昨年 七夕当日に4時間だけ公開していたSSです(^^;
今年はバタバタしているのと あまりSS自体を書いてないので書けそうな気がしないのとで鬼畜にもその再掲載で場つなぎしてみたいと思います(おい!)
昨年みたなぁ と言う人もおいでかと思いますがそんなものでもよろしければ以下からどうぞ♪
ちなみにあの時掲載していた落書きはこっぱずかしさの余り封印させてもらいました☆
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星に願いを 2010
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今週の待機任務は第二小隊。
ナイトシフトの時間に入ると当番組が夜勤を担当する。
あとはその組内で誰もオフィスに居なくなる事が無い様上手く時間を調整してローテーションを組めばいい。
最初の当番を終えた野明はひろみと交代すると日報に型どおりの必要事項と報告を書き添えると出来上がった書類に捺印した。
「これでよしっ、と。ひろみちゃん 次よろしくね」
「はい、泉さんもゆっくり休んでください」
元気に手を振って野明がオフィスを出ようとするとひろみは思い出したように声を掛けた。
「そうそう 遊馬さんならさっき屋上に上がりましたよ」
「屋上に?こんな時間に何しに行ったんだろ」
「さぁ・・・でも何か大きな本を抱えてましたけど」
「・・・本?」
時間はもうすぐ深夜0時になろうと言う時間。
ここ暫く夜でも気温が下がらない状態が続いている東京では外が快適とは言い難い。
その上深夜の屋上は暗くて本を読むには適していない。
何れにしても幾らか海風が渡るだけの屋外に出るよりは 多少なりともエアコンが効いている宿直室の方がまだ過ごしやすそうな気がして野明は怪訝な顔で首を傾げた。
人の良い笑みを湛えたひろみが『行ってらっしゃい』と言う様に頷くと野明はにっこり笑って「ひろみちゃん あとよろしくね」と声を掛け小走りでオフィスを後にした。
真っ直ぐ屋上に上がると屋根の上に彼の姿はなく野明はきょろきょろと辺りを見回す。
するといつもの海側では無い方向から「何してんだ?」と声が掛かり慌てて振り返ると電波塔の台座に座り込んだ遊馬が小さく手を振っていた。
「そっちに居たんだ。ねぇ 何してるの?」
駆け寄ろうとすると遊馬が少し焦った顔で注意を飛ばした。
「足元、暗いんだから気をつけろよ」
「わかってる」
彼の傍に辿り着くと腰より少し高いコンクリートの台座に座った遊馬が分厚い本の様なものをパコンと閉じる。
「すっごい大きいんだけど・・・それ 何?」
興味津々の顔で聞く彼女に遊馬は愉し気に笑った。
「これか? 所謂 星図ってやつなんだけど・・・」
言いながら本を開くと飛び出す絵本よろしく半球形のドームがページの上に飛び出す。
「面白いだろ。立体になってるんだ」
「どうしたの、これ」
期待した通りに目を丸くする彼女に遊馬はにんまりと笑うと「実家から持ってきた」と言ってページを捲った。
「ガキの頃 祖父に買って貰ったもんなんだけどさ、この前実家に帰った時に取ってきたんだ」
「へぇ・・・」
「子供向けだしすっげー大雑把なもんだけどな。東京とオーストラリア辺りを基準にして四季毎の北半球と南半球の星空が描いてあるんだ。あとは各々の東西南北な。それと北極点を中心にした図と・・・」
ぱらぱらとページを捲り目的の図を開く。
ページの端に『夜9時ごろの東京近辺 夏 7月中旬 東の空』と書かれたその半円を比較的判り易い星の位置と照らして向きを決めると野明を振り返った。
「ちゃんとしたもんじゃないから大体こんな感じな」
「へぇ・・・立体になってると面白いね」
「だろ? 全天球じゃないとこがまたいいんだけどさ」
言いながら手を貸して野明を自分の隣に引っ張り上げる。
隣に座って本を覗き込んだ彼女はちょいちょいと遊馬の制服の袖を引いた。
「ねぇ この白い筋が天の川?」
「そうなるな」
遊馬の答えに空を見上げ野明は少し顔を曇らせた。
「見えないね・・・」
「天の川か?そりゃな。東京に限らず今日本で普通に見れる場所少ないと思うぞ。それこそ近くに明かりが無い様な場所に行くか 思い切り高い場所に上りでもしないと・・・それでも厳しいかもな。実家の方では見れなかったのか?」
「小さい時には郊外に出れば見えたよ。お父ちゃんに連れっててもらったキャンプ場とかだと結構綺麗にみえた。でも七夕に見たことってなくて・・・残念だったなぁ」
くすくす笑う野明に遊馬はきょとんとした目をして見せた。
「七夕でないと駄目なのか?天の川なんて実際は年中見えてるんだから何時観てもいい気がするけどな」
「年中って・・・そうなんだ?」
「あれは天の川銀河の重なりが筋に見えてるだけだからさ。日本の場合 冬よりも夏の夜の方が濃く見える、それだけのことだよ」
首を傾げる彼女に遊馬はぱらぱらとページを捲って見せた。
楕円形の渦巻きの端に赤い点が描かれたページを指し示す。
「これ、何の図か判るか?」
「太陽系・・・?」
「残念。これは『天の川銀河』の模式図だ。太陽系はこれ」
少し考えて答えた野明に遊馬はクスクス笑いながら赤い点を指差した。
「え?こんな隅っこなの?」
「そ。で 日本から見ると夏場の夜はこっち方向の星空が見えるんだ」
そう言いながら中心方向へ向かって指を滑らせる。
「逆に冬場はこっちな」
円の淵に向かって指を差すと今度は隣の図を示す。
「銀河自体はこんな風に中心付近が少し膨らんだ薄い円盤状になっていると考えられてるんだ。だから天の川銀河の星はその内部から見ると天体の多い部分が細い帯状に重なって見えるって訳。より数が重なって見える方が当然 濃く見えるから天の川そのものは年中見えている筈だけど夏場の方がより見やすいって事になる」
感心したように話を聞く彼女に遊馬は得意げに訥々と「宇宙にはこういう銀河が無数にあって・・・」と説明を続け野明は暫くその声に耳を傾けた。
一頻り説明を聞き終わると野明はくすくすと笑いだしその顔を遊馬が怪訝な顔で見返した。
「なんだよ?」
「ううん。そりゃいくら待っても無駄だったよね、って思って」
「何を?」
「織姫と彦星が会うの」
「・・・は?」
「だからね、七夕に晴れてると織姫と彦星が白鳥の橋を渡って再会出来るって話があるじゃない? それが見たくて夜通し空見上げたりしたわけよ」
思い出し笑いをして頷く彼女に遊馬は呆れた目を向けた。
「まさかとは思うが・・・星が動くと思ってたのか・・・?」
「思わなかった?」
チラリと見上げる眼差しに遊馬は盛大に溜息を吐いた。
「お前ね、一夜の内に目で見て判るほどの距離を星が移動して元の場所に戻るなんてことが起きたら それこそ一大天体ショーだぞ、大体あの星同士がどれだけ離れてると思ってんだ?」
「だから 小さい頃だってば。遊馬って夢が無いなぁ・・・」
「そりゃ悪うございました、現実みてんの、俺は」
拗ねた顔をした彼女の頭を手の甲でポンと叩き遊馬は軽く頬杖をついた。
「大体さ、恋愛に現抜かして仕事忘れる様な奴らの話に興味はないね」
嘯く彼に野明はぷぅっと頬を膨らませつんとそっぽを向いた。
「もう、すぐそういう風に話持ってくんだから。お伽噺なんだからいいじゃない」
「はいはい、お前が夢見る乙女な少女時代過ごして来たのは良く分かったよ。それで純真なお嬢様は今年何か願い事してきたのか?」
からかう様な口調に拗ねた野明は「遊馬には絶対教えない」と小さく舌を出した。
その顔に一瞬呆気に取られた遊馬は目を瞬くと次いで吹きだすように笑った。
「じゃあ 訊かない、あとでハンガーに降りりゃわかるもんな」
しれっと言って遊馬が立ち上がると野明は慌てて彼の腕を引っ張った。
「ちょっ・・・人の短冊探さないでよねっ」
焦った顔の彼女に遊馬がにんまりと笑う。
「なんだ、書いたのか 短冊」
「・・・!」
カマを掛けられた事に初めて気づき野明が抗議するより早く彼は本を抱えてひょいと台座から飛び降りにやにやと笑った。
「見られて困る内容なのか?」
「そんなんじゃないけどっ・・・そういう遊馬は書いたの?」
彼を追って飛び降り朱に染まった顔を誤魔化すように詰め寄ると遊馬は涼しい顔で答えた。
「俺は神頼みなんてしねぇもん」
並んで屋上を降りながら「狡い」を連発する彼女に「お前の身長で結べるとこなんて限られてるからなぁ」と笑うと野明は目一杯むっとした顔で「絶対探さないでよね!」と彼に強く念を押した。
数時間後 ひろみと交代する時間になって仮眠室を出た遊馬はふと思い立ってハンガーに足を向けた。
案の定 あまり高くない位置に括りつけられていた見慣れた文字の短冊を目に止めてさらりとその中身へ目を通す。
「ふうん」と小さく呟くとそっと短冊から手を離し口の端に小さな笑みを浮かべた彼は『まぁ その位の事なら叶えてやってもいいかな』と思いつつその場を後にした。
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去年はこんなの書いてたんだよなと懐かしいやら恥ずかしいやら・・・
と言う訳で置き逃げしますね!
本当はちゃんと新しく書きたいんですが時間とネタがぁぁ(T▽T)
非公開 2011年06月21日(火)21時49分 編集・削除
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