さて不在の第五弾です。
着々更新中♪
掛かってきた電話の相手は誰だったんでしょうか?(笑)
今回も引き続き遊馬サイドです
女の子が出てこないと文章もイラストも華がないものなんですねぇ・・・・
以下本文
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不在 5
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SIDE-A(2)
時間はもう12時を回っている。
深夜の着信に訝りながら遊馬はディスプレイを確認したがその番号に見覚えはなかった。
鳴り止まない着信音に遊馬が渋々通話釦をおすと「もしもし」と涼やかな男の声が流れてきた。
聞き覚えのない声に間違い電話だろうかと首を捻りかけたとき声の主ははっきりと「こちら 篠原さんの携帯ですか? 私 竹田と申します」と名前を名乗った。
「タケダ?」
寮生の武田とは番号も声も違うことに疑問を持って聞き返すと相手は落ち着いた様子で名乗りなおした。
「失礼しました。私 野明の高校時代の同級生で竹田墨勇と申します」
その瞬間遊馬はあの時野明と一緒に居たのはこの人物に違いないと確信した。
『野明』と名前を呼ぶ言い方があまりに自然でただのクラスメイトよりは親しい間柄なのだろう事が推察でき、遊馬は軽く動揺した。
「はじめまして。篠原遊馬です。俺の番号を誰から?」
訝る遊馬に墨勇は悪戯を告白するような調子で「野明の携帯から」と告げた。
携帯を見れるほどに近しいのかそれとも盗み見たのか判断しかねて遊馬は「それで こんな時間に俺になにか御用ですか?」とやや突き放すような口調で応じた。
「用といえばそうなんですが・・・野明が自分の携帯を置き忘れて帰ってしまって。困ってるんですよ」
「置き忘れた? どこにです?」
「ここです。僕の泊まっている部屋」
その回答に遊馬は驚いた。
野明が自分以外の男の部屋に出入りすることなど考えたこともなかった。
でも もしもこいつが野明の彼氏だというのならそれは決して不自然なことではない。
遊馬は動揺を悟られまいと努めて冷静に言葉を選ぶ。
「なるほど、で何故俺に?」
「他に適任者を探せなかったからですよ」
こともなげに言う墨勇に遊馬は眉根を寄せた。
準待機最後の日曜日、墨勇の泊まるホテルに立ち寄った野明はそこで買い込んできた酒とつまみで軽く酒盛りをした。
そんなときでも野明は始終電話を気にして鞄から出したり入れたりしていた。
そうこうするうちに野明の携帯は電池が切れてしまい充電しようと電源を借りた結果、帰りに回収するのを忘れてしまった。
翌日から待機任務に入った野明と日中仕事に出ている墨勇では全く時間が合わない。
それどころかここに携帯がある以上彼女と直接連絡を取ることは難しかった。
苫小牧の実家に聞けばオフィスの番号がわかりそうだがそこまでするのもどうかと思い、悪いと思いつつ携帯のメモリを見たものの やはり機械に疎い野明の持ち物だけあって記録されている番号はごく僅かでどれが同じ職場の人で どれが常勤しているオフィスの番号なのか墨勇には判断がつかなかった。
ただ1人を除いては。
『篠原遊馬』この名前だけは記憶にあった。
連絡が着かないことを不安に思って野明に涙を流させた相手の名前。
墨勇は彼に興味を持っていたこともあって思い切って電話を掛けてみることにした。
事の次第を聞かされた遊馬は軽く溜息をつく。
「それで俺にどうしろと?」
「これ 渡してやってくれませんか、無いと不便でしょうし」
「俺 八王子にきてるんですよ」
「知ってますよ。けど 待機に入っている野明に僕が日中会うのは無理でしょう、まして深夜にオフィスには入れない。というか 場所を知らないのでね返せないんですよ」
「なるほど。つまり今から出て来いということですか?」
「可能であれば」
遊馬は少し考えてからPCを引き寄せるとインターネットで近隣のレンタカー営業所を調べ八王子駅そばの24時間営業店舗の番号に照会を掛けた。
程なくメールが返信されて配車可能なことを確認するとそのまま予約を入れた。
墨勇に待ち合わせ場所を確認すると「2時間以内に着く」と告げて電話を切った。
車を借りて高速を飛ばす。
深夜で特に渋滞もなく1時間半前後で新木場のシティホテルに到着し、駐車場に車を止めた。
着信履歴から墨勇の番号を呼び出し到着を告げると程なく彼が姿を現した。
やはりあの時一緒に居た人物だと確信し遊馬は軽い嫉妬を覚えた。
「はじめまして」と気さくに手を差し出す墨勇に遊馬もまた手を出して応じる。
「すみませんね こんな時間に」
野明の携帯電話と充電器を差し出し墨勇が笑うと遊馬も苦笑しつつそれを受け取る。
「いえ 構いませんよ。こちらこそご面倒かけました」
その保護者のような反応が可笑しくて墨勇が笑みを零し、それを見た遊馬は眉根を寄せた。
「何か?」
「いいえ、失礼。実は僕自身、『遊馬くん』にお会いしたかったもので」
「俺にですか?」
「ええ、そうです。教えちゃうの惜しいんですけどね。連絡が取れないというだけで野明に涙を流させるのがどんな人物なのか 興味があったんですよ」
からかう様な笑顔で告げる墨勇の言葉に遊馬は目を瞠った。
「涙って・・あいつ泣いてたんですか?」
「言ったのばれたら怒られそうだけどね、泣いてましたよ。『遊馬くん』と連絡がつかないのがよっぽど堪えたんじゃないかな」
遊馬の顔に一気に朱が上るのをみて墨勇は安心したように息を吐いた。
「連絡がないって嘆くから、気になるなら自分からすればといいのにって言ったんだけどね。できないって」
「・・・どうして・・・」
言ってから野明の性格を思い舌打ちした、「最初の電話か・・・」思わず呟くと墨勇は静かに頷く。
「あいつあれで変なところで気ぃ使いますからね。妙な遠慮して」
過去を思い返して語る墨勇に遊馬は同意して頷く。
「あいつはそういう奴ですよ」
「それが解ってるなら なんか声掛けてやってよ。空元気もそろそろ限界じゃないかな」
「俺がですか?」
「他に適任がいないっていったでしょう? 俺は彼女持ちだからね、妙な期待は持たせられないし野明も持たないよ。」
「言い切れます?」
野明の性格と気持ちを十分過ぎるほどに推し量る墨勇に遊馬は訝る目を向けた。
「勿論。俺は一度野明にふられてますからね。今の彼女は野明の親友」
その短い答えに遊馬は当時の状況を何となく察した。
恐らくは両思いであっただろうに親友を優先して身を引こうとする野明の姿が目に浮ぶようだった。
「このままだと仕事と自分を天秤にかけて当時の二の舞を踏みそうで見ていられなくてね。それを口実に一度『遊馬くん』と話してみたくなったわけだ」
遊馬の手に渡った携帯電話を軽く指差すと墨勇は小さく笑った。
遊馬は大きな溜息をつくと手にした携帯電話を眺めて「・・・ったくあの馬鹿」と小さく呟いた。
その様子を穏やかな笑みを湛えて見ていた墨勇が遊馬に向き直る。
「『遊馬くん』に一つだけ訊いてもいいかな。」
「なんですか?」
からかうような調子が影を潜め真剣な眼差しを向ける墨勇に遊馬は軽く身構えた。
「貴方にとって野明ってなんですか?」
正面きってはっきりと突きつけられた質問に遊馬は「パートナーですよ」と即答した。
どうとでも取り様のある便利な言葉。
明言を避け逃げようとした遊馬に墨勇は納得しなかった。
「それは仕事の?それともプライベートを含んでの?」
真剣に問う墨勇に誤魔化しは効かないと覚悟を決めると遊馬は大きく息を吐いた。
「現在のところ双方ですよ。ただ、プライベートでも他人に渡すのが嫌なんだって気づきましたよ。この前 野明と汐留に居たのは貴方でしょう?」
思い切って口に出してしまうと墨勇は聊か驚いた様子で遊馬を見た。
「よくご存知で。どうしてそれを?」
「TVに階段を横切る姿が映ったんですよ。正直ものすごいショックでした。野明が他の男と出歩くのなんて見たことなかったですからね」
「ああ なるほど」
墨勇は軽やかに笑うと「あんな距離でもわかるものなんですね」と感心したように言った。
恐らく解ったのは 野明だからで見ていたのが自分だから、そう思ったが敢えて口には出さなかった。
墨勇は遊馬の回答に満足したように頷くと「では それお願いしますね」と携帯を示した。
「確かに」
遊馬が頷くのを確認してから墨勇はついでのように告げる。
「そうそう 野明、今日は宿直だそうですよ。それじゃ僕はこれで」
ヒラヒラと手をふってホテルに戻る墨勇に遊馬は声を掛けた。
「その『遊馬くん』ってのやめてもらえます? 今度は呼び捨てで結構ですよ」
意外な顔をして振り返った墨勇はにっと笑った。
「じゃ 次回はこっちも名前よんでくださいね」
遊馬は軽く目を瞠るとふっと表情を緩めた。
「そうさせてもらうよ」
軽く片手を上げて挨拶をすると遊馬は車に向った。
時間は午前2時を少し回っていて遊馬は軽く溜息をつくと「今日は徹夜だな」と呟いてニ課棟のある13号埋立地に車を向けた。
go to next....
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追記
次こそは 野明登場・・・?!
今回は華のないコンビで終始してごめんなさい~
ではでは 続きはのんびりおまちくださいね~(^^)
瞳子 2009年09月04日(金)12時19分 編集・削除
うぉぉ〜連日の更新だぁ〜O(≧∇≦)O !!
スレ違いのジレジレ感も萌えますが、この大人の男同士の会話はいい!!O(≧∇≦)O !!
つ、次こそ、野明チャンの登場を!!
切に希望!!
「眠いけど、野明のために行くか…」
って、野明に会えなかったりして。遊馬クン。クスッ♪