今日は天気上々。
昨日の妙な天気と違って布団も干せる安定したお天気でした♪
ふかふか布団 ばんざ~い!!
ここ最近 一日は長いのに一週間が短い・・・・
気がついたらもう週末ですよ
そしてもうじき5月が終わります。
今は近所の都立公園で 菖蒲祭の真っ最中です。
来週にでもみにいきたいなぁ・・・・
ここから先は連載のお話
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時間開きまくってますが取り敢えず更新(^^;
実は忙しさにかまけて殆ど校正をしていません(おい!)
なので誤字脱字は見つけたらその都度チマチマ修正するかもしれません
だったら 校正してからUPすればいいのですがそうするといつになるやら判らないのでもう見切りですよ、すみません~!!!
前回は年配者しかでてこなかったので今回は若者に出張っていただいてます(笑)
相も変わらずだらだらした文章ですがお付き合いくださる天使の如きお客様は以下からどうぞ♪
にしても足掛け一年までもうすぐだなぁ・・・これ(^^;
最初の短く・・・って話 大ウソじゃん(自爆!)
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不在 31
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SIDE-A&N(14)
野明を連れて部屋に入ると彼女をそっとベッドに横たえる。
昼間の内に粗方片づけておいて正解だった、と遊馬は内心ほっとしがらリビングに戻り冷蔵庫から取り出したミネラルウォーターを口に運んだ。
軽く頭を振って酔いを飛ばすようにゆっくりと息を吐き出しダイニングテーブルに背を預け片肘をつきぼんやりと天井を見上げた。
喉を潤し幾らか気が落ち着くとボトルの蓋を閉じて冷蔵庫に戻す。
少し考えて着替えを引っ張り出すとざっと湯を浴びにバスルームへ向かった。
気持ち温度を高めにしたシャワーを浴びシャツとスウェットのパンツを身に付け 野明を寝かせた部屋の戸を薄く開けるとよく眠っている彼女の姿が目に入った。
そっと扉を閉めてリビングに戻ると少し考えて小さい薬缶を火にかけインスタントドリップの珈琲を引っ張り出して湯を注いだ。
ダイニングの椅子に腰かけ芳醇な香りがたつ琥珀色の液体をゆっくり口に運びながら軽く頬杖をつく。
野明の眠る部屋の扉を見るともなしに眺め、複雑な気分で先程までの事を思い出すと遊馬はふぅっと大きな溜息を吐いた。
自分の隣にあって表情をくるくると変えながら楽しそうに杯を重ねていた彼女は今まで自分にだけ見せていると思っていた様々な顔をあの男の前でも無防備に晒していた。
寧ろ時折見せる昔を懐かしむ時の二人の顔は何とも表現しがたい甘酸っぱさを孕んでおり正直、遊馬はそこに入る余地を見い出せなかった。
今の彼女が自分を見ているのは判っている。
墨勇にも彼女がいる。
あの二人に関して言えばこの再会を機会に『焼け木杭に火が付く』ような事にならないだろうと判っていても妬けなかったかと言われればそれを否定するのは難しい。
二課に配属になる前の彼女については断片的にしか知らない遊馬でも彼らの仲の良さが『ただのクラスメイト』よりは近しいものだっただろうことは容易に想像が出来た。
二人の様子から彼女の言うように『特別な関係』が無かった事は疑う余地がない。
しかし互いに相手を大切にしていたのはよく分かったし、それは今でも変わっていないらしいこともまたひしひしと伝わってきた。
墨勇には佐保と言う彼女がいて野明は自分を見ている筈だ、そう思っていてもあの二人の間に流れるどこか甘酸っぱさを感じる雰囲気に遊馬は軽い嫉妬に似た感情を覚えた。
過去に妬く事ほど不毛なことはない、そう分かっているのに割り切りきれない自分の感情に遊馬は軽く眉間を押さえ遣る瀬無さに深い溜息を吐いた。
「・・・馬鹿だな、俺」
ぼそりと呟いた自分の声に滲む苦い響きに自嘲気味な笑みを浮かべるとカチャリと扉の開く音がした。
振りかえると不安そうな目をした野明が扉の陰からそっと顔を出していた。
遊馬の姿を認めるとそそくさと部屋を出てくる彼女の覚束ない足取りに苦笑しつつカップをテーブルに置いて歩み寄ると俯き加減のまま野明がぽすんと遊馬の胸に凭れかかった。
「居た・・・」
拗ねた声音とは裏腹にホッとした雰囲気が漂う彼女の顔に苦笑するとそっと頭に手を置いて髪を梳く様に撫でてやる。
「起きたのか・・・」
「目 覚ましたら一人だった」
彼女の拗ねた口調に遊馬は小さな笑みを浮かべた。
「わりぃ、よく寝てたからさ。・・・大丈夫か?」
未だ酔いが残る焦点の甘い瞳を心配そうに顔を覗き込む彼に野明は小さく頷いた。
「ん・・・。ごめん 迷惑かけて」
「こんなもん迷惑の内に入んねぇよ、気にすんな」
静かで穏やかな遊馬の声に安心したように一度目を閉じると野明はゆっくりと目を開き彼の顔を見上げた。
そして不意に思い出したように目を瞬いた。
「・・・墨勇・・・帰っちゃった?」
ふと疑問に思っただけ、そんな声音の質問には裏も邪気も感じられない筈なのについ今し方まで彼と野明の関係に軽い嫉妬を覚えていた遊馬にとってそれは癪に障る質問だった。
「・・・タクシーで新木場に戻った。最初からそういう約束だったろ」
「あ・・・うん。そっか そうだったよね」
不安気な野明の瞳に遊馬は少し苛つきを覚えてフイッと顔を背けた。
「そんなに・・・」
「・・・え・・・?」
「そんなに・・・あいつが気になるか?」
「・・・遊馬・・・?」
ぐっと力を込めて野明の頭と身体を強く引き寄せる遊馬に吃驚して目を瞬くと徐に顎を掴まれ顔を引きあげられた。
吃驚して目を見開くと顔を顰めた遊馬がそのまま半ば強引に彼女の唇を塞ぎ小柄な身体を掻き抱いた。
呆気に取られされるがままになっている彼女にふと我に返り苦い顔をした遊馬がゆっくりと腕を解き身体を離すと呆けた顔をしていた野明が小さく首を傾げ居心地の悪さを感じた遊馬は思わず目を逸した。
「・・・どうかしてるな、俺」
二人が共有した自分の知らない時間に嫉妬している、その事の馬鹿馬鹿しさに自分で呆れ顰め面で溜息をつく。
「起きたなら 風呂行って来いよ」
ぶっきら棒に言い置くと遊馬はぽんと彼女の肩を叩いて 軽く頭を振り野明が使っていたのとは異なる部屋の扉を開けた。
「先 寝てるから。ゆっくりしてていい」
後ろ手を振り扉を閉めようとする彼に野明は慌てて声を掛けた。
「そっち 布団なんてないでしょう、どうやって寝るの?」
「適当。どうとでもなるから心配すんなって。じゃ お先・・・」
さらっと答えて扉の向こうに姿を消す彼に心細さを感じた野明は急いでその背中を追いかけた。
不安を湛えた顔でぎゅっと遊馬の手を掴むと彼は静かに振り返った。
「何?」
「あ・・・えっと・・・」
咄嗟に追いかけて来たものの掛ける言葉に詰まると彼は自分の態度を思い返し物思わし気な笑みを浮かべた。
「別にどこにも行きゃしないよ。そんな顔すんなって」
「・・・でも・・・」
まるで捨て猫か何かの様に途方に暮れた顔をする野明を見て遊馬は小さく肩を竦めた。
「・・・わりぃ、八つ当たりだな。風呂の間、待ってて欲しいならリビングに居るけど・・・」
「・・・それは・・・大丈夫・・・」
「そうか」
声に突き離す様な雰囲気が無くなったことで野明が思わず安堵の息を漏らすと彼は苦り切った笑みを見せた。
ゆっくり手を離した彼女がすこし考えて自分が横になっていた部屋を見遣る。
「眠るなら 向こうにしたら?遊馬の部屋なんだし」
「あっちはお前が使え。大体 俺が先に向こうで寝ちまったらお前絶対その辺で寝る気だろ」
「私の方が小柄なんだから どうとでもなるわよ。それこそラグの上でもいいし・・・」
「ばぁか、そんな事させたら俺が墨勇に殴られるだろうが」
自分で彼の名前を出した直後、不貞腐れた顔をした遊馬に野明は微かに眉を顰めた。
「そんなのは関係ないんだけど・・・遊馬 もしかして墨勇とのこと・・・」
「疑ってるわけじゃないからな、んなもんじゃないのは重々判ってる」
苦々しい顔の遊馬に野明は困惑した目を向けその視線に落ち着かない気分になった彼は大きな溜息をつくと彼女に向き直った。
「本当に、お前らが何かしたとかそういうことじゃないんだ。そうじゃなくて・・・その・・・気にするな・・・ったって無理か・・・」
心底 困った顔をした遊馬は暫く考える様子を見せた後、ガリガリと頭を掻き毟り「ああもうっ!」と声を上げると野明の身体をがばっと抱きしめた。
「・・・遊馬・・・?」
「本当に八つ当たりなんだよ、悪かった。だからそんな不安そうな顔するなよ」
自分に呆れて力の抜けた彼の声に不安と困惑の混ざった顔の野明が静かに問い掛けた。
「でも・・・それ 私達のことで でしょう?何故って・・・聞いちゃ、いけない?」
「・・・何故も何も・・・ただの妬きもちだよ」
拗ねた声音で言うと少し間をおいて遊馬は大きく息を吐き出しゆっくりと彼女を離した。
黙ってダイニングテーブルに向かいながら右手で口元を覆うその顔が耳までほんのりと朱く色づいているのを見て野明は目を瞬き次いでホッとしたような笑みを浮かべふわふわする足で彼の後を追いかけるとその背中にきゅっと抱きついた。
「・・・そんな必要ないのに」
柔らかな野明の声音に遊馬は不貞腐れた顔を向けバツが悪そうに呟いた。
「・・・近すぎんだよ、お前らの雰囲気」
「近いって 何に?」
小首を傾げる野明へ遊馬は諦めた様子で素直に答えを返した。
「・・・数日前までの俺達」
着かず離れずの位置に居ながら互いを気にかけている微妙な感じ。
違いは二人の間に漂う空気感。
互いに口にしなかった想いが置かれた環境と流れた時間を経て微妙な甘酸っぱさを含むやるせない雰囲気へと姿を変えている。
遊馬自身にそういう相手が居ない事もあり墨勇に対するやっかみが奇妙に向きを変え野明の態度への不満にとって代わっていた。
それが理不尽であることは百も承知でありながら それでも尚拗ねた態度を取ったことを後悔した遊馬が がっくりと項垂れると彼の身体に回された野明の腕に軽く力が籠った。
「・・・そっか、ごめん。不安にさせて」
学生の頃の雰囲気は確かについ先日までの遊馬との関係によく似ていたかもしれない。
ちらりとそう思うと彼の気持ちが少しわかった気がして野明は小さく深呼吸すると遊馬の背中に声を掛けた。
「シャワー借りてくるけど・・・やっぱり待ってて貰ってもいい?・・・出てきて一人になるの、嫌だ」
『少し甘えてみよう』と野明が遊馬に声を掛けると存外素直に遊馬が首を縦に振った。
「・・・わかった、ここに居る。急ぐ必要ないからゆっくり行って来いよ」
落ち着いた声の遊馬にほっとした顔で頷くとするりと腕を解いた野明は着替えを引っ掴んで大急ぎでバスルームへ足を向けた。
珈琲を片手に見るともなくTVを眺めているとシャワーを浴びてさっぱりした野明がリビングに顔を出した。
遊馬の姿を確認して顔を綻ばせ椅子に座る遊馬の後ろからふわりと手を回し甘える様に彼の肩に頬を乗せた。
シャンプーと石鹸が仄かに香り、頬に軽く彼女の唇が触れると一瞬目を瞬いた遊馬がふっと表情を緩めた。
「遊馬」
名前を呼ぶ柔らかでどこか甘えた声に遊馬がチラリと目線を向けると野明は口の端に笑みを浮かべ目を閉じていた。
「眠いのか、酔っ払い」
『仕方ないな』という口調で言う遊馬に気だるさが混ざる声を返した。
「そんなに酔ってないよ」
「その割に足元が危ういじゃないか」
「そんなことないって」
ふわふわとした足取りを指摘する彼に野明は小声で答えくすくすと笑みを漏らした。
「あるよ。眠いなら寝ちまえ、さっきの部屋使っていいから」
半ば呆れた声で言うと彼女はきゅっと彼にしがみ付いた。
少し間を置いて彼の反応の探る様に声を掛ける。
「・・・遊馬は?」
「俺ももう寝る。酒も入ってるから・・・流石に少し眠いしさ」
やんわりと彼女の腕を解きかけた遊馬に野明が遠慮がちに声を掛けた。
「頼みごと・・・してもいい?」
「何?」
「・・・腕枕 して欲しいなぁ・・・って」
上目づかいで反応を窺う野明の顔に遊馬は一瞬きょとんとすると軽く息を吐きながら手の甲で軽く頭を小突いた。
「二人で寝るには狭いって」
「でも セミダブルなんでしょ」
「セミダブルってのはちょっと広いシングルだから。そんなに広く感じなかったろ?」
「そうだっけ・・・?」
小首を傾げる彼女に遊馬は微苦笑を返しつつ腕を解き立ちあがった。
「いいけどね、一緒に寝ると結構狭いぞ」
「それでも。初めてのとこに一人で居るのって結構心細いんだからね」
「一人ったって隣の部屋にいるんだけどな・・・まぁ いいか・・・」
『仕方ないな』という顔を作りながらもどこか機嫌のよい遊馬の後ろ姿を軽い上目づかいで眺め その少しぶっきら棒な物言いに野明は小さな笑みを零した。
部屋の入り口で「ほら」と伸ばされた腕を掻い潜り自らぽすんと彼の胸に収まると思った以上にふわりと抱きとめられた事に少し驚いた。
安堵と幸福感がじわりと湧きあがり穏やかに目を閉じると膝を掬われて二人で並んで横になる。
彼の右腕を枕にして顔を見合わせると遊馬の左手と自分の右手を指を絡めて繋いだ。
妙に照れくさい空気が流れて何となく二人同時に目を逸らすとバツの悪そうな遊馬の顔に野明がクスクスと笑いだした。
「・・・何だよ・・・?」
照れ隠しも手伝って素っ気ない口調になる彼に野明は「別に」と答えて笑みを見せた。
不満気な顔で眉間に皺を寄せた遊馬に彼女はふわりと笑った。
「・・・東京に来てよかった」
「あ?」
想定外の言葉に思わず目を瞬くと野明が大きな瞳で彼の目を覗き込み嬉しそうに言葉を継いだ。
「遊馬に会えて、よかった」
まだ少し酔いの残る仄かに上気した彼女の笑顔に一瞬どきりとした遊馬の顔が微かに朱に染まる。
「そっか」
幸せそうに軽く目を閉じた野明が少し間をおいて口を開く。
「やっぱ ちょっと酔ってるかなぁ・・・」
「・・・かもな」
心地よく耳に響く遊馬の声に軽く息を吐き出すと野明は「ひとり言だから聞き流して」と小さく呟いた。
ころんと身体を仰向けに転がし「了解」と遊馬が返事をすると暫く経ってから野明がゆっくり話し始めた。
「私 高校の時墨勇が好きだったんだと思う、・・・多分」
少し切ない顔をする彼女に遊馬は苦い感情を味わいながら 黙ってその声に耳を傾けた。
「けど それを認めて『親友』とか『仲間』みたいな関係が壊れるの嫌だった。『友達』でいれば喧嘩しても仲直りすれば一緒に居られるけど『告白』したら友達では居られなくなっちゃうし・・・振られたりしたら声も掛けられなくなりそうで・・・その事は考えない様にしてた」
相槌の代わりに絡めた指に遊馬が軽く力を込めると野明もまた指に少し力を込めて手をしっかりと繋ぎ直した。
「そうやって目を逸らしている間に佐保は墨勇の『いいところ』に気がついて・・・段々彼に魅かれて行った。彼女は・・・私と違って『女の子らしい』女の子だったし、何より感情が素直に顔に出て・・・応援したくなった。でも 今思えば・・・羨ましかったのかもね」
言葉が少し途切れ野明の雰囲気が少し寂し気なものに代わると遊馬は微妙に居心地の悪さを感じた。
「感情がでやすいのは お前も同じだと思うけどな」
「どうだろう・・・少なくとも私は彼女ほど素直じゃなかったの。だから 佐保の背中を押した後 暫くの間は二人を見るのが辛くなった。・・・私 どこかで自分は墨勇にとってトクベツなんじゃないかって思ってて・・・けど 私が考えるほど彼にとって私はトクベツじゃなかったんだよね」
自嘲気味に笑う彼女に遊馬は少し迷ってからぽつりと言った。
「・・・そうでも無かったんじゃないか」
「・・・え?」
「特別だったんじゃないかって言ってんの」
「まさか・・・だったら何で・・・」
少し拗ねた口調になった遊馬に野明は一瞬目を丸くした後困った様に笑った。
「・・・お前が勧めたからだろ・・・」
「・・・私が・・・?」
「あいつお前に『一度振られてる』って言ってたからさ。・・・そう言うことだろ」
「振って・・・ってそんな事・・・」
「したも同然なんだって・・・本当 鈍いなお前。・・・逆考えてみた事、あるか?」
チラリと彼女を見遣り目線を天井に移した遊馬に野明は戸惑う目を向けた。
「・・・あいつが仲間内の・・・特に仲の良い男を一人紹介してきて、お前と同じように力いっぱい『こいつはいいやつだ』ってアピールしてきたする。しかも そいつが本気で自分を好きそうだとしたら どうだ?」
「どうって・・・」
「自分が恋愛対象から外れてる、って思わずにはいられない・・・違うか?」
「それは・・・」
昔の思い出を手繰り寄せた彼女は苦い顔をして、それから小さく溜息を吐いた。
『離されるのが怖くて 先に彼の手を離したのは、自分の方だったんだ』
今さらながらにその事を悟り野明は複雑な表情で俯いた。
「あいつも お前が好きだったんだと思う。・・・多分 今も」
「それは・・・だって・・・」
佐保を思い表情が曇る野明の後ろ頭を遊馬は右手で軽く撫でる。
「勘違いするなよ、横恋慕してるとかそういう事言ってる訳じゃない。それはお前が一番良く分かってるだろ?」
彼女が頷くのを確認すると遊馬は天井を見たまま軽く右腕を引き寄せた。
「あいつが自分の彼女を大事にしてるのは俺にだってわかるよ。けど お前のことだって充分気にかけてる。それは お前も向こうの彼女も同じみたいだけどさ」
「向こうの彼女って・・・佐保?」
「・・・なんかメールでやたらと気にしてたのを見せられた」
少し顔を顰める彼の横顔を見て野明は「そっか・・・」と呟いて小さく肩を竦めた。
心配そうな顔でメールを打つ佐保の姿がまな裏に浮かび微苦笑をみせた野明は遊馬の胸元にそっと額を付けそのまま彼の心音に耳を傾けた。
暫く沈黙が続いたあと、遊馬がぽつんと口を開いた。
「お前らってさ 多分気持ちが残ってんだろうな・・・」
弾かれた様に顔を上げた野明は困惑した様子で彼を見遣り、チラリと彼女に目線を向けた遊馬は少し困った顔をしてみせた。
伝える事無く閉じ込めた想いはふっ切る事も忘れられる事もなく心の片隅にひっそりと残る。
それは何かのきっかけでふと表層に浮かび上がってくることもあって そのタイミング次第で人によっては嘗ての感情が再燃する事もあるのだろう。
二人の性格を考えればこの先互いにその想いを相手にぶつける事は無い気がする。
しかし間に流れる微妙な空気感は何かのきっかけが無ければ変わる事は無いのかもしれない。
そう思うと遊馬は少し複雑な気分になった。
「別に責めてる訳じゃないさ。・・・俺にも覚えのある感情だしな・・・」
呟く様に言うと高校時代の同級生と再会した時の事を思い出し遊馬は軽く目を閉じた。
結局 彼女が二課棟に姿を現した後 遊馬自身は気持ちに整理を付けた心算だがあの一件が無ければ心のどこかに彼女が棲み続けたのかもしれない。
「・・・同窓会で会った人・・・?」
自分の胸にピタリと寄り添い不安気な瞳を向ける彼女に『気付いてたのか』と微苦笑を向けクシャリと髪を掻きまわすとその額に軽く唇を寄せた。
あの一件を他人に話した事は無い。
言っても信じてもらえるか怪しいものだし 何よりあの時間をどう納得していいのか自分でも腑に落ちていないのだから説明の仕様もなかった。
それでも 口にしてしまえば野明なら何かしらの答えをくれるのかもしれない、けれどそれはまだずっと先の事でいい気がして遊馬は敢えてその詳細に触れることはしなかった。
「何て顔してんだか。心配しなくてもちゃんと気持ちのけじめはついてるさ。それよりも・・・」
チラリと向けられた視線に野明が考え込む様な仕草を見せ小さく肩を竦めた。
「・・・そう言うんじゃないんだってば。・・・確かにちょっとほっとするとことはあるのよ?でも それは・・・」
「判ってるって、ただちょっと面白くないだけ」
野明の言葉に被せて言うと遊馬は彼女の身体を引き寄せていた右腕を開き大きな溜息を吐いた。
寄り添うように身体を添わせていた野明が軽く目を瞬き次いでゆっくりと笑った。
「心配性だね、遊馬は」
「させてんのはお前」
繋いでいた手を解いた遊馬は野明の額を指で軽く弾くと欠伸を噛み殺しつつ目を閉じた。
「さて・・少し寝とこうか。ここ数日 纏まった睡眠殆どとってないからなぁ、流石に眠い」
「そうだね」
彼につられて生欠伸をしながら野明もまた同じように目を閉じる。
「明日は・・・八王子の方片づけにいかないとな。・・・付き合えよ」
「了解。お付き合いします」
欠伸交じりの会話をしながら二人揃って引き込まれる様に深い眠りに落ちた。
それは夢も見ないほど深いけれどどことなく優しい眠りだった。
翌朝昼前に目を覚まし八王子のマンションに残して来た幾ばくかの荷物を纏めざっと掃除を済ませると 再び潮見の部屋に戻って部屋を整える。
一日中動き回り夕方になって漸く一段落つくと遊馬の淹れたカフェオレを手に野明がほぅっと大きく息を吐いた。
「なんとか片付いたね」
「そうだな。助かったよ、手伝って貰って」
「どういたしまして。これでどうにか生活できそうだね」
くるりと部屋を見渡す彼女の視線を追い遊馬が軽く笑った。
「感謝してます、手間賃代わりに夕飯位奢ろうか?」
「うわ ラッキー。何奢ってもらおうかなぁ」
途端に嬉しそうな顔を見せ振り返った野明に気押されかけた遊馬がポンと軽く彼女の頭を叩いた。
「常識の範囲内だからな『フランス料理のフルコース』とかはなしだぞ」
「なぁんだ 残念」
おどけたように笑い野明は小さく肩を竦めると手にしたカップへゆっくり視線を戻した。
少し話題が途切れダイニングテーブルに片手をつき珈琲を啜っていた遊馬が野明の方に目を向けるとカップにフーフーと息を吹きかけ慎重に中身を口に運んでいた彼女が顔を上げ、一瞬躊躇した後 殊更何でもない事のように問い掛けた。
「ね 遊馬、私 昨日車で寝ちゃったじゃない。その後 墨勇と何か話したの?」
「何かって?」
「・・・それが分かれば聞いてないって」
拗ねた顔をする野明に少し考えて遊馬は口の端に軽い笑みを刷いた。
「お前が気にする様な話はしてないよ。・・・そうそう、明日夕方の便で帰るって言ってた。見送りに行くか?」
「え・・? あ・・うん。行きたい、けど・・・いいの?」
「そりゃね、あのまま寝落ちで帰られんのも嫌だろうと思って態々聞いといてやったんだから・・・」
「遊馬、ありがとっ」
カフェオレをコトンと置き、珈琲片手に話している途中の彼に向かって満面の笑みでぴょんと野明が飛びつくと「あぶねーからよせ」と言いながら慌ててカップを頭上に掲げバランスを取った。
自分に纏わりつく彼女を見て『見送るだけでこんなに嬉しそうな顔されるってのは判ってても妬けるよなぁ』と遊馬は軽い溜息をついた。
珈琲を飲み干して気分が落ち着いてしまうととどちらともなくラグマットの上に座りこむ。
何となくつけっぱなしにしていたTVをぼーっと見ながら「久々に身体動かすと結構キツイな」と苦笑いする遊馬に野明もまた大きく息を吐いた。
「本当、何だかんだでラボに籠りきりだったもんね。特に遊馬なんてここ一カ月デスクワークしかしてないから余計でしょ?」
「否定はしないけどね。お前だって八王子に来てから筋トレも何もしちゃいないもんな。筋力落ちると戻すのキツイぜ?」
にやにやと笑う遊馬に野明はつんと顔を逸らして言い返した。
「それはお互い様でしょ、っていうか私より遊馬の方が深刻なんじゃないの?週明けから現場に復帰したら息切れして使い物にならない、なんて勘弁してよ?」
ふふんと鼻を鳴らす彼女に思わず目を瞬くと遊馬は軽く目を眇めた。
「言ってくれるじゃないか。お前とは基礎が違うの。少々体力が落ちたところでお前に後れを取る様なヘマはしないって」
「言ったなぁ ぜーったい負けないんだから」
少しムキになった彼女の語調に遊馬は半ば呆れた顔をすると天井を仰いで大きく息を吐いた。
「負けないって・・・何の勝負だよ、一体。・・・でもまぁ 手伝って貰って助かったよ、本当に。サンキューな」
「・・・どういたしまして」
ストレートな謝意に思わず野明の反応が遅れると遊馬は小さく笑い視界に入った真新しい壁時計が示す時間に軽く眉根を寄せた。
「もう7時回ってんのか。今から飯食いに行ったとして・・・寮の門限考えるとゆっくりしてらんねぇし。野明 今日も泊ってくか」
事もなげに言う遊馬に野明が少し迷う様子を見せた。
「どうせ明日また会うんだ。いちいち待ち合わせするより面倒が無くていいだろ?それにここは寮じゃないんだから誰の許可を取る必要もないしさ。東雲の方は戻る連絡してないんだからそのままでも問題無いだろ?」
「そりゃ・・まぁ・・・」
「じゃ そうしろよ。どのみち準待機は明日までなんだから夜には向こうに帰る事になるんだし、もう一日位付き合えよ」
『付き合え』と言われると『嫌』とも言い難く野明がコクリと頷くとそのままなし崩し的に宿泊が決定してしまった。
『何だかんだで八王子に出向してからずっと遊馬の部屋に泊ってるんだけど・・・いいのかなぁ こういう生活してて・・・』
そうは思ったものの隣で疲労困憊という体で天井を仰ぎ肩の力を抜いてリラックスした顔をする彼を見ると振りきって帰ろうという気もしなくなる。
3週間ほど音信不通だった反動も手伝ってべったり一週間傍にいると寮に帰るのが寂しくもあり遊馬に対する精神的依存度が増してしまった気がした野明は軽い溜息を吐いた。
「何?」
溜息を聞き咎めた遊馬が振り返ると野明は少し困った顔で笑った。
「何でもない、ちょっとね しっかりしないと駄目だなぁって思っただけ」
「泊るの 抵抗あるのか?」
聊か不満気に問い掛ける彼に野明は目を瞬き次いで小さく吹き出した。
「そんなんじゃなくてね、遊馬に頼り切ってるなぁって思ったから」
「そりゃ問題無いだろ?てか お前は一人で色々背負い込みすぎるんだよ 少しは吐き出せ」
「遊馬に言われたくないなぁ。でも誰かにおんぶ抱っこって言うのはちょっとね、自立した人間になりたいじゃない?」
「目標持つのはいいことだろうな、けどまぁ 差し当たり頼るなら他に頼るな。俺は結構嫉妬深いみたいだからさ」
軽く肩を竦めた彼女の頭を軽く撫でながら遊馬がにっと笑った。
「墨勇にまで妬くと思ってなかった・・・」
「・・・あれは 妬けるだろう、普通・・・。まぁ いいけどその話は後にしてとっとと飯食いに行こうぜ」
よっと声を掛けて立ち上がり遊馬が野明に手を差し伸べるとその手を取った野明が苦笑つつそれに倣った。
「作るって選択肢はないんだ?」
「今日はいいよ、片づけんのも面倒だろ。第一食材なんかなんもねーし、買ったって明日出かけて明後日から待機任務だぜ。腐らせるのがオチだって。なら外で食う方が利口」
「そりゃそうかも知れないけど・・・」
「なんか作ってくれる気があるんだったら今度頼むよ」
さらっと言うと遊馬は野明の背中を軽く押した。
結局居酒屋でのんびりと食事を取り帰宅が11時を回ると交代でシャワーを浴びる。
軽く一悶着した後昨日同様一緒にベッドに潜り込むと野明が軽く抱き込まれる形で横になった。
「おやすみ」と声を掛けると直ぐに寝息を立て始めた遊馬の肩口に頬を寄せ軽く目を閉じると野明は極小さな声で呟いた。
「いつまでこうして傍に居られるんだろう・・・」
八王子で味わった遊馬との立場の違いはなにも肌を重ねた事で消えてなくなった訳ではない。
発した声の予想以上のか細さに自分で吃驚していると半分寝ぼけた様な遊馬の声が頭の上から降ってきた。
「いつまでだっていられるさ、・・・つーか、逃げんなよ。俺が困るんだから・・・」
聞かれていた事に驚きながら鼻腔を擽る彼特有の香りと耳に届いた欠伸を噛み殺したような声音に野明の全身からふわりと力抜けた。
「じゃ 捕まえててよ、私結構 臆病なんだからね・・・」
少し不安も混ざった甘える様な彼女の声音に遊馬は黙ってその身体を抱き込む腕に力を込めた。
引き寄せられ安心したように目を閉じる彼女の顔をチラリと見遣り口の端に笑みを刷きながら遊馬が小さく囁く。
「・・・離す気なんて毛頭ねぇよ」
「・・・ん」
シャツの胸元をきゅっと掴んで小さく頷く野明に「もう寝よう」と声を掛けると額に軽く唇を寄せた。
腕の中の小柄な身体を大事にそうに抱え込みもう一度目を閉じると今度はそのままスッと深い眠りに落ちた。
野明もまた自分を包む彼の体温に安堵して『この腕の温もりをずっと感じていられますように』と心中密かに願を掛けゆっくりと目を閉じそのまま深い眠りに引き込まれていった。
昼前には部屋を出てショッピングモールに足を運び食事がてら墨勇への手土産を物色して歩き、少し落ち着くと遊馬が墨勇に電話を掛けて空港での待ち合わせを取り付けた。
3時前に約束の場所につくと大荷物を持った墨勇が既に到着していて二人を見つけ軽く手を振った。
野明が弾む様な足取りで駆け寄るのを見送って遊馬は軽く肩を竦めつつペースを崩すことなくその後を歩いてきた。
「態々来てもらって悪いね」
「ううん、それよりごめんね。この前、私 車で寝ちゃったから挨拶もしないで」
「そんなの気にしなくてもよかったのに。それに挨拶ならちゃんとしたよね?」
野明の後ろで二人の様子を見ていた遊馬に墨勇が声を掛けると「一応な」と受応えた彼は軽く肩を竦めた。
「起こしてくれればよかったのに」
拗ねた目を向ける野明に遊馬は「抱き上げても起きなかった奴が良く言うよ」と呆れた口調で言い返す。
ぽんぽんと軽口をたたき合う二人を見て墨勇は笑みを零した。
「いや 本当によく寝てたんだよ。それこそちょっとやそっとで起きそうになかったし」
「でも 危うく挨拶もしないで北海道に帰しちゃうところだったじゃない?」
「だからちゃんと予定聞いといてやっただろうが」
「・・・それは感謝してるわよ」
「なら文句を言うなっ」
「文句じゃなくて意見」
「同じようなもんだろうが」
ムキになりかける野明に遊馬が半眼を向けると墨勇が会話に割って入った。
「まぁまぁ 折角来てもらって喧嘩されたんじゃかなわないよ、二人ともその辺で。けど 野明、時間を聞いてくれたのは遊馬だからそこはそれで良しとしとけって。大体 あれだけ気持ちよさそうに熟睡されてたら誰も起こせやしないよ」
本当は自分が理不尽な言いがかりを付けている事が分かっていた野明は引きどころと供されて「墨勇がそう言うなら」と渋々を装って鉾を収め、遊馬は不貞腐れた顔で大きな溜息を吐いた。
3人でコーヒーショップに足を向け少し落ち着くと並んで座る二人を見て墨勇が口を開いた。
「折角の休み一日貰っちゃって悪いね」
「別に普段から予定立ててどこ行こう、なんて感じじゃないから構わないよ。行くとこが決まってたってだけでいつも通りだし」
「そうそう いつも会ってからどこ行くか考えるんだよね。結局思いつかなくて散歩で終わっちゃう事も多いし」
クスクス笑う野明に墨勇は目を細めた。
「そりゃ ご馳走様、って言うべきなのかな」
「墨勇にそう言われると擽ったいなぁ」
照れた笑みを浮かべる彼女の横顔を眺めて遊馬が複雑な表情するとそれを見た墨勇はにやにやと笑った。
「そんなに心配そうな顔しなくても連れてきゃしないって」
「・・・心配はしてないけどね」
「そう? なら良いけど。妬いてるのかとおもったからさ」
しれっという墨勇に遊馬は苦虫を噛み潰したような顔を向けた。
「じゃあ 妬かれる様な態度見せんなよ」
「本当 素直じゃないなぁ。まぁ 言葉はともかく態度は素直か」
笑いを堪える墨勇から遊馬がフンと視線を外すと野明がきょとんとした顔で隣を振りかえった。
不貞腐れた顔の遊馬に野明は目を瞬き呆れたように肩を竦めた。
「妬きもちやき・・・」
「うるせ。そんなんじゃねぇよ」
「あらそぉ?」
「そうなのっ!」
むうっとした顔の遊馬に墨勇が少し意地の悪い笑みを向ける。
「まあ 全く的を外してるとも言えないし? 俺は野明のこと好きだからね」
ちらっと墨勇に恨みがましい目を向ける遊馬を横目に野明が満面の笑みを見せた。
「あら 私も墨勇好きよ? 帰ったら佐保によろしく伝えてね」
「なんだ 軽くかわされちゃったなぁ」
「二号になる気はないもの。それに・・・妬きもちやきのパートナーが自棄起こしても困っちゃうし」
隣を振りかえると完全に不貞腐れた顔で半眼を向ける遊馬と目があって野明は悪戯っぽい笑みを浮かべ小さく舌を出した。
「はいはい これで振られたの二度目だなぁ」
「だから 振ってないって。大事な友達でしょ?」
「まぁ それで満足しとくよ。佐保に泣かれるのは辛いからね」
クスクスと笑みを交わす二人にいじけた様子を見せていた遊馬が野明の頭を手の甲で軽く叩いた。
「その辺にしといてくれって。その妙に甘酸っぱい空気苦手なんだよ」
「仕様が無いな この辺でやめとかないと遊馬怒らせちゃうか。じゃ 俺 そろそろ時間だから行くわ」
笑みを収めて立ち上がる墨勇に野明もまたからかう様な笑みを収めて代わりにふわっとした笑顔を見せた。
「そうだね」
遊馬と並んで立ちあがり搭乗口へ向かい手荷物検査場の前で墨勇に手を振ると彼は一瞬立ち止まり野明の元に駆け戻ってきた。
彼女にだけ聞こえる様に小さな声で何かを囁くと驚きに目を瞠る野明を置いてさっと荷物の所へ戻ってゆく。
その背中に我に返った野明が慌てて「その言葉そっくりそのまま返す」と言うと振り返った墨勇がにやっと笑った。
「知ってたよ」
その返答に思わず固まってしまった彼女に墨勇は少し考えて一言付け加えた。
「まぁ 予定調和だ。今度は手 離すなよ。たまには北海道に戻っきて顔見せろ じゃあまたな。・・・遊馬、あとよろしく」
ゲートを潜る墨勇に野明は「ありがとう。ごめんね」と声を掛け遊馬は黙って片手を上げた。
彼の背中が見えなくなると 一度軽く目を伏せた野明がぱっと顔を上げ大きな瞳で遊馬の顔を覗き込んだ。
「いこっか」
声を掛け遊馬の腕を取るとくるりとゲートに背を向けてスタスタと歩きだす。
妙に清々しそうな顔をする野明に遊馬は軽く首を傾げた。
「何言われたんだ?」
問われた野明はきょとんとした顔で遊馬を見上げ次いですっと目を逸らすと「内緒」と嘯いた。
腑に落ちない顔を見せる遊馬に野明は微苦笑を向けるとぐっと彼の腕を引き下ろし耳元に唇を寄せた。
小さな声で囁かれた一言に遊馬は思わず目を瞬き、一瞬で耳まで淡い朱に染めるとフイと顔を逸らし少し間をおいて「んなこた 判ってる」とぼそりと呟いた。
屋上に上がって飛行機を眺めながら墨勇が乗っているとあたりを付けた飛行機を目に映しフライトを待ちながら野明は心中でそっと墨勇に手を振った。
それは物理的に距離を分かつ事だけに対するものではなく言葉に表現しにくい感情への餞でもあり飛び立つ機体を見送ると晴れ晴れとした顔で隣に立つパートナーの瞳を覗き込んだ。
「遊馬、この先職種が変わって仕事のパートナーじゃなくなっても・・・」
みなまで言わせず遊馬がクシャリと野明の髪を撫でる。
その心地の良さに目を閉じて嬉しそうに身体を預ける彼女を軽く抱きとめて遊馬はさらりとその先を引き継いだ。
「傍に居るさ、公私共に大事なパートナーだからな、お前は」
告げられた言葉に花の様な笑みを浮かべ墨勇の乗った飛行機が雲間消えて行くのを見送ると夕闇迫る空の下でどちらからともなく顔を見合わせ互いに穏やかな笑みを浮かべた。
気分を変える様に軽く息を吐き出した遊馬が野明の背中を軽く押し屋上を後にする。
聊か元気の無くなった野明の肩をぽんと叩き遊馬が殊更明るい声を掛けた。
「夕飯食ったら寮まで送る。で 明日は二課棟で会おう」
にっと笑う遊馬に野明もまたコクリと頷いた。
「そだね。・・・何食べようか?」
「明日から待機だからな、酒はなし」
「ええ そうなの?」
心底残念そうな野明に遊馬は呆れた顔を向けた。
「当然だろうが。仮にも警官なんだから酒が残った状態での搭乗なんざ許可できるか」
「私平気なのに・・・」
「お前が平気でも俺は平気じゃないの、指揮車転がせなかったら意味ないだろーが。それに平気 平気じゃないの問題じゃないんだって。本人がどう言おうと数値が引っかかったらアウトなんだからな」
顰め面で正論を並べる遊馬に野明は両手を広げて『降参』のポーズを取った。
「はーいはいっ。じゃ 居酒屋はなしね。だったら東京駅行きたいっ 駅のなか一杯お店有ったでしょ」
「りょーかいっ。じゃ行くぞ」
妙に晴れ晴れした気分で軽口を叩き合い多少じゃれつきつつ軽やかな足取りで駅へと向かう。
遊馬の顔を下から見上げた野明は『東京に出てきて良かったな』と思いながら彼に満面の笑みを向けた。
go to next....
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追記
前回は若者が出なかったので今回は若い方達で・・・ってヤリ手の見合い婆か?!(^^;
話はほとんど進んでいませんが、メールで墨勇コール下さった方への捧げものに近いかも(笑)
次回からは少し話を進める・・・予定・・・つもり・・・そんな感じで・・・行ってみようかなぁとか・・・(←弱気)
ちょっと今 実生活の方が忙しくてなかなかこっちに手がつかないんですよ~
鋭意努力します~!!
お時間ありましたらご感想などいただけますともう少しやる気スイッチが入り・・・ますよ?うん♪
ではでは 長々したものにお付き合いくださってありがとうございました!
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追記の追記(^^;
いま急いでざっと見返し気がついた誤字脱字と文法の誤り何かをざざっと直した・・・
その数ちゃんと数えてないけど30箇所くらい・・・?
まだ ありそうだけど集中力が持たないよ(T▼T)
そのうちまた ぼちぼちチェックしますかぁ・・・・(にしてもミス多すぎだって・・・)
ゆぴまま Eメール 2010年05月28日(金)23時08分 編集・削除
こんばんは~。んま~甘酸っぱい(笑)キュン死にしてしまいそうですwww いいなぁ、腕枕!遊馬の腕枕!!遊馬の声付き腕枕!!! 女のロマンってヤツですね、これは。top絵がまた素敵で、ものすごく癒されました。これで、修羅場な週末をのりきれそうです(泣笑) SAKURAさんもお忙しそうですが、身体には気をつけてくださいね。ウチの辺りではインフルエンザが流行りだしましたよ~どんだけ異常気象なの~って感じです。