今日はなんだか異常にいそがしいです。
今頃浴衣持ってこいなんていうんですよ 幼稚園が!!
しかも明後日までに。
丈が短くて足りないので上げを全部ほどいてみたんですが・・・・
長さ足りないわぁぁぁ・・・・
どうしましょう???
明日 買いに行く??? でも 今頃売ってるものなのか?!
ああこまったぁぁぁ・・・
というわけでレス 今からです、すみません~
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さて不在の第21弾♪
今回は間をあけずにUPです。
理由は20と一緒にここまでは書いてあったから(笑)
長かったので分割したんですね~
なので次はすこし間があくかも・・・
今回 オリキャラが幅利かせまくってます。抵抗のある方はまわれ右で!
それでもいいわ、という方は先にお進みくださいませ♪
では 以下が本文です
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不在 21
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SIDE-LABO(5)
野明をラボまで連れてくると今度は遊馬自身が着替えの為にロッカーに駆けもどった。
このラボの中にいる人は野明にも遊馬にも比較的理解がある人間が多い。
口さがなく言われて居場所をなくすことは少ないだろうと踏んでのことだったが、ここに一人で置いておくことは遊馬にとって別の心配の方が大きかった。
案の定 ほんの10分間ほど野明の傍を離れただけで女っ気の少ないこのラボ内で密かに注目を集めていた彼女の周りには軽い人だかりが出来ていてその手の扱いに慣れていない野明は明らかに戸惑って目を白黒させていた。
戻ってきた遊馬が 「野明」と声をかけると明らかにほっとしたような笑顔を見せて振り返り、周りを取り囲んでいたスタッフたちが『やっぱりなぁ』という顔をして二人を見比べた。
書類の束を遊馬がぽんと放ると野明は慌ててそれを受け止める。
「手順書、差し替えだってさ。確認し直すからさっきのやつ廃棄しとけよ、紛らわしいから」
「あ、うん、わかった」
言いながら机の上にあった方の書類の一番上に赤ペンで大きく裁断処理の目印である×を書き込むと書類の端をずらして側面にも赤いラインを入れた。
新しい束の端に自分の目印であるクリップを挟むと勢いをつけて立ち上がり周りに「じゃあ 今日も一日がんばりましょうねっ」といって笑いかけると遊馬のそばに駆け寄った。
野明の机のまわりに集まっていた面々が解散しかけた時 部屋の扉がパコンと開いて数人の作業服をきた集団が入ってきた。
「おはようございまーす、」
先頭を切って入ってきた大柄な女性は部屋を見回すと野明の姿を見つけて大きく手を振った。
「あ。いたいた~!! 泉さーん」
呼ばれて振り返った野明は一瞬目を瞬いた後、嬉しそうに彼女に駆け寄った。
「久住さん!お久しぶりです、どうしたんですか、こんなところまで」
彼女の所属するメンテナンス部門はこの開発棟とはかなり離れていて序に立ち寄る、などという距離ではない。
カスタマイズ機やリリース直後の機体を扱う場合にはメンテと開発は近いほうが作業としては効率が良いのだが機密保持の観点からもユーザーの立ち寄りが多いメンテ部門と社外秘の内容を多く扱う開発部門は物理的に距離が離されている。
広い構内だけに更衣室から使用する門までが違っていたため『会おう』という気がなければ中々顔を合わせるものではなかった。
「泉さん 来てるっていうから探しにきたの。イングラム オーバーホール終わったよ」
「早い!一週間から10日はかかるって聞いてたのに」
「あら 随分余裕持って連絡してたのね、営業。うちの作業員を舐めてもらっちゃ困るわぁ、二課の整備班に負けない仕事っぷりするんだから!」
ころころと笑う彼女の後ろで顔馴染みの男性メンテスタッフが得意気な顔を見せていた。
「流石、久住さんのチーム、どうもありがとうございます」
野明もまたにこにこと笑うとぺこりと頭を下げる
「任せなさいって、本家メンテ班としちゃ、お宅んとこの整備班に負けてらんないからね」
「頼りにしてます」
胸を張る男性スタッフに敬愛の眼差しを向けると「篠原の次に、でしょ?」と混ぜ返され野明は吃驚して顔を朱に染めた。
「あ~ そうそう、ちょっと御曹司!聞いたわよ、なんか面倒なことになってるって?泉さん」
キッと睨まれた遊馬は軽く肩を竦めた。
「好きでそうしたわけじゃないですよ」
言い訳するように言うと久住はずいっと遊馬に顔を近づけた。
「そこを何とかすんのが男でしょうが。そんな情けないこと言ってると持ってっちゃうからね、彼女」
「持ってくって・・・」
野明が苦笑いすると男性スタッフ一同も大きく頷き、「メンテにおいでよ」と口々に声をかけて野明を手招きし始めた。
「久住さん・・・なんか 貴方がいうと冗談に聞こえない・・・」
遊馬が顔を引き攣らせると久住はふふんと笑った。
「あら、私 泉さん好きよ~? 何なら彼女にしたっていいくらい」
「・・・・野明にそういう趣味はないですよ」
こめかみを押さえて唸る遊馬に彼女は吹き出すように笑うと「シャレと冗談の区別もつかないくらいテンパってんじゃないの、そんなことよりも本題、本題」
遊馬の額をぽんと小突くとこのラボの責任者である浅月に目を向けた。
「浅月、泉さん借りたいんだけど時間空かない?」
「今日か? うーん、結構作業押してるんだよなぁ。時間どのくらい?」
「そうね・・・操作性の確認と各種微調整だけだから、2時間。いける?」
最後は後ろに控えたスタッフへの確認。
「当然」と胸を張る彼らに満足げに頷くと浅月に向きなおった。
「貰えない? そのあとそっちのデータが整ったら実装テストもするんでしょ、それまでに完璧に仕上げて見せるわよ」
「それなんだけどさ、ちょっと問題がでてね、今回実装は間に合わないかもしれないなぁ。そのかわり新型と模擬戦したいんだけどね」
「ゼロ?」
「そ。来月納入するやつね、学習データは今フィルタリングしてるから後は落とすだけ。警察の許可は今 実山さんが調整に当たってる」
「そう・・・。いいわよ、絶対負けない。開発直後の機械に手塩にかけて育てて面倒見てる機体が簡単にやられないわよ?メンテナンスとカスタマイズの真髄見せてやるんだから。それ、二課にも公開するの?」
「一応 非公開。でも 向こうの整備は代表が見に来るんじゃないかな、なんだかんだいってもあそこのロールアップが出ないと納入させて貰えないからね」
苦笑する浅月に少し考えると久住はにやりと笑った。
「そう? じゃ こっちに一人、助っ人入れるけどいい?」
「ご自由に。それと今日 午前中、泉さんだけでよければ貸しますよ。篠原は駄目、今回こいつメインだからね」
浅月と久住が遊馬に目を向けると彼は渋々頷いた。
「心配しなくても あんたよりはいい風除けになるわよ、私は」
久住はコロコロと笑うと「じゃ、お借りしまぁす」と言って連れてきたメンテスタッフとともに野明の腕を引いてラボを後にした。
ぱたんと扉が閉まると 妙に静かになったラボの中に茫然と扉を見つめる開発スタッフ一同と苦笑する浅月、こめかみを押さえて溜息をつく遊馬が残されなんとも言えないうら寂しい雰囲気が漂った。
「泉さんって・・・いるだけで華だったんだなぁ・・・」
嵐が去った後の様な静けさの中でしみじみと呟かれたスタッフの言葉に全員が無言で頷いた。
手を引かれてラボを出ると 構内を巡るマイクロバスに乗りこむ。
10分ほどでメンテナンス棟に到着すると久住の凛ととした声が指示を飛ばした。
「時間が勿体ないわ、イングラムだして。起動と同時にモニタリング。作業同時に行けるところは一斉に掛かって」
全員がキビキビした動作で自分の持ち場に入ると野明もヘッドギアを受け取って「行きます」と声をかけてコクピットに駆け出して行った。
久住はその後ろ姿を見送って管制室に向かうと無線を手に取った。
「泉さん 聞こえる?」
「はい」
「篠原君でなくて悪いけど 今日は私が指示だすわ、よろしく」
「こちらこそ お願いします」
悪戯っぽい口調に野明も思わずくすりと笑った。
「じゃ まず基本の足回りとグリップの位置と固さ、ストロークを確認して。それとシートの高さと角度もね。一応 二課から来てる指示通りに調整した筈なんだけどフィーリングの違いは遠慮なく言って頂戴。ミリ単位の誤差でも変更して見せるわよ」
彼女の声にハンガーのいたるところから「任せろ!」と声が飛ぶ。
顔を綻ばせた野明が「お願いします」と返事を返すと彼女の顔が映ったモニターに向かって作業員が嬉しそうに手を振った。
15分ほど 基本動作を行ったあと モーショントレーサーで誤差を確認する。
野明の要望で 何箇所かフィーリングを調整するとその詳細をデータ化して記録を残す。
「今回 少し駆動系をいじってるんだけど、どう?」
「動作自体はすごく滑らかですね。モーショントレーサーを使った時の方が違いがよくわかるかな」
「なにか気になる?」
「う~ん 今までと比べると滑らか過ぎて少し滑る気がするかな、指先。思ったところでピッと止まる方が使いやすい気がするんだけど、慣れかな?」
「全部、それとも特定の指?」
気になる個所をぽんぽん上げる野明にテキパキと作業指示をだし細かい調整をして納得のいく状態に持ち込むまでをしっかり二時間で終えると久住は全員をハンガーの一角に集めた。
「きっかり2時間、時間どおりの作業お疲れ様でした。開発は午前中一杯 泉さんを貸してくれるそうなんで何か気になること、やりたいことがある人いる?」
「残り2時間弱でできることですよね、だったらひとつやってみたいことが」
挙手した男性に「何?」と声をかけると彼は野明に目を向けた。
「一号機は手先器用なので、ちょっと覚えさせてみたいなぁって」
楽しそうに笑うその作業員に野明は「はい」と笑って頷いた。
「で、何をしましょう?」
「ゼロと模擬戦するっていいましたよね?だったら ちょっと・・・」
そう言って提案された内容に周りは一瞬呆れ、久住は吹き出すように笑った。
「いいけど、それ実戦で使う機会あるのかね?」
「なくてもいいんですって。そういう制御って一号機しかできないでしょ? 多分」
「そりゃね、同じイングラムでも二号機には無理ね。綺麗に使ってくれてる一号機にしかできないと思うけど・・・それはやるなら模擬戦にテストドーム借りないと外じゃ危ないわね」
「ええ 事にしたらゼロ一体キズものになるかもしれないですけど?」
「あら、そんなんでキズものになるようじゃ だめじゃない?一号機ならうまく立ち回るわよ、多分ね?」
そういうと野明を見遣る。
「どうでしょう?」と苦笑すると野明は「でも 面白そうですね」とやる気を見せた。
何度か失敗を繰り返しあちこち調整した結果昼休み前までには9割以上の成功率をたたき出すようになると久住は野明に降りてくるように声をかけた。
「やるわね~ これかなりハイスコアじゃない、得意なの?」
「まさか、自分でやるよりいいですよ、メンテと調整の精度がいいんですよ」
「それは冥利ねぇ。模擬戦楽しみね、向こうは絶対ニューロンの特性をアピールしたいんだからこれは有効、鼻を明かしてやるわ」
楽しそうにいう久住に野明は呆れたように肩をすくめた。
「やっといて言うのもなんですけど、いいんですか? こんなことして。新型のいいところアピールしないといけないのにこれじゃ・・・」
「あら 欠点と弱点は先に露呈させてあげた方が親切よ?何でもコンピュータに任せようとする上の考えに一撃加えてやるんだから。それにね、責任取るのは私じゃないわ。これが使えるってことは向こうが新型に有利だと思うフィールドでこっちに喧嘩を挑んできたときだけでしょ? アナログはね、習得に時間がかかってもその自由度の大きさは比較にならないほど大きいんだから。ゼロがこけたら責任を取るのは上役よ、その為の責任者でしょ?」
しれっと言い放つその口調に 第二小隊の隊長や自身のパートナーと同じ色を見た気がして野明は呆れた顔をして肩を竦めた。
「私、久住さんの上司じゃなくて本当によかった・・・」
「あら、私の上に立ちたかったの? それは10年早いわね」
彼女が笑うと周りのスタッフが野明に耳打ちした。
「本当に。部下でよかったですよ、上司になんてなりたくないですね」
それを聞いて他のスタッフも声を上げてカラカラと笑った。
「さて そろそろ昼休みね、昼食、こっちの棟で食べていきなさいよ」
野明の背中をポンと叩くと当然のように言う久住に思わず笑顔が零れた。
「あ はい。そうします」
「じゃあ 決まり。みんな 少し早いけど片付け終わった人から順に休んでよし。午後は今のデータ忘れないで追加しといてよ。 解散!」
その声を合図に三々五々昼食に向かうメンバーが口々に野明に「おつかれさん」「午後 開発帰っちゃうのかぁ」「また来なよ」と声をかけつつハンガーを後にする。
その様子に野明は相好を崩した。
「なんか 生き生きした顔してるじゃない?」
一緒に歩きながら久住が問うと野明は少し考えてから口を開いた。
「う~ん、ここに来てから気を張る時間が長かったから。久々に肩の力が抜けてほっとしたんじゃないかなぁ」
「そう?ならよかったわ。こっちの連中も久々に泉さんに会えて気合い乗ったみたいだし。篠原君連れてこなかったからどうかな、って思ってたんだけど却って正解だったかもね?」
したり顔でうなずく彼女を振り仰ぐ。
「え?」
「いたら構うでしょ、あの御曹司。それが嫉妬の原因だって気付くべきよね?正直 今朝まで気づかなかったのよ、泉さんが来てるの。同じ工場内でも端と端じゃ接点がないでしょ、いつから来てたの?」
「先週の水曜からです。今週の水曜までいますよ」
「そっか、一週間ちょっとってことね。彼も一緒に引き上げるの?」
「その予定です。私はイングラムのオーバーホール期間中の貸出って扱いだったみたいですけど」
「そっかぁ じゃ目いっぱい10日とればよかったなぁ、そしたらもう少し居られたのに、ってそれはキツイか、泉さんには」
苦笑を向ける久住に野明は軽く肩を竦めた。
「遊馬があんなにモテるなんて知らなかったんで吃驚してます」
「あれはね、篠原くん自身というよりは 『御曹司の肩書』でしょうね。同じ男性でも一緒に来たのが彼じゃなくて例のなんて言ったっけ、あの背の高い刑事さん、彼だったらこんなに注目浴びなかったわよね、絶対」
「そうなんですよね、遊馬って御曹司なんですよねぇ。ここに来るまで忘れてましたけど」
腕組みする野明に久住は好意的な笑顔を向けた。
「ま、そういう泉さんだから彼が気に入ったんでしょうけど。それにしても今回は大変みたいね?」
「えっと・・・?」
何と答えていいか分からずに当惑のする野明を見て久住は当たり所のない怒りに顔を顰めた。
「本当、こっちの棟にまで聞こえてくるんだから相当 嫌がらせされたんでしょ?本当に暇な人っているんだよねぇ。こちとら急がしくて一々他人の色恋に構う暇なんてないのにさ?」
「・・・聞こえてたんですか・・?」
バツが悪そうに彼女を見上げると頭をぽんと撫でた。
「まあね。泉さんが気にしても仕方ないって」
向こうに比べると幾分手狭な食堂につくと、トレイを片手にメニューを選ぶ。
手近な椅子に腰かけると食事しながら話を続けた。
お洒落な感じが強かった向こうに比べこちらの食堂はどちらかというと 昔ながらの学食的雰囲気があって中で食事をとる人たちも技術作業系の人ばかりが目につく。
女性同士のいざこざが聞こえてきづらいことも頷けた。
「でも どうして私が来てるってわかったんですか?」
野明が首を傾げると久住は「ああ そのこと?」と言ってにっと笑った。
「オーバーホールが早く上がったから二課に連絡入れたの。そしたら一号コンビはそっちに出向中って答えが返ってきたのね。で 探しにいったら本館との連絡通路の脇でごちゃごちゃ言ってる事務の集団を見かけたってわけ」
本館との連絡通路と言えば 更衣室のそば。
なるほど、今朝の一件がもう話題になってるんだ、と思い野明は深いため息をついた。
「全く 御曹司の過保護さにも困ったものねぇ。表だってごちゃごちゃ言うのはまぁ、あの辺の連中なんでしょうねぇ・・・・」
深く頷く彼女に野明は首を傾げた。
「えっと なにか心当たりあるんですか?」
「ああ、経理と人事、あと秘書課なんかの一部でしょ? あの辺はさ関連会社とか上役のお嬢なんかがコネで入る人数も多いからね。御曹司は自分のテリトリーだと思ってるんでしょうよ。あの連中は威張るだけで仕事してないからねぇ、同じ部署でちゃんと仕事してる人たちが可哀想ったらないわよ」
野明が目を丸くしていると彼女はにっと笑った。
「仕事してるかしてないか、比較的簡単に見分ける方法があるわよ。今度会った時 指先見てごらんなさいな 相当器用でないと仕事しづらいくらい装飾ついてるから」
その指摘に野明は目を丸くして次いでくすくすと笑った。
「ぜひ 見てみます。でも 遊馬は公務員なんですけどね?」
「でも血筋だからね、『継ぐ』って思ってるんでしょ、勝手に。そんなの本人が決めることなのにね。それはそうと・・・そろそろ向こうに送ってくわ。時間内に返さないとクレーム付いたらつまんないからね?」
「はい、お願いします。本当は一人で戻れるといいんですけど・・・ここ、広くって・・・」
困ったように笑う野明に久住はくすくすと笑った。
「実山さんに聞いたことあるわよ。中で迷ったことがあるんだって?」
「・・・2年以上前ですけどね・・・そんなこと教えなくてもいいのに・・・」
いじけた様にいうと「ここで迷われると文句言う男が一杯いるからね、送りますよ」と言って久住は野明を連れて席を立った。
開発棟について始業15分前にラボの扉を開けるとすでに中に戻っていた面々と束の間の惰眠を貪るスタッフで中は満員御礼だった。
野明の姿を見つけると 口ぐちに「お帰り」と声をかけて歓迎の意を伝える。
笑顔を返す野明に遊馬が駆け寄ってきた。
「迷惑掛けてこなかっただろうな?」
「あら 彼女はそんなことしないわよ、篠原君こそ仕事進んだの? よもや彼女が気になって仕事が手に付かなかった、とかいう気じゃないでしょうね」
「余計なお世話ですよ、あるわけないでしょうが」
にやりと笑う久住に遊馬は拗ねたような顔を見せた。
「あら そう?ならいいけど。 あ 浅月、泉さん返しにきたよー」
部屋の奥に彼の姿を見つけて手を振ると彼もまたこちらに寄ってきた。
「どうも、お帰り泉さん。向こうで苛められたりしなかった?」
「あら 失礼ね。彼女はトクベツ待遇よ?うちのアイドルですもの。何しろ無骨なところですからこっちの棟に棲みついてる金と地位の亡者みたいなお嬢様方も足を運んでくることもないし?」
コロコロと笑うとすっと目を細めた。
「気づいてないわけじゃないでしょ?」
「そりゃね、でも手を出しづらいからね、篠原もそれで困ってるわけで」
肩を竦める浅月に久住は呆れた顔をして見せた。
「本当、こういう時 男ってアテにできないわね、びしっと言ってやればいいのに」
「・・・言えたら苦労はないよ・・・」
「そう?いくらでもやりようはあると思うんだけどね。まあ いいわ、私も戻らないと始業に間に合わなくなっちゃうし。じゃ 行くわね、泉さん またねー」
言いたいことを言い終えると さっさと扉を出て行ってしまった彼女を野明は手を振って見送るとくるりと室内に向きなおった。
部屋の中には 彼女の元気にあてられたようなぐったりとした様子の男性陣がいて野明は思わず目を瞬いた。
「あの・・・えっと・・・大丈夫ですか?」
誰にともなく声をかけると浅月が野明の両肩に手をおいて「本当、お帰り・・・・」と言って大きなため息を吐いた。
「野明、向こうどうだった?」
「どうって?イングラムなら完璧に仕上げてもらったよ」
うっかり言葉をつづけかけ野明はくすりと笑うと口を閉じた。
向こうの人間から『模擬戦まで秘密』と言われた学習の成果、遊馬に言いたくて仕方がないのだが彼が当日どっちに配されるかわからない以上、情報は渡せないというのがメンテ班の一致した意見で野明もそれに同意した。
そのため練習のことは遊馬には言えない、そこで野明はにこりと笑うと「なにか心配?」と問いかけた。
「そんなんじゃないけどね。お前 なんか楽しそうだなと思ってさ」
「メンテ部門の人たちと会ったの久しぶりだったからね、ちょっと嬉しかった」
「・・・・そうかい。そりゃよかったな、じゃ 午後の手順確認するからな」
気持ち拗ねたような顔を見せた遊馬に野明はくすくすと笑い手渡された手順書に目を通し始めた。
午後の試験が殊の外スムーズに進行すると夕方の休憩時間に久住が顔を覗かせた。
「浅月 いる?」
「いますよ、主任ー、保守の久住さん来てますよ」
戸口のそばにいた男性が声をかけると 部屋の奥から浅月が出てきた。
「ああ 久住。どうしたんだ?」
首を傾げる浅月に久住は「ちょっと相談にね」とにこにこと笑い「少し時間取れる?」と訊ねた。
休み時間はまだ十分にあるので軽く頷くと手招きする彼女について部屋を出た。
人のいない自販機前の休憩スペースにつくと久住は「何か飲む?」と声をかける。
「いや いいや。で どうした?」
「模擬戦っていつやるの?」
彼の質問に 問いかけで答えると缶コーヒー片手に彼の正面に腰を下ろした。
「こっちの予定だと明日の午後がベストなんだけどね。そっちの都合は?」
探るような眼に久住は薄い笑みをたたえた顔を崩すことなく答えた。
「明日ならいいよ。場所 確保できてるの?」
「一応 グラウンドを押さえる予定だけど」
その回答に久住は少し考えるふりをして腕を組んだ。
「それなんだけどさ、ドーム使えないかな」
「ドームってゼロの開発の時に使った実験棟のことか?」
彼女の意外な提案に浅月は目を瞬いた。
「そう、あれ。今使ってないでしょ? 一応ゼロだってまだマスコミに公開してない機体だし、グラウンドで模擬戦なんかして上空から報道のヘリに空撮されたりしたら面白くないじゃない?」
「そりゃまぁ そうだけど、しばらく使ってないからなぁ」
苦い顔をする彼に久住はぽんぽんと畳みかける。
「許可取れない? あそこならモニタリングもできるし模擬戦のデータなんて宝の山よ?収集して損はないわ。ゼロとの格闘データ、一号機に入れたいし。実戦に近いデータを生で取れるんだから開発にしたって悪いことはないと思うんだけど」
「そりゃまぁ そうなんだけどさ」
「模擬戦させて眺めてるだけなんてもったいないわよ、絶対。グラウンドじゃ行動全体のモニタリングなんてできやしないでしょ?個々の行動パターンデータだけ解析するより双方の動作を総合して見れる方が絶対有意義だって」
非の打ちどころのない正論を翳されて浅月はやれやれという顔で頷いた。
「・・・わかったよ。交渉して見る。けど確約できないからな、そんときは怒るなよ?」
その回答に久住は満足気な顔をして見せた。
「期待してるからね、浅月。じゃ明日 連絡よろしく」
そういうと彼女は勢いよく立ちあがって彼の肩をポンとたたくと上機嫌でその場を後にした。
「本当 食えない人だな・・・」
その後ろ姿を見送って浅月は大きくため息をついた。
go to next....
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追記
さて オリキャラさんが幅利かせてます。
ごめんなさい~(^^;
でも ちょっとやってみたかったことに話がやっと向かいました♪
実は私これ OVA見ていた時から試してみたいよなぁと思っていたことです(^m^)
何を思いついたのか 分かった人いるでしょうか?(^^)
本当にしょうもないことなんですよ(笑)
ではでは 続きはのんびりおまちくださいね~(^^)
tera 2010年01月13日(水)01時08分 編集・削除
おお!いいなぁ久住さん。
姉御みたいな感じですね♪いいキャラだ。
何を試そうとしているのか、楽しみです。