実家に帰ってる間にメモしたのをあれもこれも入れたらこんなになりました(^^;
分けていくつかのSSで独立させたらいいのにそれを思いついたのは2/3以上書いたあとで・・・・
長い割にまとまりなくてごめんなさいm(_ _)m
(それはいつものことですけどね、うん。 上手くなりたいなぁ 文章書くの・・・)
そんなわけで へたっぴぃ駄文ですがコメントで貰ったネタも織り交ぜて展開してみました(^^)
内緒コメで ネタをくださったお客様に大感謝です♪
そして・・・こんな風にしちゃってごめんなさい~
こんな物ですが読んでもいいわという方はこの先へどうぞ♪
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「想いの差」
非番だったその日珍しく 『用事がある』と言った彼女と別行動を取ることになりこれといってすることがなかった遊馬は今までやらなければならないと分かっていても手を付けるのが億劫になっていた部屋の掃除に手を付けた。
元来こういった事に腰の重い性格は社会人になっても変わることはなく一見すっきりして見える部屋には 捨てようと思って捨てきれなかった細かなものが大量に詰め込まれた箱が幾つもあって遊馬は軽い溜息を吐きながら思い切って押入れの戸を開いた。
寮に引っ越してきてから一度も開けた事のなかった段ボールの中から一つを選び 想像以上に重かったそれを「よっ」と掛け声を掛けつつ引っ張り出す。
部屋の真ん中に運び出すとペリペリと音をさせながら蓋を閉じていたガムテープを引っ剥がした。
中に詰め込まれたガラクタ同然の品物を眺めて心が萎えそうになるのを辛うじて堪えるとゴミ袋を用意して中の物を分別し始める。
今思えば何でこんな物を取っておいたのかと思うものも中にはあって 意外に思い切りよく中の物を処分していった。
そしてその中に皮でできたポーチを見つけて遊馬は軽く眉根を寄せた。
口を開くと中には想像に違わず思った通りの物がやはり雑然と放り込まれていて中身を手に取ると少し考えてケースごと机の上に除けると改めて分別の続きを開始した。
30分ほど掛けて箱の中身を空にすると取っておきたいものはほんの数点になっていて結局嘗て捨て切れなかった思い入れのあったであろう品の9割以上が今の自分には必要のないゴミになっていることに気づき遊馬は自嘲気味に笑った。
箱を畳んで玄関に出すと分別されたゴミ袋の口を軽く閉じ部屋の隅に運ぶ。
先程机の上に投げ上げたポーチを手に取るとその中身を机の上にぶちまけた。
数年ぶりに取りだされたその中身は開封済みで少し湿気った古い煙草とブランド物のライターで遊馬は軽く眉間に皺を寄せるとライターを手に取った。
手の中で軽く弄ぶと使っていた頃のことを思い出し幾分気が滅入る思いがする。
試しに点けてみるとガス式のそれは数年のブランクを感じさせることなくカチッと音をたてて鮮やかな緋色の炎を灯した。
火の元の青から火先の緋色に移るグラデーションを見るともなしに眺めながら何度か点けたり消したりを繰り返し 不意に思いついて湿気た煙草を手に取った。
口元に運ぶと、脳裏に顔を顰める野明の顔が浮かんで一瞬咥えるのを躊躇する。
その事が自分でも可笑しくて「どうかしてるな」と小さく呟くと今度は躊躇うことなく煙草に火を点けた。
「篠原君、煙草吸うの?」
休講日の昼間、一般的にデートと呼んで差し支えない状況で隣を歩く女が声を掛けた。
「悪いか?」
面倒臭そうに答えながら煙草に火をつけると煙を軽く吸いこんでふうっと宙に吐き出した。
「別に?いいんじゃない、なんかカッコいいし」
そう言って腕に絡みついた女は媚びるような眼をして手を出した。
「私にも頂戴?今日 持ってきてないんだ」
黙って箱ごと渡すと女は「悪いわね」と言って一本取り出し口に咥える。
「火、くれる?」
黙って火を灯したライターを差し出すと女は慣れた仕草で火を移し軽く煙を燻らせた。
「未成年の女が吸うのはどうかと思うけどね」
ぼそりと呟くと「なにそれ?」と面白くなさそうな顔をする。
「篠原君だって未成年じゃない? やめてほしければやめようか?」
「どうでもいいよ」
そう言って歩を速めると女は慌てて後を追い猫撫で声を出して纏わりついた。
結局 一度か二度一緒に出歩いても誰とも長続きすることがなかった学生時代を思い出して思わず溜息を吐くと少し考えて煙草とライターをデイバッグに放り込んだ。
午後に入ってもう一箱中身を処分すべく押入れの中を覗き込んだ時 携帯電話が軽やかな音をたてた。
着信音は彼女専用に自分が設定したもので画面を見る前から相手が分かり遊馬は慌てて電話を掴むと意識して面倒くさそうな声音を作る。
「もしもし?」
「遊馬っ ね 今 平気?」
「いいけど どうした? 今日は用事があるんじゃなかったのか?」
「思ったより早く終わってさ、遊馬 暇かなぁって」
「あのなぁ お前俺を暇人だと思ってんだろう?」
「・・・・忙しいの?」
少し拗ねたような声が聞こえて遊馬は口元だけに笑みを刷いてぶっきら棒に応じる。
「まあいいよ。で どうして欲しいんだ?」
「出て 来れない?・・・・忙しいなら 無理にとは言わないんだけど・・・・」
遠慮がちに言う野明に遊馬は態と勿体ぶって答えを焦らす。
「俺まだ 部屋の片づけ途中なんだよなぁ・・・」
「そっかぁ・・・じゃ 仕方ないか・・・片づけ頑張ってね」
しゅんとしてあっさり引き下がろうとする様子に逆に遊馬が慌てた。
「待てって。無理なんて言ってないだろ、何処にいるんだ?」
「えっと・・・ねぇ。今 品川駅にいるの。だから・・・」
「そうだなぁ なら新宿か池袋あたりはどうだ?」
「いいの?」
「駄目なら提案してないって。どっちがいい?」
「う~ん・・・・遊馬 選んで」
「いいけど、希望ないのか?」
苦笑すると電話の向こうから野明の照れたような小さい声が聞こえた。
「遊馬と一緒ならどこでもいいんだけど」
その言葉に思わず笑みが浮かび聞こえていたのにも関わらず「何?」と訊き返すと野明は「何でもない」と慌てて前言を撤回した。
こみ上げる笑いを抑えて時間の約束をすると遊馬は出しかけた段ボールを押入れに戻して軽く身支度を整えデイバッグを掴んで部屋を後にした。
時間に少し遅れて待ち合わせた南口の改札脇に辿り着くと予想に違わず先に到着していた野明が手持無沙汰にアクリル板の壁に凭れて彼を待っていた。
ハイネックのカットソーにカーキのワンピースを身につけてショートブーツを履いた野明が遊馬を見つけて嬉しそうに駆け寄ってくるとぽんと頭に手を置いて「待ったか?」と声を掛けた。
何時もならここで野明が何か話題を振ってくる所なのに 今日に限っては怪訝な顔をしてクンクンとにおいを嗅ぎ眉間に皺を寄せ小首を傾げる。
不思議に思って声を掛けようとすると野明が先に口を開いた。
「遊馬、煙草吸ってる・・・・?」
「え?」
一本 しかも湿気っていて途中で止めたさっきの煙草。
しかも出かける前には一応歯も磨いて出てきた筈なのにと 遊馬は軽く目を瞠った。
クンクンと自分の袖のにおいを嗅いでみたもののよくわからなくてほかのや奴の臭いじゃないのかと周りを見回すものの一応駅構内は禁煙ということになっている為か自分たちの周りに煙草を燻らせている人間は見当たらなかった。
その様子に野明はあからさまに不満そうな顔を見せる。
「ほかの人じゃなくて、遊馬だよ。煙草の臭いがする」
そう言って鼻を近づけ眉間に皺を寄せた。
「・・・そんなに臭うか?」
「いつもしないにおいがするから」
「自分じゃ分からないけどなぁ・・・・」
首を傾げると野明は困ったような顔を見せた。
「お酒の臭いと一緒じゃない?飲んでる本人にはわかんないでしょ?」
「・・・・なるほどね」
バツが悪そうな遊馬に野明は顔を顰める。
「やめなよ、健康に良くないんだからね。いつから吸ってたの?」
「最近はやめてたんだけどな。魔がさした」
そういうと野明は訝しげに遊馬の顔を見上げた。
「本当に、体に悪いんだから止めときなよ」
心配そうな顔に思わず口の端に笑みが浮かぶ。
「気をつけるよ」と答えた遊馬に一応納得したのか野明はそれ以上その事には触れなかった。
待ち合わせた時間が午後二時を回っていたこともあって少しぶらぶらするとあっという間にあたりが夕闇に包まれ始めた。
サザンテラスの周辺は見事なイルミネーションが点灯し結構な人でごった返す。
野明も嬉しそうにイルミネーションに近づいて遊馬の手を引きながらデートよろしく通路をゆっくりと歩きまわる。
周囲には寄り添うように歩くカップルが沢山いてその間を急ぎ足でビジネスマンが通り過ぎていく。
そのアンバランスな光景をみるともなしに眺めているとコートの袖が引かれ、怪訝に思って振り返るとクイクイと袖を引いて上目遣いでこちらを窺う野明と目が合った。
『何?』と問おうとして、あたりのカップルの多くが腕を組んで歩く姿が目に入り遊馬もまたその意図を察した。
軽く笑い、「ほら」といって少し肘を浮かせると嬉しそうに野明が両手を絡めてぴたりと寄り添う。
傍から見れば周囲に溢れるカップルと何ら変わりがない恋人同士に見えるのかもしれないと思いつつ、結局どちらも前に踏み出すことをせず、仲の良い同僚の域を脱することができないでいる事に遊馬は嘆息し僅かに肩を竦めた。
一頻り この周辺のイルミネーションを堪能すると嬉しそうに目を輝かせる野明をみて遊馬は一つ提案した。
「なぁ、六本木行ってみるか?」
「六本木?」
「ヒルズあたりも結構イルミネーションやってるだろ? ついでに飯食って帰ろうぜ」
「本当に?!」
嬉しそうに顔を覗き込む野明に「この時間からじゃそういうの見に行く方が有意義だろ?」と笑いかけ大江戸線の駅に足を向けた。
地下鉄を使って六本木に移動するとかなりの人間がこの場所に集まっていて逸れない様に野明の肩を抱くと地下から地上に伸びるエスカレーターに向かう。
人混みを歩くのが苦手な野明は人波をすいすいと歩く遊馬を感心したように見つめ彼の誘導に身を任せるようにして歩く。
時折 「大丈夫か?」と気遣うように声を掛けてくれる遊馬にトクンと心臓が音を立てふわふわした擽ったい気分を味わった。
人の波に乗ってしばらく行くと 突然一気に視界が開けた。
目の前には青い光の絨毯が広がる。
そのところどころに同じ青いLEDを中心にしたオブジェが点在する大規模なイルミネーションが設置されていた。
「わぁ」
思わず歓声をあげる野明に「綺麗なもんだな」と声を掛けると彼女は嬉しそうに頷いた。
一通り見て回ると今度は人混みを避けて場所を少し移動すると花壇の淵に腰掛けるようにして少し休憩する。
「思ったより人が多かったな、平日だから空いてるかと思ったんだけど」
「でも もう普通の会社なら定時を過ぎてるから平日でもあまり変わらないのかもしれないね」
苦笑しながら二人で顔を見合わせてふうっと息を吐きながら空を仰ぐ。
「でも、嬉しいな。遊馬と来れて」
「そうか?そいつはよかった」
「ありがとう」
「どういたしまして。で 飯どうしようか?」
「そうだねぇ・・・」
野明が何か言いかけた時 二人の正面から声が掛った。
「・・・あれ、 泉さん?」
その声に二人が同時に正面に目を向けるとそこには刑事課の背の高い男性の姿があった。
「風杜さん」
驚いて目を丸くする野明と 苦虫を噛み潰したような顔をした遊馬に同時に視線を向けられた風杜は二人の様子に動じることなくにこやかな笑顔を返した。
「どうしたんですか、こんなところで」
小首を傾げた野明が問うと彼は軽く肩を竦める。
「今日は霞が関の帰りでね。ついでに食事でもして帰ろうと思ってたんだけど。君たちは?」
「イルミネーション見にきたんです。凄く綺麗ですね、光の絨毯」
屈託なく笑う野明に遊馬は渋面を作る。
その様子を見やって風杜は小さく笑うと野明に向かって問いかけた。
「食事はもう?」
「え・・・? いえ まだ・・・ですけど・・・」
言いながら遊馬の方を窺うと微妙な不機嫌さを醸し出す彼の顔を認め野明は僅かに肩を竦めた。
二人の様子に気がつかない訳はなかったが風杜は敢えて遊馬に向かって声を掛ける。
「僕もこれからなんだけど、お邪魔じゃなければご一緒したいな?」
「・・・ご自由に」
言葉とは裏腹に声音にはハッキリ『邪魔だ』という色が滲んでいる。
それでも一瞬で表情を取り繕いポーカーフェイスを作り上げると気にしていない風を装う。
もちろんそれは間に挟まれることになる野明に対する気遣いであり、風杜に対する配慮では一切なかった。
その事を声音で示し、形の上で挑戦を受ける形になった遊馬は野明に掛けていた手を離し軽く腕組みをした。
結局この辺りの店に疎い二人は風杜が知っているという店に足を向けることになった。
表通りを外れ一本路地を入るだけで人の数は目に見えて少なくなる。
最近できたショッピングモールを外れれば昔から営業している小洒落た個人経営のレストランが点在していることに気づいて野明は思わず呟いた。
「少し裏に入るだけで雰囲気が変わるんだね」
遊馬に耳打ちしたつもりが風杜がそれに応じる。
「六本木辺りはそもそも下町だから。再開発が進む区域以外は昔ながらの街並みが結構残ってるんだよ。老舗のレストランも少なくないしね」
答えを攫われた遊馬は微かに眉間に皺を寄せ無言で野明の隣を歩く。
左右を遊馬と風杜に挟まれる形で歩く野明は困ったように視線を彷徨わせた。
程なく風杜が顔なじみだという店の前に着くと扉を開ける。
カラコロとドアベルが鳴って来客を告げると女性の店員が「いらっしゃいませ」と声を掛けた。
風杜の顔を見ると朗らかに笑い「久しぶりねぇ」と笑う20代そこそこの女性は後ろにいる野明と遊馬に目を留めて「お友達ですか?」と尋ねた。
「まぁ そんな感じかな、っていうと彼は嫌がるかもしれないけどね」
からかう様な眼を向けられた遊馬はポーカーフェイスを崩すことなく軽く息を吐くと「どうでしょうね」と応じ 野明は二人の間で忙しなく視線を彷徨わせた。
その様子から関係を察した彼女はくすくすと笑う。
「彼女がそうなんだ?」
松井との会話を何度か聞いている彼女は含むところのある目を向ける。
「まあ そうなんだけどね・・・」
野明と遊馬の様子を横目にみて彼女は悪戯っぽい目で風杜を見た。
「勝ち目ありそうなの?」
「分は良くないなぁ。誘っても色よい返事貰えないしね」
苦笑してみせると彼女は不思議そうな顔をした。
「で なんで今日はこういう面子なの?」
「デート中なのをみつけたからね、二人纏めて声を掛けた」
しれっと言う風杜に呆れた顔を向ける。
「うわぁ お邪魔虫じゃない?」
「単独で声掛けても乗ってくれないからね。で 今日は席あるかな?」
「さっきまで貸切だったの。片づけるから 10分ほどお待ち頂けますか?」
友達から店員の顔になって彼女が応じると 風杜が二人を振り返る。
「ということなんだけど、いいかな?」
「あ はい。私は」
「構いませんよ。ご随意に」
そういうと店内の装飾を見るともなしに眺める遊馬に野明はクリスマス仕様に飾れた小物を示して楽しげに話しかけている。
その光景を目の端に捉え風杜は小さく肩を竦めると灰皿の傍に立ち 内ポケットから煙草を取り出して火を点けた。
ふわりと紫煙が立ち上ると野明が臭いに反応してクルリと振り返る。
煙草を燻らせる風杜を確認してまた 遊馬に目線を戻すと話の続きを始めた。
止める気がなさそうなその様子に遊馬は軽く目を見開き 少し考えて自分もデイバッグから煙草とライターを取り出すと慣れた手つきで一本手に取った。
暫く様子を見ていた野明は遊馬が煙草を口にしようとしたのを見て顔を顰めると脇から遊馬の持つ煙草に手を伸ばした。
「遊馬」
非難の色を滲ませた声で名前を呼ぶ野明の手を軽くかわし、しれっとした顔で「なんだよ?」と応じる。
「やめなよ、煙草」
言いながら手を伸ばして彼の手から煙草を引っ手繰った。
遊馬に向かって手を差し出すと「出して」と怒った顔を見せる。
「何を?」
遊馬は態と不満気な顔を見せて訊き返した。
「煙草。捨ててあげるから出して」
「いいよ 別に」
「駄目。こういうの吸わないに越したことないんだからね」
柳眉を釣り上げる野明の顔に噴き出しそうになるのを辛うじて堪えると面倒臭そうに箱ごと差し出された掌に載せる。
「へいへい。ほらよ」
受け取った箱を見て野明は再び遊馬の顔を覗き込んだ。
「他に持ってたりしないよね?」
「ねぇよ。それにしたって 最近買ったもんじゃないし」
「本当? じゃもう絶対吸わないでよね」
そういうとくるりと踵を返してゴミ箱に駆け寄ると遊馬から取り上げた煙草をぽいっと捨てて満足そうに息を吐いた。
その様子をずっと眺めていた風杜が野明の後ろ姿を目で追うと紫煙を昇らせる煙草を持つ自分の手にちらりと視線を走らせニヤリと笑う遊馬と目が合った。
「あっちはいいのかよ?」
煙草を手にこちらを窺う男の方を顎で軽く示してみせると大きな瞳を瞬いて野明が小首を傾げた。
「あっちって・・・」
彼の視線の先に紫煙を吐きだす男の姿を認めて 再び遊馬を振り仰ぐと軽く眉間に皺を寄せた。
「人のことはいいの。遊馬に言ってるんだからね?煙草なんて『百害あって一利なし』だよ、心配してるんだから素直に聞いて」
真面目な顔で訴える野明の横顔を見ながら風杜が軽く肩を竦めるのが見えて 思わず遊馬の口の端に笑みが浮かぶ。
それを見て野明が眉根を寄せた。
「ね 遊馬ちゃんと聞いてる?」
「ああ 聞いてるよ。野明 手出せよ」
きょとんとした顔をしてそれでも言われた通り手を出すと遊馬はその掌にライターを載せる。
「そんなに嫌がるならもう吸わない。それも捨てて来いよ、もう使わないから」
「え? でも・・・」
使い捨てではない少し高価そうなライターに野明は戸惑って遊馬の顔を見上げた。
「いいんだよ。昔の女に貰ったもんだし?」
ニヤリと笑ってみせると野明は複雑な顔をして考え込み思い切ったように「捨ててくる!」といってゴミ箱に向かった。
ゴミ箱にぽいっとそれを投げ入れるとまた踵を返していく。
その背中に風杜は声を掛けた。
「泉さん 煙草苦手?」
足を止めた野明が少し困った顔でくるりと振り返る。
「私はあまり。でも嗜好は人其々ですから気にしないでくださいね」
その答えに風杜は微苦笑を返し、なんとも言い難い表情で手の中の煙草を一瞥した後 深く煙を吸い込んだ。
大きく紫煙を吐きだすその様子に野明は怪訝な顔をして彼と遊馬を見比べる。
「・・・煙草って美味しいんですか?」
心底不思議そうに問うその様子に風杜は逆に首を傾げて訊き返した。
「どうして?」
「害があるのが分かってるのに喫煙するわけでしょう、そんなに魅力的ですか?」
チラリと遊馬の方にも目を向けて至極真面目に問いかける。
その様子に苦笑しながら少し考えると「どうだろうね」と笑って見せた。
「人によるんじゃないかな、それこそ嗜好品なわけだから。けど 常習性があることは確かだね。一度覚えると完全に止めるのは大変だ」
言いながらかなり短くなっていた煙草を灰皿に押しつける。
肺に残った煙を彼女を避けるようにゆっくりと吐きだして小さく肩を竦めると考え込んでいた様子の彼女が ついと顔を上げて「私にも一本下さい」といって手を出した。
「え?」
思わず訊き返すと離れた場所で遊馬も彼女を凝視していた。
手を差し出したまま風杜を真っ直ぐに見て「私も吸ってみます。それ下さい」と重ねて言う。
困った顔をして見せたものの真剣な顔に思わず苦笑して箱から煙草を一本取り出すと彼女の掌にのせた。
「無理はしない方がいいと思うけど。あまりお勧めはしないよ?」
そういう風杜からライターを借り受け、点け方を教わり咥えた煙草に火を灯そうとすると横から伸びた手に煙草を引っ手繰られた。
間髪いれずに頭をパシッと叩かれる。
吃驚して目を瞬くと目の前に明らかに怒気を含んだ遊馬の顔があった。
「やめとけ」
気押されて思わず息を吞み彼の顔をじっと見ると遊馬は唸るような低い声音で「こんなもんに興味持つな」と吐き捨て引っ手繰った煙草をそのまま灰皿に投げ捨てた。
「あんたも、いい大人が女に喫煙促すような真似してんじゃねぇよ」
鋭く睨みつけるようにして言うと野明の手を引いて自分の方に引き寄せ、そのまま店外に足を向けた。
「え? あの・・・ね 遊馬?」
「出る」
不機嫌さを露わにした声音で言うと有無を言わさず彼女の手を引いた。
「出るって・・・ちょっと・・・遊馬?」
慌てた野明が遊馬に声を掛けたものの返事を返さない彼に軽く肩を竦め肩越しに風杜を振り返る。
「あ・・・あのっ 風杜さん すみません、失礼しますっ」
扉が閉まる直前に野明が早口に謝罪の言葉を告げると遊馬も一瞬振り返り冷たい一瞥を投げた。
店内に残された格好になった風杜はバツが悪そうに頭を掻き軽い溜息を吐いた。
その一部始終を見ていた先程の女性が小さく笑う。
「彼女連れてかれちゃったね?」
「う~ん 彼の機嫌を損ねちゃったからね」
「あれって 付き合ってるんじゃないの?」
「それがさ 本人たちは否定するんだよね」
腑に落ちない顔をする彼女に風杜もまた複雑な顔を見せる。
「いっそハッキリ振られちゃうと諦めもつくんだけどさ」
深い溜息を吐く彼に彼女は微苦笑を向けた。
「それはともかくお連れ様帰っちゃったけど食事どうします?」
「いただくよ。僕一人で申し訳ないけどね」
軽く肩を竦めて笑うと彼女は小さく笑って「承知しました」と応じ彼を席に案内した。
「ご希望でしたら 相席しましょうか?」
くすくす笑う彼女にばつが悪そうな顔を向けると「仕事はいいの?」と訊く。
「一時間くらいならね、父さんに言ってくるよ」
そういうと彼女は厨房の奥に姿を消した。
引き摺られるようにして店を連れ出された野明は彼女の歩幅には幾分早すぎる遊馬の歩速につんのめりそうになりながら肩を抱かれたまま必死でついていく。
「ね 遊馬ってば。歩くの早いよ、転んじゃう」
野明がついに音を上げると遊馬はぴたりと足を止め不機嫌さそのままの顔を野明に向けた。
「馬鹿か、お前は。自分で体に良くないって言っときながら何手を出そうとしてんだよ?」
「遊馬だって吸おうとしたじゃない・・・」
拗ねたような声で小さく抗議すると 大きな溜息を吐いた遊馬が野明からあからさまに目を逸らす。
その態度に野明は思わずしゅんとした様子で俯いた。
「大体 お前には似合わないよ、あんなもん。二度と手を出すな」
ぶっきら棒に言い放つ遊馬に「ごめん」と小さな声で謝ると、はぁっと大きな溜息を吐きながら遊馬が野明の頭を右手で引き寄せ抱きこんだ。
「全く・・・止めに入らなかったらあのまま吸う気だったのか?」
「どうかな、でも 遊馬は止めてくれたじゃない?」
「・・・当り前だろうが」
「じゃあさ、私の気持ち 分かった?」
顔を上げて少し拗ねた顔をする野明に軽く目を瞠ると遊馬は小さく肩を竦めた。
「・・・分かったよ。もう吸わない、約束する」
その答えに野明は満足そうに笑い「私もそうする」と言いながら遊馬の胸にコツンと額を押し当てた。
「ね・・・・」
「何?」
「風杜さん、置いてきちゃったね」
微妙に困った顔をする野明に遊馬はフンと鼻を鳴らす。
「構うもんか。大体 こんな時に声を掛けるなんて事自体が無粋なんだよ、まぁ 態とそうしたんだろうけどさ」
吐き捨てるように言う遊馬に野明は首を傾げた。
「態と? どうして?」
素で考え込む野明に遊馬は呆れた顔を見せ小さく溜息を吐くと「気にするな」と言って頭をぽんと叩いた。
腑に落ちない顔みせる野明をみて軽く笑うと、彼女の手を取り指を絡めて手を繋ぐ。
「ここで飯食う気がしなくなったなぁ、帰りの事もあるし新宿に戻ろうぜ?」
「うん。遊馬に任せる」
「了解」
人波に逆らうようにして二人で駅に向かう。
途中何度か人とぶつかりかける野明を危ぶんだ遊馬が野明を引き寄せ肩を抱くようにすると嬉しそうに笑って彼のシャツに軽く手を添え寄り添った。
「デートみたいだね」と笑う彼女に思わず噴き出しそうになる。
「違うっていっても誰も信じないと思うけどな」
小さく呟くと野明はきょとんとした顔をして遊馬を見上げた。
「そうかな?」
「じゃないか?お前が周り見渡してこうやって歩く二人組見て只の友達だって思うか?」
少し考えると野明は「そうだねぇ」と言ってそっと手を引くと彼のシャツから手を浮かせた。
その手首を素早くつかみ遊馬が野明の手を元の場所に戻す。
「いいよ、暫くこのままで」
「え?あ・・・でも・・・」
頬を染めて動揺する野明にやや不満そうな顔を見せる。
「・・・嫌なのか?」
その言葉に慌ててふるふると首を振ると野明は小声で問いかけた。
「・・・いいの?」
「今 そう言っただろ?デートしてやる」
そう言うと、ぽんと音を立てそうな勢いで朱に染まった野明の顔を楽しげに覗き込む。
「面白いな、してることはさっきまでと同じだろ。 『デート』ってつくとそんなに照れるんだ?」
「もうっ 遊馬の意地悪っ」
ふいと横を向く野明に噴き出すように笑い耳元に囁くように声を掛ける。
「怒るなって。お前さ 誕生日とクリスマス予定空けとけよ?」
まだ用事がない事を前提の様にいう遊馬に野明は拗ねた顔を見せた。
「もう予定がある、とか思わないの?」
「ないだろ?」
しれっと言い返す遊馬に野明はますますいじけたようにそっぽを向いた。
「どうせ 誘ってくれるような人はいませんよ」
「そうでもないと思うけどな?まだ一月以上あるし。でも俺が先約な」
「私 今承諾した?」
「しないつもりなのか?」
自信ありげな顔で言われて野明は呆気にとられたように彼の顔を見返した。
「ま 他に何かあった所で、絶対断らせてやるけどな」
「・・・・偉そうなんだから」
諦めたように肩を竦めると野明は小さな抵抗を試みる。
「煙草 嫌いなんだけど、私」
「知ってる。だからもう煙草に手は出さない、約束するよ」
そういうとくすりと笑い 耳元に唇を寄せた。
「それと、お前にも手は出させない」
ニヤリと笑う遊馬に野明は軽く肩を竦めた。
「もともと吸わないんだからもう手を出したりしないって」
「ま それも含めてね」
含みのある笑いを見せる遊馬に野明は軽く眉根を寄せた。
「なぁに、その言い方?」
「分かんなきゃいいよ、今んところはさ」
「なんだかなぁ・・・・」
楽しげな様子の遊馬に野明は諦めたように溜息を吐く。
顔を覗き込もうとすると 頭をくしゃりと撫でられた。
「それはともかく 野明 何食いたい?」
「そうだねぇ・・・」
季節が秋から冬に移ろう季節に少しだけ距離を縮めた二人は腕を絡めて都会の雑踏を歩く。
適当な店を選んで足を向ける遊馬に野明は上機嫌でついていく。
クリスマスモードで浮き立つ街の中 二人もまた軽い足取りで店の戸を潜った。
店員に人数を訊かれた野明が嬉しそうに遊馬の腕をキュッと抱きしめて「二人です」と告げるのをみて六本木に置き去りにしてきた風杜に対し軽い優越感を味わうと遊馬は小さく笑う。
「野明」
名前を呼ぶと自分を振り仰ぐその笑顔に『この立場は誰にも譲らない』そう心に決めて軽く彼女の髪を撫でた。
fin
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う~ん 纏まりがない(^^;
そして風杜ファンのみなさん ごめんなさい。
うちでは幸せにしてあげることはできません(笑)
代わりに レストランのねーちゃんをレンタルしたのでそれで・・・(っていいわけないかぁぁぁ・・・・)
クリスマス近いし イルミネーションもだんだん気合が入ってくる街角と 近所のイルミネーターのお宅(笑)
電気代大変だろうなぁと思いつつ。
LEDにしたらいいのか でも投資額でかそうとか余計な心配をするさくらです(笑)
一応これで風杜祭り参加・・って訳にはいかないかぁぁぁ(^^;
反省しに逃亡します~!!
ツッジー 2009年11月27日(金)10時20分 編集・削除
遊馬すきーーの私にはとても嬉しい結末でございました(≧∇≦)
これでも、まだ付き合ってない?
早く告っちゃえー(≧∇≦)