今日は雨の予報なのに晴れてます。
思いきり・・・お洗濯諦めた自分が悲しくなってきたぞ・・・・
それにても 気になるのは長男!!!
青鼻が出てきてるじゃないですかぁぁぁ
だから 布団で寝てほしいのにぃぃぃl
そして家から出してやらないので癇癪起こして拗ねてますよぅ
ああ どうしましょ????
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さて不在の第25弾♪
う~んなんか説明ばっかりになっちゃったぞ・・・?
しかもえらく長くなってるし。
個人的見解が大部分なので こういうのはあまり興味ないのよね、という方はこの回すっとばしてくださいませ(^^;
では 以下が本文です
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不在 25
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SIDE-LABO(8)
3回戦目の開始まで 開発側の要望で少し時間を置くことになった。
さすがに2本立て続けに 速攻で決められては最新機種としての面子にかけてこのままではいられない。
当然負けるのは困るのだが、仮に勝つことができなくても速攻で負けることだけは避けなければ体面にかかわるというものだ。
浅月が内線を掛け久住に3時間欲しい、と告げると彼女は少し考えて要望を呑んだ。
「3時間ねぇ・・・・ま いいわ。じゃ 5時には試合再開ね?」
「悪いな」
「いいわよ。このまま瞬殺ストレート負けしたんじゃ 開発のテンションが下がっちゃうでしょうし?」
カラカラ笑う久住に 浅月は苦虫を噛み潰したような顔をした。
「ホント 手厳しいな、お前・・・」
「98を甘く見るからよ? じゃ 頑張って士気の回復にあたって頂戴」
彼女は電話口でひらひらと手を振ると受話器を置いて皆に振りかえった。
「3回戦 5時からですって。あと3時間はあるから 整備と調整念入りにお願いね。で、二課の3人とソフト管理のメンバーは私と会議室、何かあったら声かけて」
作業員に声を掛けると久住は席を立った。
彼女と共に会議室に入る。
先の2試合の結果からか、皆の表情は一様に明るい。
久住はざっとメンバーを見渡して口を開いた。
「さてと・・・全員お疲れさま、まずは2勝。ここまではこっちの思惑通りに事が運んだ格好ね」
機嫌良く言う彼女に皆が一様に笑みを返した。
「それはいいんですけど、開発から何か言ってきました?」
ソフト管理を担当する一人が質問すると久住が淀みなく即答する。
「今んとこ言われてるのは『3本目の開始時間をずらしてほしい』って事だけね。他に追加条件があるかどうかは何も言ってなかったし」
「まぁ 向こうも2試合分のデータ解析で忙しいんだろうけどさ。フィールドの条件が判らないと方針立て辛いな」
遊馬が呟くと全員一様に頷く。
野明は遊馬の顔を見遣って目を瞬いた。
「ね 遊馬。こっちは何かすることないの?」
「あると言えばあるけど・・・ないと言えばない」
「何よそれ?」
怪訝な顔で一同を見渡すと自分以外の全員が同じような苦笑を浮かべていた。
「えっと・・・?」
「そうね、2本目までは速攻が使えたけど流石に次回は向こうも警戒するでしょうし 同じ手は使えないわね」
「ですね、猫だましも一回目は有効ですけど二回目は無理だろうなぁ」
久住の見解にソフト管理の一人も苦笑交じりに応じる。
「俺が向こうの指揮を執るなら認識モードを変更させますよ。環境認識を有効にすると再処理に時間がとられますからね モニタをリアルタイム映像に切り替えて対物センサーだけを有効にさせる・・・かな。」
「一対一の格闘ならそれが妥当な線だろうね 行動予測はどうする?」
「街中で事故処理とかしてるなら当然使うけど 専用の施設内での格闘戦にそれやっても意味がないと思いますけどね。飛来物のコース予測くらいは出来るだろうけど結果を確認してる間に一撃食らうのがオチですよ、俺なら切りますね」
遊馬の意見にソフト管理一同が首を縦に振ると それまで黙っていたシゲが手を頭の後ろで組みながら野明に目を移す。
「尤も 泉ちゃんの場合そんな機能があったところでデータ確認するより直感か遊馬ちゃんの声で動く方が早いだろうけどね」
その言葉に遊馬は苦笑いしてみせると両手を肩の横でぱっと広げて見せた。
「野明に限らず予測なんて太田だって使わないさ、あいつはデータとかお構いなしだしな、格闘しようとするなら今の第二小隊には無用な機能だよ」
彼が軽く肩をすくめるとシゲもまた大きな溜息をついた。
「ま 確かにねぇ。太田ちゃんにとっちゃニューロンネットワーク自体が邪魔に感じるんじゃないの?自由が利かなくて」
「利かなくていいんだよ あいつの場合。限界超えて負荷は掛けるわ、何かにつけちゃ体当たりして物と機体を破壊するわ。つけれるもんなら あいつ自身にリミッターつけたいくらいだよ」
遊馬の言葉に久住始めメンテに関わる全員が深く頷き 野明は引き攣った笑みを浮かべた。
「で、遊馬、結局 どうするの?」
「何が?」
野明の問いに遊馬はきょとんとした顔を返した。
「だから 3本目、初動どうしたらいい?」
不安気に小首を傾げる野明に遊馬は振りかえると「そうだなぁ・・・」というと少し考えて口を開いた。
「じゃ 逃げるか」
「はいっ?!」
野明は遊馬の顔をまじまじと覗き込み、他の面々も不思議そうな顔で彼に視線を集めた。
「ここまでやって逃げちゃうの?」
野明のビックリした顔に遊馬は怪訝な顔をしてから小さく吹きだした。
「ああ そういう意味じゃなくて。試合放棄なんてしないさ、そうじゃなくてさ 相手を避けて逃げ回るってこと」
遊馬の言に皆が怪訝な顔をして顔を見合わせた。
遊馬の説明が終わるとシゲとソフト管理のメンバーは軽く腕組みして考え込み、久住は野明の顔を窺った。
「泉さん 行けそう?」
「そうですね 遊馬が言うんだから大丈夫だと思います。私に出来ないことを遊馬が提案するとは思ってないので」
「当然だな。野明の一号機なら可能だろ」
野明が信頼の籠った笑みを向けると遊馬はにっと笑った。
彼女は大きく頷くと その場にいる全員にぺこりと頭を下げた。
「私もがんばりますので、調整、よろしくお願いします」
シゲをはじめ全員が快諾の意志を伝え 久住が一旦解散を宣言するとシゲとソフト管理メンバーは早速作業に帰って行った。
残った久住と一号機コンビは少し遅れて会議室を後にするとそのままサブコントロールに足を向けた。
「泉さんは篠原くんを全面的に信頼してるのね」
久住がしみじみと言うと野明はきょとんとした顔で彼女と遊馬の顔を見渡した。
「え? あの・・・そうですね、長く組んでますし。それに・・・」
チラリと彼を見やって言葉を継ぐ。
「遊馬が一番 私と一号機を良くわかってくれてるって思ってますから」
ふわりと笑う野明の顔に久住は軽く肩を竦め、特に表情を変えない遊馬に目線を向けた。
「だそうよ、篠原くん」
「伊達に3年組んでませんから。それに信頼してるのはこっちも同じです、そうでなければ現場のすぐ足もとで指揮なんて執れませんからね」
口の端に笑みを浮かべさも当然という顔で言う遊馬の横に野明が嬉しそうな顔をして並んだ。
「頼りにしてるからね」
「了解、自分のパートナーを信じなさい」
野明の頭をくしゃりと撫でて遊馬はにっと笑うと軽く背中をに手を添えた。
その様子を微笑ましく眺めて久住はからかう様な口調で遊馬に話しかけた。
「いいわねぇ、仲良しさんで」
「・・・羨ましいならそう言ったらどうですか?」
遊馬が半眼を向けると久住は軽く目を瞠りコロコロと笑った。
「・・・言うじゃないの。じゃ そう言ったら篠原くんが私の頭も撫でてくれるのかしら?」
「遠慮しときますよ。俺じゃ役者不足。それに俺、不器用なんで一人で手一杯ですよ。なんなら 浅月さんにでも頼んだらいかがです?」
遊馬が混ぜっ返すと彼女は顔の横で両掌をぱっと広げ軽く肩を竦めて見せた。
「あらら からかう心算が惚気られちゃった。それと 浅月は遠慮しとくわ、甘えるには頼りないし隠れるには忍びないじゃない?人が良すぎて」
しれっという久住に遊馬は大きな溜息を吐いた。
「貴方に 『頼り甲斐がある』なんて言われる人間の顔が見てみたいですよ」
「失礼ね、人を鬼みたいに」
「まぁ 少なくとも俺はそういう人間じゃなくて良かったですよ」
一緒に歩く二人に野明がきょとんとした眼をむけると久住からは苦笑、遊馬からは軽い溜息が其々返ってきて彼女は顔を顰めつつ小首を傾げた。
サブコントロールに入ると遊馬は野明の背中から手を離し、フィールドを見下ろした。
全体をざっと見渡して少し考える仕草を見せ、室内を振りかえるとハード側メンテナンス担当者に声を掛け久住も一緒に何事か相談し始めた。
野明も大きな窓に近寄ると 2回戦の時よりも幾分すっきりとした様子のフィールドを見下ろした。
「・・・障害物が減ってる?」
思わず小さく呟くと近くで解析をしていた男性が顔を上げた。
「そうだね、散在させてた資材とか、重量の軽いパイロンなんかは皆片づけちゃったみたいだね」
「本当。残ってるのは重そうなブロックとか大きなマット類ばっかり」
「要するに『猫だまし』対策ってことじゃない?」
苦笑する男性に野明は目を見開き「あ そうか」と手を叩いた。
確かに残されたものを見ると一度に大量にまき散らすことも 移動することも困難なものばかりで野明は漸く合点が行ったとばかりに大きく頷いた。
「これじゃ 二回戦みたいなことは出来ないですね」
「そういうこと、向こうにしても苦肉の策だろうね。障害物を置いてニューロンネットワークの利便性をアピールしたいところだけど そのために色んなものを置くと泉さんのイングラムにそれを武器として使われちゃう可能性がある。ならばと そういうものをうんと減らしてフィールドを空にすると今度は目で見て分かりやすい効果の比較がし辛い。イングラムがゼロより沢山障害物をひっかけながら移動してくれると向こうのアピールとしては成功だったんだろうけどこっちがそれを武器にしちゃった時点で開発としては大誤算だっただろうね」
「・・・そうだよね、普通に考えたら避けて戦うって思うよねぇ。それに・・・私 二試合とも『格闘』した覚えがないし」
野明が苦笑すると彼は吹きだすように笑った。
「いや、それはいいんだと思うよ。取っ組み合うだけが格闘じゃないだろうし。速攻だって立派な戦術だよ。けどまぁ 向こうも同じ手を3度は食わないだろうね。どうするの、次は?」
「う~ん、遊馬は『逃げ回れ』って」
野明の答えに彼は一瞬きょとんとして首を傾げた。
「『逃げる』ねぇ・・・まぁ 彼のことだから何か考えがあるんだろうけど。ゼロ相手に固定された障害物が乱立した状態で逃げ回るってだけでも結構 骨だろうね」
「・・・そう 思います?」
「まぁね 向こうは環境を記憶させちゃったら後は追いかけたいターゲットを固定すれば足回りなんかはコンピュータに一任できちゃうし。しかも 最短ルートを効率良く移動できて行動予測プログラムも持ってるわけだから鬼ごっこする気なら上手くやらないと簡単に捕まっちゃうね」
「そっかぁ・・・」
野明が少し考え込むと後ろから ぽんと頭を叩かれた。
「要するに捕まんなきゃいいんだから お前と一号機にっとちゃそんなに大変な話でもないさ。大事なのはゼロに間合いを詰めさせないこと、それだけだからな、野明 コーヒー買ってくるけど何か要るか?」
にっと笑う遊馬を振り仰ぎ野明は嬉しそうな笑顔を見せた。
「あ、待って。私も行く。えっと 何か買ってきましょうか?」
今し方まで話していた男性に目を向けると彼は「僕は今いいですよ、いってらしゃい」とひらひら手を振った。
野明がにこりと笑い足取りも軽く遊馬と並んで部屋を出るのを見送ると「やっぱ 篠原さんがいいんだよなぁ」と呟いて小さく肩を落とした。
「なに飲みたい?」
遊馬の声に野明は意外そうな顔をした。
「奢ってくれるの?」
「この位ならな」
「じゃあね・・・」
「どうせカフェオレなんだろ?」
笑みを浮かべて釦を押そうとした遊馬の手を止めると野明はクスリと笑ってぽんとミルクティーの釦を押した。
「今はこっちにする」
「珍しいな」
抽出の終わったカップを手渡しながら言うと彼女はお礼を言って両手でそれを受け取りふわりと笑った。
「八王子に居る間 自販機では買わないことにしようかなって、カフェオレ」
「何で?」
「・・・遊馬が淹れてくれたのの方がずっと美味しいんだもん」
チラリと彼の顔を見遣ってぽつりと言う彼女に遊馬は呆れた顔を見せた。
「そりゃ ちゃんとドリップしたコーヒーとインスタントの自販機なんて比べるのが間違いだと思うけどな?」
「それもあるんだけど・・・まぁ、いいか・・・」
「何だよ、妙な言い方して」
怪訝な顔を見せる遊馬に野明は小さな溜息をついて肩を竦めた。
「もういいってば。とにかく ここにいる間は自販機でカフェオレは買わない、そう決めたの」
「へいへい。じゃ 暫く外ではミルクティーなんだな?」
野明は拗ねた顔で「そう」と返事をして紙カップに口を付けた。
「まぁ その話はまた後で聞くけどさ。取り敢えず先に言う事言っとくぞ。野明 ここ水曜で終わったら木曜に本庁、そのあとは金土日と休みとってもいいってさ」
遊馬が言うと野明はきょとんとした顔をして小首を傾げた。
「お休み?」
「そう、俺の引っ越しもあるし ここしばらく休み取ってないから有給消化も含めてだってさ。そうは言ってもそもそも準待機だから休みみたいなもんだけどな、呼び出しの確率が減る位なもんだけど。どうする、取得するか?」
「遊馬は?」
「俺は取る。こっち来て心身共にクタクタだしなぁ、部屋でゆっくり休みたい。とはいえ片づけないと居場所無いけどな」
苦笑する遊馬に「じゃあ 私も取る」と返事をすると彼の顔を覗き込んで「片づけ手伝うよ」と笑った。
「了解、纏めて申請出しとくよ。じゃ あとは3戦目 気合入れるかぁ」
そういうと野明の頭をぽんと叩き愉し気な顔を見せた。
20分前になって予定時間通り3戦目を開始出来る旨が開発側から伝えられると保守側もそれに合わせて少し慌しさが増した。
遊馬も野明と共にフィールドに運び出されたイングラムへと足を向ける。
コクピットに向かう前に遊馬は彼女を呼び止めた。
「野明 ちょっといいか」
昇りかけた足を止め、ぴょんと彼の横に飛び降りるときょとんとした顔で遊馬を見上げた。
「なに?」
「今度は速攻じゃないからな、声 聞き落とすなよ」
にっと笑う彼に野明もまた同じように笑みを返した。
「・・・遊馬こそ ひと月近く現場離れて勘が鈍ったりしてないでしょうね?」
「誰に向かって言ってんだ?」
「・・・頼りにしてるね」
遊馬が彼女の髪をくしゃりと乱暴に撫でる。
野明は嬉しそうに目を細め「行って来い」という遊馬の声に大きく頷くとコクピットに駆けあがった。
ハッチが閉まるのを見届けると彼もまた自分の持ち場であるサブコントロールに足を向けた。
遊馬がサブコントロールに戻って開発側に準備完了を伝えると、すぐに開始の旨が伝えられた。
インカムをPB(プライベート)回線にして野明に「すぐ始めるぞ」と声をかけ野明の側からも回線をPBに切り替える様に指示を出した。
「切り替えたけど、どうして?」
野明が疑問を口にすると遊馬はやれやれと肩を竦めた。
「あのなぁ、今頃何言ってんだ? この施設内でオープン回線にしてたら会話がみんなメインコントロールに筒抜けになるからに決まってるだろ、試合しようって時にこっちの指示を丸ごと相手に聞かせてどうすんだよ?」
「あ・・・そっか」
初めて気付いた様な返事に遊馬は思わず頭を抱えた。
「お前ね、もう少し物を考えろって・・・今はいいけどさ」
「はいはい ごめんなさい。じゃ 今この回線は遊馬しか受けてないんだよね?」
「そういうこと。なんか問題あるか?」
「無いよ。寧ろ、内緒話に好都合だね」
くすくす笑う野明に遊馬は瞠目し小さく息を吐いた。
「ばぁか、遊んでんじゃないんだからな」
「判ってますって。でも 終わったら甘い言葉の一つもかけてよね」
「んなもん 言って欲しけりゃ仕事上がったらいくらでも言ってやるよ」
「・・・・馬鹿。・・・でも 約束だからねっ」
からかった心算がカウンターを食らった形になって彼女の声が上ずると遊馬は小さく吹きだし「じゃ 始めるからな、締めて行けよ」と声を掛けた。
フィールドに浅月の声が響いて試合の開始が宣言されると野明は遊馬の指示通り先に動くことなくゼロの様子を見ながら慎重に間合いを取った。
「野明、サスペンションは常にCモード、対物系センサーのレンジ上げて重心低めに取って動け。機体を絶対跳ねさせるなよ」
「了解」
付かず離れずの距離を保ちながらフィールド内をジリジリと移動する二機の様子に 相手の意図する所を測りかねてメインコントロール室で自ら指示を出しながら浅月は眉間に深い皺を刻んでいた。
ゼロは対物系のセンサーや周辺認識、解析等をを機体に内蔵されたコンピュータが一手に引き受けニューロンネットワークに反映させるため専属の指揮車を必要しない。
それ故に98の様に機体一つに付き操縦者一人と指揮担当者一人というコンビ形態を取っていない。
総監督者が全体に指示を出し、後はコンピュータが周辺情報を素早く自己解析して 個々の動作に関してはきっかけさえ与えれば予め学習した動作パターンの組み合わせから最適なものを選択して動く。
98式は隊の編成から言えば歴代パトレイバーの中で最も人員を取られる形のハードである。
98以前に配備されれていた機体は 土木作業レイバーのカスタマイズなので当然専属指揮車を使用せず、隊長からの無線かマイクによる指示を受けてパイロットが状況を判断して動いていた。
形式としては奇しくもゼロと同じトップダウン形式に近いということになる。
それに対して98は情報解析の多くを指揮車に依存してデータの転送を受けそれを参考に操縦担当者が機体を操作する。
指示も隊長から全員に伝えることは可能だが実際には指揮担当者との相談で決めることが多く作戦の成否は指揮者の判断能力とそれを実行する操縦者の技量、それに双方の信頼関係の強さに大きく左右されることになる。
人材の質とそのメンタル面での相性によってその成果に差の出やすい98の編成は開発過渡期に良く見られる実験的なもので次世代のより使いやすい機体を作るための踏み台的な役割があると言っても良かった。
しかしそれは時としてハード内ですべてを完結するよりも有効に働く場合がある。
操縦者が機体の能力を存分に使いこなし、指揮担当者が的確に状況を捉える能力を持っている、そしてその双方が互いに絶大な信頼を寄せて阿吽の呼吸で行動ができ、更にハードが完調であること。
そういう状況は作ろうと思って簡単に構築できるものではないが今のイングラム一号機とそれを巡る環境はその理想形に限りなく近いものになっていた。
その事を98に直に関わる者は勿論のこと浅月も十分に感じていて彼は眉間に皺をよせ難しい顔でフィールドを見下ろしていた。
「坂口、イングラムを捕まえられるか?」
「さっきからやってるんですけどね、これが中々。本当に良く逃げると言いますか、届きそうで届かない距離を保ったままのらりくらりと」
苦笑交じりに答える声に浅月は渋面を作った。
一号機側の意図が読めない以上 迂闊に踏み込むのは自殺行為だ。
かといってこのまま追いかけ続けても埒が明かない。
足回り以外 殆ど動かすことをしていないイングラムは相手を捉えようと手を伸ばすゼロよりもはるかに電力消費が少ない。
情報処理系も外部に依存可能な為、必要なもの以外の監視を選択的に除外する事ができるイングラムは電力を無駄に消費しないで済むがゼロは自分や相手が移動する度にニューロンネットワークが行う自動再計算が電力を少しづつ消費し続ける。
電池の性能や個々のパーツの電力消費に関して分があってもこれでは時間を掛ければ先に動けなくなるのはゼロの方だ。
かと言ってニューロンネットワークをシステムから切り離すと 基礎電力消費量の節約と引き換えにマニュアル操作で障害物をよける必要が生じ、そういう操作に慣れていない坂口では移動や動作のスピードと動作効率を大きく損なう事になり、結果として余計な動力を使う事になりかねない。
そうなると操作に慣れた野明の一号機を相手に一本目同様、スピードで負けて速攻を決められてしまう。
ならばと ニューロンネットワークを有効にしたままスピードに任せて一息に間合いを詰めようとすると イングラムが巧みに遮蔽物を使い半身を隠すように移動している為 ゼロの対物センサーが働き 衝突を避けようとイングラムを捕まえる前に安全距離を確保すべく障害物の手前でプログラムによる急制動がかかり動作を止められてしまうのだ。
ひらりひらりと障害物の間を舞う様に身をかわすイングラムに浅月は思わず溜息を吐いた。
同じようサブコントロールからフィールドを見下ろしながらシゲと久住が笑いを噛み殺していた。
遊馬も意地の悪い笑みを浮かべていて興味深げにその様子を見ていた作業員が思わずぼそりと呟いた。
「なんか イングラムが『女の子』みたいですよねぇ」
「『ほほほ~私を捕まえてごらん』とかいって公園の物陰を逃げ回ってる感じというか・・・妙なドラマみてるみたいだ」
「そうなんだけど 妙な声色使うなよ、気色悪いなぁ・・・・」
渋面を作って受け応えた男性を見遣るとそのやり取りに久住が参加した。
「強ち 間違いじゃないんだけどねぇ。乗ってるの泉さんだし。でも本当、面白いわよねぇ 乗る人の癖みたいなのが実に良く出ると言うか」
「泉ちゃんの場合は特にね。黒いのと遣りあってる時は驚くほどシャープな動きするし。その差が面白いというかテンションとかそういうメンタルな面も動作にでるんだよね」
シゲの言葉に遊馬は微かに口の端に笑みを載せた。
「良くも悪くも感情に斑が出やすいんですよ、あいつは。だから俺がついてるの」
「斑が大きくて悪かったわね、何の話ししてんのよ。で 遊馬、この後どうするの?ずっと逃げてる訳じゃないんでしょ」
指向性の強い遊馬のインカムからは他の人間の声は聞きづらかったようで野明は拗ねた声音で問い掛けた。
「大した話じゃないよ 気になるなら後で教えてやる。それとな、野明そのまま北側の壁ぎりぎりまで相手を誘導できるか?」
「100m位だよね。出来るんじゃない、相手が付いてきてくれるならね」
「じゃ 今のペースのままさりげなく誘導」
「さりげなく?」
怪訝な声で野明が訊き返すと「露骨に大きく動くなよ、ばれたら別の手考えるから」と返事を返しフィールドを見下ろした。
ふわりふわりと身をかわし続けてフィールド内を移動していく98を見下ろして浅月は考え込んだ。
このままでは何時まで経っても勝負がつかない。
イングラムにしても負けないだけで勝ちはしないしゼロに至っては追っかけっこの鬼のまま時間が経過するだけだ。
そうかと言ってイングラムがハード的な不利を押してまで正面からこっちに突っ込んでくる事はまず無さそうで、そうなると何か考えがあって動いている事になる。
だがその意図が今一つ良くわからない。
二度 速攻を受けている為 当然それも警戒していたがこっちが3度同じ手を食わないのと同じで向こうも同じ手を3度使ってくるほど甘くは無かった。
うっかり考え込んでフィールドを見る目に集中力が向かなくなっている間にイングラムは北側の壁を背にゼロを遮蔽物のあるエリアから引っ張り出してしまっていた。
漸く相手の意図に気付いた浅月が慌てて「坂口、離れろ!」と言った時には既にゼロは壁に向かって勢いよく突き飛ばされていた。
じわじわと移動しながらゼロを北側に誘導しつつ野明は遊馬に声を掛けた。
「遊馬 次のポールを超えたら壁まで何も無くなっちゃうよ、そのまま壁に誘導でいいの?」
「上出来。お前が壁を背にしてそのままゼロを遮蔽物のあるエリアから引っ張り出せ」
「了解、じゃ出てきたら・・・・」
ゼロが最後のポールを超えてイングラムと直接対峙するとその腕を取ろうと大きく踏み出してきた。
「右から廻り込んで突き飛ばせ」
遊馬が指示を飛ばしたのとほぼ同時にイングラムが低い姿勢でゼロの右腕の下を掻い潜って後ろに回るとその背中を壁に向かって思い切り突き飛ばした。
その勢いの強さに舌打ちした遊馬が「あの馬鹿っ!」と叫んだときには足首と膝、腰のジョイントをショートさせたゼロが壁の手前で崩れ落ちていた。
「野明 何やってんだよ!力 加減しろってっ!」
遊馬の怒鳴り声に野明は思わず顔を顰めた。
「ええっ?! だって 遊馬ぁ」
「だってじゃない。イングラム相手にしてんじゃないんだから そんな勢いでゼロを壁に突き飛ばしたら関節が焼き切れるに決まってんだろうがっ!模擬戦で相手の機体に致命傷与えてどうすんだよ、太田じゃあるまいし。少しは考えろっ」
彼の言葉に漸く事態に気付いて野明は「あちゃぁ・・・」と呟いてゼロを見遣った。
壁には当然 衝撃吸収材が埋め込まれているのでぶつかっても機体は壊れない。
しかし ゼロには周辺被害を出さない目的で衝突を回避する機能が付いていた為にサスペンションで吸収しきれなかった勢いを殺すために、メカニズムに高負荷が掛り各ジョイントに内蔵された制動用のモーターを焼き切ってしまっていた。
つまり優先度の問題で 『周辺の被害を出さないこと』が『機体の維持』よりも優先された、その結果が目の前のゼロの状態。
コクピットから降りて腕と首以外の殆どのジョイントが焼き切れ動作不能になってしまったゼロを見上げ顔を引き攣らせた野明を見て遊馬は大きく溜息をつきながら久住に目を向けた。
野明と遊馬のやり取りを茫然と見ていた彼女は遊馬の視線を受けて我に返ると目を瞬いた。
次いで状況を理解すると「やるわねぇ 泉さん」と吹きだすように笑い始めた。
「笑いごとじゃないですよ、ゼロ一体駄目にしやがって」
唸るような遊馬の声に久住がケラケラと笑いだし、それを皮切りにサブコントロールにいた全員がゲラゲラと声を上げて笑い始め、遊馬は頭を抱えて渋面を作った。
「・・・・野明、とにかく上がってこい。話はその後だ」
「・・・はい・・・」
低く抑えられた彼の声音に野明は冷や汗を掻きながら返事を返しインカムを切った。
ヘッドギアを外すと両掌で頬を押さえて青ざめた顔で「どうしよう・・・」と呟いた。
勢いよく壁に突き飛ばされたゼロを見てメインコントロールにいた全員が「あっ!」と叫び声を上げた。
大きくサスペンションが沈み込んで衝撃を吸収しようとしたものの前傾した機体を止めることが出来ず、衝突回避を優先させて モーターが焼き切れた。
膝を折るようにしてその場に崩れ落ちる機体を前にして室内が水を打ったように静まり返った。
「うわぁ・・・・」
ハード担当の男性が上げた悲嘆の声をきっかけに部屋中に嘆息が広がると浅月は大きな溜息をついて天井を仰いだ。
実山もまた茫然とした様子で黙っったまま薄い白煙を上げるゼロを見遣り複雑な顔を見せていた。
「こりゃ 大修理ですねぇ」
「・・・そのようだね」
肩を落とすハード側のスタッフ一同に浅月は同情の目を向けた。
浅月が実山と何人かの主要スタッフを伴ってサブコントロールの扉を開けるとそこには遊馬からくどくどと説教されている野明の姿があった。
しゅんとした様子で拗ねた顔をしながらも反論することなく神妙に遊馬の話を聞く姿に浅月は思わず目を丸くした。
そんな野明を見たのも初めてなら『立て板に水』とはこういうことなんだろうという様に眉間に皺を寄せて一切の淀みもなくつらつらと正論を並べ立てて説教を続ける遊馬を見るのも初めてだった。
『偉そう』とか『俺様』みたいな表現がしっくりくるその様子に唖然としていると実山が吹きだすように笑いだした。
「遊馬さん もうその辺で。泉さんも悪気があった訳じゃないですし 何より皆さんビックリしてらっしゃいますよ?」
シゲと久住だけがニヤニヤと笑ったままでいたものの他の人間は皆 呆けたように遊馬と野明の様子を窺っていてその事に気付くと彼は急に声のトーンを下げた。
「まぁ やっちまった事は仕方がないし ・・・ すみませんでした」
後半は入ってきた浅月達に向かって言うと遊馬は深く頭を下げ野明も慌ててそれに倣った。
「あ・・・あの 本当にすみませんっ。・・・どうしましょう、私・・・」
真剣に困った顔をする彼女に浅月は軽く手を振った。
「泉さんが悪い訳じゃないよ、これは本当にうちの作戦負けだから」
「でも・・・」
「いえ、いいんですよ。あれは ゼロとしては正しい動きですから」
実山は少し困った顔で応じ 「あれで 壁には傷一つ付けなかったんだから仕様通りの完璧な動作なんですよ」と苦笑してみせた。
「そういうこと。けど あそこまで完璧に壊すことは無かったんだよ、もう少し加減してたら緊急停止位で済んだものを・・・」
遊馬が溜息を吐くと野明はバツが悪そうに肩を竦めた。
これ以上彼女が責められるのを不憫に思った久住が野明の肩に手を置くと遊馬に向かってにやりと笑って見せた。
「しかたないでしょ、泉さんは篠原くんと違ってゼロの負荷限界値を明確に知っていた訳じゃなかったし、よしんば数値を知っていたところでそれがどの位の加速までを吸収し切れるかを計算して突き飛ばすなんて まず無理よ。それこそ何回も検証実験でもして体得しているならまだしもね」
「んなことは判ってますって」
「じゃ 苛めないでよね、うちのアイドル」
「苛めてませんって。指導でしょうが!大体 野明は俺のパートナーですからね」
野明を引き寄せて慰める様にポンポンと肩を叩く久住に思わず渋面を作り『返せ』とばかりに遊馬が二の腕を掴んでぐいと引っ張ると野明は困惑した顔で二人を見比べた。
「あ・・・あの えっと・・・?」
オタオタする野明を取り返して遊馬が不満気な顔を久住に向けた。
「模擬戦は終わったし、イングラムの動作確認も出来ました。俺達の役目はここまでですよね」
「あら 冷たいわねぇ、いいじゃないの もう少しゆっくりして行ったら?」
からかう様な口調で言う彼女に遊馬は目を眇めた。
「遠慮しときますよ。定時、過ぎてますし」
「定時なんて、そんな時間に退勤したことなんてまず無い癖に。そんなに警戒しなくても誰も取りゃしないわよ」
「・・・何の話ですか・・・」
「さて 何の話でしょうね? ま、いいわ。で 浅月、なにか言いたいことある?」
唐突に話を振られた本人は肩を竦めて溜息を吐いた。
「完敗。恐れ入りました、パイロットの力量を痛感したよ」
その言葉に久住は目を丸くして呆れた顔を見せた。
「パイロットの力量とかそういうことじゃないの。浅月、あんた 何で負けたか本当に判ってる?」
「なんでって・・・」
怪訝な顔を見せる彼に久住は大きく溜息をつき、苦笑を湛え黙っている実山にも目を向けた。
「工場長は判ってるんですよね?」
「ええ、わかりますよ。あれはあれでいいんです。ゼロは望んだとおりのスペックを見せてましたからね」
怪訝な顔をする浅月と複雑な表情を見せる実山にシゲ、遊馬、久住の三人は同情に近い目を向けた。
「そもそも ゼロとイングラムじゃ設計の前提が違うんだからこういう方法では比べようがないんですよ」
遊馬は浅月に向かってゆっくりと声を掛けた。
「ゼロは市街地での作業を前提として効率化と最適化、更に操縦者の経験によらない動作品質を目指して作られてる。周りに被害を拡散させない事を最優先に作った機体でしょう。限りなく人体に近い動作を再現することに特化したイングラムとでは設計思想が違うんですよ。」
神妙な顔に僅かに悔しさを滲ませる浅月に遊馬は困った様な顔を向けた。
「イングラムは後継機のベースになることを前提にしてるからあらゆる意味で制限がない機体なんですよ。ダイレクトに操縦者の意志を機体に反映するから加減を知らなければ自分の機体を壊す様な動作も可能だし、匙加減も難しい。しかしその分自由度は大きい」
遊馬の後をシゲが続ける。
「イングラムは格闘に向いた機体なんだよね、どちらかというと。実戦向きというか、自衛隊なんかの方が存分に力を発揮できるタイプの機体なんでしょうね。だから黒い奴とも互角に戦えた。けど本来、警備部の仕事は格闘戦なんかじゃない筈なんですよ。そんなスペックが遺憾なく発揮できるような場面なんてそうそうないし、有っちゃいけない。寧ろ必要なのはゼロの持つ様な周りの安全に配慮した動作なんだよね」
久住がゆっくり頷くと浅月に声を掛けた。
「言ってること、判る? だから本来 条件も設定しないでゼロとイングラムを真っ向から格闘なんてさせたって勝ち負けに意味なんて見出せないのよ。情報収集としてはかなり美味しいものが取れた筈だけどね。純粋にレイバー同士で取っ組み合いするならリミッターが働いた状態のゼロは不利なの、最初から。気付いてなかった?」
諭す様な声音に浅月は大きな溜息をついて頷いた。
それを見て遊馬が小さく笑い彼の肩をぽんと叩いた。
「けど 市街地での事故処理とか 災害時の救助、救出ではゼロの持つシステムはかなり有効に働きます。そういう条件なら情報の処理や分析を人間に依存して、パイロットの技量がそのまま動作に反映しまうイングラムの方が圧倒的に不利があるんです。だから 今回イングラムが勝ったのは条件付けがこっちに有利だっただけでゼロがどうこうと言う話じゃない。設計思想が違うんだから。それよりも・・・」
作業員が群がっているゼロを見下ろして遊馬が振り返った。
「あれだけの勢いで突き飛ばされて壁に掠りもしなかったんですから、ニューロンネットワークは大したものです。なにより あれと同じ動作がきっかけさえあれば誰にでも出来る訳だから量産型のベース機体としてはなによりのメリットでしょう。この先 大量に配備を進めるなら動作品質の均一化は必要不可欠ですからね。イングラムは自由度が高い半面、操作の習得にかなりの時間を必要とします、それでは急な増員には対応しきれない。同じように3年乗っても一号機と二号機ではその動きの特徴に差が出過ぎています。とはいえ野明にしても太田にしても決して腕が悪い訳では無い、寧ろ人材としては稀有な部類でしょう。その差の出所は個人の特性で、一号機は二号機よりもずっと器用で、動作効率もいいけれど 射撃の精度とか打撃力では二号機に勝てない。そういう事がソフトで均一化されるならサンプリングされた元データよりも少々動作が丸くなったとしてもそれはそれでいいことなんですよ」
野明の顔をチラリとみて遊馬は穏やか顔を見せ軽く頭を撫でた。
「良くも悪くも 野明のイングラムは野明だけの物です。本人の癖がついてるんだから誰もがに十全に使える訳ではない。でもそれはイングラムとしてはそれでいい。『汎用』といっても同型同士の間で部品の融通が効く位の話で中身は専属パイロットの専用機ですからね。けれど本格的に警察用レイバーの配備が進むなら この先イングラムの様にパイロットの人数分専用のハードを置く事は維持管理の面からもコストが高いし無理がある。更に個々の機体に能力のバラつきを出さないためにはイングラムの様に出動の度にデータを蓄積していくのではなく 体験データを一度フィルタリングして抽出したデータをインストールしていく形式は向いていると思いますよ」
「つまりイングラムには格闘では勝てないってことかぁ・・・」
淡々とした説明に浅月は大きく溜息を吐き、彼のその発言に久住がさらに呆れたようになめ息を吐いた。
「ね 浅月 話聞いてた?勝ち負けじゃないって言ってるでしょ、向き不向きなの。乗り心地を追求したオートマの軽自動車でダ・カールラリーに出るのは無謀だけど東京の街中走るにはそっちの方がいい。逆にレース仕様のごつい車体で都内走ろうったって渋滞の多い首都高のミッション操作なんて足が攣るでしょうし 道幅や駐車場だって88仕様になってないとこの方が多いんだから向いてないに決まってるじゃない。同じメーカーの車だからって同じ土俵で比較出来る要素なんて殆どないのよ。だから『どっちがいい車ですか』っていう質問には『用途による』としか答えようがないの、判る?」
それまで黙って話を聞いていた実山が遠慮がちに口を開いた。
「浅月さん そういう事なんですよ。なのでこの結果はこれでいいんです。イングラムはきっとこの先も当分の間ハードとしては最高位の機体なんですよ。だから その稼働データをベースにするんです。今 開発している後継機はあの動作をより簡便に、安全に配慮した形で再現できることを目指していくことになる訳ですから」
実山の声に浅月はバツが悪そう頷くと溜息交じりに問い掛けた。
「久住も 篠原も最初から判ってたのか? そういう事全部」
「そりゃ一応ね、こっちの方がより現場に近いんだからそういうのは判り易いんじゃない?開発はこういう形で相手が出向でもして来ない限り向こうの上役と営業が間に入るから実際に使ってる人間の話を聞く機会なんて少ないでしょ、気に病むことじゃないわよ」
「篠原は?」
「俺はエンドユーザーですからね。現行機の利点欠点はよく判ってるつもりですよ。それに今のレイバー隊は良くも悪くも少数部隊なんで新型機の情報も末端まで聞こえてきますしね。公開された資料には一通り目を通してます。尤も、うちの場合そういうのは専らバックアップ担当のお仕事ですけど」
クスリと笑うと野明は拗ねた顔をしてそっぽを向いた。
「悪かったわね、そういうの苦手で」
「いい機会だしな、自覚があるなら少しは勉強しろよ」
偉そうに言う遊馬に野明は小さく肩を竦めると「はぁい」と返事をして溜息を吐いた。
皆の顔を眺めて浅月はがっくりと肩を落とすとばつが悪そうな顔を見せた。
「なんか 俺だけ判ってなかったってのが情けないなぁ」
「ソフ開から移動してきてまだ一年経ってないんだから仕方がないわよ。それよりも、これから先は機械の制御もみんなソフトでしていくことになってくんでしょうから しっかり頼むわよ。メカ好きの整備屋さんとしては残念な気もするけど」
シゲと実山に苦笑を向けると彼らもまた同じような笑みを返した。
「まぁ 過渡期なんだから色々あるのは当然なんだし、私も精々置いて行かれない様に頑張るわよ、ってことで今日の反省会はおしまいってことでいいかしら?」
「・・・どっちが主催したんだか判らなくなっちゃった感じがするけど、結構ですよ。というか・・・お世話になりました」
拗ねた感じの混ざる浅月の口調に久住が彼の頭をくしゃくしゃと撫でた。
「主任がそんな顔してどうすんのよ、シャキッとなさいな、シャキッと。気持ち入れ変えたら戻って指示出さないと待ってるわよ、みんな」
「ああ そうする、篠原と泉さんはどうする?」
「連れてってくれてもいいわよ?何しろ篠原くんは泉さんをここに長居させるのが不安で仕方ないみたいだから?」
「・・・そんなこと言ってません」
「ムキになって引っ手繰り返しといて良く言うわねぇ、なら一人で帰ってもいいけど?泉さんなら何時までいてくれてもこっちは大歓迎だもの」
「俺 あなたのそういうところが苦手なんですよ・・・」
にやりと笑う久住に遊馬は苦い顔で頭を抱えた。
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追記
長い上に説明ばっかり・・・こんなんでごめんなさいです~
私が思ってるイングラムとゼロの関係ってこんな感じなんですよね、っていう話だけなんですよ。
うわぁぁ ごめんなさいぃぃ 機械に興味の無い人には面白くない話ですよねぇ
次回はもう少し会話が・・・増える 予定。筈・・・うん。
こんな感じですが 何かしら一言頂けると嬉しいかなぁぁぁって心の底から思ってます♪
お暇がおありでしたら もうぜひぜひ一言~!!!
よろしくおねがいしますっ(^^)
ではでは 続きはのんびりおまちくださいね~(^^)
ツッジー 2010年01月28日(木)14時24分 編集・削除
読んでてすごく面白かったよ!!!
すごい勉強になった(≧∇≦)
オートマとマニュアルにココまでの差が出るんだね!!!
でもやっぱり98式はすごいなぁー(≧∇≦)
早く甘~い言葉かけてあげてね( *´艸`)クスッ♪