エル様漫遊記 ぷらす スレイヤーズSTS 〜2回目〜
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エル様漫遊記 ぷらす スレイヤーズSTS <2回目>
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「ぼ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
「ぼ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
「ぼ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
「………………………………おい…」
「………………………………あの〜リナさん…」
「何?ゼルにアメリア?」
「いえ…あの…ユニットさんと、ここで先ほどから何をされてるのかと思いまして…まあ…ガウリィさんはいつものことなので聞いても無駄でしょうけど…」
あたしへの質問の後、ガウリィの方を見て一つため息をつくアメリア。
ちなみにガウリィは、木の棒のぬいぐるみを何故か(笑)着込んで、ぼーっと突っ立ってたりする。
「ぼーっとしてるのよ」
『………………………………』
あたしの答えに沈黙で対処する2人。
「…セ…セイルーンに帰るんじゃなかったんですか?」
「別に急ぐ必要は無いでしょ♪」
「…そ…それはそうなんですけどお…」
そう、あたしたちはつい2日ほど前、ある事件にかかわり…あたしにとってたいしたことではないが…無事(?)に収拾をつけるとその足でセイルーンへとの帰路へ旅していたのだ。
その事件って言うのはここの世界とは別のところにある、いわば異世界の神・ヴォルフィードと魔王・ダークスターが手と手を取り合いあたしに謀反を起こした出来事のことである。
うふふふふ…まあ…もちろんその後にしっかりお仕置きをしておいたことなんていまさらいうことないと思うけど♪
「…まあ…急ぐ旅でもないことは確かだな…ずず…」
「…そうですね…ずず…」
とか何とかあたしとユニットに文句の一つを言っていた2人ものんびりとお茶を堪能してたりする。
「てめぇら!人を無視するなーーーーー!!!!!」
『…………………おや…』
その怒りとも、無視されて悲しいよう的悲鳴ともいえる、その声に思わずあたしたちの目がそちらに向けられた。
「えっと?どちら様でしょう?」
「だああぁぁぁ!!!!この状況を見てわからんのかおまえは!!!!!」
アメリアのぶっ飛んだセリフに再び喚くムサイ親父。
そして、周囲をぐるりと見回したアメリアは、
「ああ…」
手をぽんと打つと、
「あなた方は悪なんですね」
「いや…最初におれたちゃ盗賊だと名乗ってるんだから…それで解ると思うんだが…」
「なるほど…なるほど…」
その言葉に納得しこくこくとうなずき、再び周囲を見渡すアメリア。実はどこが高い場所がないか探しているところなのだが…
「………………………………」
平坦な場所が続くその風景に、落胆し肩を落とす。
う〜ん…かわいそうだから、アメリアのためにちょっとした小山までも作ってあげようかしら?全長10000キロぐらいの♪
「お前達…怪我したくなかったら返ったほうがいいぞ…ずず…」
「確かにそうですよね…ずず…」
「そうね…優しくて温厚なあたしならまだしも…」
『ぶはぁっ!!』
今のあたしの言葉におもむろに飲んでいたお茶を噴出すゼル、アメ。まだ飲んでたのあんた達♪
「(優しいのか?お前さんが?)」
「(温厚ですかあぁ?)」
あ〜ら…二人とも…心で叫んでてもちゃんと聞こえてるわよ♪しっかりと♪
「…とにかく…優しくて温厚なあたしならまだしも、ここにいる…」
びっ
ある一角を指差す。
「ぼ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
あら?ガウリィったらまだ木の棒の格好のまんまだし。
「条件反射だけで古今東西の魔王たちを3枚下ろしにしちゃう、すちゃらか脊椎動物兼剣士が!」
「ぼ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
自分のことだと全然、気付いてないし♪
「そして…」
今度はゼルを指差す。
「自称・お茶目な魔剣士が!」
「誰が自称だ!誰がお茶目だ!」
自覚がないって言うのも罪よねぇ〜♪
「そして…」
最後にアメリア。
「枕もとで正の賛歌を歌い、悪夢と混沌を呼び出す巫女」
「どういう意味ですか!リナさん!!」
そういう意味よ♪
「じゃあ。こうしよう♪」
突如、ユニットが会話に割り込んできた。
「ゴールドドラゴンのミルガズィアのギャグ1000集が入ったテープを聞かせてあげるとか♪」
『それだけはいやだ(です)ーー!!!!』
あ♪ガウリィまで反応した♪
『???』
3人のおもむろおかしな反応に盗賊たちは疑問の顔を浮かべる。
「ユニットさん。お願いですから、それは止めてください!」
ぐわばしいっ
とユニットにしがみつき愛玩のアメリア。
「そうだ!あんなもんを流したらこの世界は崩壊間違いないぞ!」
冷静を保つフリをしながらも冷や汗たらたらのゼル。
「いやだあ!それだけは!!!!」
とガウリィ…い〜ぬは喜び♪に〜わ駆け周り♪
「やかましい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
再び怒りといえる悲しみのダンスが響き、
「…ぜい…はあ…はあ…ぜい…」
そしてその人物が大きく息を弾ませる。
「お〜い…おっちゃん大丈夫か?いきなり大声だすと体に毒だぜ」
いつの間に冷静になって近づいたのかガウリィがおっさんの肩を叩き、そうのたまう。
「いや〜最近、ちょっと運動不足でなあ…これからはもう少し健康を考えてみる…って…違ーーーーーーう!!!」
「お〜。元気元気。それだけ声出せるなら大丈夫そうだな♪」
「いいか…お前らよくもオレたちをコケにしてくれたな!このオトシマエはきっちりとさせてもらうからな!」
『…………………』
ロング・ソードをちらつかせ、ねちっとした笑いを浮かばせ、
「…十分楽しんでな…くっくっくっく…」
「その男は言いのけ、いやらしい目つきであたしことエ…リナ、アメリアの体をねめつける。ああ…純粋なる無垢な乙女たちは、その狼たちの毒牙にかかり持てあそばれてしまうのか!!」
じゃんじゃんじゃんじゃんじゃーーーーんっ
「なんだ!今の音は!どこからした!」
ユニットから(はあと)
「ユニットさん楽しんでますね…」
「だな…」
「ところでユニットが持ってる本はなんだあ?」
「あ?これ?STSって本なんだけど。面白いんだよこれ。特にこの舞ちゃんが面白い子だし。達也は可愛いし♪」
『???』
ユニットったら別の世界で販売されてる本を持ってきてるし…おまけに…
どがああああああああ!!!!!
「あ♪来た来た♪」
空を見上げユニットが嬉しそうな声を奏でる。
本人達を呼び出してきたし。
ま♪
面白いからいいんだけど♪
轟音と共に空を駆け抜ける、濃い青色のクローバー型の形をした一艘の船。
「何なんだ?いったい?いきなり?」
「あれは…箱舟?」
それが轟音を上げ煙を吹き上げる落ちてくる。
「まさか、墜落してるのか?」
「そうよ♪」
「おいおい…なんか…こっちに向かって来てないか?」
「あれ?ほんとだ」
「何を他人事のように言ってるんだ!ユニット!」
だって、他人事だもの。
ひゅるるるるるるるる〜
どが、ばき、ごしょ、ごきん
あたしたちの数十メートル手前で墜落。
ずがだだだだだだ…
そのままの墜落した勢いで、大地をすべり、こっちに向かってくる。
『どわああああああああああああぁぁぁぁぁぁ!来たああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!』
悲鳴をあげててんでばらばらに逃げまどう、ゼル、アメリア、ガウリィ、盗賊たち。
大地をひしゃげる音を上げ、あたしとユニットの横をすれすれで駆け抜けると。
ぎきぎゃきごご………………………ごうん……
静寂。
しーーーーーーーーーーん…
ほんの少し先で動きが止まった。
『…ひき殺されるかと思った…』
あら?盗賊の何人かはひかれて、あたしのところに戻ってきたわよ。
ガウリィは船に飛ばされて、ちょっとお空のお散歩。しばらくは戻ってこないでしょうねぇ♪
数分間。数名の目がその船に向けられていると。
「でああああああぁぁぁぁぁーーーーーーーーー!!!!!!!!」
船内でそんな雄たけびが上がる。
どごがんっ!
そしてある一角、大人1.5人分ぐらいの大きさのある装甲が吹き飛んだ。
いや、正確には中に居た者が足蹴りで壊し飛ばしたのだが。
「だああ…くそ…ひでーめにあったぜ」
そしてそこから見知った顔の………………自称・美少女が♪
「…くー…くー…くー…くー…」
「…それより…雪菜ちゃんってこんな状況でもなんで眠っていられるんですか…」
次に最初の美少女に負けず劣らずの美少女・恵美と、彼女に背負われた4つ年下の少女・雪菜。
「気にするな…ただの狸寝入りだ…」
ぼつり。美少女・達也が呟く。
「ゆ〜き〜な〜ちゃ〜ん〜!!!!」
「…ぐー…ぐー…ぐー…ぐー…」
『…いや…いびきに変えてもばればれだってば…』
3人が出終わると続いてまたまた美少女、達也と寸分たがわぬ容姿を持った舞が出口から顔だけをひょっこりと出し、
「たっく〜ん。あたし足くじいたみたい。おんぶして〜♪」
「あ?何だって?今、どつき蹴りを喰らいたいって?」
「いいえ何でもありません!」
「え?何?三連脚?」
「あううぅぅぅ…ごめんなさい…ちゃんと歩けますうぅ…」
「よろしい」
「舞…とっとて出てくれない?しまいには怒るわよ」
「ああ…ごめんなさい…ごめんなさい…すぐ出ます!」
ばたばたばた…
舞が慌てて出終わると、最後にこれでもかって言うぐらいの美女が現れる。
『うおっ』
その姿を見て思わず声を上げる数名の盗賊たち。
ま…驚く気持ちはわからなくはないわ。何せあたしとためを張れるほどの美女だもんねぇ。有希って♪
「それよりも…ここはどこなんだ?」
「どっかでしょ」
「いや…有希さん…たっちゃんはそんなあやふやなことを聞いてるんじゃないと思うんですけど…」
「…ぐー…ぐー…ぐー…ぐー」
「くうぅ〜シャバの空気はおいしいねぇ♪」
「舞…おまいはどこぞかのヤクザか?」
「ふふふふふ…よくぞ見破った明智君」
「…おい…」
わいわい…きゃいきゃい…
「…な…なんだ?あの騒がしい…フレンドリーなのは…」
「大変なめにあってるはずですよね…なんであんなに楽しそうに?」
そういう子達なのよ♪
と…それにしても…
「ずいぶんとまあ派手にやられたわねぇ。あんたたち」
『???』
中から出てきた全ての者達が、その声の主であるあたしに目を向けた。
『って…誰?』
舞、恵美、雪菜。
「………………………………(…エル…こんなところで何やってんのよ?)」
有希。
「………………………………(…会長か?…なんでここに…それにその姿…しかもユニットまでいるし…)」
達也。
あら?親友の有希はともかく、達也があたしに気付くなんて…完全に気配は絶ってたんだけどねぇ。
Sなんて全然気付かなかったのに。
面白いわ…やっぱり…あいつ(S)を降格させて達也に魔王になってもらおうかしら?
ずざっ
あたしがそう考えた瞬間、一瞬にして彼の姿が掻き消えあたしの目の前へと移動していた。
『なっ』
その一瞬に驚きの声をあげるゼルとアメリア。
何、二人とも驚いてるのよ。こんなの魔族にだってできるでしょうに…と言っても、彼の場合は空間を渡ったのではなく、人の常識を越えたスピードで残像をのこし移動しただけなのだが。
「…今…神か魔王になってもらおうかしら…なーんて思ってただろ…」
「あら?何のことかしら?」
『は?神?魔王?』
疑問の声をあげるゼルとアメリア。
「きゃああぁぁぁ♪ユニットちゃんだあ〜♪」
「わあ〜い♪舞ちゃん元気〜♪」
「元気♪元気♪」
「あ〜なんかその辺で感動しながらぴこぴこぴょんぴょん、跳ね飛んでるユニットと謎の物体Xはどうでも言いとして…」
「いいのか?おい…しかも謎の物体Xって…」
ゼルがぼつりと突っ込みを入れる。
「…オレを見てたとき顔が笑ってたぞ…そういう顔をする時、会長の考えは2通りのパターンに決まってるしな…そうだろ?」
『会長?』
再び疑問の声の二人。
「あら?じゃあもう一つってーのは…何なのかしらねぇ♪」
「………………………………う…(しまった!いらぬことを!)」
「と言うわけで♪舞〜唐揚げの出前いっちょ!」
「お待ちどうさまでした!」
どがっ!
でっかいお皿が地面に置かれる。そこにはにいろんな色した唐揚げが。
いや〜相変わらず作るの早いわね〜舞ってば♪
『…待ってない待ってない…』
舞のその一言に手をパタパタ振って突っ込むゼル、アメリア。
がしっ
「あ〜ら♪達也ちゃんったら♪どこに行こうとしてるのかしらあ〜♪」
「だああああああぁぁぁぁーーーーーーー!!!!!!頼む!会長!そりだけはああぁぁぁ!!!!!」
「だあ〜め♪」
「助けて!ねーちゃん!!」
しゅぼっ
その場に煙が舞い上がる。
「ふうぅ〜今日はいい天気ねぇ〜…富士山が綺麗に見えるわ(汗)」
「ワイルドに生きる人間的行動パターンで逃げに入ってるしいぃ!つーか…こっちの世界に富士山は見えないっつーの!」
「あら〜草津はいい天気なのねぇ〜」
「…ねーちゃん……って!そうだ!雪菜!こういう時こそおまえの必殺、子犬系お願…」
「みーん、みーん、みーん、みーん、みーん、みーん」
「…あ…だめですね…木につかまりながら、完全に【あたしはセミです】モードで逃げにはいってます」
「ええーい!恵美!こういう時に落ちついて状況説明せんでいい!!」
「それより…どっから現れたあの木は…」
たった今♪
『…って………ゼロス(さん)!!』
「………………………………どうも…」
「いつから居たんですか?そこに?」
「…っていうか…何故…木の格好をしてるんだ?」
「あら♪ゼロスったら木の姿、とってもプリティ♪」
「…しくしく…何故僕がこんな格好を…」
「と、言う訳でゼロス。これご褒美♪」
ぱくっ
ユニットが差し出したそれをゼロスは何も考えずに口にし、
『…あ…』
達也と恵美の声が重なる。
「みーん、みーん、みーん、みーん、みーん、みーん」
「…品川は雨か…」
『………………………………』
「ぐっはああああああぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!」
そしてそんな悲鳴と共に…
ぼふんっ
と軽い音と共に爆発し、彼を煙が包み込む。
『なっ、なっ、なっ、なっ、なっ、なっ、なっ』
『やっちったし…』
『わくわくどきどき』
「舞にユニット…すんげー楽しそうだな…」
『当然♪』
「はもるな…」
『………………………………………………………』
煙が晴れそこから再び姿を現したゼロスは、ゆらゆらと左右にゆれていた。
『………………………………………………………』
「………………………………………………………あの〜…」
『…………ぶっ!あははははははははははははははは…』
現れたのはゼロスの姿をしたヤジロベエ。
「…ゼ…ゼロスさん…すんごく…似合いますよ。その姿…ぷぷぷぷ…」
「人事だと思って…嬉しそうに言わないでくださいよ。アメリアさん!」
そう、反抗しながらも左右にゆらゆら、ゆらゆら、ゆらゆら。
「ヤジロベエならぬゼロベエってところかしらね?」
「ゼロベエですか?リナさん。いいネーミングです」
「全然、良くありませんよ!」
あら、あたしがつけた名前に文句があるのかしらゼロベエちゃんは♪
ぽんっ
「あわわわわ…」
ゼロベエのバランスを保つその手を雪菜が軽く押した。すると大きくゆれる出すゼロベエ。
ゆ〜ら…ゆ〜ら…ゆ〜ら…ゆ〜ら…
「おもしろ〜い(はあと)」
彼女の目がきらきら輝く。
「あっあたしも!」
舞が──
ゆ〜ら…ゆ〜ら…ゆ〜ら…ゆ〜ら…
「あたしもやる〜♪」
ユニットが──
ゆ〜ら…ゆ〜ら…ゆ〜ら…ゆ〜ら…
「あたしにもやらせてください!」
アメリアが──
ゆ〜ら…ゆ〜ら…ゆ〜ら…ゆ〜ら…
「なかなかいいバランスをとるじゃないか。ゼロベエは」
「ひどいっ!ゼルガディスさん!僕、泣いちゃいますよ!」
「…ふ…」
「あうぅ〜それより…いったい全体、僕はどうしてこんな姿にいぃ(泣)…しかも戻れない〜(泣)」
「あら…簡単なことよ。彼女はね。自分が作るその料理のうち30%の割合で不思議な(面白い)魔法薬を作っちゃう能力があったりするの♪しかも魔族にだって有効♪」
「ええーーーーーーー!!!!」
「いや…会長…最近はその確率が大きくなってるんじゃないかとオレは思ってるんだが…大体、最初の一個をゼロベエに食べさせて……」
「ゼロベエじゃありませんっ!」
「…1発でアタルなんて……………て…ちょっと待てよ……おい…ユニット…おまえさん…どれがその魔法薬か見極めてから食べさせただろ…ゼロベエに…」
「だからっ!」
うるさい(はあと)
ごすっ
「……………………………………………………(撃沈)」
「えっへん!」
「いや…オレは誉めてないぞ…」
「と…言う訳でえ〜…」
「いや…ユニット…何がと言うわけなん…」
がしっ
あたしの手が達也の体を羽交い絞めする。
「…だ?って…会長何を……………あ…」
その行動に現状を思い出してる達也。
「達也ちゃん♪お口をあけてね♪はい♪あ〜ん♪」
嬉しそうにフォークに突き刺さっている虹色空揚げを達也に差し出すユニット。
「いやだあああああああああぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」
空に達也の嬉しい悲鳴がこだまする──