物凄く久しぶりに駄文小屋を更新してみました
タイトルが浮かばずに英語に逃げるという所業にでましたよ~
話的にはかなり暗いものなので それでもいいという方は先にお進みくださいませ~(^^)
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connotation
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夜半過ぎに都心で起きた大規模火災。
救助の手伝いに出向いたものの高層ビルの火災現場で自分たちにできることなどたかが知れていて。
全高8.02mのレイバーではどう頑張ってもビルの4階程度の高さまでしか手が届かない。
消火する側と救助に回る側。
双方がどれだけ頑張ってもどうしても救えなかった命もある。
目の前で零れ落ちる人の命を一度に幾つも目にした彼女は精神的に激しい衝撃を受けた。
自分達は万能じゃない 頭ではちゃんと分かっている。
出来る限りのことをしたのだからそれ以上を望むことは無理以外の何物でもないことは理解していて尚、自責の念が抑えきれない。
帰投する指揮車の中 激しく落ち込む彼女の隣で遊馬は黙ってハンドルを握った。
膝を抱え小さく蹲るようにして座る様を視界に捕らえ少し考えたあと彼は静かに口を開く。
「まだ落ち込んでんのか?」
「・・・」
「俺たちはやれる限りのことをやった、消防や救急の連中だってそうだろ。それでも救えないものはある、それは仕方のないことだ」
「・・・わかってるよ。わかってるけどさ・・・」
小さなくぐもった声で言うと彼女はギュッと目を閉じ自らの身体を抱き締める。
目の前で失われた幾つもの命、その光景を思い出し身を震わせる様が痛ましくて遊馬は僅かに顔を顰めた。
「解ってるならそんな顔するなって。お前はよくやったよ、俺たちは神様じゃないんだからやれることには限界がある 当然だろう?」
後方で指揮を執っていた自分よりも前に出て犠牲になる人々を間近に見てしまった彼女の方が精神的ショックは大きい。
そのことは察するに難くなく押し黙ったままの彼女に遊馬は気遣わしげな視線を向けた。
二課棟に戻ると遊馬は自ら二人分の報告書作成を請け負い「さっさと寝ちまえ」とばかりに青い顔をした彼女を女性専用宿直室に追い立てた。
あれよあれよという間に用意された寝床に押し込まれた野明は一応目を閉じてはみたものの疲れているのに一向に寝付けない。
一人きりの静かな宿直室。
何度となく寝がえりを打ち漸くうとうとし出した頃 浅い眠りの中自分の頭上何階か上で必死に手を伸ばしていた人達があっという間に炎に呑まれた様子を夢に見た彼女は自身の悲鳴で目を覚ました。
「おい!大丈夫か?!」
扉を叩く音と共に響く緊張した男性の声。
見た光景が夢であることを確認しどっと脱力した彼女がその場から動けずにいると「入るぞ」という声と共に血相を変えた遊馬が部屋に飛び込んできた。
茫然と座り込む彼女のそばに駆け寄ると心配そうに頬へ手を添え顔を覗き込む。
その途端 助けることができなかった人たちの怨嗟の声が聞こえた気がして一瞬で全身に汗が吹き出した。
「・・・野明?」
常ならぬ様子に遊馬が小さく声を掛けると彼女は喘ぐように呼吸を乱しカタカタと震えながら我武者羅に彼へとしがみついた。
慌ててその身体を抱きとめた遊馬は耳元で聞こえる尋常でなく荒い呼吸に思わず唇を噛みしめる。
咄嗟に掛ける言葉を思いつかず小柄な体を抱きしめ背中を軽く叩き続け呪文のように「野明…落ち着け 大丈夫だから」と何度も繰り返した。
努めてゆっくり静かに声を掛けていると荒かった彼女の呼吸が次第に落ち着きを取り戻してきた。
それがしゃくりあげるようなものに変わった頃を見計らい彼は静かに声を掛ける。
「この仕事 辞めたくなったか?」
想定外の質問に少し考えた後野明は小さく首を振りしばらく黙りこんだ。
「こういうことはこの仕事続けて行くならこの先何度もあることだしある程度割り切っていかないと・・・」
「ね・・・遊馬・・・抱いてほしいって言ったら・・・抱いてくれる?」
彼の言葉を遮ってに呟くように発せられた彼女の言葉。
その意外なほど弱気な声と内容にいつぞやの自分の発言を思い出し遊馬は僅かに眉を顰め頭に添えた手で軽く彼女の髪を掻き回した。
「今 ここでか?」
咄嗟に答えを返せず野明が黙り込んでしまうと 遊馬は背中をぽんと軽く叩く。
腕を解いて大きく息を吐き出した彼は「ま どちらにしても今はダメだな」と言って天井を見上げた。
支えをなくしてその場に座り込んだまま野明は少し傷ついた顔で目を逸らす。
「どうして? 此処が職場だから?・・・それとも相手が私だから?」
「どちらも半分当たりで半分外れ」
「それじゃわかんないよ・・・」
いたたまれなさを感じた野明は遊馬から視線を外しぽつりと小さく呟いた。
「それは・・・さ・・・私じゃ 抱けないって・・・そういうこと?」
「お前が自分を責めたって何の解決にもなりゃしないよ」
「・・・そんなつもりじゃ・・・」
「じゃあ どういう心算だ?この状況で俺と肌を重ねたって何も変わりゃしないだろ。そんなことしたところでお前の気は晴れやしないし むしろ後ろめたさで辛くなるだけだ。違うか?」
淡々と正論を語る遊馬を前に野明はぐっと唇を噛みしめただ黙って俯いた。
その頭を軽く撫で遊馬は「よっ」と声を掛け腰を上げる。
「それとさ そういうの初めてなんだろ?だったら大事にしとけよ 自棄になると後で後悔するぜ。俺は隣に居るから何かあったら呼べばいい。落ち着いたならさっさと寝ちまえ」
そう言ってひらひらと後ろ手を振り部屋を出ようとする遊馬の背中に野明は拗ねた声音を投げつけた。
「そういう・・・遊馬は・・・大事にしてるの?」
彼女の言葉を受けて扉の前でぴたりと足を止め顔だけで振り返ると「さぁな」と答えた彼は小さく肩を竦めた。
『お前には後悔しないで欲しい』
という言葉を飲み込んで彼は野明に目を移す。
酷く複雑な表情で自分を見詰め返す彼女を見遣り遊馬は自嘲気味な笑みを見せた。
「そうだな・・・俺はもう色々あったからさ・・・次に女抱く時は双方幸せな気持ちなれる相手がいい」
「・・・?」
「自虐につきあったり つきあわされたりとか ただ性欲のはけ口にするとかそんなんじゃなくさ 互いに大事だって感じられる相手がいいよな」
「・・・」
言葉がぐさりと心に突き刺さり野明が思わず言葉を失うと彼は小さく息を吐いて言葉を継いだ。
「だからさ、今のお前じゃ俺は抱けない。でもま お前がそういう気持ちになれたらいつでも来いよ、別に急ぎやしないから」
そういうと遊馬は部屋を出て行き野明はパタリと閉じられた部屋の扉を呆けたように見詰め続けた。
「・・・えっと・・・?」
遊馬の残した言葉を反芻し彼女はそれをどう捉えたものかと小さく首を傾げる。
ともあれ少しだけ気持ちの向かう方向を変えられた気がして野明は大きく息を吸い込むと思いきってもう一度布団に包まった。
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追記
二か月以上 テキスト更新してなかったということに履歴を見て初めて気がつきました☆
なんだか出だしが暗い話になってしまいました☆
先日 ツイッターをチラチラ覗いていたところ久しぶりに「抱かせろ」発言関連の話があったので これ 逆バージョンだとどうなるかなぁとおもって書きだしたんですが。
短くまとめて拍手返礼用にしようと思ったのにだらだらっと長くなったので使えなくなってしまったものです(^_^;)
というわけでいつになったら拍手画面を入れ替えられるのか全く見通しが立ちません☆
その辺は気長にお待ちくださいませ~
まだまだ 残暑も厳しい中 台風も二個まとめて接近中とのこと。
皆様 いろんな意味でお気を付けくださいね。
非公開 2011年09月19日(月)20時42分 編集・削除
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