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不在20

さて不在の第20弾♪

松もとれたことですし更新 更新(^^;
さて 持って帰ってきましたよ。
どうしましょうね、遊馬さん(笑)
時期的には真冬に真夏の話ってどうなのよ?ってかんじですが★

連休ラストですが天気がすっきりしないですねぇぇぇ
なにより 寒いです(^^;

では 以下が本文です

続き

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不在 20
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SIDE-A&N(8)

八王子に向かう途中 軽く食事を摂って先に車を返すと 部屋に向かう道すがらコンビニで多少の買い物をする。
連立って部屋に入ると 閉め切っていたその中は昼間の熱がまだ籠っていて遊馬は顔を顰めるとすべての窓を開け放った。
密室と化していた部屋の中より外の方がまだいくらも涼しく感じて窓際に立ったままリモコンで空調の電源を入れると、熱の籠った部屋の中でエアコンが運転を開始した。
運転開始直後 生ぬるい風を吐き出して熱気をかき回していたエアコンが やがて風の温度を下げて涼感を伝えるようになると遊馬は窓とカーテンを閉めて額に浮き出た汗を拭った。

「あっついなぁ」
大仰に溜息を吐きながら漸く部屋の中に戻って買って来たものを仕舞い終えると遊馬は野明を振り返った。
「野明 汗かいてるなら先にシャワー使って来いよ、出てくるころには少しは過ごし易くなってる筈だから」
言いながらぽんとタオルを放ると野明は少し考えてからコクンと頷いて自分の持ってきた鞄を手に取った。
「そうしようかな・・・えっと・・・遊馬」
「ん?」
「・・・行ってきます・・・」
「ごゆっくり。お湯張りたいなら、張ってもいいから」
「あ、うん。ありがとう」
ぱたんと扉を閉めて野明が浴室に向かうと遊馬は軽く部屋を片付けた。
仮住まいでそもそも大したものは置いていないのでそれほど時間もかからない。
野明が出て来るまでしばらく掛かるだろうと予想して缶ビールを開け、TVをつけていると程なくカチャリと音がして扉が開いた。
ワンピースのような寝間着を着た野明が扉からひょこっと顔を覗かせると「遊馬、出たよ」と声を掛けた。
「ああ」と返事を返し自分の着替えを手にスタスタと扉に歩み寄る。
「そんなの着て寝てるんだ?」
パイル地のサーモンピンクの寝間着をまじまじと見て遊馬が感心したような顔をするのに野明は微かに頬を染めた。
「まさか。普段は滅多に使わないよ」
「じゃ いつもどうしてるんだ?」
遊馬が首を傾げると野明は『肌着で寝てます』とはとても口に出せなくてフイッと顔を逸らした。
「・・・教えない・・・」
顔を赤くしてそっぽを向く野明に「ま いいけどね」と言うと遊馬は軽く肩を竦めた。

「取り敢えず俺も風呂使うから、適当に待ってろ」
言い置いて遊馬が入れ替わりで扉の中に消えると野明は小さな溜息をついた。
寝間着の襟元から自分の下着を覗いて仄かに頬を染めると慌てて襟から手を離し机に突っ伏した。
「・・・・どうしよう・・・・」
小さく呟くその声が緊張で明らかに震えているのに自分で驚く。
目の前に置かれた飲みかけの缶ビールを手に取ろうと伸ばした左手の指先もまた震えていて思わずその手をひっこめた。
右手で左手を掴んで震えを止めようとしたものの上手くいかなくて寧ろドキドキと早鐘を打つ鼓動に意識が向き野明はどうしていいかわからなくなって両手で頬を包むと泣きそうになった。
「やだ、本当にどうしよう」
困って顔をふるふると横に振ってそのまま肘をつくと野明は盛大に溜息をついた。
ああ言われてついてきてしまった以上自分が何を承諾した形になったのかいくら鈍感と言われる野明でも判らない筈がなく、かといってこの先に進む心の準備が整っているわけでもない。
遊馬の事は好きだし、実際 友達と買い物に行ったときに勢いで買ったものの職場に着ていくには少し抵抗があると思っていた上下揃いのフリルが付いた下着まで持ってきていたのだからそういう期待を全くして来なかった訳でもない。
それでも いざそういう状況になりかかると思いきり動揺していたたまれない気分になってきていた。
仕事の時はこの手の下着はあまり向かないのでスポーツタイプの物を好んで着用している為 着なれないことも手伝ってますます気分が落ち着かない。
遂に その緊張感と気恥かしさに耐えきれなくなっていつものスポーツタイプの物に着替え直そう、と決めて伏せていた顔を上げると同時にカチャリと音がして遊馬が部屋に戻ってきてしまった。
立ち上がるタイミングを完全に逃してしまい、今更また脱衣室やトイレへ籠って着替える、と言うのも余りに不自然で野明は途方に暮れた顔で小さく溜息を吐いた。

聊か乱暴な仕草で自分の髪をガシガシと拭いていた遊馬が野明の溜息を聞き咎めてスタスタと歩み寄ってくるとその顔を覗き込んだ。
「何、難しい顔して?」
「あの・・・えっと・・・」
どう答えていいか判らずに返答に困る野明に何となく心中を察した遊馬は微苦笑を向けた。
「ばぁか、初めて泊る訳じゃあるまいし何緊張してんだか。無理にどうこうなんてしないって言ったろ?少し落ち着けよ」
野明のぽんと頭を叩いて傍を通り過ぎると冷蔵庫を開けてミネラルウォーターを取り出し口をつけた。
不自然に黙り込んだ野明の様子を見ながら机に置いたままにしていたビールの缶をひょいと取り上げ流しに空けると軽く濯いで袋に放り込む。
目を合わせようとしない野明に軽く肩を竦めると彼女の正面の椅子に腰かけた。
「あのな 俺だって健康な成年男子だし、好きな女が部屋に来てて相手の気持ちもこっちを向いてるらしいって思えばそれなりに思うところはあるけどさ、だからって無理強いしたり力任せにそっち方向に持っていこうなんて思ってないぞ」
野明が漸く顔を上げると遊馬は小さな溜息を吐いた。
答えるべき適切な言葉を見つけられなくて複雑な顔をする野明に遊馬はやれやれと言った顔を見せた。
「すぐに手を出したり出されたりするのが愛情の深さだなんて思ってないって言ったろう? 今まで待ったんだし互い気持の確認もできた訳だから、野明の心の整理が付くまで待ってやるくらいの余裕はあるつもりだけど?」
「えっと・・・あ・・・うん。ありがとう」
心中を見透かしている様な遊馬の言葉に野明は戸惑い彼の顔をそっと覗き見た。
緊張して震えていた手と声はいくらか落ち着いたものの妙な緊張感は相変わらずで野明は大きく深呼吸すると遊馬の方に向き直った。
「あのね、遊馬の事は好きなの、けど、あの・・・ものすごく緊張しちゃって・・・どうしよう?」
言いながら自分の思うようにならない感覚に知らず涙が浮かぶ。
少し考える様子を見せた遊馬がゆっくり席を立つと野明を後ろからそっと抱きしめた。
「妙な予告した俺が悪かった、まさかそんなに緊張させると思ってなかったからさ。配慮が足りなかった。俺は女じゃないから野明の抱えてる不安とか緊張感って判ってやれてないんだよな。無理はしなくていいから、泣くなよ?」
自分を気遣う穏やかな声音に野明は戸惑いを見せた。
「違う・・・遊馬、そうじゃなくて。予告したからとかそんなんじゃないの。大好きなのにどうしてこんな・・・」
浮かぶ涙を拭いながら俯く野明に遊馬は静かな声で語りかけた。
「怖い?」
「・・・多分」
「うん。野明は・・・初めてなんだな」
小さく頷く野明に遊馬は「そうか」というと少し間をおいてこめかみに軽く唇を寄せた。
「なら 仕方ないんじゃないか? 何でも最初は不安があるもんだろ、まして・・・女性の場合こういうことは特にさ、男とは感覚が違って当然だろうし」
耳に心地よいハイバリトンの声に不安が少し和らいだ気がした野明は遊馬に向かって問い掛けた。
「遊馬は・・・違うの?」
「多分、野明とは違うよ。男だからね、期待とか興味とかそういう高揚感の方が大きいんじゃないか?尤もそれとは別の不安要素ってのはあるけどね、俺の場合」
「不安要素?」
不思議そうな顔をする野明に小さく笑みを返すと軽く彼女の髪を撫でる。
「手を出したら壊れるんじゃないかってさ」
「・・・壊れる?」
「そう。お前との関係もお前自身も。手元から離れて行きはしないかって思うと、俺はそれが一番怖い」
自分の肩に額を押し当てて話す遊馬の声に胸がキュッと締め付けられるような感覚を覚えた野明が思い切って体の向きを変えると遊馬の首に両腕を絡めた。
「・・・離れていったりなんてしない、絶対」
野明の声にほっとしたように頷き、彼女の背と腰に腕を回す。
強く抱きしめると首に回された野明の腕にも少し力が入った。
ふわりと香る甘い香りと柔らかい体の感覚。
『手に入れたい』と思う気持ちが一気に胸に広がり暫しの沈黙の後、遊馬はゆっくりと声を発した。
「野明、俺とそう言う関係になるのは・・嫌か?」
戸惑うように吐きだされた遊馬の声に緊張が見てとれて野明は『意外だな』と思いながらゆっくりと首を横に振った。
「・・・遊馬でなくちゃ嫌。けど やっぱり不安というか・・・怖さはある」
するりと出た自分の本音に野明自身が驚いたものの言ってしまった事で幾分すっきりした気分になって遊馬の胸元に頬を寄せた。
「俺も野明しか要らない。・・・待つって言ったばかりなんだけどな・・・欲しいって言ったら、困るか?」
探る様な彼の声音が野明の心をキュッと締め付けた。
「あの・・・えっと・・・」
口籠る野明に軽く肩を竦めると遊馬は小さく息を吐きだした。
「わりぃ。無理、しなくていい」
宥める様に髪を撫でる遊馬に野明は少し焦って眉間に皺を寄せた。
「・・・あっ、やだ、そういう意味じゃなくて・・・・あの・・・私、どうしたら・・・いい?」
頬を染めて困った顔を見せる野明に遊馬は首を傾げた。
「どうって・・・無理するなって。強要するつもりじゃないから」
くしゃくしゃと髪を撫でる彼の顔を見上げ野明は顔を顰めた。
「あの・・・えっと・・・強要って・・・そうじゃなくてっ。・・・もうっ!遊馬の馬鹿ぁ・・・」
どう言えばいいのか困って彼の胸に額をつけたままポカポカと肩口を叩く野明に遊馬は一瞬きょとんとしてから『あっ』と声にならない声を上げた。
面を上げない彼女の顔が真っ赤になっているだろうことは胸に付けた額からもわかるほどで、遊馬は自然と緩んだ口元に手を宛がうと自分でも判るほど顔に朱が昇った。
「えっと・・・野明?お前、その・・いいのか?」
思わず訊き返してしまうと野明は顔を上げずに小さく頷いた。
「でも・・・私・・・あのね・・・」
また緊張して微かに震えだした声に遊馬はクスリと笑い、「うん、わかってる」と言って耳朶に唇を寄せた。
「体の力抜いて。後は俺に任せていいから」
遊馬は宥める様に囁くと野明の体をふわりと持ち上げた。

腕の中で人が身動ぎする感覚にぼんやりとした意識のまま目を開けると腕の中に明るい色の髪が見えた。
『ああ 野明か』
髪を撫でようと腕を動かした弾みで、彼女の肩口に掛かっていた布団が少しずれた。
白い剥き出しの肩が露わになり、遊馬は思わず動きを止めた。
互いが着衣を身につけていないことがわかると、一瞬で数時間前のことが脳裏を駆け抜ける。
痛みに涙を浮かべつつも自分を受け入れた野明の香りと甘い声。
柔らかな肌と火照る身体、初めて見た彼女の女の顔を鮮明に思い出して気恥ずかしさで顔に朱が昇った。
片手で顔を覆うと疲れて眠る野明の横顔を見遣り、次いでベッドの周りに散乱した衣服に目を移した。
赤黒い染みの付いたバスタオルが目に止まり、その意味を思って愛しさと歓喜に似た感情が胸を駆け抜け、彼女の額に軽く唇を落とした。
その感触に野明がうっすらと眼を開き、寝起きで焦点の定まらない瞳を彼に向けた。
「・・・遊馬」
彼の顔を認めて掠れる声で名前を呼ぶと安心したように再び目を閉じた。
彼の胸に頬を寄せると肌に触れる常にない感触に違和感を覚えて目を開けた。
自分と遊馬の肌が露わになっていることに気づくと一瞬 混乱して野明は目を瞬いた。
腕の中で野明の体がぴくりと跳ねたのが分かり遊馬は苦笑する。
先ほどの自分よろしく 自身と遊馬、それにベッド回りに散乱した衣類とバスタオルを確認すると顔を朱に染め上げた彼女に向かって遊馬は「おはよう」と声をかけた。
明らかに上ずった声で「あ・・・うん おはよう」と返したものの気恥ずかしさで俯いたまま 顔を上げることができない彼女の頭を暫くの間ゆっくりと撫でるといくらか落ち着いたのか、野明はほぅと大きく息を吐いた。
取り乱す様子がないことを確認すると遊馬もまた安堵の息を吐き、軽く肩を回して背筋を伸ばす。
時計を確認した彼は小さく溜息をついた。
「落ち着いたらシャワー浴びないとな、このあと仕事なんてやってらんねぇなぁ・・・」
遊馬の声に野明もこくんと頷き苦笑を返した。
「手につくかなぁ、仕事」
「俺、雑念入り捲る気がする」
「それじゃ駄目じゃん。交際禁止申し渡されちゃうよ」
肩を竦める野明に遊馬は眉間に皺を寄せた。
「・・・そりゃ不味いな」
遊馬が苦笑すると野明もつられて苦笑いを返した。
「う~ん・・・本当だね。じゃあ、私 『遊馬の為に』頑張って精度のいいデータ叩きだして見せるから・・・今日のテスト順調に進んだら褒めてくれる?」
顔を覗き込んだ野明に遊馬はにやりと笑った。
「褒めるって・・・そんなんでいいのか? 何ならおまけにキスくらい付けるけど?」
軽口を叩く遊馬を野明は頬を染めて軽く睨んだ。
「それはここに限らず職場じゃダメだってば」
「俺はいいけどね」
「私 これ以上女性社員に嫌がらせ受けたくない・・・・」
野明が大仰に肩をすくめて見せると遊馬は深い溜息を吐いた。
「ああ、そうだよなぁ・・・悪かった。それにしてもどうすっかなぁ、成るべく一緒にいるったって四六時中って訳にもいかないところはあるしなぁ」
本気で渋面を作る遊馬に野明は吹き出すように笑った。
「ごめん、ありがとう、でももう大丈夫だよ。遊馬が私を好きでいてくれるってわかったし?あと数日のことなんだから頑張ります」
「いっそ『俺の女です』って公言して回るか?お前にも悪い虫がつかなくなるかもしれないしな」
面倒臭そうな顔でいう遊馬に野明は慌てて首を振った。
「そんなことしたら大騒ぎになるじゃない」
「それで野明が俺の傍から逃げられなくなるなら儲けもんだけどなぁ」
「・・・だから私は逃げたりしないってば。その代り捨てたら化けて出てやろうかなぁ?」
「それはないな。家がネックになるなら実家なんて未練もないし。今だって家出してるようなもんだろ」
しれっという遊馬に野明は溜息を吐いた。
「また そういう事言って。仲良くしろ、とは言わないけど喧嘩は売らないでよね」
「わかってるよ、自重するさ 可能な限りね。けど ただの公務員でも野明は傍にいてくれるんだろ?」
「う~ん、本音をいうとその方がいいなぁ・・・・御曹司やってる遊馬って・・・窮屈そうなんだもん」
遊馬の頬に手を伸ばして眉を顰める野明に遊馬は苦笑を返した。
「窮屈かぁ・・・そうなんだろうなぁ。二課にいる方が気を張らずにいられるからなぁ」
「そういう普通の遊馬がいいの。一生懸命仕事してるのもそれはそれで素敵なんだけど・・・無理して目に隈作ってやつれたりしていくのは、ちょっとね?」
「『二代目だから』って言われるの嫌なんだよ、俺は」
「うん わかってる、遊馬 負けず嫌いだから。でもね 私は・・・」
『そのままが好き』と小さな声で囁くように言うと遊馬の首に両腕をまわした。
甘えるように眼を閉じた彼女の唇を遊馬が優しく塞ぐ。
一度唇を離し再び頭を軽く引き寄せ絡みつくような口づけを交わす。
一頻 彼女を味わうと唇をそっと離し、野明の耳元で溜息をついた。
「そろそろ起き上がらないと遅刻するよなぁ。本気で休みたくなってきた・・・」
肩を落とす遊馬に野明はくすくすと笑った。
「そうも言ってられないでしょ?起きよう、遊馬」
そう言って勢いをつけて身体を起こそうとした野明は下腹に鈍痛を覚えて顔を顰めた。
痛みの原因を考えて数時間前の出来事を思い出し顔を赤らめてシーツを掻き寄せると遊馬が心配そうに顔を覗き込んだ。
「・・・痛むのか?」
「・・・少し」
本当は結構痛い、それでも立って居られないほどではないので気合を入れ直して立ち上がろうとすると遊馬がひょいと野明を抱え上げた。
「・・・えっと?」
「風呂場までは運んでやる。あと少し片付けて置くから先にシャワー使っとけ」
そう言って彼女の鞄も一緒に脱衣所に運ぶと「なんかあったら呼べよ」と声を掛けて扉を閉めた。
部屋をざっと片付けて買っておいたパンを朝食用に並べると出てきた野明と入れ替わりにシャワーを使った。
その間に身なりと荷物を整えると野明はテーブルに着いて程なく出てきた遊馬と朝食を摂り大急ぎで部屋を出た。

早足で駅に向かいバス停に着くとキリキリと下腹が痛んで野明は思わず顔を顰めた。
「大丈夫か?」
訝る声にコクリと頷くと彼女の腰に遊馬の手がまわされてぐっと引き寄せられた。
「凭れてていいから」
そう言われて野明は肩を竦める。
「平気だって。立ってもいられないんじゃシュミレーターに乗れないでしょ?」
「う~ん・・・そんなことになったら俺、袋叩きだなぁ」
眉間に皺を寄せて本気で悩む遊馬に野明は苦笑を返した。
「本当に大丈夫だから。それにね・・・これは不味いんじゃない?」
このバス停にはシノハラの社員が多く集まる。
というかこの時間にここに来るのはシノハラの社員くらいなもので、当然二人は思いき注目を集めていた。
只でさえ耳目を集める出向の身の御曹司が臆面もなく特定の女性をその腕に抱え込んでいれば注目されない訳がない。
殊 野明の存在を快く思っていない一部の女性社員にとってはその光景はとてつもなく面白くないものだった。
とはいえ遊馬本人と他の男性社員の多くを前にして口さがない悪口を言うことは決して得策とはいえない。
そう踏んで野明に鋭い一瞥を送るのみに止めると小さな声でひそひそと何か囁き合う以上の行為に出ることはなかった。
バスを降りてからも遊馬が野明に付き纏うので文句をいうタイミングが掴めず、更衣室へ入った後で囲んでしまうかと思っていたら遊馬が戸口の前までついて来てしまった。
野明から手を離すと周りに聞こえるように野明に声を掛けた。
「野明、ラボまで一緒に行くからな。さっさと出て来いよ。ここで待ってるから」
「え? あの・・・でも・・あす・・篠原・・・さん?」
周りの目を気にして野明が呼び方を変えると遊馬はあからさまに不機嫌な顔を見せた。
「『遊馬』。何に気を使ってんだよ?今後お前が俺を苗字で呼んだら名前を呼ぶ気になるまで纏わりつくからな?」
しれっとした顔で言うと野明の頭にぽんと手を置いた。
「ほら、サッサといって出てくる!朝礼前にラボに入って手順書確認するぞ」
遊馬に急かされた野明が困惑した顔で更衣室に入るとものすごい形相で自分を睨みつける女性の集団がいて思わず足が竦みかけた。
そうは言っても急がないと遊馬も怖い。
野明は彼女達に軽く会釈をするとその前を大急ぎで通り過ぎ自分に割り当てられたロッカーに向かった。
手早く着替え再び会釈だけして扉をくぐると壁に背中を預けた遊馬が腕組みをして待っていた。
「あの・・お待たせ・・・しました・・・」
「おう、じゃ行くぞ それからな、お前に敬語使われると落ち着かないんだよ、それも禁止な」
当たり前のように言うと呆れ顔の野明を伴ってその場を離れた。
二人の気配が遠ざかると更衣室の中で先の女性たちが思いきり毒づいた。
一瞬野明のロッカーに嫌がらせしてやろうか、と思ったものの出向中の彼女のロッカーは自分たちの上司が使う物とほど近い位置にありそんなことをしようものなら犯人探しの槍玉に真っ先に上がるのは自分たちだという自覚がある。
こういう嫌がらせは 証拠を残してはいけないというポリシーのもと、彼女たちは悔しさに舌打ちした。

go to next....
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追記

さて、なんか手を出しちゃった遊馬が番犬の様に野明の近くにいますよ(^m^)

詳細はすっ飛ばしましたが(笑)
裏は・・・ねぇ????
今のところ予定ないです~

このあと野明と彼女らが和解することはあるのでしょうか?!
さて どうするかなぁ(^^;

今週はちまちま忙しいです。
時間が足りないなぁ・・・・

ではでは 続きはのんびりおまちくださいね~(^^)

コメント一覧

たまき Eメール 2010年01月11日(月)15時53分 編集・削除

おおぅ!とうとう食べちゃいましたか(〃▽〃)きっと美味でしたでしょう(≧∀≦)それにしても甘い2人に女性社員さん達気づきなさいよって感じですが…番犬遊馬さん…一瞬犬に例えるならばなんだろう?と…あまり種類はしらないのですが…やはりドーベルマン…野明に忠実なアルフォンス?番犬がそばにいるから女性社員は手出しはできないでしょう

非公開 2010年01月11日(月)17時18分 編集・削除

管理者にのみ公開されます。

こんきち 2010年01月11日(月)20時06分 編集・削除

あすまぁ、野明はおいしかったですか?(>▼<)/
しかしまぁ、女性社員も他人の恋路の邪魔に精を出すぐらいなら自分の恋路をどうにかすればいいモノを・・・。
化学廃棄物並に困った人たちだわ。と思うのですが酷い言い方かなぁ?
不在もとうとう20話になりましたね、どこまで続くのでせう楽しみです。

ツッジー 2010年01月12日(火)09時49分 編集・削除

無事結ばれたようで(≧∇≦)

よかったよかった( *´艸`)♪

瞳子 2010年01月12日(火)22時26分 編集・削除

わぁ〜い。続きだ、続き。

やっとこさ、恋人同士になりましたか。

しっかりと勝負下着を持って来ていた野明に笑ってしまった。にゃは(≧∀≦*)

さくら(たまき様) 2010年01月12日(火)23時51分 編集・削除

>たまきさま

そうですね、遂に(笑)
おそらく美味であったでしょう♪

番犬。。。犬種なんでしょうね?!
私も犬には詳しくないのですが よく吠える大型犬ですかね(こら!)

女性社員の方々は視野狭窄に陥ってますよね~
もう駄目ですよ、御曹司 本懐遂げちゃってますもん(笑)

さくら(内緒様) 2010年01月12日(火)23時55分 編集・削除

>内緒さま

ついに手を出しましたね~
これに手を出すと怖い目みそうですよ(^^;
犬種 グレートデン(さっそく検索・・・)おお! 大型犬だ(笑)
これがガードにつくと怖いですね(^m^)

それはそうと 塩ですよ 塩!
本当にすごいです(^^)
もうこれで透明な粒粒がこわくないですよ!!

内緒さまは白菜漬ですか!!
それはそれで大変そうですが・・・おいしそうですねぇぇ(^^)
がんばってくださいねっ 白菜5個(笑)

さくら(こんきち様) 2010年01月12日(火)23時59分 編集・削除

>こんきちさま

おいしかったでしょうね、多分(笑)
人の恋路を邪魔するやつは~ なんて文句がありますが。
こういう人達ってきっといろんな事が自分物差し基準なんですよねぇ
なので困ったと思われてることに気づけないんだと思いますよ(^^;
とうとう20・・・・収集つけようよ、自分って感じですねぇ
終わらせる気はあるのでもうしばらく付き合ってやってくださいね

さくら(ツッジー様) 2010年01月13日(水)00時01分 編集・削除

>ツッジーさま

漸くですよ、長かったぁ・・・
この話がだらだらながいんですけどねぇ(^^;

さくら(瞳子様) 2010年01月13日(水)00時03分 編集・削除

>瞳子さま

やっとこさなりましたよ。
そうそう しっかり持ってきてるですよね(笑)
なんだ 期待してんじゃん、みたいな(^m^)
それに気づいた遊馬の反応がおもしろそうですよね~
(前後が書けないので裏は書きませんが★)