今日は昨夜からの荒れた天気がそのまま残って春の嵐状態でした。
午前中一杯 荒天。
桜が咲くと嵐が来る気がするのは私だけでしょうか?
まぁ「花散らしの雨」なんて言葉もあるくらいですし季節の風物詩の一環なんでしょうけどね(^^;
桜のトンネル 大好きです♪
さて この小話は本当は昨日UPしたかったんですが間に合いませんでした(^^;
皆さまの祭り終了後にっていうのもどうかと思いますがこんなものでも見てやってもいいわという心やさしいお客様はこちらからどうぞ~
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四月朔(しがつついたち)
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「遊馬っ」
名前を呼んで走り寄る小柄な女が嬉しそうな顔で飛びついてくる。
「わりぃ 遅くなった」
いつもよりさらに5分遅れて待ち合わせ場所に着いた彼にホッとした顔を見せると少し拗ねた顔をした彼女が非難の眼差しを向けた。
「本当、たまには時間通りに来てよね」
「善処するよ。ところで 遅れといて申し訳ないんだけど急に用事が入ってさ夕方から出かけないといけないんだ。ごめんな」
軽く頭を下げる彼に野明は一瞬残念そうな顔をしたものの直ぐに表情を取り繕うとふるふると首を振り聊か無理を感じる笑顔を見せた。
「判った、いいよ。そう言う事もあるよね、で遅れて来たのはその事が関係してるの?」
何気ない質問。
それに遊馬がさらりと返した言葉に野明は『聞くんじゃなかった』と激しく後悔した。
「まぁな。夜はディナーを兼ねたデートなんだわ」
絶句する彼女に「急に電話が掛って来たからさ 応対してたら遅れた」と苦笑した。
「デート・・・」
軽く落ち込む様子を見せた彼女に「どうした?」と声を掛けると慌てて顔を上げた野明がふるふると首を振った。
「ううん。何でも無い、そっか デート・・・。誰と・・・って聞くのは野暮だよね・・・」
チラリと顔を窺う彼女に遊馬は困った様な笑みを向けた。
「知りたいのか?」
「あの・・・えっと・・・ごめん。プライベートに踏み込むのは良くないよね・・・うん」
慌てて首を振る彼女をみて『今ここに一緒にいること自体プライベートなんだけどな』と軽く肩を竦め遊馬は曖昧な笑みを浮かべた。
「埋め合わせはするよ」と彼女の頭を軽く撫でると複雑な顔をした野明が「お気になさらず」と答えて小さく笑った。
ランチを食べて桜の花が咲き始めた公園を散策する。
いつもよりもテンションの低い彼女は終始桜の花をぼんやりと見上げ時折遊馬の顔を見ては少し無理のある笑顔を浮かべていた。
いつものように腕を取ることも無く後ろ手を組み隣を歩く姿に遊馬はやれやれと小さな溜息を吐いた。
「元気ないな?」
掛けられた言葉に野明はゆっくりと首を振った。
「そうでもないよ」
「あるさ。今日は明らかに様子がおかしい、遅れて来た事怒ってるのか?」
「まさか、10分が15分になったところで大差ないじゃない?それより・・・時間いいの?」
「時間?」
殊更普通に問い掛ける野明に遊馬は目を瞬いた。
「待ち合わせの時間、大丈夫? デートなら相手を待たせない方がいいよ。きっと待ってる方は不安になるから」
静かな口調で言いながら野明は軽く目線を下げ寂し気な笑みを浮かべた。
「それは経験則か?」
「かもね。それに時間に余裕持って動いた方がいいよ?用事が有ったのに付き合ってもらってごめんね。特に目的が有った訳じゃないからもう十分」
顔を上げて野明はぴょんと跳ねる様に一歩、彼から離れた。
「今日は本当にありがとう、もう行って。楽しんできてね」
そういうとにっこりと笑った野明は踵を返し止める間もなく駅に向かって駆け出して行った。
残された遊馬は軽い溜息と共に肩を竦め微苦笑を浮かべた。
「本当に馬鹿だよな。無理しやがって」
そういうと遊馬もまた公園を後にした。
公園をでて最初の信号に引っかかるまで止まる事無く走り切ると大きく肩で息をしながら乱れた呼吸を整える。
キリキリと痛む喉と腹筋に両手を膝について俯くとぐにゃりと視界が歪み瞳から零れた水滴がアスファルトに黒い水玉を描いた。
それを妙に冷めた気持ちで視界に収め野明は自分が泣いている事を漠然と理解した。
『なんで泣いてるんだろう、私』
まるで他人事のように考えながら野明は黙って増えて行く染みを眺めた。
信号が変わって周りの歩行者が歩き始めると慌てて歩を進める。
駅についてICカードの入ったカードケースを手に改札に向かったものの読み取り口に翳す前に躊躇して改札機の前を離れた。
通路の端に寄り壁に背中を預けると黙って携帯を取り出す。
電話帳を開いてリストを表示させると 少し考えてそのうちの一件を選択し発信釦に親指を掛けると、徐に伸びてきた手に電話を奪われた。
慌てて顔を上げるとと軽く眉間に皺を寄せた遊馬がディスプレイを見て苦い顔を見せていた。
「こいつに掛けてどうする気だったんだ?」
表示された連絡先に若い刑事の名前を見つけ渋面を作る遊馬を茫然と眺め野明は瞳を大きく見開いた。
「・・・何で・・・遊馬が・・・」
頭を掻きながら困った顔をする彼に野明は困惑の目を向ける。
彼の手に有る自分の携帯。
それに目を留め思案顔を見せる彼女の掌に遊馬は黙って携帯を返した。
『風杜』の名前が表示されたままだったディスプレイを待ち受け画面に戻すと野明は再び彼の顔を見上げた。
「待ち合わせ、有るんでしょ?早く行かないと遅れちゃうよ。私ももう行くね」
淡々とした口調で言いながら無理やりに笑顔を作ると野明はするりと彼の脇をすり抜けた。
小走りに改札に向かおうとする彼女の肩を遊馬が慌てて掴む。
「待てよ」
振り返らずに立ち止まった野明の背中に暫しの沈黙の後「わりぃ、悪ふざけが過ぎた」と遊馬がぼそりと告げた。
携帯のことを言われていると思った野明は少し考える様子を見せた後、遊馬の手をやんわり解きゆっくりと振り返った。
「大丈夫 気にしてないよ。心配して様子見に来てくれたの?だったら・・・」
『気を使わせてごめんね』と続けようとした野明の言葉が終わらない内に遊馬がぴしっと彼女の額を指で弾いた。
「んな顔すんなよ、謝るから。洒落にならなくなっただろうが」
首を傾げる野明に彼はバツの悪そうな顔を見せた。
「・・・嘘だよ。夕飯はお前と一緒に食う心算だったの。キャンセル待ち掛けてたレストランに空きがでたから予約入れてたら遅くなった」
「遊馬・・・?」
悩み顔で首を傾げる彼女にぼそぼそと気まり悪そうに言い訳する。
「もう少しゴネるかと思ったのにお前があっさり納得しちまうから撤回するタイミング失ったんだよ。泣かす心算じゃなかったのに。悪かったな」
「えっと・・・じゃあ・・・」
「エイプリルフールの悪戯くらいの気持ちだったんだけどタイミングとネタが悪かった。大失敗だな、その・・・機嫌、直してくれないか?」
珍しく下手に出る彼に野明は目を瞬き次いでふっと表情を緩めた。
「仕方ないなぁ。ね じゃあ夕飯奢ってくれるの?」
顔を覗き込む大きな瞳に遊馬は一瞬『参ったなぁ』という顔をみせたものの今回は自分に非があるよなと小さく溜息を吐いて肩を竦めた。
「判った。今日は奢る」
「わぁっ ホントに?」
手を叩いて喜ぶ野明に「現金な奴だなぁ」と苦笑いすると彼女が遊馬の首に手を回して飛びついた。
耳元に小さな声で何かを囁き一瞬でぱっと離れる。
上手く聞きとれなくて「わりぃ 今何て言った?」と聞き返すと彼女は少し頬をそめつつ「聞こえなかったらいいのっ」と笑った。
「気になるだろ、言えよ」
「だぁめ。こう言うのはね タイミングがあるの。次の機会は聞き逃さないでねっ」
愉しそうに言う彼女が遊馬の腕をとり甘える様に寄り添い歩き始めると『まぁいいか』と言う気になって遊馬はそれ以上の追及を諦めた。
昼より少し開花が進んだ桜並木。
桜の枝が道の両側から張り出しまるでトンネルのようになった道を歩きながら遊馬がふと問い掛けた。
「駅でさ、電話掛けようとしてただろ。あれ 俺が追い付かなかったらあいつに電話してたのか?」
前を見たままポーカーフェイスで問い掛ける遊馬に野明は少し考えて彼の腕を掴む手に少し力を込めその肩口に頬を寄せた。
「どうだろう? したかも知れないし、しなかったかも知れない。正直良く分からないんだ。でも 迎えに来てくれたから考える必要が無くなっちゃった」
ハッキリしない答えに 複雑な顔を向け遊馬が「そうか」と返事を返した。
「今年は妙な感じになっちまったけどさ 来年はもう少し気のきいた嘘考えとくよ」
苦笑交じりに言う彼に野明は目を瞬き「そんなの考えなくていいから 来年はもっと特別になれてたらいいのに」と笑った。
思わず目を見張る遊馬を見て野明はにっと笑う。
「本気にした?」
「・・・っ! お前ね、そういうことはもう少し洒落になる範囲で言えよなっ」
眉間を押さえて顔を逸らす遊馬に野明はくすくすと笑った。
「人の事言えないでしょ? でも 一緒に居られるといいなって思ったのはホント」
「ばぁか。んなもん願うようなもんじゃねぇよ、居るに決まってんだろ?そう言うのは本人次第なんだから。桜みるの半端になっちまったし飯のあとで夜桜みて歩かないか?千鳥が淵辺りは結構雰囲気あって良さそうだぜ」
「いいけど ディナーの後であんなとこまで行ったら帰りの足が無くなっちゃうよ」
その提案を軽く窘めると悪びれた様子も見せずに遊馬はしれっと言い返した。
「無くなっても困らないさ。明日も準待機だし飲み明かしてもいい。嫌か?」
「まさか。じゃ 夜桜見に行こう、明日から天気悪いって言うし今が一番綺麗なのかもしれないしね」
「だろ?寒くなってきたらその辺に泊ってもいいし?」
にっと笑う遊馬に野明は「そんなのに引っかかんないよ」と笑い軽く舌を出す。
『これは嘘でもなかったんだけどなぁ』
今年はどうも間が合わないと肩を竦めて心中でぼやきながら遊馬は「まぁ それはともかく飯食いに行くか」と嬉しそうに笑って腕に纏わり着く彼女の顔を覗き込んだ。
fin
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追記
間に合わなかったけど途中まで書いてたしってことでUPしてみました。
ネタが纏まってなくてすみません~
気持ちだけ(笑)
それはそうと連載もまとめないと・・・
途中まで書いて手が止まってるんですよ
う~ん 困った(^^;
瞳子 2010年04月03日(土)23時36分 編集・削除
コラー(怒)
野明、泣かしちゃダメだろう、遊馬!!
本気にしちゃったんだね。可愛いなぁ〜。野明は。(((*≧ω≦*)))
それにくらべ、ウチはミニネタだよ。
絵が描けたら、四コマ漫画にしたんたけどさ。(笑)