date 2002/9/18(水)01:16
uname 新山発現
subject モットモオートモ　

　大友漫画って「流産」てよく出てきませんかねえ。それも物語と密接な形で。思い出す
だけでも「RUN」では女の死際に妊娠がつげられ、それが青年の暴走の引き金を引き、「
家族」では妊婦が出産はしこそするものの心中という計画がお流れ（流産）になり、「童
夢」では物語られはしないものの「手塚さんの奥さん」の狂気のキャラクターに「包状奇
形を流産した」というリアリテイが与えられ、（因みにこれって手塚、包状奇形、ってい
ったらピノコですよねえ。だから童夢って「さるとびエッちゃん」と「ピノコ」と「アラ
レちゃん」が隠れキャラとして三つ巴の死闘を演じるっていう戦後漫画３大超能力女の子
キャラの覇権闘争なんですよ。結果は「そして誰もいなくなった」という現状認識で終わ
るわけで批評性がここでも発揮される訳なんですが。）「アキラ」に至っては胎児化した
鉄雄ってあれまんま包状奇形ですよ。しかも鉄雄が体験する出産シーンってペンダントが
引き金になって記憶が将棋倒し的に偽の記憶（記憶の流産）になったりして。ラストもな
んか生き残りが皆で胎児をやっつけるかっていう話に集中していくじゃないですか。でラ
スト金田以下一丸となって逃走していくじゃないですか。「あー流れちゃった感」ていう
んですか、僕なんかはそこにこそ物語作家としてのオオトモのモットモ倫理的なものを感
じるんですよ。一言でいえば「生めよ増やせよ的な富国強兵的なもの」との闘争／からの
逃走。ですか。