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不在2

さて不在の第二弾
ちょっと暗いですよ~
それでもいいわ、という心優しい方はぜひぜひどうぞ♪(^^)

以下本文

続き

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不在 2
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SIDE-N(2)

緑に促されて電話を掛けてみたもののやはり遊馬は電話に出なかった。
電話もドライブモードに設定されたまま戻された様子がない。
「きっと道路こんでるんだね」
緑は野明の肩をポンと叩くと笑顔を見せた。
とはいえ車で八王子までならこんなに時間は掛からないだろうことは野明よりも関東の地理に詳しい緑は重々承知だ。
野明が退勤してきた時間が5時。
そして今が9時。
引越しを手伝うと言っていた武田たちも8時過ぎには軽く食事をして帰って来ている事を緑はメールで知っていた。
荷物はもうとっくに八王子に着いていて粗方片付いている。
単純にモードを切り替え忘れているだけかもしれないが携帯電話しか連絡手段のないこの状況ではそれを知らせることも確かめることも出来ない。
「でも・・・4時間もかかるもの?」
ぽつりと呟く野明に緑は『首都高なんて動かない時は駐車場同然なんだから』と笑った。
結局 10時を過ぎても携帯電話は繋がることはなかった。
「きっとモード切り替えるの忘れちゃってるんだよ。心配しなくても大丈夫。明日になったら連絡あるよ」
就寝時間になった緑はそういい残すと自室に帰っていった。
結局その夜 電話がなることはなかった。

朝になってもう一度電話してみようか、と思ったものの篠原に出向している遊馬の勤務時間が把握できない野明は通話釦を押す勇気がもてないまま携帯を机の上に置いた。
大きく溜息をついて机に顔を伏せると「参ったなぁ・・・」と小声で呟いた。
準待機一週間。
遊馬の居ない状態で過ごすのは初めてだった。
個人的に用事があって別々に行動する日は勿論あったけれど連絡が付けられないまま一週間をすごしたことなど二課配属以来なかったことだ。
「何して過ごそうかな・・・」
声に出してみるものの全くやる気も気力も沸かない。
こんなことならいっそ待機の方がやることがはっきりしている分マシだとさえ思えた。
部屋でじっとしていると扉を叩く音がして緑が顔を覗かせる。
「野明 鍵 開けっ放し。無用心だぞ」
殊更明るい調子で話しかける緑に「ごめん」と肩を竦めた。
その様子から遊馬から連絡がなかったことを察する。
緑は軽く溜息をつくと 腰に手を当てて「シャキッとしなさいよ」といい、部屋のカーテンを開け放った。
「天気もいいし 私今日は遅番だから夕方まで買い物にでも行こう」
明るくいう緑をみて野明はそういう気分になれそうになくて困った顔を見せた。
「でも・・・」
緑は戸惑う野明の腕をぐいっと引くと「いいから! 腐っていたって仕方ないでしょ」と半ば強引に部屋から連れ出した。

暫くウィンドウショッピングした後で軽く食事を取りまた少し歩く。
『普通に女の子と買い物したのは久し振りだな』と思いながら緑の隣を歩いていると歩く速度一つとっても違うんだなとしみじみ思った。
緑は軽やかにサクサクと歩く。身長に差がある野明は少し急いでついていく。
遊馬は・・・自分の歩調に合わせてくれていたんだと 今更ながらに気づいてそういう小さい気配りをこちらに悟られないようにこなしてしまう遊馬に感心した。
その様子を見ていてた緑が野明の顔を覗き込む。
「歩くの早かった?」
「平気」
いいながら首を振ると緑は少し考えてから「ちょっと休もうか」といって手近にあったコーヒーショップに入っていった。

アイスコーヒーを片手に野明の様子を暫く見ていた緑は徐にハンドバッグから携帯電話とメモ帳を取り出すと何かを書きつけ始めた。
書きつけた内容を入念にチェックするとメモ帳を半分に折って野明に差し出した。
「なに?」
小首を傾げる野明に緑は彼女にしては珍しく複雑な顔をして見せた。
「・・・余計なお世話かもしれないけどさ、篠原君の住所」
「どうして?」
「武田たちが手伝いに行ったからね、さっきメールで訊いてみた。いらないなら破棄していいし気になるなら私もメール消すよ?」
少し考えてから野明は「ありがとう」と言ってメモ用紙を受け取ることにした。
確認してみると八王子市内の住所と部屋番号が書かれていてマンションであることが伺える。
メールの扱いについては『そのままでいい』と告げてメモを鞄に仕舞った。
「あれから連絡してみたの?」
心配そうに問う緑に野明は小さく首を振った。
「いいの?」
「いいも何も。仕事の邪魔しちゃ悪いしね。それに・・・付き合ってるわけじゃないんだから何も言う権利も聞く権利もない」
「でも あれだけ一緒に居たんだし一言あってもいいのにね」
溜息混じりにいう緑に野明は寂しげに笑った。
「パートナーだったから一緒に居ただけなんだよ。予定がたまたま同じだっただけ。其々の予定が合わなくなったら無理して連絡取るような間柄じゃないんだよ」
自分に言い聞かせるように言う野明に緑はかける言葉を見つけられなかった。
他人がいくら『そんな事はない』と言ったってこの場合は無意味だ。
その言葉を発してほしい人は今ここには居ないのだから。

連絡をつけることが出来ないまま一週間が過ぎた。
相変わらず遊馬からは連絡一つ来ないまま準待機が終わり明日からは待機任務に切り替わる。
日曜日の朝 普通の会社員なら休日である可能性の高い日でありながら野明は携帯を眺めるだけで相変わらず通話釦を押す勇気を持てなかった。
『忙しくて今日も出勤してるのかもしれないし』とか『疲れて眠っているのかも知れないし』と自分に言い訳をしてあの日以来かけることをしなかった電話を今更何と言って掛けたらいいかも良くわからなくなっていて溜息をつきながら机に携帯を放り投げた。
「女々しいなぁ」ベッドに身を投げ出し天井に向って呟くと枯れたと思っていた涙が流れてきた。
左腕で目を隠すようにしてグイッと涙を拭うとそのまま静かに涙を流した。
「声が・・・聞きたいな・・・」
思わず声に出してしまうと一層寂しくなってきて腕組みした手を目の高さに持ち上げると声を殺して暫く泣いた。
その日も電話が鳴ることは無く翌朝、野明は待機任務につくために埋立地に向った。

ハンガーに入ると夜勤を終えた整備班員とすれ違う。
「おはよう」「おつかれさま」と声を掛け合い更衣室に向おうとタラップを上りかけたところで背後から声が掛かった。
「おはよう 泉ちゃん はやいね」
「シゲさん、おはよう。今日は夜勤?」
「うんにゃ、これからよん。ところでどしたの、この一週間でなんか痩せちゃったんじゃない?」
「え、そうかな・・・?」
小首を傾げる野明にシゲは明るく笑って見せた。
「遊馬ちゃんなら心配ないよ、忙しいみたいだけどさ 元気そうだったよ」
名前が上がるだけで胸が苦しい気がしたものの、頑張って笑顔を作る。
「遊馬に会ったの?」
「先週八王子に行って来たのよ、今回のバージョンアップ内容の確認と太田ちゃんの二号機受け取りに」
「そうなんだ、で今回はどう変わったの?」
野明はイングラムに話題を移して遊馬の話を断ち切ると暫く説明に耳を傾けていたが進士が出勤してきたのを見て慌てて話を切り上げた。
「詳しいことあとで聞かせて!」
そう言って更衣室に向う野明の後姿をシゲは痛々しいものを見るような目で見送った。
「無理してるよねぇ、泉ちゃん・・・」

着替えを済ませて隊員室に入り自分の席に向うと否応無く目に入るキレイに片付けられた隣の机。
机上には書類一つ無く席の主の不在を無言で主張していた。
野明は思わず目を逸らして不自然なくらい正面に顔を向けると大きく伸びをして気合を入れなおす。
頬を両手でパチンと叩くと机に配布されていた予定表に目を通した。
今週は特に大きな行事も無ければ警備の予定も入っていない。
緊急の出動が無ければデスクワークが中心になる予定になっていた。
今週から遊馬が居ない状態で任務に当たるため今日の午前中はフォーメーションと指示系統の確認を目的としたミーティングが予定されていた。

朝の報告が終わって会議室に入るとお武さんがテキパキと説明を開始する。
大まかに言えば 基本お武さんが2機の指揮を執るが別行動になったときには進士さんが一号機の指揮を担当する、というものでその際にはフォローとして隊長が進士さんにつく事になり指揮の経験が浅い進士のために咄嗟の判断は隊長が責任を負う形に落ち着いた。
「当面この形でいくことになるが 泉、やれるな?」
「はい、大丈夫です。宜しくお願いします」
隊長の言に承服の意を伝えると会議は一旦終了し、あとは隊長とお武さん、進士さんが残って打ち合わせを始めたので ひろみちゃん、太田さんと3人でオフィスに戻り書きかけの書類に手をつけた。
そしてこの一週間も小さな事故処理が数件あっただけで大きなことは何一つ起きることなく過ぎ去り、また一週間の準待機が巡ってきた。

もう2週間、遊馬とは連絡が取れていなかった。
あの日連絡を取り損ねて以来、自分から連絡を取ることはなく遊馬からも連絡はない。
野明は半ば諦めにも似た感覚で『そういうものなんだよね』と思うようになり、次第にその事を考えるのを止めてしまった。
それでも隊員室でふと隣の席が目に入ると何とも言えない気分になることが無くはなかったが、野明は意図的に遊馬のことを思考から外すようになっていた。

準待機に入った朝、やはり何もすることが無くて部屋でぼんやりしていると携帯電話が軽やかな音を立てた。
一瞬 遊馬かと思ったけれどその着信音は遊馬の設定したものではなく無機質な電子音で彼からの着信ではないことを言外に告げていた。
僅かにでも期待してしまった自分に苦笑してディスプレイを確認すると見知らぬ番号が表示されていて野明は訝しみながらも通話釦を押した。
敢えて名前を名乗ることなく「もしもし」とだけ告げる。
「こちら泉さんの携帯ですか? 私、竹田と申します」
若い男性の声。そしてその声には確かに聞き覚えがあった。
「墨勇・・・?」
聞き返すと電話の向こうから安堵の息が漏れた。
「よかった、野明。久し振り、元気か?」
思わぬタイミングで掛かってきた電話に野明は驚く。
「うん 元気。墨勇も元気そうだね。でもよく分かったね、この番号」
「実家に電話したらおばさんが教えてくれたんだ、今 大丈夫か?」
「うん、準待機だから平気だよ。どうしたの?」
「明後日からしばらく東京に行くんだ。それで野明、時間無いかとおもってさ」
いつもなら遊馬と出歩く予定があって時間の工面に苦労しそうなのに、今は連絡がつかない、というか出来ない。
付き合っているわけでもないのに何故か他の人との用事を入れるのを拒む自分が居たのだが、今は誰かと会って話をしたい気分になっていた。
「今週日曜まで準待機だから、大きな事件とかが起きない限り大丈夫だよ」
快諾の意を伝えている自分を冷静に見ているもう1人の自分が『いいの?』と問いかける。
しかし野明はその声を敢えて黙殺すると墨勇に「着いたら連絡してね」と約束を交わして電話を切った。
何も疚しいことはない、その筈なのになぜか胸が締め付けられるような後ろめたさを感じて止まない。
野明は大きく溜息をつくと再びベッド仰向けに転がった。
ここ数日考えないようにしていた遊馬のことが今の電話をきっかけに急に思い出されて落ち着かなかった。

go to next....
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追記

で ちょこっと出したかった人がでてきてます(^^)
ハイペース更新なのは多分ここまでです。
次回からは少し間があきます
なぜなら途中まで文章書いてあったのがここまでなので!
でも 大筋は決まってるので大丈夫ですよ~
ちゃんと完結します♪

ではでは 続きはのんびりおまちくださいね~(^^)

コメント一覧

瞳子 2009年09月02日(水)06時38分 編集・削除

うぉ〜(T-T)遊馬なにやってんだよぉ〜野明チャン泣かせてー。
第三の男登場だよ。昼ドラだよ。
続きが気になる、気になる。(>_<)

あっ!野明チャン、遊馬は瞳子サンがシメときましたから。

うにうに 2009年09月02日(水)07時22分 編集・削除

さくらさぁ〜ん、瞳子さぁ〜ん、こっちに半べそかいた遊馬が来てるんだけど(笑)部屋の隅っこで頭にキノコ生やして、指でのの字をグリグリと。

あ「俺だって…俺だってさみしーんだぞ…」(ブツブツ)

とりあえず秘蔵の洋物無修正ビデオでも見せておきます(甘やかしすぎ?)

…野明の初恋の相手キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!ドロドロな展開?!

さくら(瞳子様) 2009年09月02日(水)08時12分 編集・削除

>瞳子さま

遊馬〆ておいて下さいましたか(笑)
この時遊馬がどうしているのかは おいおいわかります(笑)
そう 昼ドラですよねっ(^m^)
その時間に思いついたのでこの展開~☆

さくら(うにうに様) 2009年09月02日(水)08時17分 編集・削除

>うにうにさま

あ 遊馬そんなところに逃げ込んで!(笑)
うに様のところで甘やかされてる!!
そんなの見てる間に野明どっかに行っちゃうぞ~(笑)

きましたよ~ 初恋相手 墨勇君!
出したかったんだよね~ eyes久々に見直したあたりからウズウズしてたんですよ(^m^)

ツッジー 2009年09月02日(水)09時03分 編集・削除

墨勇きたーーーーーーーーーーーー!!

えぇーーー遊馬・・・なんで野明をほったらかしに・・・。・°°・(((p(≧□≦)q)))・°°・。ウワーン!!

何があったのぉーーーーーーーーーー(>_<)

さくら(ツッジー様) 2009年09月02日(水)09時24分 編集・削除

>ツッジーさん

墨勇きましたよ(笑)
もう出したくて出したくて、ウズウズでした☆
遊馬は何をしているんでしょうね・・?
それは追々・・・♪