双葉社『さよならにっぽん』発行日の謎を暴いちゃおう!
大友克洋単行本の奥付を集めちゃおう!
双葉社版大友克洋単行本『さよならにっぽん』。その初版発行日付は1981年7月16日なのですが、80年代の早い時期の重版で「1982年1月24日」と誤記されてしまっています。これは次の本である『気分はもう戦争』の初版発行日。1990年代の半ばには修正されたようですが、はっきりしたことが分かっていません。また『ショートピース』でも同様の誤記があるので、その辺を暴いてしまおう!というのがこのページ。とりあえず手持ちの本の奥付の写真を並べました。他、皆さんのお手元にある本の情報をお待ちしています!(2012.6.10)
と思っていたら、どの本がいつ頃沢山刷られたのかなど、データ的に面白くなってきてしまったので、大友さんの本全部でやっちゃうことにしました。どの本でも良いので、出てない版・刷数のものがありましたら、是非画像をお送り下さい!(2012.6.11)
ここに出ていない版/刷数の本をお持ちでしたら是非情報提供を!ツイート もしくは junya.thesphere[at]gmail.com([at]を@に変えて下さい)までメールお願いします。
最終更新:2016.2.21
ここまで集まった奥付から、刷り数の推移をグラフ化してみました。まだ抜けが多いんですが、どの単行本も発行から2年くらいは年2回以上刷っていて傾きが大きく、その後は年1回くらいの増刷となっている(いた)ようです。もう少し詳しい考察にはもっと奥付が必要です。皆さんの画像提供をお待ちしています!
なお、『ハイウェイスター』と『さよならにっぽん』に関しては、発行中に「版」表記が一度リセットされて「刷」表記に変わっているため、現在示している線は本来の刷り数を示したものではありません。しかし、まだそのリセットの前後の奥付がないため、暫定で表記しています。この辺りの奥付をお持ちの方、是非ご協力をお願い致します。
ちょっと面白い点をひとつ。1991年に出版された『彼女の想い出…』と『AKIRA5巻』の出足が両方とも悪い(ように思える)ことがわかります。この時期は「AKIRA」の連載が終盤で、その他の作品、露出がほとんど無かったため、これら単行本の出版があまり知られていなかったのではないでしょうか。それが『AKIRA6巻』の刊行で『同5巻』も一緒に売れ始め、更に『Memories』の公開に合わせた『SOS大東京探検隊』の刊行で『彼女の想い出…』も売れた、というように見えます。また、売れなかった2冊の刊行時に書店ポスターなどのプロモーションが行われなかったのも、初動が良くなかった原因かもしれません。但し初刷りが極端に多ければ話は別なので、あくまで仮の話ですが。(2012.8.9)
『AKIRA』だけ抜き出したのがこちら。『AKIRA』各巻の刷りは、新しい巻が出る度に前の巻も新しい巻と同じだけ進むのがわかるんですが、それが特に顕著なのが6巻出版後ですね。1993年3月の6巻発売後、1〜6巻が全て同じように大増刷されています。5巻なんて、6巻が出るまでは大して売れていなかったのに、その後は6巻と全く同じ動きに…。(2012.8.19)更に映画『AKIRA』、『MEMORIES』公開時期と6巻出版による完結の時期を書き入れてみました。映画『AKIRA』公開で、需要が大きくなったことが推察されますね。でももう少し間が欲しいなぁ。(2012.8.22)
こちらは逆に『AKIRA』を除いたもの。だいぶスッキリしますね。そしてこの中でやはり強いのが『童夢』ということがわかります。これが絶版はキツイなぁ〜。しかし『ハイウェイスター』と『さよならにっぽん』の「版」時代の他の本及び「刷」時代の最初期の本、どなたかお持ちではありませんか。…といいつつ、ここに出ているのと全く同じ版表記の本をオークション等で何度か目にするにつけ、「もしや…」という疑念が湧いてきております…。(2012.8.22)
いや、初期の版表記の本が続々見つかってきました。そして分かってきたのが、「訳が分からない」ということw。更に奥付を集めれば、真相が掴めるのでしょうか…?(2012.12.23)
>>版と刷について
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『ショートピース(奇天版)』奥付
1979年3月10日 初版
1979年7月5日 3版
(画像提供GBさん)
1980年3月10日 4版
(画像提供芳本さん)
1982年4月10日 5版
(画像提供GBさん)
最終刷り?
『ハイウェイスター』奥付
1979年10月30日 初版
1981年6月20日 18版
(画像提供prenomさん)
1981年8月10日 20版
(画像提供北野さん)
1981年10月10日 24版
1982年9月5日 28版
1983年8月5日 45版
1984年3月10日第13刷
1984年3月30日第14刷
(画像提供北野さん)
1985年3月15日第20刷
(画像提供芳本さん)
1985年9月20日第22刷
1988年2月25日第26刷
(画像提供津久井さん)
1989年8月25日第29刷
(画像提供内藤さん)
1991年9月8日第33刷
(画像提供GBさん)
1992年12月5日第34刷
1994年4月17日第35刷
(画像提供くりてぃんさん)
1995年7月26日第36刷
1996年3月27日第38刷
1996年12月28日第40刷
(画像提供GBさん)
1997年5月25日第41刷
1998年3月17日第42刷
1998年7月3日第43刷
(画像提供ジョーさん)
2000年8月4日第47刷
2002年10月2日第49刷
2004年9月4日第51刷
2005年9月30日第52刷
2006年9月24日第53刷
(画像提供芳本さん)
2007年12月8日第54刷
最終刷り
『ハイウェイスター』は、特に間違えも無くずっと刷られ続けていたことが分かりますね。ただ、途中に刷り数のリセットが挟まれていて、1983年8月5日と1985年3月15日の間が気になります。(2012.6.11)
求む!1983年8月5日から1985年3月15日の間の奥付!(2012.7.26)
大友克洋の2冊目の単行本であり、2007年までの28年間に渡って刷り続けられた『ハイウェイスター』は、当然ながら途中でISBNコードが記載されるようになったり、定価、税表記が変化しています。その全てを網羅しているわけではありませんが、現在手元にあるものでその変化を見てみたのが右図です。一番下、(1)の本が最初の状態。本の裏表紙下部は表紙と対応して黒い帯で、そこに雑誌コードと定価650円の文字が白抜きで記載されています。
(2)は1996年第38刷の本で、この時黒帯の上に白い文字スペースが設けられ、そこに雑誌コードとISBN、そして消費税3%に対応した定価670円(本体650円)が黒字で入りました。
(3)は1998年第42刷の本で、定価が700円[本体667円]と、消費税5%に対応したものになりました。また、左上にバーコードが印刷されたのが大きな変更です。
(4)は2004年の第51刷の本。税率が変わってもいいように、定価[本体667円]+税、という表記に変更されました。これが最後の2007年まで続きます
ここに挙げた以外では、消費税が3%から5%に上がった直後、定価[本体650円]+税、というステッカー(ベージュ地)が張られたものがあります。その5種で全部ではないかと思われますが、もしそれ以外(例えば3%表記でバーコード付きとか)がありましたら、是非お教えください。(2012.7.30)
1981年の「第24版」を見つけてしまいました…。実は、ヤフオク等で「18版」と「28版」を複数回見かけていたので、もしかしたら「版」表記時代は数字は適当で、幾つか特定の数字しかないのでは?という風に思い始めているとこでした。しかしここへ来て「24版」の発見…『ハイウェイスター』は、初版以降ほぼ毎月刷っていたのかもしれません。(2012.10.4)
そして1982年3月の「第13刷」と「第14刷」…表記が版から刷へ変化した後、急激に刷り数が増えているのは本当なのか?と訝しく思っていましたが、本当に毎週のように刷っていたようです…。(2013.4.14)
『GOOD WEATHER』奥付
1981年3月5日第1刷
1981年3月20日第2刷
1981年3月26日第3刷
(画像提供芳本さん)
1982年4月5日第4刷
1982年5月20日第5刷
(画像提供GBさん)
1982年8月25日第6刷
(画像提供北野さん)
1985年1月15日第7刷
(画像提供GBさん)
1987年1月1日第8刷
(画像提供上杉さん)
1987年11月2日第9刷
1988年8月5日第10刷
(画像提供津久井さん)
『グッドウェザー』は、映画『AKIRA』公開時には、少なくとも池袋の「まんがの森」で売ってました。それが第8刷?第9刷だった覚えもあります…。情報求む!(2012.6.11)
ヤフオクで第10刷が出ているのを見ました。それが最後でしょうか?(2012.7.26)
遂に第10刷の奥付も揃いました!しかし、同時に『bww』の1989年の6刷りも見つかってしまって、1988年の10刷りが最後かどうか分からなくなってしまいました…(2013.10.16)
『さよならにっぽん』奥付
1981年7月16日初版
1981年8月1日第13版
(画像提供GBさん)
1981年10月10日第17版
1982年7月20日第20版
(画像提供北野さん)
まだ間違ってない
1983年8月5日第41版
(画像提供ジョーさん)
間違ってる
1984年1月20日第7刷
(画像提供北野さん)
1984年3月20日第8刷
(画像提供芳本さん)
1985年1月15日第13刷
(画像提供MASHed・ROOMさん)
1985年3月15日第14刷
(画像提供GBさん)
1985年5月5日第15刷
1985年9月20日第16刷
1987年6月18日第19刷
1988年9月10日第21刷
(画像提供内藤さん)
1989年1月16日第23刷
(画像提供上杉さん)
1989年9月1日新訂版
新訂版?
1990年6月30日第24刷
(画像提供GBさん)
間違い訂正
1990年6月30日第25刷
1991年9月8日第26刷
1996年1月22日第30刷
1996年3月27日第31刷
1996年10月18日第32刷
1996年12月28日第33刷
1997年5月25日第34刷
(画像提供白峰さん)
1998年8月3日第36刷
(画像提供GBさん)
1998年11月19日第37刷
1999年4月17日第38刷
2001年8月4日第41刷
2003年9月5日第43刷
2005年9月30日第45刷
2006年9月24日第46刷
2007年12月8日第47刷
(画像提供芳本さん)
最終刷り
色々分かってきました。まず1983年8月5日の第41版の時点で既に初版発行日が間違ってますね。そして1989年9月1日から1997年5月25日1990年6月30日までの短い間に修正されたのですね。その間の奥付をお持ちの方、是非画像を!(2012.6.11、同日深夜改訂)…いや、下記の検討の通り、「1989年1月16日 第23刷」から「1990年6月30日 第24刷」の3期は並びですから、「1990年6月30日 第24刷」で間違いが修正されたという結論で良いと思われます。あとは間違ったのがどこかですね。求む!第2版から第40版の間の奥付!(2012.7.26)
少し前にツイートしましたが、「1989年1月16日 第23刷」「1989年9月1日 新訂発行」「1990年6月30日 第24刷」の並びは明らかにオカシイ。後2者の間で24刷り進むはずがなく、24という数字は間違いなく23刷の後を継ぐもの。でも間にある「新訂」の分は…?杜撰な管理に唖然としています。(2012.6.16)
双葉社からの2冊目の単行本『さよならにっぽん』も、初刷りの1981年から2007年まで26年間に渡って刷り続けられたため、『ハイウェイスター』と同じく途中で定価の変更、バーコードの追加などが行われました。右画像は、そのうち3種類の異なる裏表紙をならべたものです。一番下、(1)の本が最初の状態。アッパー湾の海面の色がそのまま活かされ、そこに白い縁取りの赤文字で雑誌コードと定価650円の文字が記載されています。
(2)は1989年新訂版の本で、この時白い文字スペースが設けられ、そこに雑誌コードとISBN、そして消費税3%に対応した定価670円(本体650円)が黒字で入りました。
(3)は2005年第45刷の本で、値段表記は定価[本体667円]+税と、消費税が変わっても対応可能なものになっています(この前段階に定価700円[本体667円+税]表記の本もある)。また、左上にバーコードが追加されたのも大きな変更ですが、『ハイウェイスター』と異なり、直接カバーに印刷するのではなく、バーコードの印刷された、下地が透けて見える白いステッカーが貼られています。このバーコードの追加、本の装幀に大きな影響を与えたのはご存じでしょうか。この『さよならにっぽん』のように、裏面にも絵が入っていてバーコードを入れる場所がない場合、酷いものだと全面黒地に変更されたうえでバーコードが印刷されるといった、元のデザインをまるで無視した改訂が行われました(その件について『銃夢』の木城ゆきと氏が怒っていたのを覚えています。最初の集英社から出たB6版の単行本は裏面までイラストだったのですが、バーコード対応にするため途中の刷りから裏面は黒一色にされてしまいました)。しかし『さよならにっぽん』ではステッカー対応。これは、大友克洋本人の指示によるものかどうかは不明ですが、最大限元のデザインを尊重する対応だったと言えるでしょう。誰もがこうした対応をして貰えるわけではなく、やはり稼ぎ頭の単行本だったから許されたことなのではないでしょうか。(2012.7.30)
GBさんが発見した「1981年8月1日 第13版」。7月16日の発売から16日で13版まで進んでる…!?そりゃ毎日刷って、毎日奥付変えてればそうなりますが…しかも土日を抜くとほぼ13日…ホントに毎日刷って毎日奥付変えていたのか…??(2012.12.8)
『ヘンゼルとグレーテル』奥付
1981年10月25日初版
1981年12月18日第4刷
1982年2月12日第5刷
1982年9月30日第7刷
(画像提供北野さん)
1983年10月7日第10刷
1984年4月10日第11刷
1986年3月1日第15刷
1987年3月25日第16刷
1987年10月25日第17刷
(画像提供芳本さん)
1988年11月27日第18刷
(画像提供津久井さん)
1995年7月14日第20刷
(画像提供GBさん)
最終刷り?
『ヘンゼル』は、第19刷までは「CBSソニー出版」で、第20刷から「ソニーマガジンズ」なんだと思うんですが、肝心のソニーマガジンズ版を手放してしまって良くわかってません…。ソニーマガジンズになってから、重版されたことはあったのか!?映画『MEMORIES』に合わせた重版(第20刷:1995年夏の刷りは映画に合ってないかも…)で終わり!?情報求む!(2012.6.11)
『気分はもう戦争』奥付
1982年1月24日初版
1982年3月10日第7版
1982年4月5日第8版
(画像提供北野さん)
1982年7月20日第10版
(画像提供北野さん)
1983年3月20日第11版
(画像提供内藤さん)
1983年5月10日第11版
(画像提供Rioさん)
1983年8月5日第17版
(画像提供北野さん)
2012.12.15発見…
1983年12月10日第13刷
(画像提供芳本さん)
1984年2月10日第15刷
1984年10月20日第19刷
(画像提供芳本さん)
1985年5月5日第24刷
1985年9月20日第25刷
(画像提供ジョーさん)
1986年4月12日第27刷
1986年12月30日第28刷
(画像提供津久井さん)
1988年3月10日第31刷
(画像提供内藤さん)
1988年11月11日第33刷
1990年10月20日第38刷
1991年4月25日第39刷
(画像提供GBさん)
1992年6月8日第40刷
(画像提供くりてぃんさん)
1994年9月22日第42刷
1997年5月25日第47刷
1998年11月19日第49刷
2000年8月4日第51刷
2001年8月4日第52刷
2002年10月2日第53刷
2007年10月25日第58刷
最終刷り
『気分はもう戦争』はまだ手元に2種類しかありませんが、裏面の変化は右図のような感じ。(1)の本が最初の状態で、定価800円は「戦争」の字の右にありました。雑誌コードは左下で、どちらもイラストに直接黒地で印刷されています。
(2)は2007年第58刷の本で、値段表記は定価[本体819円]+税と、消費税が変わっても対応可能なものになっています(この前段階に税率3%、5%それぞれに対応したものあり)。また、値段と雑誌コードの背景には黄土色のベタスペースが、ISBN用には白い文字スペースが追加されています。更に『さよならにっぽん』と同じく左上にバーコードのステッカーが追加されており、これも元の高荷義之のイラストを活かす対応となっています(2012.7.30)
『気分はもう戦争』の初期の本は「版」表記だった!時期と数字から考えるに、その後単純に「版」が「刷」に変わって続いたのだと思われますが、意外な事実の発見です。『ハイウェイ』、『さよなら』の版表記の謎に迫るヒントとなるか…(2012.8.28)
上記の「「版」が「刷」に変わって続いたのだと思われます」というのが間違いだということが判明してしまいました。見つかっている最も数字の若い「刷」(第13刷)より大きな数字の「版」(第17版)の本が見つかってしまったのです…。ということで、混迷の度合いは加速します。1982年1月24日の初版から、1983年8月5日までに17版進んだのは、まあ良しとしましょう。しかしその直後に「版」が「刷」に変わったとしても、同年12月10日に第13刷というのは…それだけ刷っていたのでしょうか。下に追加した1989年までのグラフを見ると、『童夢』発行と時を同じくして「版」が「刷」に変わったと推測されますが、その『童夢』ですら最初の1年で10刷りは進んでいません。1回の発行部数を抑えて何度も刷っていたのか、はたまた数字が適当なのか…謎は深まるばかりです(2012.12.23)
この奥付を送って頂いたのは随分前なんですが、すっかり更新が滞ってしまっていたため、ご紹介が遅れました。この奇っ怪な奥付をご覧じろ。1983年3月20日第11版と、1983年5月10日第11版!……こういうこともあるんですね……(2016.2.21)
『BOOGIE WOOGIE WALTZ』奥付
1982年5月5日第1刷
1982年5月25日第2刷
1982年6月15日第3刷
(画像提供北野さん)
1982年8月25日第4刷
1985年1月15日第5刷
1989年2月25日第6刷
今度こそ最終刷り?
『ブギウギ』って、1985年1月15日の第5刷が最後かな、と思ってるんですが、それ以降の版を持ちお持ちでしたら是非!(2012.6.11)
1〜5刷の奥付がやっと揃いました。結局、ほぼ予約で捌けた初刷りを出したあと、3ヶ月で4刷りまで行き、その後『AKIRA 1巻』発売で盛り上がっていた85年1月に一度だけ刷って終わったようです。…が、まだ6刷りがなかったかどうかはわかりません。もし見かけたら是非ご連絡を!(2013.4.14)
うわ6刷りがあった!綺譚社の活動は1990年代にはストップしていたと思う(定かではありませんが)ので、これが本当の最後かと思うのですが…まだあったりして…(2013.10.16)
『童夢』奥付
1983年8月18日初版
1983年12月20日第2刷
(画像提供MASHed・ROOMさん)
1984年2月10日第3刷
(画像提供北野さん)
1984年3月10日第5刷
1984年3月30日第6刷
(画像提供GBさん)
1984年10月10日第8刷
(画像提供GBさん)
1984年11月20日第11刷
1985年7月25日第17刷
(画像提供津久井さん)
1985年9月20日第18刷
(画像提供芳本さん)
1986年12月30日第23刷
(画像提供芳本さん)
1988年4月15日第27刷
(画像提供白峰さん)
1988年8月6日第28刷
1988年9月10日第29刷
(画像提供芳本さん)
1989年1月16日第31刷
(画像提供GBさん)
1989年7月20日新訂版
1992年10月2日第39刷
1994年12月22日第42刷
(画像提供上杉さん)
1996年12月1第48刷
1997年5月25第50刷
1998年3月17第52刷
1998年11月19第54刷
1999年3月10日第55刷
(画像提供GBさん)
2001年9月3第60刷
2003年8月5第63刷
2007年10月25日第69刷
最終刷り
『童夢』、映画『AKIRA』公開(1988年7月)で一気にまた刷られたかと思いきや、そうでもなさそうですね。ま、ひと刷り何冊だったかはここからは分からないので何とも言えませんが。(2012.6.11)
こっちにもあったか「新訂版」。「新訂」っていったい何を新しくしたのでしょうか(なお諸星大二郎『コンプレックス・シティ』にも1989年9月1日刷りの新訂版がありました…この時期に双葉社に何があったのか)。ちなみにこの1989年7月20日刷りの「新訂版」は、少なくともカバーが特殊であったことはわかりました。それは所謂(?)「白カバー」という、カバーの色違い。右の画像を見ればその差は一目瞭然と思います。上の白っぽい(銀色じゃない)のが1989年7月20日新訂版、下がその少し前の刷り。初版、そして90年代以降の刷りは皆、右画像下の本と同様の色合いなのですが、この「新訂版」(とその前後?)は極端に違う色合いで印刷されていました。ただ、ヤフオクで「貴重な白カバー!」と珍重される程のものでもないと思いますが…。なお、カバー折返し部の縁の処理が異なっているなど、それまでとは違う印刷だったために起こったエラーではないかと推察されますが、詳しいことは不明です。(2012.10.8)
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『AKIRA1巻』奥付
1984年9月21日第1刷
1984年10月1日第2刷
(画像提供GBさん)
1985年5月20日第4刷
1985年9月10日第5刷
1985年11月15日第7刷
(画像提供芳本さん)
1987年7月30日第13刷
1988年5月20日第15刷
1988年8月20日第17刷
1988年9月26日第18刷
1989年1月13日第20刷
1990年12月22日第23刷
(画像提供MASHed・ROOMさん)
1993年4月30日第26刷
1993年10月20日第28刷
(画像提供くりてぃんさん)
1995年1月20日第33刷
1995年3月20日第34刷
1996年2月20日第39刷
1997年4月1日第45刷
1997年6月20日第46刷
1997年10月24日第48刷
1998年10月30日第51刷
2001年1月25日第56刷
2001年8月5日第57刷
2002年5月10日第59刷
2002年8月26日第60刷
2002年12月24日第61刷
2003年9月10日第63刷
2006年5月2日第68刷
2007年4月5日第70刷
(画像提供KITさん)
2009年10月2日第74刷
2010年8月27日第75刷
2011年5月23日第76刷
2013年5月7日第80刷
2002年で61刷りですか…それから10年、今何刷りなんだろう…(2012.6.11深夜)→書店で見る機会がありました。2012年現在、第78刷でした(2012.8.22)
『AKIRA2巻』奥付
1985年9月4日第一刷
1985年9月30日第二刷
1985年11月15日第三刷
(画像提供芳本さん)
1986年8月20日第4刷
1986年9月5日第5刷
(画像提供MASHed・ROOMさん)
1987年7月7日第6刷
(画像提供GBさん)
1987年7月30日第7刷
1988年5月20日第8刷
1988年7月20日第9刷
1988年8月20日第10刷
1988年11月18日第12刷
1989年4月12日第14刷
1989年10月25日第15刷
1991年9月13日第18刷
1993年12月20日第22刷
1994年7月20日第24刷
1995年1月20日第26刷
1995年3月20日第27刷
1995年5月20日第28刷
1995年7月20日第29刷
1996年7月20日第34刷
1997年4月1日第38刷
1997年8月29日第40刷
1997年10月24日第41刷
1998年5月6日第42刷
1998年10月30日第44刷
1999年1月20日第45刷
2000年7月20日第48刷
2001年9月10日第50刷
2002年3月10日第51刷
2003年6月20日第54刷
2004年10月20日第57刷
2006年7月5日第59刷
2007年3月26日第60刷
(画像提供KITさん)
2007年12月5日第61刷
2010年6月1日第64刷
2011年5月23日第65刷
2012年3月1日第66刷
2012年5月25日第67刷
『AKIRA』の奥付、刷数表記はアラビア数字にしたのか漢数字にしたいのか、はっきりせい!という感じ。(2012.6.11)
『ショートピース』奥付
1986年5月15日初版
1988年8月6日第2刷
(画像提供内藤さん)
1990年7月15日第6刷
(画像提供prenomさん)
1991年10月25日第7刷
(画像提供GBさん)
ここから間違い
1993年6月13日第9刷
(画像提供くりてぃんさん)
1995年2月28日第10刷
(画像提供北野さん)
1997年5月25日第15刷
(画像提供GBさん)
1997年10月10日第16刷
(画像提供GBさん)
1999年4月17日第17刷
2000年8月4日第18刷
2002年10月2日第20刷
2004年9月4日第22刷
2005年9月30日第23刷
2006年9月24日第24刷
(画像提供芳本さん)
最終刷り?
はい、この2006年9月24日の奥付も間違ってますね。一体どこで間違ったのか…間の版をお持ちの方、画像お待ちしています!(2012.6.11)今のところ、80年代に間違ったっぽいように思えますね…2〜6刷りお持ちの方、是非!(2012.6.11深夜)
→prenomさんに送って頂いた第6刷では正しい初刷りの日付が記載されていました!ということで、第7刷から間違ったことがわかりました。そしてそのまま絶版まで間違え続けたのですね…。また一つスッキリしました!(2012.9.23)
『AKIRA3巻』奥付
1986年9月1日第一刷
1986年9月5日第二刷
1987年7月30日第3刷
1988年7月20日第5刷
(画像提供MASHed・ROOMさん)
1988年8月20日第6刷
1988年9月26日第7刷
1988年11月18日第8刷
1989年4月12日第10刷
1989年10月25日第11刷
1990年8月22日第12刷
1991年7月12日第13刷
1991年9月13日第14刷
1993年7月31日第15刷
1994年3月20日第18刷
(画像提供くりてぃんさん)
1995年5月20日第23刷
1995年9月20日第25刷
1996年7月20日第29刷
1996年10月20日第30刷
1996年12月20日第31刷
1997年4月1日第33刷
1997年8月29日第35刷
1998年8月28日第38刷
1998年10月30日第39刷
1999年1月20日第40刷
2002年5月10日第46刷
2002年8月26日第47刷
2004年6月25日第51刷
2004年10月20日第52刷
2006年9月4日第54刷
2007年2月1日第55刷
(画像提供KITさん)
2008年5月9日第57刷
2009年6月5日第58刷
2010年6月1日第59刷
2011年6月22日第60刷
2012年4月2日第61刷
2013年10月4日第64刷
『AKIRA4巻』奥付
1987年7月10日第一刷
1988年8月10日第4刷
1988年11月18日第6刷
1989年1月13日第7刷
1989年4月12日第8刷
1989年10月25日第9刷
1990年8月22日第10刷
1991年9月13日第12刷
1994年8月20日第18刷
(画像提供くりてぃんさん)
1995年3月20日第21刷
1995年5月20日第22刷
1995年7月20日第23刷
1995年9月20日第24刷
1996年2月20日第26刷
1996年4月20日第27刷
1996年7月20日第28刷
1996年10月20日第29刷
1997年4月1日第32刷
1997年6月20日第33刷
1997年8月29日第34刷
1999年1月20日第39刷
1999年11月19日第40刷
2000年9月6日第42刷
2001年8月5日第44刷
2002年9月20日第47刷
2004年6月25日第51刷
2005年7月5日第53刷
2006年10月2日第54刷
2007年7月9日第55刷
(画像提供KITさん)
2011年3月1日第59刷
2011年12月1日第60刷
『彼女の想い出』奥付
1990年4月23日第1刷
1990年6月24日第2刷
(画像提供くりてぃんさん)
1996年1月8日第3刷
(画像提供GBさん)
1996年3月20日第4刷
(画像提供MASHed・ROOMさん)
1996年5月20日第5刷
1996年10月20日第6刷
1997年5月15日第8刷
1998年1月26日第10刷
1998年10月30日第11刷
(画像提供芳本さん)
2003年9月10日第14刷
この本の出足がこんなにも悪かったとは思ってもみませんでした。確かに1990年というのは、一般に大友克洋の名前があまり出ていなかった時期とは思いますが(但し初版が相当数刷られていたためとも思われる)。『SOS』の発行後は、両者同じように刷られているようです(2012.7.26)
『AKIRA5巻』奥付
1990年12月11日第1刷
1994年3月20日第6刷
1994年7月20日第7刷
(画像提供くりてぃんさん)
1995年3月20日第10刷
1995年9月20日第13刷
1995年11月20日第14刷
1996年5月20日第17刷
1996年9月20日第18刷
1996年12月20日第19刷
1997年4月1日第21刷
1997年6月20日第22刷
1997年8月29日第23刷
1997年10月24日第24刷
1999年1月20日第28刷
1999年9月20日第29刷
2000年7月20日第31刷
2001年1月25日第32刷
2001年10月15日第34刷
2002年11月6日第37刷
2003年6月20日第39刷
2004年10月20日第42刷
2005年7月5日第43刷
2006年9月4日第44刷
2007年10月5日第46刷
(画像提供KITさん)
2009年6月5日第48刷
2010年7月1日第49刷
2011年6月22日第50刷
2012年4月2日第51刷
この本の出足の遅さも驚きました。やはり連載終盤、ちょっと注目が下がっていたのでしょうか。それから、この本だけ書店用B2半裁の広告ポスターが作られていないんですよね。売り方も、他の本より地味だった可能性があります。その後、6巻の出版と共に一気に売れていきます。(2012.7.26)
『AKIRA6巻』奥付
1993年3月23日第1刷
1993年7月31日第3刷
1993年11月20日第4刷
1994年3月20日第5刷
1994年7月20日第6刷
(画像提供くりてぃんさん)
1994年9月20日第7刷
1995年3月20日第9刷
1995年5月20日第10刷
1995年7月20日第11刷
1995年9月20日第12刷
1996年3月20日第15刷
1997年4月1日第20刷
1997年6月20日第21刷
1997年8月29日第22刷
1997年10月24日第23刷
1998年5月6日第24刷
1998年8月28日第25刷
1998年10月30日第26刷
1999年1月20日第27刷
1999年9月20日第28刷
2000年1月20日第29刷
2001年8月5日第33刷
2002年5月10日第35刷
2002年8月26日第36刷
2003年2月20日第38刷
2003年6月20日第39刷
2005年4月20日第43刷
2006年6月23日第44刷
2007年3月26日第45刷
(画像提供KITさん)
2010年7月1日第49刷
2011年7月22日第50刷
2013年10月4日第53刷
『SOS大東京探検隊』奥付
1996年2月6日第1刷
1996年6月20日第2刷
(画像提供MASHed・ROOMさん)
1997年4月1日第4刷
1997年9月20日第5刷
1998年2月25日第6刷
1998年6月30日第7刷
1998年12月1日第8刷
1999年5月28日第9刷
(画像提供芳本さん)
1999年11月19日第10刷
2001年8月5日第12刷
2002年6月25日第13刷
2003年2月20日第14刷
2004年9月6日第15刷
2006年2月3日第16刷
2007年5月18日第17刷
2011年3月1日第18刷
2012年8月24日第19刷
(画像提供芳本さん)
最終刷り
奥付を調べているうちに気づいたのが、本のタイトルの色(オレンジ色)の濃さが違うこと。右の画像の通り、2011年の新しい本ではオレンジが濃いです(但し初刷りでも濃いめのものもあったという報告あり)。しかし、それ以上に異なっていたのが、本文の指定色。この本では各短篇の扉絵の前に、タイトルを示す遊び頁が入っていますが、この背景の指定色が全然違うのです。初刷りでは、若干黄色みがかった灰色ですが、2011年の刷りではほぼレモン色なのです。これは扉頁に追加された指定カラーも同様で、右図のように全く違う印象となっています。インクが変わったのかもしれませんが、作者公認なのでしょうか?ちょっと驚きです。この違い、小口を横から見ただけでも分かる(黄色い線が見える)ので、是非お手元の本をチェックしてみてください。(2012.7.30)
第17刷も、18刷と同じくレモン色でした。(2012.7.30)
第12刷の時点でかなりレモン色でした。(2014.3.8)
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※版と刷について
岩波国語辞典第3版奥付
双葉社の本に限らず、マンガ本の奥付では「版」と「刷」が入り乱れて使用されています。この使用法は各社まちまち、更には同じ出版社でも時期によって使用法が違うという滅茶苦茶ぶり。これは各社共通の表記法が規定されておらず、ほとんどが慣例のまま行われているためと思われます。しかし、本来「版」と「刷」には明確な区別があります。その一例が右図。皆さんお持ちの『岩波国語辞典』です。これは僕が中学、高校の時に使っていたもので古いですが、これでも「第1版第1刷」からこの本が刷られた日付の「第3版第2刷」まで、四行にわたって表記されています。
ここで簡単にアナログ印刷の工程を紹介。まず版下となる原稿が完成します。マンガの場合は、セリフの活字を入れた(写植を貼った)完成原稿が版下となります。次に、これをフィルムに写し取る「写真製版」が行われて、「原版フィルム」が制作されます。更に、原版フィルムは「下版(げはん)」されて印刷用の「刷版(さっぱん)」が作られます。「刷版」に用いられるのは、感光液の塗布された薄いアルミ板である「PS版」などで、フィルムから感光させた後、現像で非感光部分を除去し、残った部分にインキが乗ることで目的のものを印刷できるようになります。この「刷版」を印刷機(輪転印刷機など)に取り付けて、印刷が行われます。
では、例の『岩波国語辞典』の奥付はどういう意味か、読み解きましょう。まず1行目の「1963年4月10日 第1版第1刷」というのは、この本の最初の「原版フィルム」から作られた最初の「刷版」から最初の印刷(部数は分からない)が行われた日付を示しています(厳密にその日というわけでは無く、発行日…これも出版社の慣例で決められるもの…が表記されています)。2行目は「1971年2月5日 第2版第1刷」。これは「原版フィルム」が変わったことを示しています。辞典や学術書などの場合、月日が経つと内容が古くなり、加筆修正が行われるのが常です。そうなると当然原稿が変わるため、製版作業をやり直すことになります。本のタイトルは同一であっても、版が変わるというのは「別の本になること」です。つまり、改訂がいつ行われたかを表記したのが2行目(と3行目)ということになります。この本の場合、1971年2月5日と1979年12月4日に内容が変わったことが分かります(但しどちらの日付も発行日なのは前述の通りで、例えば言葉の意味を大きく変える出来事が1979年12月1日に起こっていたとしても、それは反映されていません)。また、3行目の横にコピーライトマーク(ⓒ)が付いているのも、「この内容の著作権を主張する」という意味になります。そして4行目。版は同じく第3版ですが、「第2刷」となっています。これは同じ「原版フィルム」、同じ「刷版」を使って新たに印刷を行った、ということを示しています。刷版も摩耗するので無制限に追加印刷できるわけではありませんが、上記PS版の耐刷力(どれだけ印刷できるか)は通常数10万枚(裁断前)であり、大きい本でなければ100万部以上を印刷可能であり、よほどのベストセラーでない限り交換する必要はないと思われます。
Jojo 第20巻改訂版奥付
翻ってマンガ本ではどうでしょうか。例えば右に示したのは、『ジョジョの奇妙な冒険』第3部、コーラン部分にクレームが付いて内容が修正された3冊のうちの『第20巻』の奥付。初刷り発行日と2009年2月9日に56回目の刷りが行われたことと、括弧でそれが改訂版第1刷であることが表記されています。版が変わったことにより、僅かとは言え「別の本」になったにもかかわらず、その事実は括弧の中に押し込められています。また何故か刷り数はリセットされていません。その後の増刷分を確認していないのでわかりませんが、これだと括弧表記は消えてしまいそうな雰囲気まであります。
Jojo 第20巻第1刷奥付
因みに、左画像は同じ『ジョジョの奇妙な冒険 第20巻』の第1刷本の奥付。日付ェ…。上の第56刷の第1刷発行日は1991年2月13日ですが、本当は1991年2月15日なのです…。僅か2日ではありますが、なんでしょうか、このいい加減さ。本の同一性を示すべき初版第1冊の発行日を間違えるというミスが、こんなにいくつも見つかるとは…。ちなみに現在の集英社は版表記をしない方針で、最初に刷られた本も「第1刷」としか表記しません。ただ、(正確な日付は不明なものの)1980年より前は「刷」は使わず「版」だけを表記していました。3回刷られた本は「第3版」。ただし、この場合の「版」は、現在の「刷」と同一で、「原版」が変わったことを示しているのではありません。これが紛らわしかったために、「刷」表記に変更されたのではないかと思われます。また、同じ時期に同じように表記を変更したマンガ出版社も多いです。
BJ4巻 中身の違う2冊
もうおわかりと思いますが、こうしたいい加減な表記の何が問題かというと、「本の同一性を判断することがデキナイ!」ということに尽きます。先の『ジョジョ 第20巻』の例では、画像を示した第1刷の本と第56刷の本は、第1刷の発行日が異なるので、(内容改訂の有無に関わらず)奥付的には違う本という事になります(間違いって分かるし、実際改訂で違う本になってるけどさ)。また逆に、本当は「原版」が変わっていても、初刷りからの通し刷数だけしか表記されていないと、同じ本だと思ったら違いがあった!ということになりかねないのです。その一例が、『ブラックジャック 第4巻』。この本は初期の版には「植物人間」という作品が収録されていますが、倫理的に問題ありということで途中で「からだが石に」に差し替えられました。しかし手元にある両者の入った2冊、「植物人間」入りは「昭和50年10月10日 7版発行」、「からだが石に」入りは「昭和52年12月10日 23版発行」とあるだけで、途中で中身が変わったことはどこにも記載されていません。もしかしたら変わった最初の版には「改訂版」なりの表記があったのでしょうか?いずれにせよ、僕の持つ2冊は、奥付で判断する限りは刷り数の違う同一の本となってしまうのです。中身が違うのに!なんていい加減な!
ヘンゼル初刷、15刷のp120、2コマ目の違い
ここまでドラスティックな変更ではないのですが、版が変わったときに写植カケがあり、そのせいでセリフが一部変わっている(欠落している)ことがあったりもします。例えば『ヘンゼルとグレーテル』。今手元にある第1刷と第15刷のp120の2コマ目を見てみたのが左図。15刷の本では小さい「ッ」が欠けてしまっています。これは、写植の欠けた原稿から新たなフィルム原版を作ったために起こったことなのかもしれません。奥付には何も表記されていませんが(ただし、今回よーく見てみたところ、完全に欠落しているのではなく、ほんの少し文字の一部分が残っているのが分かったため、写植カケではなく、刷版の欠けなのかもしれません)。いずれにせよ、中身に意図的な変更があったにも拘わらず、奥付でそれが表記されないことが問題なのです。もしくは、中身の変化は意図的なものではなかったとしても、奥付がちゃんと表記されていれば、その変化について考える手掛かりとなるのに、そうなっていないのが問題なのです。
カバーの違う佐藤史生『春を夢見し』
左が第3刷、右が第4刷
更に本好きを悩ますのが「カバー重版」。定価やコード番号、時にはカバーの絵が変わって、中身の本は同じでも違うカバーが掛けられることがあり、これを「カバー重版」と呼びますが、本体は同じなので奥付には何も記されません。これが版が変わる(改訂版とか)のと同時だったりするならまだしも、全然関係ない途中に行われる事が普通なので困りものです。但し、厳密にはカバーは帯と同じ程度の付属物であり、どうでもいい、というのがどうやら図書館学の常識のよう。実際、カバーなんて入荷したそばから捨ててしまう図書館も多いですからね。
『春を夢見し』第3刷、4刷の奥付
それとは別に、増刷時にカバーや中身の一部(作品と関係のないタイトルページや目次などだったりする)が変更されたのに、奥付に何も書かれない本も多数あります。右上の本は、大友さんと同じ高校出身で、女性SFマンガ家の中でも当代随一の作家(でした…余りにも早すぎる死でした…合掌)佐藤史生の単行本『春を夢見し』ですが、完全にデザインの異なるカバー。この時、ペーパームーン・コミックスの全体のデザインが変わったため、それに合わせてこの本のデザインも変更されました。その境目は、1982年7月10日 第3刷と、1983年7月20日 第4刷。その奥付が左画像なのですが…そもそも第4刷の奥付は、カバー見返し部分に移動しています。それに伴い、元々奥付のあったページは白紙に。それだけでなく、本のタイトルページのデザインも変わっていて、マンガの内容は同じでも全く違う本になっているのです。それなのに、ああそれなのに、クレジット上は第3刷と第4刷。それだけの違い。1980年12月10日の初版発行日が同じ、「クレジット上同一の本」なのです。なんてこと。
カバーの違う佐藤史生『春を夢見し』
左が第3刷、右が第4刷
まあ、作品に違いがないのなら「同じ本」と思う出版側の気持ちも分からないではないのですが、やはり本好きにとってはカバーの違いも本の違い。この辺りの考察というか実況見分はまたそのうちに(大友本の変化で一本書けるでしょう)。但し、『春を夢見し』の後ろカバー(右図)からカラーイラストを削ったヤツは死刑!
(2012.6.15)
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