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STS☆ぜろ ~3回目~


 ──魔法──
 彼女達の世界にはそれがある。
 ──科学──
 彼達の世界にはそんな知識もある。
 2つの、均衡のとれそうもない大いなる知識の力は、彼女らの生活を幸せ
に…彼たちを不幸せに…刺激のある…刺激のない…そのような世界へとあわ
ただしく移り変え続けていった。


 この世界では、科学の発展した星がある。
 また、あちらの世界では魔法が存在する星がある。
 そして、ここの世界には科学と魔法、両方が存在する星がある。
 この星は地球と呼ばれていた。
 あの星も地球と呼ばれている。
 ここの星も地球と呼ばれていた。
 彼ら、彼女らが住む星、地球──そこは魔法と科学、2つが存在する星で
ある。


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*** LINA ***

 ──魔呪符士──ある大陸では昔、退魔士と呼ばれていたりする。
 ──魔道士───ある大陸では昔、魔術師と呼ばれていたりする。
 基本的に解釈の仕方は同じではあるが、大きな違いとしては、呪符と呪文
だろう。
 基本的に魔法は、光・闇・火・水・風雷・地…などの精を有する力を呼び
い出す物であり、魔呪符士は呪符を介して呼び出し、魔道士は呪文によって
呼び出す。
 いわば、呪を見せて呼ぶ(呪符)と呪を聞かせて呼ぶ(呪文)である。
 …って所だろうか…
 本当なら、もっと細かく説明したほうがいいのだが、それ以上の説明とな
ると一般には知らせてはいけない部分にまで入り込んでしまう。
 実はこの呪符という物、ほんの少しの知識があれば簡単な召還ぐらいは出
来てしまうのである。
 そこはそれで法律という物がしっかりと管理しており、そういった呪符と
いう物はそう簡単には手に入らない物でもあるのだが…
 まあ…言ってしまえば…拳銃と同じような扱いをされているってことね。
 呪符の作成には、経験豊かな知識と、あふれんばかりの才能、そして時間
が必要である。
 もちろん、多くの呪符には殺傷能力があるために、資格免許と許可書がな
いうちは作成する権利はない。
 まあ、作ったとしても、呪符自体に指紋のような個人別の特徴があるため、
誰が作ったのかすぐに割り出すこともできるし…誰々が作った呪符で誰が使
用したか?とういことまで特定することも可能である。
 ちなみに、今ここにいるメンバーで呪符を作るための免許を持っている者
はガウリィを除いて全員である。
 どぐうごあーんっ!
 あたし達が張った結界の近くで派手な爆発が起こる。
「おわああああー。リ…リナ…こんなのどうやって止めるんだよ!」
「う~ん…そうね…めんどいからこのままうっちゃって…その辺の店でご飯
でも食べてよっか…」
「おーほほほほほほ…もちろん言い出しっぺのリナがおごるのよね」
「何でそうなんのよ!」
「あら?当然の事じゃない」
「おう…飯か俺ちょうど腹が減ってたところだったんだ…よっしゃあ…行こ
うぜ、リナ!!」
「おーほほほほほほ…」
「ご飯、るーるっるー♪」
「ご飯、らーらっらー♪」
 スキップスキップ…あたしとガウリィはそのまま戦車とは逆方向へ…
「何言ってるんですか!このままあの戦車をほっとくつもりなんですか!!」
 ちっ…一人だけまじめなやつがいるし……あれ?そういえばもう一人は…
「そういえば達也は?」
「…あぁ…あいつならめんどいつって…」
 なぬ!
 ガウリィが指し示すその指先には、てこてこと帰ろうとする達也の姿。
「逃げるなっ!ダムブラス!!!」
 きゅごおぉっ
 地面が跳ね上がる。
「……………………………………………………………リナ…ひじょい…」
「やかましぃっ!このあたしに何も言わずに帰ろうとその行い。あたしの忠
実な部下のくせになんていう生意気な行動を!!!」
「…リナさん…それぜんぜん違います…」
 そうかな?
 忠実な部下って言うのは正しいと思うけど……あ…いや…アメリアが言い
たいのはもしかして忠実なアイテムのほうかなか?
「…で…でもよ…一般人のオレがこんなところにいても…」
「そんなの熱く燃える正義の心で何とかなります」
「ならなかったらどうする?」
「輝く勇気で!」
「それでもだめなら?」
「安らぎをあたえる、天使の微笑で!」
 ………なんじゃ…そりは……
「じゃあ…それでもだめだったら?どうすんだ?」
 今度はあたしに代わってガウリィがたずねた。
「正義の仲良し四人組ぷらすαで!」
 明後日の方向に指差し言い放つアメリア。
「ぷらすαって…」
 達也のことでしょうね…
「でも…一人かけてるわよ…」
「ああううぅぅ~ゼルさあ~ん(泣)どこにいるんですうぅ~(泣×2)」
 …泣くなよ…
「…ゼルなら潰されたパトカーの中にいたけど…」
 ぼつりとガウリィ。
「…リ…リナさあ~ん…これじゃあ…正義の仲良し四人組になれません~」
「…あ~…そいつはよかった…」
「…なんか言いました?」
「…別に…」
「…と…とにかくこれじゃあ…」
 …これじゃあ?
「…これじゃあ…」
 体を振るわせるアメリア。
「正義の仲良し三人組です!!」
 どっぱーんっ!
 津波をバックに拳を握りしめるアメリア。
 ──座礁──
「………………」
 あたしはそのまま沈黙(沈没)するしかなかった……つーかなんも言い返
せないわよ。ここまでいくと…あきれて…


 どごおおぉぉぉぉーーー!!!!
 戦車の主砲から今日何度目かの攻撃が行われる。
 その攻撃に砕けるビルの一片。
 …まあ…警察としてはこのままあれをほっとくわけにもいかないか…
「……うむ…どうしようか………」
 手持ちの呪札ではどうにもならないし…
 ちゅどおおぉぉぉーんっ!!!!
「おわあああああぁぁぁぁ~!!!」
 おや?
 今、金色の長髪にーちゃんが吹き飛んでいったような…
「ああ~ガウリィさんが!!これでは正義の仲良し二人組に!!!!」
 なんだ…ガウリィか…なら問題なし。
 とにかくこれ以上の被害はまずいわね。
「しょうがない…ちゃっちゃとかたずけるとしますか…」
「ちゃっちゃっとって…どうするんですか?リナさん?」
「…あれを使うわ…」
「あれ?」
 あたしはくるりとある方向へと顔を向けた。
 その目の先には…
「…達也…出しなさい…」
「…………はっ?」
 しばし、沈黙。
「…だ…出す…って…な…何を?」
 どもるセリフの達也。
「あんたのポケットに入ってる物」
「………………」
 再び沈黙。
「…な…何のことかなあ…あはははははは…」
「…出しなさい…」
「…はい(泣)…」
 しぶしぶ彼がポケットから取り出したのは2枚のカード。一枚は赤紙に黒
字で呪が書かれ、もう一枚が黒紙で赤字、という対称色の札。
 …たく…この常習犯が…こんな物騒なもん持ち歩きよって…
「…ちょ…ちょっと待て下さい……達也君。そのマーク…炎狼のマークじゃ
ないですか!」
 そのカードを見てアメリアが叫んだ。
 炎狼の呪符。火系の中でかなり高位の威力を持っている。ただ、これだけ
の高位の呪符になると、発動にもそれなりの魔力も必要になる。
 まあ…それだけ…達也が作成に関して天才的な能力を持っているとなるの
だが…
「そうだけど…」
「そうだけど…じゃ…ありません!…な…何で…刑事としても持ち歩き禁止
となっているそんな物騒なものをあなたが持ってるんです!!」
「てへ(はあと)なんとなく作ってみました」
「答えになってません!」
「それはさておき…」
 あたしは目をつぶり札を持つ指先、そして自分の額にすべてを集中させる。
「…我は問う、すべての光と闇の間に…」
 呪符の力を生み出すための呪文を唱え始める。
「うわわわわわ…み…皆さあーん…速やかに避難してくださああ~い!!」
「攻撃魔法の警報発令だああ~!!!!」
 ううううううぅぅぅぅぅ~!!!!
 あ…ガウリィサイレン鳴らしてる…どっからもってきたそれ…それにほん
の少し前に吹き飛んでったんじゃあ…
「…無をはやし有をつむぐ2つの力…光を炎に…闇を獣に…」
 呪文を続ける。
「…闇は虎に光りは灼熱に…」
 そして最後の力ある言葉。
「フェイダー・ラン・フィ・ドォゥ(炎の獣・灼熱の狼)」
 ──瞬間──
 かあっ!
 あたしの持つ札から熱風が飛び出し、一気に周囲を赤々とした光が…熱と
炎が交差し飛び、それが炎の狼に形作られると狙った獲物へと一直線に飛び
かかった──



 炎の虎が消え去るとあたりは静けさに取り囲まれた。
 あたしたちの目は一番激しかったとわかる炎の後にくぎうちしている。
 その威力は大した物だった。
 言っちゃあなんだが…達也が作り上げる呪符の完成度にはあたしはよく驚
かされている。
 あたしも魔呪符士としてもそこそこ自信はあるが、達也にははっきり言っ
てかなわない。何せこいつは100人に1人でしか作り上げることは出来ぬ
と言われるある呪符でさえ作り上げることが出来るのだ。
 ま…そのかわり、魔道士としてはあたしがぬきんでてるけど……14の少
年と比べるのも何かと思うが…
 あたしが放ったのは<フェイダー・ラン・フィ・ドォゥ(炎の獣・灼熱の
狼)>…火の精霊を使用した呪符と呪文をを掛け合わせて、初めて発動する
魔法だ、威力は呪文のみで発動できる火炎球の比ではない。
 ただ、結局のところこの大都市の中でおもいっきし力を振るうわけにもい
かないのであたしは極力威力を抑えてしまったのだが…さて…
 全員の目がある一箇所に注目する。
 うおおぉぉぉーんっっっ!!!
『げっ…』
 がこんっぎゃりぎゃりぎゃりぎゃり…
 再び、動き出した。
 …全然…効いてないしぃ…それとも手加減しすぎたのかな?
 その時、離れた場所で知った声が響き渡る!
「石霊呪っ!!!」
 ナーガの声であった。そういやすっかり存在、忘れてたわ…
 その『力ある言葉』に導かれるように、戦車に壊されたビルの残骸やアス
ファルト1つ1つが浮かび、何かの形に作られていく!
 この魔法、無数の岩を竜の形とし、近くにいる霊を憑依させ石人形とする
術に似ており、ナーガのオリジナル魔法のはず。
 彼女のこの魔法は意思次第でいろんな形に形成する…のだが…その…未完
成のため欠点もあったりするんだけど…ちょぴぃっと…いや…思う存分、不
安である。
<<おぐうがあああぁぁぁぁーーーーー!!!>>
 形成された石人形が雄たけびをあげる。
 こ…これは!
『おおうっ!!!!』
 周りの人々から驚きの声。
 太陽の光に反射し光り輝く巨大な勇姿。
 それは──
「正義の巨大ロボットです!」
 アメリアが瞳を輝かせながらそう叫んだ──
 と同時に一歩足を踏み出し見事なポーズを見せつける、ゴーレム印の巨大
ロボット(もどき)
「その名も石竜王よ…おーほっほっほっほっほっほ…」
「…す…凄い…やったじゃないナーガ…ついにデッサンのほうも克服したの
ね!」
「…ほっほっほっほっほ…当然よ!このわたしを誰だと思ってるの?わたし
はナーガ。世紀末最強の天才美人魔道士、白蛇のナーガよ!おーほっほっほっ
ほっほっほっほ…」
 …はい…はい…
 その直後、ナーガの高笑いにより失神したものが多数出たということを付
け加えておく…おこちゃまは震えて怖がってるし…まあ…その気持ち分から
んでもない…
「…世紀末って…今…2010年だぞ…」
「…あうっ……………さ…さあ、石竜王よ。やっておしまいなさい!」
 ナーガにしては珍しくまともっぽいネーミングだったのに気をよくしたの
か、問題なく石竜王が力強く動き一歩足を踏み出す。
「おーほっほっほっほっほ…わたしの活躍で一件落着ね…おーほっほっほっ
ほっほ…」
 さらに一歩、動き……って…あれ?
「…っほっほっほっほっほっほ…」
 石竜王は自分の右足を高々と持ち上げ……あっ…なんか…いや~な予感が
…とりあえず非難しとこ…
 自分の高笑いに陶酔しているのかまったく気付いていないナーガ。
 そのナーガに巨大な影がかかる。
「…ほっほっほっほっほ……って……へっ…」
 ずんっ!!…ぷちっ…
 思わず…つーか…物の見事に石竜王にふんずけられたナーガは見た目とは
裏腹にラブリーな擬音効果をあげて沈黙してくれた。
 さすが、”見方にすると恐ろしいが、敵にするととことん面白いやつ”っ
て言うあたしの持論は相変わらず変わってなかったようね……あれ?そうい
や…今、ナーガってあたしの敵だったんだっけ?
 ………ま…いいか…取り合えず静かになったし…
<<おぐうがあああぁぁぁぁーーーーー!!!>>
 あれが再び叫んだ…全然、静かじゃないし…
 どごおぉーん、があごおぉーん…
 そしてあっちこっちを歩き出す石竜王…しかも…スキップで…
 やはりいつもどおり暴走するゴーレム…被害が増える一方だわ…
 まあ…ナーガが気を失ったから暴走したんだと考えられるだろうが…あの
ナーガが作ったもんだからなあ…やっぱ…信用できんわ…

 
 
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