという性分が邪魔をして今まで何気なく口にしてきた『週末 暇か?』とか『どっか 出掛けようぜ』と切り出すだけの事に酷く勇気が要る。
魔がさした、としか言い様の無いあの一件で追いつめられたのは自分の方だと今更ながらに思った遊馬は「明日には・・・連絡しないとなぁ・・・」と呟やいて深い溜息と共に空を見上げた。
翌日行われた説明会は予定時間を大きく越えたものの概ね段取り通り終了した。
後日回答、という形で了承を取った幾つかの問題点をファイルに纏め一通り見直しを済ませた遊馬は凝った肩を解すように大きく首を巡らせた。
すっかり定時を回った事に溜息をつきつつ ぽんぽんぽんと指先でボタンを弾き受話器に手を伸ばす。
数回コールすると応答があった。
「はい 浅月です」
「お疲れ様です 主任。篠原です」
「おお 篠原か。お疲れさん どうだった、そっちは」
「どう、と言われても。取敢えず業務完了報告です。プレゼンは滞りなく終了、来週はそちらに戻ります」
「了解。ご苦労さん、こちらは今日で現状ファームの動作試験が終わったから来週は解析中心だな、忙しくなるからその心算で一つ宜しく」
「承知しました。ところで 動作試験が終わった、ということは・・・」
「泉さんなら今日は定時で上がったよ」
気になって仕方がないだろうに序の様に聞く遊馬の物言いが可笑しくて浅月は先回りして答えを返す。
「・・・あ・・・いや・・・はぁ、それは・・・どうも・・・・」
皆まで言わせず返ってきた答えに動揺し遊馬の受け答えが怪しくなると してやったり、という気分になった浅月は受話器の向こうで盛大に吹き出した。
「結構 素直だなぁ 篠原は」
「・・・余計なお世話ですよ 主任ってそんな性格でしたっけ?」
「面と向かって言える度胸が無いだけでね 小心者だから」
笑いを堪えしれっという浅月に遊馬は不貞腐れた口調で言い返す。
「・・・主任、 オオカミ少年の話って知ってます?」
「勿論。そう言う篠原も『可愛い羊』は自力で守らないとな」
「羊って・・・ちょっ・・・主任?」
切り返した心算が逆に返討に遭った気分で慌てて聞き返したものの浅月は「じゃ まぁそういうことで。来週よろしく」と笑いながら電話を切ってしまった。
切れた電話を片手にこんな用事でもう一度内線を掛け直す訳にもいかず遊馬は思い切り脱力して机に突っ伏し自分の携帯を手に取った。
時間は19時少し過ぎ。
定時で帰ったというならもう部屋に居るだろう、とあたりをつけて思い切って野明の携帯に電話を掛けた。
コールを掛けること10回で留守番電話に接続する。
相手が電話に出なかったことに不満半分安堵半分。
『番号で自分からだとわかるだろう』と敢えてメッセージを吹き込むことなく通話を切った。
気付けば電話が来るだろう、位に思っていたが数分経ってもメールの一つも来ないので少し苛つきを感じてもう一度電話を掛けた。
同じように留守番電話に繋がり彼も同じように電話を切る。
帰る道すがら何度か電話を掛けその度に留守電に接続するとだんだんムキになってきた。
10回近く同じことを繰り返し『次掛けて出なかったら留守電に文句吹きこんでやる』と理不尽な怒りに燃えた遊馬がもう一度彼女の携帯を呼び出そうとすると今度はコールなしでいきなり留守電に繋がった。
電源が切れたのか、切られたのか。
そう考えた途端スッと胸が冷える思いがした。
連休前夜。
何の疑いもなく『アイツに用事はない』と思っていたが定時で帰ったのには何か用があったのかもしれないし休み中一緒に居る、と勝手に思ってはいたものの確たる約束は何もしていない。
まして今週は一度も連絡を取り合っていないのだから実の所彼女の予定をまるで把握できておらず他の誰かが約束を取り付けてしまった可能性だって十分にある。
そういう事に今更気付いて急に嫌な胸騒ぎが大きくなり背中に冷たい汗が浮いた。
取り敢えず部屋に戻り荷物を置いて少し考える。
最後に電話してから既に30分。
あいつの部屋に他に電話は無い。
部屋に居て電源が切れただけならいい加減気付いても良さそうなもんだと思い もう一度電話を掛けてみたもののやはり電話はコールなしで留守電に繋がった。
ふと『可愛い羊は自分で守れ』という浅月の言葉が頭を過り、職場で何かあったのだろうかと俄かに不安になり始め居ても立っても居られなくなり必要最低限の物だけを引っ掴むと足早に車へと向かった。
途中 数回掛けた電話もやはり留守電に直結しかれこれコールが掛からなくなってから1時間以上が経過すると焦りが不安に取って代わる。
ウィークディに連絡をしなかった非は勿論ある、しかしそれなら今日中に連絡がある事くらい予想できるだろうに唯一の連絡手段である電話が切れたまま放置されていることが気にかかる。
30分と経たず彼女のマンションの傍に辿り着くと近くのコインパーキングに車を投げ込みエントランスの前で建物を見上げる。
部屋の明かりを確認した遊馬は急いでエレベーターに駆け込んだ。
もう一度電話を掛けやはり電源が入っていないことが分かると遊馬は大きく顔を歪める。
部屋の灯りはついている、中に居るのに何時まで経っても携帯の電源が入らない。
その理由は何か、と考え不安が大きく頭を擡げる。
単に気付いてないだけか、連絡を絶ちたい理由があるのか。
クリスマス前の3連休。
声を掛ける人間がいなかったとも思えず扉の前で遊馬はしばし考え込んだ。
ここで呼び鈴を鳴らして誰かと一緒に居るのを目の当たりにしたら平静でいられる自信がない。
かといって確かめずに帰っても絶対に落ち着かないことは確かで。
散々その場で考えた末遊馬は大きく深呼吸すると思い切って呼び鈴を鳴らした。
to be continue...
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追記
急いで部屋まで来ましたがそんなに気になるならちゃんとメールくらい入れれば良かったんですよね、本当は(笑)
さて 御曹司はお嬢に会えるでしょうか?
それはまた次の更新で♪
非公開 2012年01月30日(月)21時48分 編集・削除
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