日記メモ兼ちいさなけいじばん

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【 256 】 池坊だの草月だの

華道(生け花)というものに興味を抱くなどということが、自分の生涯に起ころうとは夢にも思わなかった。
興味を抱くといっても、実際に花を活けることを始めたわけではないが…

NHKラジオの「朗読」という番組で、早坂暁の「華日記〜昭和生け花戦国史」を聞いたためだ。
早坂暁というと私などはドラマ「天下御免」の脚本家としてまず思い出す。
そして名作「夢千代日記」を書いた脚本家として知る程度。
今回、同じ作者の小説「華日記」を朗読で聞くうちに、華道に少し興味をもつようになったのである。

なにしろ登場するのが皆実在の人物で、私が子供の頃になんとなく耳にしたり学生の頃にTVで見た記憶があり、「ああ、あの人か」と思い出せる人が何人もいるのだ。
勅使河原蒼風、池坊専永・保子、安達瞳子(瞳は実際には日へんに童らしい)など、興味がないのになぜか十代から二十代の私の目に耳によく触れる名前であった。

勅使河原蒼風その人のことは知らなくても、草月流という流派はよく聞いたし、草月ホールが多くの日本現代音楽作曲家の発表の場になっていたことも、知っていた。
なぜお花の活動場所で音楽が?という素朴な疑問を抱いていたが、朗読を聞いてよくわかった。
勅使河原蒼風自身がそういう革新的なことを花の世界でやってきたらしく、若い芸術家への助力を惜しまなかったようだ。

草月流2代目家元の勅使河原霞という人のことは今回初めて知ったが、道半ばで病没したらしい。
たいそうな美人であったということなのでいろいろ調べていくうちに^^;、生きていれば父・蒼風以上の仕事をし得たかも知れないと思わせるほどの人物だとわかった。

このように、華道に興味をもったとは言っても、花の美とか活け方にではなく、「たかが花ごとき」に命を懸け生涯を捧げた、まるで知らない世界の人々への目が開いたということである。

From : 辻 -2020/08/28(Fri)22:36-

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