記事一覧

不在1

えっと新しく書き始めました
書き出しは実は二月近く前なのですが軽井沢と同時進行が無理!ということで放置していたものです。

今回はちゃんと終わりをきめて書いてるのでそんなに長くならないはずです(笑)
もしよろしければ この先もお付き合いくださいませ~♪

そうそう 今回は旅行には行きませんよ(笑)

以下本文

続き

===================
不在 1
===================

SIDE-N(1)

今夜の宿直は野明の担当。
「電気よし、ガスよし」
就寝前のチェックを終えて仮眠を取るべく宿直室に向う。
途中、隊員室の前を通った。
電気の落ちたその部屋は真っ暗で人気が無い。
なかでも野明の隣の席は机の上も周りもきちんと片付けられ、主の長い不在を告げていた。
何度見ても 落ち着かない光景。
遊馬は 八王子に行ってしまった。

三週間ほど前に遊馬と熊耳さんは隊長室に呼ばれた。
まだ梅雨の長雨の時期で 工事現場の土砂崩れの処理に出動した後の事だった。
30分経っても戻ってこない二人に、野明は本来、遊馬の当番だった日報を代筆することにしてペンを走らせていた。
ひろみちゃんも太田さんも自分の書類を黙々と片付け、途中で進士さんも呼び出された段になって漸くひろみちゃんが口を開いた。
「時間が掛かりますね」
「うん・・」
今日の作業にこれといった不手際はなかったはずなのにと思い時計を見遣ると、もう定時を大きく過ぎていた。
今日の宿直は野明。
「ね、書類預かっておこうか?」
太田さんとひろみちゃんに声を掛けると太田さんは大きく首を振った。
「いや、それはいい。このあと用事があるわけでもないからな、それよりも篠原たちが遅いほうが気にかかる」
その言葉にひろみちゃんも大きく頷き、野明も書き終えた日報を閉じると「そうだね」と呟いた。
思えばこの頃から 準備が着々と進んでいたのかもしれなかった。

結局3人が隊員室に戻ってきたのは午後7時を大きく回った頃だった。
「あら、みんなまだ残ってたの?」
熊耳が驚いたように言う。
「日報の提出が終わっておりませんでしたので」
「あら・・そうね。ごめんなさい 気がつかなくて」
書き終えた書類を受け取るとパラパラを捲ってざっと目を通す。
「ご苦労様。今日はもう大丈夫よ、遅くまで悪かったわね」
席について書類にサインを入れ始める。
遊馬も席に着くと日報を書こうと用紙に手を伸ばした。
「もう 書いちゃった」
野明が笑うと、遊馬は少し驚いたような顔をしてから「サンキュ」と笑って頭をくしゃりと撫でた。
その時の遊馬の顔が妙に優しげに見えて野明は何となく妙な胸騒ぎを覚えた。

もう用事は終わったのに誰も帰らない隊員室。
その空気を敏感に察したのは熊耳だった。
「なぁに?みんな 今日はもう遅いし帰っていいわよ」
一同をクルリと見回す。
「それとも聞きたいことがある?」
その言葉に後を押されるように太田が口を開いた。
「随分長くお戻りにならなかったので、なにか問題でもあったのかと・・・」
隊長室に行っていた3人が顔を見合わせて静かに頷く。
「今日の作業についての問題は何もないわ。あえて言うなら先の問題ね」
「先の、でありますか?」
「そう。そっちの方はまだ何も決まってないので何ともいえないんだけど・・・」
言葉を切ると視線を遊馬に向けた。
遊馬は軽く目を閉じて息を吐くとゆっくり頷く。
「篠原君は 来週から八王子に行くことになったわ」
驚いて遊馬を振り仰ぐと 苦笑いした遊馬がぽんと野明の肩に手を置いた。
「そういうこと、ちょっと行ってくるわ」

ちょっと近所に買い物、みたいな雰囲気で気軽に告げられたその内容に野明は呆然とした。
呆けてしまった野明に遊馬は仕方ないな、という顔をして皆を振り返る。
太田が『早く行け』とばかりに手を振るのをみて「野明 ちょっと来い」と言って席を立った。
手を引いて屋上に上がると手すりに背中を預けるようにして野明の正面に立つ。
「聞いたとおりなんだけどさ、来週から八王子に行くことになった」
さらりと何でも無いように言う。その口調に野明は寂寥感を覚えた。
目線を上げられずに野明が問う。
「・・・いつまで?」
「差し当たり 一ヶ月ってとこか」
「差し当たり?それも一ヶ月って・・・」
空を眺めながら絶句する野明の顔をそっと伺うと不安気な瞳でこちらを見ていた。
「開発の手伝いだってさ。作業の進捗によっては前後するんじゃないかな」
「そっか。ちゃんと・・・帰ってくるよね?」
「隊長はそう言ってた」
「約束して」
「してやりたいけどさ。それはわからん、上の決めることだからな。けど そうなったらちゃんと隊長から話があると思うからさ、大丈夫だろ」
俯く野明の頭を軽く撫でる。
「俺の居ない間は お武さんと進士さんでお前の指揮を執るってさ」
弾かれたように顔を上げる野明の目が不安で揺れていた。
「不安か?」
複雑な表情をみせる野明に静かに問う。
「仕事だもんね、分かってる。誰に指示を貰っても仕事が出来ないとプロじゃないもんね」
「分かってるならいいさ、留守中頼むぜ 相棒」
「うん」
頷いて、しかしそのまま顔を上げない野明を見てどうしたものかなと思う。
「そんな顔すんなって。変な気起こしそうになるだろうが」
おどけて笑う遊馬の袖を野明が軽く引っぱる。
コツンと腕に額を当てて小さな声で何か呟いた。
聞き取れなくて「何?」と問い直す。
野明はともすれば風にかき消されそうな小さな声で「待ってる」というと掴んでいた袖口を離した。
「ここで、待ってるから」
そういうと遊馬に向き直り泣き笑いのような顔をしてみせた。
「おう、ちゃんと待ってろよ。さぁて戻ろうぜ。まだ皆残ってるかも知れないしな」
頷く野明の背中に手を添えてタラップに向かった。
週の半ばの 水曜日。
遊馬は 月曜付けで八王子に行くことになっていた。

週末の土日、八王子に行くための準備に当てるようにとの配慮から遊馬には休暇が下りていた。
野明は待機任務中なので埋立地に缶詰。
見送りたくても手伝いたくてもそうはいかなかった。
特に大きな事件も事故も無く日曜の勤務が終わると急いで遊馬に電話を掛けたが電話にはドライブモードが設定されていて本人が電話に出ることは無かった。
遊馬は車を持っていない。なのにこの時間に車を運転中というのがどういうことなのか、その時の野明は考える余裕が無かった。
野明が寮に帰ると寮内での親友といっていい緑が野明に声を掛けた。
「今週大変だったね」
野明はキョトンして振り返る。
別にいつもと同じ待機任務で対外的には特に大事件がおきたということは無かった。
あえて言うなら遊馬がいなくなったことが影を落とすくらいでそれにしても緑がその事を知っているとは思えなかった。
「え?なに? 普通だよ、何かあったの?」
小首を傾げて応じる野明に緑は目を瞠った。
「・・・えっ?て 知らないの?それとも知ってて余裕なの?」
「何が?」
「篠原君 来週から移動だって?」
野明は緑の顔をまじまじとみた。
「移動って・・・どうして緑がその事をしってるの?」
「だって物凄く急にきまったんでしょう」
「そうだね、水曜日に聞いたよ、でも1月くらいで帰ってくるって・・・」
「・・・本当に?!でも、じゃあなんで篠原君 急に寮を引き払っちゃったんだろうね?」
その発言は野明に衝撃を与えた。
「遊馬が 寮を引き払った・・・?」
驚く野明の顔を心配そうに緑が覗く。
「うん、それで引越しの準備やらで大忙しで。寮の人たちが結構手伝ってたんだよ、しらなかったの?」
「・・・聞いてない・・・」
野明はさっき電話が通じなかったのが引越しで荷物を移動していたからだということに思い当たって呆然とした。
「だって・・・引っ越すなんて。何も聞いてないよ。・・・・」
一気に血の気の引いた野明を支えるようしてに緑は「一旦部屋に戻ろう」と促す。
野明はそのまま引きずられるようにして緑と部屋に入った。

床に座り込んで暫くぼうっとしていると緑が手際よく温かいお茶を入れてくれた。
受け取って一口すすると感情の波が還ってくる気がして湯飲みを持つ手に水滴が丸い模様を描き出す。
その水滴が自分の流した涙だと気づくのに暫く掛かった。
遊馬が傍に居なくなると思っただけでこんなに悲しくなるとは正直思わなかった。
いつも傍に居てくれるのが当たり前だと思っていたのでそのことについて考えることがなかった。
仕事上のパートナーだから人事異動があれば当然離れることもある。
居なくなった互いの代わりに別の人とコンビを組む事だって当然あって然るべきなのに野明はその事を考えたことがなかった。
遊馬以外の人とコンビを組む自分、自分以外の人コンビを組む遊馬。
考えることを拒否するように野明は頭を左右に振った。
けど遊馬は「待ってろ」って言ってくれたのに。
考えると後から後から涙が溢れてきて止らなかった。
こんなに自分が遊馬に依存していたとは思わなくて情けなくなった。

混乱してそれでも決して声を上げて泣いたりしない野明を緑はそっと抱きしめた。
「泣きたい時はさ、ちゃんと声をだして泣いていいんだよ。それで少し落ち着いたら篠原君に電話してみよう? 私の勘違いかもしれないし、本人に聞くのが一番だからさ」
野明は黙って頷くと緑に縋って暫く泣いた。
こんな泣き方をするのは何時以来だろうと、関係のないことが頭を過る。
ひとしきり泣くと緑に促されて携帯電話を手に取った。
遊馬の番号を表示させてから一度大きく深呼吸すると思い切って発信釦を押した。

go to next....
=====================================
追記

さてちょっと野明がてんぱった所で次回に持ち越しです
設定としては 付き合ってないはずなんですが・・・軽井沢書きつつだったのでなんかベタベタさんですよね☆
でも 付き合ってないんです、そういう設定で!(笑)

コメント一覧

ツッジー 2009年09月01日(火)10時10分 編集・削除

どうなるのぉーーーー!!

気になるよぉーーーー(>_<)

パートナーの野明に何を隠してるんだい??

遊馬ちゃん・・・。

さくら(ツッジー様) 2009年09月01日(火)10時42分 編集・削除

>ツッジーさん

さて隠している程のことなのかそうでないのかは 次回以降に♪
今回は軽井沢ほど引っぱりませんよ(^^)

こんきち 2009年09月01日(火)11時12分 編集・削除

幕開けからなんだか波乱含みな予感が・・・
まるで昼ドラっぽい始まりですよ。
どうなるのか、気になるですよ(><)

さくら(こんきち様) 2009年09月01日(火)11時29分 編集・削除

>こんきちさま

ふふふ いいところ衝いてますね♪
何しろ思い浮かんだのが午後1時30分以降・・・
そう 正に昼ドラタイムですから~(笑)
大した展開には なりませんが是非見にきてくださいね(^^v

瞳子 2009年09月01日(火)12時11分 編集・削除

こ、これから、どーなるの!?
物凄く続きが気になる、気になるΣ( ̄◇ ̄*)エェッ

のあすまが屋上に行った後、隊員室では野明チャン、メンタル会議が開かれてたりして…
それとも…

これを機会に二人をくっつけよう会議が開かれてたりして…

ごめんなさ〜い(>_<)

さくら(瞳子様) 2009年09月01日(火)16時35分 編集・削除

>瞳子さま

気にしてくださって有難うございます(^^)
続きはのんびり更新しますですよ~♪
のあすまが屋上に上がった後の隊員室の様子ですか☆
きっと 皆心配しつつも口に出せずに黙々帰り支度とかしちゃうんですよ(笑)
で ひろみちゃんとか進士さんあたりが「大丈夫ですかね」とかいうのに「篠原君が何とかするでしょう、心配ないわ」位のことをお武さんがいってみんな黙っちゃう・・・というのはどうでしょう?!(^m^)

瞳子さま 妄想歓迎ですよ~♪
むしろwelcome☆(^m^)